信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

怪物王者がリングに沈む。時代を変えた大番狂わせ、その方程式とは。

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今週も金曜日がやってきました。

今週末はようやく「休み」と呼べるような日が1日あるので、もう半年以上溜まっているボクシング連盟への経費精算でもしようかと思います。

たまにはこういう時間も良いもので、昔を懐かしんだりする時間にもなっています。

さて、この数日間は過保護ファイターランキング、セコンドのスポットを当ててきましたが、今回のブログはみんな大好き「アップセット」について。

 

 

 

アップセットの浪漫

ボクシングというのはアップセットが起きます。

これは起こってほしいときに起こらず、起こらなくて良い時に起こります。

その確率は高いのか低いのかはよくわかりませんが、1年に数度は「ビッグアップセット」と呼ばれるものが起こるのだから、たとえ確率的には少なくてもインパクトは大きい。

ただ、このアップセットというのは浪漫です。

絶対有利のボクサーが試合をコントロールしている中、一発で起こるアップセット。

絶対不利のボクサーがあれよあれよという間に勝利してしまう、アップセット。

その現れ方も様々ですが、やはりボクシングは戦ってみないとわからない、そしてその機会が他のスポーツに比べて異常に少なく、やり直しが効かないというところが非常に魅力的です。

たとえ相手が自分よりも強かろうとも、その日、その時間、最大でもたった36分間だけ上回ればアップセットは起こるのです。

ということで今回のブログでは、数々のアップセットを掘り下げていきましょう。

 

 

 

過信か油断か、あるいはその両方か

アップセットが起こり得る、というのは、絶対王者、負けるはずがないと思われているボクサーの油断、そして過信というのが最も多いでしょう。

この場合、試合の序盤からアンダードッグが優勢、もしくは互角の試合を演じる事が多く、更にそのアンダードッグは名を知られていない、という場合がほとんどです。当然、相性というのも少なからず影響はしているのでしょうが、これは油断だろ、としか思えない試合をピックアップ。

マイク・タイソン vs. ジェームス・“バスター”・ダグラス

全ての番狂わせがこの一戦に集約されると言っても過言ではないのが、1990年2月11日、東京ドームで起きたマイク・タイソン対ジェームス・ダグラスの一戦です。「無敵」の象徴だったタイソンは、この試合を調整試合としか見ておらず、真面目なトレーニングを積んでいなかったと言われています。その隙を、最高のモチベーションで挑んだダグラスが突きました。

アンソニー・ジョシュアvsアンディ・ルイス Ⅰ

この歴史的アップセットと同様に、王者陣営の油断が悲劇を招いた例として記憶に新しいのが、2019年6月1日のアンソニー・ジョシュア対アンディ・ルイスJr.の第1戦です。急遽の代役だったルイスのぽちゃぽちゃ体型から、多くの者が彼を侮りましたが、その空気が王者本人にも伝染し、4度のダウンを喫するTKO負けという悲劇を迎えました。

 

 

 

レノックス・ルイスvsハシム・ラクマン

また、リング外での慢心が直接敗北に繋がった例としては、2001年4月22日のレノックス・ルイス対ハシム・ラクマンの第1戦が挙げられます。絶対王者ルイスは試合直前まで映画撮影に参加し、高地への適応も疎かにした結果、完璧な一撃に沈みました。

なんかヘビー級ばっかりですね。

ドナルド・カリーvsロイド・ハニガン

「無敵」と謳われた選手でさえ例外ではなく、1986年9月27日にはウェルター級の絶対王者ドナルド・カリーが、無名の挑戦者ロイド・ハニガンに6回終了TKO負け。減量苦と慢心が重なり、挑戦者の圧力に屈しました。

そしてこのあと、カリーはその輝きを一気に失い、凋落。1つの敗北がボクサーに与える影響は大きいですね。

ウラディミール・クリチコvsコーリー・サンダース

そして、スタイルの軽視が命取りとなったのが、2003年3月8日のウラディミール・クリチコ対コーリー・サンダースです。サウスポーの速射砲サンダースを侮ったクリチコは、何の対策もできていないまま、わずか2ラウンドでキャンバスに崩れ落ちています。

なんかやっぱりヘビー級、思いつくままにあげていったら結果、「ヘビー級王者は油断するもの」となりますね。そういえばフューリーとかもしょっちゅう油断しまくりで、変な相手に苦戦したりしてますもんね。

 

 

 

