さて、カナダはケベック州の興行。
日本では全くと言って良いほど話題にはなっていませんが、スーパーミドル級のプロスペクト、クリスチャン・ムビリにとって初のタイトルショット。
カメルーン生まれ、フランス国籍のムビリはカナダのEOTTP(Eye of the tiger Promotion)と契約しており、カナダを主戦場として戦っています。
このカナダのケベック州というところは、カナダで唯一フランス語が公用語となっている州であり、そしておそらく唯一、ボクシングが盛んな地域です。
映画「ロッキー」からその名を取ったであろうEye of the tiger Promotionという名前もよく、現在はトップランクと提携し、このケベック州の興行は定期的にESPNを通じて全米に放映されています。
さて、ということでもう残り少なくなってきたESPN放映のボクシング興行、今回のブログはEOTTP興行の観戦記。

6/27(6/28)カナダ・ケベック
アルスランベック・マフメドフ(ロシア)19勝(18KO)2敗
vs
リカルド・ブラウン(ジャマイカ)12勝(11KO)無敗
セミセミ格に登場はEOTTPの推しボクサー、アルスランベック・マフメドフ。「ライオン」のニックネームを持つ獰猛なパンチャーは、かつてAIBAのワールドシリーズ・オブ・ボクシング(※アマ団体のプロボクシング)に長く参戦していたボクサーです。
AIBAを卒業後、順調にキャリアを積んでいましたが2023年、アギト・カバイェル(ドイツ)に敗れて初黒星。これはリヤドシーズンへの招聘2戦目のことでした。その後再起戦を勝利するも、2024年8月にグイド・ヴィアネッロ(イタリア)に8RTKO負け、36歳という年齢も加味するともう上に行く道は途絶えている、という感じはしますが、それでも勝っても負けてもノックアウトというのは魅力的なファイターです。
対戦相手はリカルド・ブラウン、珍しいジャマイカンヘビー級。BoxRecではジャマイカのヘビー級は2人しかおらず、もう一人が0勝4敗のメイソン・ブラウンというボクサーだから、兄弟とかかもしれませんね。
さて、ゴング。
いきなり突進するマフメドフ!ともに260lbs(約118kg)超えの巨体がいきなりぶつかる展開です。ブラウンはワンツーで迎え撃ち、いきなり「あたったもん勝ち」の様相!
割とブラウンのジャブが良いのでは、と思いましたが、1分が経つころ、このジャブに右を被せたマフメドフ!これでブラウンは若干足元が揺れます。
そして荒々しいラッシュをしかけるマフメドフ、コーナーのそばでブラウンも迎え撃ちますが、ダックしたところにアッパーをくらい、その後マフメドフの右オーバーハンドを食らうと前のめりにダウン!!
立ち上がったブラウンですが、レフェリーはストップ!
ヘビー級らしい試合ですね。この荒々しさはある意味素晴らしい、マフメドフはフルラウンド戦う気はさらさら無いでしょうし、ボクシングをする気も皆無でしょうね。
スティーブン・バトラー(カナダ)35勝(29KO)5敗1分
vs
ホセ・デ・ヘスス・マシアス(メキシコ)29勝(15KO)13敗4分
さて、我らがスティーブン・バトラー、偶発的なリベンジチャンスを得ました。
村田諒太への挑戦後、再起戦で安全な相手を選んだバトラーでしたが、なんとそこ5RTKO負けを喫しており、その相手こそ当時27勝10敗3分という戦績のホセ・デ・ヘスス・マシアスでした。
本来勝って当たり前の相手にいわゆる「ポカ負け」を喫してしまったバトラー、果たして4年半振りのリベンジなるか。
さて初回のゴング、ジャブから大きな左フックを振ってくるのはマシアス。マシアスとしては前回同様、ボクシングをすると勝負にならないので、なんとか一発を当てたいところでしょう。
そしてバトラーは慎重に戦いつつも力の差はあるのですから、ここは倒しきりたい。
バトラーは力強いジャブでプレスをかけ、強い右を打ち込んでいきます。下がり気味に対応スルマティアスはここをしっかりと見て、後半、右のオーバーハンドと左ボディショットで反撃。ただ、あまりにも手数が少ないですね。
2R、バトラーのジャブの打ち終わりに大きく振り回してきたマシアス。やはりこのパンチを浴びて一度はマットに沈んでいるバトラー、怖さがありますね。
中盤、バトラーのジャブを躱して飛び込んでの左フックのマシアス、全体的にバトラーの方が手数もヒットも多いですが、マシアスも力強いパンチをリターン、中盤以降はプレスを欠ける展開になっていきます。
終盤はマシアスが右を決め、バトラーが左フックを決めるという展開!会場も盛り上がっています。
3R、バトラーはちょっと距離を取る先方、ジャブでしっかりと突き放しています。とにかくこのマシアスの右オーバーハンドとマンぶりの左フックを喰らってしまっては、前戦の再現となりかねません。
自ら攻めてはしっかり踏み込んでワンツーを打つバトラー、ここに軽めのワンツーも含めて、上手く戦っている印象です。
4R、前半、近めの距離で良いタイミングでマシアスの右ストレートから左フックがヒット!この距離は危ないか、それでもバトラーもワンツーを返します。
その強い右をガードの上から打ち込んだバトラー、両者ともにダメージを負っているような状態で、中間距離でボディジャブのフェイントを入れてから右ストレートを顔面に返すとマシアスはダウン!
