井岡一翔ももう36歳。
現代において、年老いすぎたとはいえないまでももう当然若くはなく、引退していても全くおかしくない年齢と言えます。
36歳で挑戦者としてリングに立てるボクサーがどれほどいるのでしょうか。しかもかれは4階級制覇王者であり、実績も十分残しています。
だからこそ、なのか、青コーナーからリングに上がる井岡一翔は、一体我々にどんな生き様を見せてくれるのか。井岡の最終章ともなり得る、戦い、今回のブログはABEMAで放映されたフェルナンド・マルティネスvs井岡一翔2の観戦記。

5/11(日)大田区総合体育館
堤駿斗(志成)6勝(3KO)無敗
vs
ハイメ・アルボレダ(パナマ)20勝(15KO)3敗
調整という面においてまだまだ不安が残る堤駿斗。当然、世界戦となれば仕上げてくるのでしょうが、前戦スーパーフェザー級で戦い、今回はキャッチウェイト。
対戦相手のハイメ・アルボレダは、ゴリゴリの判定タイプボクサーであるクリス・コルバートに11RTKO負け、ウィリアム・セペダには2RKO負けを喫しているボクサーなので、ここは堤には倒して勝ってもらわなければ困ります。
さて、ゴング。
まずはリング中央、アルボレダがジャブ。しっかり見てパリングする堤、ボディジャブを突き刺し、右カウンター。
オーバーハンド気味の右も使っていく堤、後半にはボディショットも交えます。ガードからの左フックのリターン、そして右をねじ込んで初回を終了しています。
2Rも相手をのけぞらせるようなジャブからオーバーハンド気味の右をヒットした堤。近い距離ではガードからのリターン。接近戦で戦おうとする堤、遠目に見ればこのコンパクトなコンビネーションは井岡にそっくりですね。
アルボレダはこの距離で堤を迎え撃っていますが、ちょっとこの距離では上手くいきそうにありません。叩きつけるような堤の右を幾度も喰らっています。
3R、引き続き堤はプレス。ロープを背負うアルボレダ。ジャブからアッパーで入ったアルボレダ、左目付近をカット。これはバッティングのようです。
ところで会場は非常に静かですね。
再開後、ジャブから右ボディストレートを見舞った堤はその後も自ら踏み込んで果敢に攻めています。アルボレダはちょっと集中力に問題があるのか、ラビットのアピール。
後半、左フックカウンターで下がったアルボレダにもう一発、堤が左フックをお見舞いするとアルボレダはダウン!
立ち上がったアルボレダは若干足に来ている風で、そこを攻め込む堤!クリンチに逃げようとするアルボレダでしたが、堤はそれをさせず、レフェリーがストップ!!
堤駿斗、3RTKO勝利!
やっぱり顎が強くない、ハイメ・アルボレダ。とはいえ、全く寄せ付けなかった堤は見事な勝利です。
これで4戦連続KO勝利。個人的にはいまだにフェザー級でのウェイトオーバーを引きずってしまいますから、ロートルではなく、「これは」と思えるような相手との戦いを見たい。
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)17勝(9KO)無敗
vs
井岡一翔(志成)31勝(16KO)3敗1分
前戦ではボリュームパンチャーのフェルナンド「プーマ」マルティネスとフルラウンド近い距離で渡り合い、判定負けを喫した井岡一翔。
傍目にみた場合、作戦ミスがあったことは否めません。ただ、一度負けた相手にリベンジは口でいうほど簡単ではありません。それも、ラッキーパンチに近いかたちで負けたわけでもありません。ただ、この負けを糧とできるのが井岡ですし、その井岡のマルティネス対策に対し、マルティネスが上回れるか、というのが勝負を分ける事柄ではないでしょうか。
井岡がインタビューで語るとおり、「ただチャンピオンに返り咲く」のと「マルティネスにリベンジして返り咲く」のは全く違うこと。あの負け方からのダイレクトリマッチについては、賛否あろうかと思いますが、日本ボクシング界への多大な貢献をしてくれた井岡一翔へはボーナスとしてこの試合を組んだと考えれば十二分に妥当です。
井岡一翔は最終章が近いはず。それでもやはり、彼には世界的ビッグマッチにたどり着いてもらいたい。
いよいよゴング!
