現地時間、7/2(水)。現地というのはトルコ共和国、日本との時差は6時間です。
一応この興行が始まったのは日本時間でも7/2ですが、メインイベントともなるとさすがに日をまたいでの7/3(木)でした。
この興行というのはトルコ最大の都市、イスタンブールで行われたIBAのプロボクシング興行であり、このメインイベントにIBAの世界タイトルマッチ兼WBAの世界暫定王座戦、アルベルト・バティルガシエフvsジェームズ・ディケンズというマッチアップがありました。
バティルガシエフといえば東京五輪のフェザー級決勝でデューク・ラガンと大接戦を演じ、見事金メダルを獲得したボクサー。そのバティルガシエフが「本物」の世界王座への挑戦権を手に入れる試合、というのがこの試合の位置づけだったはずです。
しかし結果は。。。ということで、今回のブログはバティルガシエフvsディケンズの観戦記。

7/2(日本時間7/3)トルコ・イスタンブール
WBA世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦
アルベルト・バティルガシエフ(ロシア)12勝(8KO)無敗
vs
ジェームズ・ディケンズ(イギリス)35勝(15KO)5敗
この試合のオッズは、直前でバティルガシエフ-1300、ディケンズ+590。直前というのはオッズは詰まる傾向にあるから、本当はもっと開いていたはずです。
バティルガシエフは東京五輪開催前の2020年にプロデビューし、連戦連勝。東京五輪での金メダル獲得からわずか2ヶ月でプロのリングに復帰(しかもこれが地域タイトル戦)してからも連勝、一般的なプロボクシングと並行してIBAプロのリングにも上がり、結果負けなしです。ちなみにIBAプロでは2戦しているらしく、上記の戦績にそれは含まれていませんが、東京五輪で戦ったラサロ・アルバレス(キューバ)にも勝利しています。
2023年に元王者のジェスレル・コラレス(パナマ)を撃破、フランシス・ビラール・フロメタ(ドミニカ共和国)、エンダー・ルーセス(ベネズエラ)といった無敗のプロスペクトたちに連勝、前戦でネリ・アリエル・クルス・ロメロ(アルゼンチン)という無敗のボクサーを破ってIBA王座を戴冠、前戦でジョノ・キャロル(アイルランド)との一戦で当時空位の(笑)WBA世界スーパーフェザー級暫定王座を獲得しています。
対してジェームズ「ジャザ」ディケンズは、2011年にプロデビューしたベテランで、イギリスのプロスペクトらしくキャリア初期の対戦相手の戦績は見れたものではありません。
2013年にキッド・ガラハッド(イギリス)に初黒星を喫し、2016年にギレルモ・リゴンドー(キューバ)、トーマス・パトリック・ウォード(イギリス)に連敗。その後2021年にガラハッドの持つIBFタイトルに挑むも敗北、これまでのキャリアで後の王者リー・ウッドをはじめとして英国内でのライバル対決を制した経験もありますが、どうしても世界王者には届かない、そんなゲートキーパー的なボクサーでした。
そんなボクサーが34歳となり、今後はプロスペクトの相手を務める、そんなキャリアが予想される状況。この戦いが英国ではなく、トルコという地で行われたことも、ディケンズへの期待のなさの現れでしょう。
試合は初回からぐっとガードを固め、バティルガシエフが前に出るスタイルでスタート。ディケンズは思ったよりは下がらず、迎え撃つ姿勢。
両者ともハンドスピードがありますが、特にディケンズのジャブはよく、ビシビシとマッスの素晴らしいジャブを出しています。
2Rに入るとディケンズがかなり体勢を低くして戦う場面が増えます。力強い左右のフックを放つディケンズ、頭の位置を上手く動かすがためにバティルガシエフは空振りも多い。
かなり近い距離で戦おうというジャザ・ディケンズ、この試みはバティルガシエフを下がらせることに成功し、フルラウンド戦うつもりがないようなハイペース。
3Rも頭をつけて戦うディケンズ、バティルガシエフはもう少し自分のパンチが活きるところで戦いたいのではないかと思いますが、ベテランディケンズはそれを許さず。
中間距離になればディケンズのジャブも活きるし、くっついてはバティルガシエフの武器が殺されているような感じで、不思議なことにジャザ・ディケンズは下馬評で圧倒的優位のバティルガシエフを押していきます。
4R、このラウンドはやや距離を取ってスタートするディケンズ、となるとバティルガシエフは追いかけます。
しかしストレート系のパンチャーであるバティルガシエフのパンチは素直すぎるのかもしれあせん。このバティルガシエフのパンチをダック、スウェーで外すディケンズ、よく頭の位置が動いています。
そして中盤、ディケンズの左がカウンターとなってヒットすると、一拍置いてバティルガシエフがぐらり!一気に詰めるディケンズ!!バティルガシエフはダウン!!
立ち上がったバティルガシエフに対して激しいパンチを繰り出すディケンズ、なんとかエスケープしようとするバティルガシエフですが、もう一度ディケンズが左でなぎ倒し、バティルガシエフは2度目のダウン!!
レフェリーがカウントを数えている途中でセコンドからタオル投入、ジャザ・ディケンズ、まさかの4RTKO勝利!!
とてつもないビッグアップセット!!!
充実と思われたバティルガシエフは、すでに終わったボクサーと思われたジャザにまさかの4RTKO負けです。。。
改めてボクシングは何が起こるかわかりません。
WBA世界スーパーフェザー級暫定王者
ここのところ、順調に暫定王者を増やし続けているWBAですが、この階級の暫定王座は他の階級とやや趣が異なります。
このWBAの暫定王座というものは、今や正規王者への挑戦権、と言うに等しいものですが、この階級の暫定王座は非常に価値のあるものです。
というのも、WBAの正規王者であるレイモント・ローチは、タンクとの再戦のあと正式にライト級に転級予定。
そうなると必然的にこの暫定王座は正規王者に格上げ、となるのです。
対抗王者としてはWBCのオシャーキー・フォスター(アメリカ)、WBO王者のエマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)、そしてIBF王者のエドゥアルド・ヌニェス(メキシコ)。
すべてのタイトルがアメリカ大陸にある、という状況から、英国へ持ち帰ったタイトルは、今後イギリス国内で回されるのではないでしょうか。
この階級のイギリス人は、ぱっと名前の思いつくボクサーはいないので、今後ディケンズはアメリカ大陸で戦う可能性もあります。しかしその前に、アンソニー・カカス(アイルランド)あたりがこのタイトルに食指を伸ばしてくるかもしれませんね。
何にせよ、力石政法の敗北により遠のいてしまった感のあるこの階級、狙い目、というと非常に失礼ですが、そんな王者の誕生です。
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