立ちあがったマシアスに対し、バトラーはこれで決めんとばかりに右腕をぐるんとまわし襲いかかり、ショートの右をヒットするとマシアスは再度ダウン!
ここでレフェリーがストップ、スティーブン・バトラー、4RTKOでリベンジ成功!
ホームカミングのリベンジマッチで見事リベンジ。ただし、このレベルの相手に危ない場面を作ってしまったバトラーは世界どうこうではないでしょう。ただ、やっぱりカナダの興行にカナダ生まれのカナダ人が登場して良い勝ち方をするのは盛り上がりますね。
まだ29歳、今後のキャリアや如何に。
WBC世界スーパーミドル級暫定王座決定戦
クリスチャン・ムビリ(フランス)28勝(23KO)無敗
vs
マシエ・スレッキ(ポーランド)33勝(13KO)3敗
さて、メインイベント。EEOTPのトップボクサーの一人、クリスチャン・ムビリの登場です。
カネロの危険な対戦相手、ムビリが初の世界タイトルマッチに臨みます。この階級は4階級制覇王者としてカネロが君臨しているから、このWBC世界スーパーミドル級暫定王座というのはカネロ戦へのチケットになるはずです。WBCなのでわかりませんが。
マシエ・スレッキは非常にタフなキャリアを築いてきたポーランド人ボクサーですが、世界タイトルには一歩届かず。さらにもう36歳となり、昨年8月にはプロスペクト、ディエゴ・パチェコの踏み台となっています。
そしてそのままアンダードッグ街道に進むかと思われましたが、今年2月のアリ・アフメドフ(カザフスタン)戦では大方の予想を覆す10RTKOでアップセット勝利。結果的にはこの戦いが今回の暫定王座決定戦を手繰り寄せた、といえます。
当然ムビリが優位で間違いありませんが、ベテランがどのような戦いを見せるのか、は注目です。
そういえば当然ながら、今日のグローブはRIVALだらけです。カナダに本社を置くRIVAL、この世界でもトップクラスの人気ボクシンググローブメーカーが、興行を盛り上げてくれるのは大変頼もしいですね。
リング中央、メンチを切って気負っている感も感じるムビリ。対してスレッキは冷静、さすがのベテラン感です。
初回のゴング、リング中央に構えてファーストジャブはスレッキ。これをダックしてかわすムビリ、気負ってはいなかったようで、冷静です。
ジリジリとプレスをかけていくムビリ、ボディジャブから入ろうと試みています。
スレッキも負けじと右ボディ、その後はジャブをつきながらサークリングですが、若干ムビリのプレスに押されているようにも見えます。
スレッキのジャブに軽い右クロスをあわせたムビリ、その後強引な右をスレッキに届かせ、大きく動く様になってきたスレッキをグイグイと詰めていきます。
スレッキは左フックから右ストレートで入るパターンを増やしつつある、と思った後半、ぐいっと距離を詰めてボディを連打、ここで打ち返してきたスレッキに対して右アッパー!!!これがカウンターとなってヒットしたスレッキは仰向けにダウン!!!
立ち上がったスレッキですが、ダメージは甚大で、レフェリーはストップ!!!!
クリスチャン・ムビリ、なんと初回TKO勝利でマシエ・スレッキを破り、WBC世界スーパーミドル級暫定王座を獲得!!!
これはなんという結果!なんというノックアウト!
ともすればKO of the yearにもノミネートされそうな、BrutalなKOシーンです。
最後の右アッパーはこの一発でスレッキの体が持ち上がってしまったようにも見えるとんでもないもので、ほんとにヤバいとしか言葉が出てきません。
唐突に現れたこのシーンに、全く準備をしてなかったので本当にびっくり。
果たしてカネロと戦える日は来るのでしょうか。
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