まずグイグイ来るのはマルティネス!井岡はまず慎重な立ち上がり、下がりすぎてはダメですが近い距離でもダメ。良い距離を保ちつつ、いつものボクシングをしたい。
近い距離でのマルティネスの左右のフック、やはりこのボクサーはよく手数が出ます。それをウィービングでかわす井岡、回りながらも左フック、左ボディをヒット。
暴風雨のようなマルティネスの左右、井岡はこれをいなしながら随所でショット、ただどうしてもマルティネスのプッシングパワーに態勢を乱されてもいます。
こうしてマルティネスが空振りを重ねていく、これが井岡の狙いでしょう。井岡のボディワークは非常に良いですが、この多くの手数の全てを躱すことができるわけではありません。
2R、マルティネスが左右のフックからアッパーと軌道を変えてチャージ。行くときは行く、休む時は休むとかなりメリハリをつけるマルティネス、井岡は自分のペースをキープしつつ、ここは下がりすぎない展開。随所でヒットを奪う井岡ですが、やはりインパクトはマルティネスにあります。この強振でペースが落ちないのがマルティネス、このパンチの交換の中でどちらが効果的なショットを相手に与えられるか。
序盤2Rはやや井岡が劣勢か。このように微妙に取られるラウンドが続くと、井岡にとって厳しくなります。
3R、相手が来ればまっすぐではない位置に下がり(まわり)ながらもパンチをコネクトしていく井岡。ロープに詰まりかける場面もありますが、良いポジショニングで戦ってはいます。ただやっぱりインパクトの違いはあります。
井岡がダックしたときに追尾してくるような右、これも井岡の見栄えが悪い。ただ後半、井岡の右ボディはちょっと嫌がったか、マルティネス。しかし終盤、マルティネスはウェイトが大いに乗った右!井岡の顔が弾けますが、その後井岡はマルティネスの右に対して右カウンター!!ここは左右のフックの打ち合い!これは両者ともに危険!!
4R、良い距離感で右ストレートから左フックをコネクトする井岡!それでもマルティネスは止まらず、前進。このラウンドはマルティネスも大事なラウンドと認識しているか、力強いパンチで攻め立てます。
中盤から後半にかけてジャブの差し合いにチェンジ、ここで攻めたい井岡ですが、ここはマルティネスのジャブが上回ります。
マルティネスの右を後ろ足側に逃がし、右ボディから左フックが良い井岡。
5R、少し距離をとりはじめている井岡。マルティネスの左右フックは丁寧なブロッキング、しかしあまりディフェンシブになるとマルティエンスは止まらなくなります。
中盤、互いに手を出さない駆け引きの時間のあと、マルティネスが先手。ちょっと井岡は手数で押されているか。
6R、マルティネスが出てきたところでバックステップからの右カウンター。しかしここでマルティネスが止まらないからやはり見栄えはよくないか。
どこかで効かせなければいけない井岡、左ボディなり左フックなりを入れてポジションを変えるのは良いですね。
後半にはいろうかというところ、マルティネスがチャージ!ここでマルティネスの右の打ち終わりに井岡の左ボディ!抜群のタイミングのこのボディでマルティネスは若干丸まり、しかしそこからでもパンチを返してきます!井岡も負けじと打ち合い、ボディショットを入れるとマルティネスは後退!完全なバックステップは踏まないまでも、やはりボディにこそ活路がありそうです!
後半はマルティネスの突進が若干収まったか、と思うと一気に出てくるマルティネス!
