オレクサンドル・ウシクvsダニエル・デュボア2、バム・ロドリゲスvsプメレレ・カフ、セバスチャン・フンドラvsティム・チュー2、マッチアップも含めて試合内容もどれも素晴らしいものでした。
「再戦」については興味が湧かない場合も多いですが、ウシクvsデュボア2、フンドラvsチュー2というのは初戦との立ち位置の違いもあり、戦う前から興味を引く内容。やっぱりダイレクトリマッチというのは失くした方が良いですね。
さて、ともあれ、我々日本のボクシングファンにとってのメインイベントは、すでに済んだこれらの試合ではなく、また、週末に控えるザヤスvsガルシアでもありません。
ということで今回のブログは、U-NEXT BOXING3のトリプルタイトルマッチのプレビューです。

7/30(木)横浜BUNTAI
WBA・WBC世界フライ級タイトルマッチ
寺地拳四朗(BMB)25勝(16KO)1敗1分
vs
リカルド・サンドバル(アメリカ)26勝(18KO)2敗
この戦いは寺地拳四朗が楽勝ムード、なのでしょうか。
リカルド・ラファエル・サンドバルはその名を広く知られたボクサーではないし、「無敗」という肩書がないから、今やP4Pの一角にも入った日本の誇る名王者の敵ではない、というのが普通の考えかもしれません。
しかしこのボクサーは非常にスキルがあり、良いジャブを持っており、また接近戦の技術にも長ける、3つの団体で上位(WBA3位、WBC2位、WBO2位)につける強敵です。
しかもまだ26歳と若く、伸びしろもあると思って良いのでしょう。
若くしてアマキャリアを積み、17歳でプロデビュー。驚くべきことにアマ時代の2014年にはジュニアオリンピックの準決勝でキーショーン・デービスと戦っています。(キーショーンの判定勝ち)
早々にプロ転向したサンドバルは、デビューから5戦目で判定負け、しかしその後は連戦連勝でWBCユースインターコンチネンタルタイトルも獲得しています。
2021年には元タイトルチャレンジャー、ジェイ・ハリスをノックアウト、そして当時若干負けが混んできた頃のカルロス・ブイトラゴもノックアウトし、2022年にはWBA世界フライ級の挑戦者決定戦に出場します。
ここであたったのは現WBA世界スーパーフライ級暫定王者のダビド・ヒメネスで、0-2の判定負けで2敗目を喫します。今もまだそうですが、このヒメネスは過小評価されており、この当時は「アップセット」と呼ばれていたことを覚えています。この試合はどちらが勝ってもおかしくない試合で、地の利を活かしてサンドバル勝利で良かったような気もしますが、ジャッジは驚くほど公平でした。
そのキャリアにブレーキがかかったサンドバルですが、当時まだ23歳、こうして挫折を味わいながらのキャリアは彼にとって非常に良い経験になったはずです。
その後は6連勝で初の世界戦に臨むサンドバル、過去最高の勝利は2024年7月、アンヘル・アコスタを最終10RKOで降したものでしょう。
↓観戦記
アコスタのKO負けは3つで、一つはエルウィン・ソトにまさかの大逆転KO負けを喫した試合、中谷潤人にボコボコにされた試合、そしてこのサンドバル戦です。
中間距離では拳四朗が上回ることが予想されるため、サンドバルとしては接近戦に勝機を見出したいところでしょう。
とはいえ、拳四朗の前戦を見る限りは拳四朗優位はカタい。寺地拳四朗が良い勝ち方をすることを期待しましょう。
WBA世界バンタム級タイトルマッチ
アントニオ・バルガス(アメリカ)19勝(11KO)1敗
vs
比嘉大吾(志成)21勝(19KO)3敗2分
さて、セミファイナルは比嘉大吾が3度目の正直に挑むWBA世界バンタム級タイトルマッチ。
WBO王者武居由樹、WBA王者堤聖也と互角の勝負を繰り広げた比嘉は、結果的にランク上位に居残り、このチャンスを掴みました。
これほど持っているボクサーは世界を見渡してもなかなかいません。それも、ある程度は納得性のある3連続の世界タイトルマッチです。
このアントニオ・バルガスというボクサーは激闘型のファイタータイプで、前戦でWBA世界バンタム級暫定王座を獲得しています。
前戦は当時無敗のウィンストン・ゲレロとの決定戦で、倒し倒されの激闘を演じたバルガス、この試合しか見ていませんが、非常にアグレッシブで、手数が多く、パワーもあるファイタータイプのボクサーです。
攻め込んだ時のバランスが良く、更にブロッキングも固い、安定して力を発揮できる、ムラのないタイプのボクサーに見えます。
しっかりしたブロッキング技術を持っているがゆえにボディムーブは少なく、割と相手のパワーをしっかり受け止めるというバルガスは、おそらくスロースターターの気があるように思います。ゲレロ戦では、2R目にダウンを喫していますが、その後は持ち直して圧倒と呼べるパフォーマンスでした。