7R、歩きながら打ってくるマルティネス。ピンポイントでカウンターショットの井岡。井岡はポイントの劣勢を意識してか、ボディショットに活路を見出したか、あるいはその両方なのか、下がらない心構え。
マルティネスがチャージしてくるとディフェンスに徹し、マルティネスの空振りを誘発。ただ身体に当たるとバランスを崩してしまう井岡。井岡の左ボディへのリターンをマルティネスは狙っているかもしれません。
8R、井岡がワンツーから左ボディのコンビネーション。この速いコンビネーションをもっと使っていきたい。もしくは、マルティネスの右のあとの左ボディ。
マルティネスの前進がやや弱まっているからか、井岡が良い。やはり先手をとることは重要です。ただ中盤にはまたマルティネスが強い攻めを見せ、井岡がコツコツ積み上げてきたものはチャラになりそうです。
マルティネスは少し疲れているかもしれません。序盤から前戦に比べて空振りも多いかもしれません。ただ、終盤にはまた強い攻め。
9R、井岡コールの会場。マルティネスがまたグイグイ出てきます。近い距離で打ち合おうとする井岡ですが、マルティネスの回転力はものすごい。井岡は被弾を恐れず左ボディ、そして極端なほどボディへパンチを集めます!井岡がボディを狙って腕が下るので、マルティネスは井岡の顔面へ左右のフック!井岡のタフネスは想像を絶するもので、パンチをもらいながらもマルティネスにボディを突き刺す展開!
これはいったいどちらのダメージが甚大なのか。
ちょっと足が前に出なくなってきたかマルティネス、身体を負ってボディにパンチをもらわないようにしています!後半、身体が完全にくの字に折れ曲がったマルティネス、ここは足を使ってエスケープ!!
10R、いつもはラウンドの前半、前に来るマルティネスですが、ここはちょっとサークリングから入ります。しかし早々にマルティネスがチャージ、ここで井岡がボディ!!マルティネスの動きが止まり、右腕はコンパクトに折りたたみボディを守る構え!
マルティネスが出てきたところに左フックカウンター!そして更に右ストレートもカウンターとしてヒット!更に左フックを追撃すると、マルティネスはダウン!!!!
これはマルティネス、ボディをかばいすぎて顔面を想定していなかったかもしれません。。。!井岡一翔が22Rにわたり蒔いた種がここで花開きました!!!!
残りは1分27秒、井岡はここでいきます!ここで左ボディ!!井岡は顔面にパンチをもらいながらも動じず、しつこいボディ!!しかし井岡もきつい!両者ともにダメージを抱えながら、ここで休まず、井岡が左フックをヒットするとマルティネスも右ボラードをヒット!
11R、さあ、勝負のラウンド!井岡がプレス、マルティネスも強いパンチで迎撃!井岡のフェイントで明らかに右ボディをかばうマルティネス、ここでいくべきですが、マルティネスも強く出てきます。パワーをちらつかせて休んでいるようにも見えるマルティネス、これまでのような強い攻めは見せられていませんが、やはりまだ単発は力強い。
井岡はマルティネスの攻めに対してステップで回避、ちょっとボディの距離まではいけないか。
ラストラウンド、マルティネスはダメージを抱えながらも出てきます!素晴らしい気持ちの強いボクサーです。迎え撃つ井岡はカウンター、やはりこのラウンドにきてもマルティネスの回転力とパワーは脅威です!
井岡の左ボディに対して右フックを返すマルティネス!マルティネスはバランスを崩すことが多くなっていますが、井岡もやはりマルティネスのパンチでぐらり!最後の最後まで打ち合い、ラウンドが終了!!!
両者気持ちを出し合った、素晴らしい12ラウンズ!!!
判定は、114-113、115-112、117-110、3-0の判定で勝者はフェルナンド・マルティネス。。。!
リベンジは難しかったか、井岡一翔。ダウンを奪ってからもう少し行けたら、というのは悔やまれるところですが、こればかりは後の祭り。
117-110は開きすぎという意見もきっと出てくる、非常にアツい、紙一重の戦いだったと思います。フェルナンド・マルティネス、改めて素晴らしいボクサー。もっとラテンのノリで試合によって良い悪いあっても良いんだよ、と思うくらい、安定して強い王者だと思います。
アルゼンチン人ボクサーらしいボクサーで、その中で、規律も正しいのだと思われます。
次は、バム・ロドリゲス戦になるのでしょうか。
「プーマ」マルティネス、今後の戦いにも期待しましょう。
そして井岡一翔、まだまだ強く、世界王座へ返り咲ける力は持っていると思います。ただ、すでに大きな実績を残している井岡がこれでグローブを吊るしたとしても、何も驚くことはないでしょう。続けるのであれば、周りのためにではなく自分のために続けられる環境となることを願うのみ。
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