後半にはゲレロのパンチを躱す場面も多くでてきましたから、どちらかというと前半はしっかり見て、ブロックの上からでもパンチを食らってみて、安全性を確認した上で攻め込むというボクサーなのかもしれません。
ダウンから立ち上がった後の立ち振舞を見た限りでは回復力があり、スタミナもありそうで、ハートも強い。近接戦闘で力を発揮するタイプなので当然被弾も多いですが、それは織り込み済みの戦法をとってくる、ということはやはりタフネスにも自信があるのでしょう。
比嘉が初回から全開でいけば前半にチャンスを作れる可能性はありますが、それを耐えられてしまうと後半、ピンチになってしまう可能性があります。とすれば、やはり比嘉は集中力のキープできる前半はジャブとステップワークでしっかりとポイントを取り、中盤に勝負をかけて後半になるべく集中力を保ちつつボックスする、というのが現実的な勝ち筋だと思います。
一番厄介だと思われるのは、やはりこのアントニオ・バルガスの気持ちの強さ。
武居にも堤にも、結果的には勝ちきれなかった比嘉大吾のウィークポイントに直結するこのことは、ここで比嘉が勝利すれば武居、堤戦を乗り越えたと言っても過言ではない殊勲を手にできる、ということになります。
全く楽観視はできないまでも、比嘉が2階級制覇を達成する可能性も大きいこの一戦。きっとこの興行の中で再注目、としているファンも多いはずです。比嘉大吾の2階級制覇、期待しましょう。
↓アントニオ・バルガスvsウィンストン・ゲレロはこちらの記事でレポート
WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ
エリック・ロサ(ドミニカ共和国)8勝(2KO)無敗
vs
高見亨介(帝拳)9勝(7KO)無敗
世界2階級制覇王者、といえども、その名前とそのパフォーマンスを知っている人は世界的に見ても少数であろう、と思われるエリック・ロサ。
ミニ・パックマンなんていう大層なニックネームをつけ(られ?)そのトランクスにもPACMANと入っていますが、そのボクシングは似ても似つきません。
パッキャオのような踏み込みがあるわけではなく、波状攻撃ができるわけでもないロサは、どちらかというとディフェンス面において良いところを持っているボクサーだと思います。
ディフェンシブ、というわけではありませんが、ディフェンスに徹すればおそらくかなり上手いだろう、というところで、ただ彼はアグレッシブに攻める方が好みのようですね。良いワンツーも持っていますし、良いボディショットを持っています。ただ、攻めた末の被弾、というのは幾度か経験していることで、だからこそ付け入る隙がある相手、と言えます。
エリック・ロサというボクサーは、2020年にプロデビュー、そのデビュー戦がWBCのラテンタイトルだったという俊才で、わずか5戦目でWBA世界ミニマム級王座を獲得しています。
この時の相手がビック・サルダールで、これまで彼が戦った中では一番のビッグネーム。そして昨年4月、ライトフライ級に転級してユデル・レイジェスに完勝、2階級制覇を達成しています。
当然強豪には違いありませんが、高見には期待しかありません。
正直、外国人相手だとどんなパフォーマンスを発揮したとしても評価がしづらいところがありますが、ここまで戦ってきた相手がリト・ダンテ、ウラン・トロハツという名前であれば我々にも十分にわかりますし、それらの地域王者、世界タイトルチャレンジャーを相手にしてほとんどポイントを失わない勝利を収めていることは彼の才能に対して疑念を排除する結果です。
日本人ボクサーと戦っては堀川謙一を6RTKOで降し、高らかに世代交代を宣言。そして前戦では日本王者、川満俊樹に挑戦して日本王座を奪取、これでもかというほどパーフェクトなキャリアを築いています。
まだ23歳の高見は、現在やや線が細い印象もありますが、これは年を重ねることで体が分厚さを増していく事も含め、ここから軽量級にセンセーションを巻き起こしそうな予感がします。
まずはその足がかり、無敗のミニパックマンに対しても圧倒的なパフォーマンスを見せることができるか。
高見が、日本人にとって久々の王座戴冠劇を見せてくれることを期待しましょう。
配信情報
このトリプルタイトルマッチのほか、4回戦が2試合という興行です。
配信はU-NEXTで、配信開始は7/30(水)18:00とのこと。
これは仕事を早く終わらせ、あるいは(私のように)中断して、リアルタイムで視聴するのが吉、ですね。
ちなみに私の会社は変わっているのでなんと7月末が期末。期末の追い込みと被るこの興行は個人的に大変ありがたくないですが、しっかり視聴して、完徹で仕事して期を締めくくりたいと思います。
↓U-NEXTはこちら
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