スタイルがファイトをつくる、それはジャンケンのようなもの

スタイル・メイクス・ファイト、ですが、確実に相性というものは存在しますし、戦前の予想においてその点は考慮されず、結果的に番狂わせとなったファイトもいくつもあります。

そしてその場合、再戦しても無駄、ということも確実なところでしょう。

ウラディミール・クリチコvsタイソン・フューリー

前段でクリチコとフューリーの名前を出したら思い出す、これもアップセットでした。しかも、ビッグアップセットです。長期政権を築いた王者が、自らのスタイルを完全無力化されて敗れた例としては、2015年11月28日のウラディミール・クリチコ対タイソン・フューリーが挙げられます。絶対的なリズムで試合を支配するクリチコに対し、巨人フューリーは変幻自在の動きとスイッチを繰り返し、最後までリズムを掴ませませんでした。

ワシル・ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス

また、PFP最強候補が若き才能の完璧なゲームプランの前に敗れたのが、2020年10月17日のワシル・ロマチェンコ対テオフィモ・ロペスです。序盤に様子を見る癖のあるロマチェンコに対し、ロペスはパワーをちらつかせてロマチェンコの攻撃を封じます。微妙なラウンドの中にもロマチェンコの手数の少なさが目を引いた試合であり、この戦術が功を奏し、後半の追い上げを振り切りました。

モハメド・アリvsジョージ・フォアマン

ビッグアップセット、その最高傑作と言えるのが、1974年10月30日に行われたモハメド・アリ対ジョージ・フォアマンです。無敵のハードパンチャーであるフォアマンに対し、アリ陣営は「ロープ・ア・ドープ」という奇策を敢行。あえてロープ際で打たせることで怪物のスタミナを奪い、8ラウンドでの大逆転KO劇を演出しました。

これは相性というのももちろんあったし、作戦勝ちというのもありました。もしかするとフォアマンはすでにロートルと思われていたアリを舐めていた部分もあるのかもしれません。それにしたって奇跡です。

 

 

 

マニー・パッキャオvsマルコ・アントニオ・バレラ

そして、新時代の到来を告げるかのような鮮烈な一戦が、2003年11月15日のマニー・パッキャオ対マルコ・アントニオ・バレラ(第1戦)です。完成されたエリート王者バレラに対し、発展途上だったパッキャオが、サウスポーからの異次元のスピードと踏み込みで全てを破壊。戦術や格では上回るはずの王者が、規格外の身体能力の前に沈むという、スタイル相性の残酷さを見せつけました。

その後のパッキャオの活躍を思えばアップセットとは言えないかもしれませんが、これこそがまさに大番狂わせ。この時はもちろん、バレラを応援していましたから悲しい出来事でした。

内山高志vsジェスレル・コラレス

今までボクシングを見てきて、2016年4月27日の内山高志vsジェスレル・コラレスの一戦目というのが、最も悲しい試合かもしれません。いや、辰吉vsウィラポン1とタメをはるかもしれません。

すでに36歳となり、スピードへの適応に難が生じていた内山は、この試合は衝撃の2RKO負け。絶対王者が崩れ落ちる瞬間というのは、本当に衝撃的で、生きる希望を見失ってしまうくらいのショックを受けました。これは相性的に勝てないだろう、とは思いつつも、再戦もちゃんと会場に見に行ったのは時が経った今となっては良い思い出です。年末でホテルがクソ高かったことすらも。

 

 

 

アップセットは突然起こる

そして最後はワンパンチ、たった1つのパンチで劣勢を覆す、という最もロマンあふれるアップセット。1秒もあればパンチを打ち込むには十分な時間で、それをゴングの前に当てさえすればそのダウンはゴングに救われることはありません。

ジョージ・フォアマンvsマイケル・モーラー

この「一発」の力を、45歳にして証明したのが1994年11月5日のジョージ・フォアマン対マイケル・モーラーです。10ラウンドまで大差で負けていたフォアマンが、狙いすましたワンツーで若い王者モーラーをKO。史上最高齢でのヘビー級王座戴冠という、奇跡を呼び込みました。

アイラン・バークレーvsトーマス・ハーンズ

そして、伝説の「ヒットマン」がまさかの一撃に散ったのが1988年6月6日のアイラン・バークレー対トーマス・ハーンズ(第1戦)です。ハーンズが序盤から試合を支配し、挑戦者バークレーを血だるまにしていましたが、3ラウンドにバークレーが放った起死回生の右クロスが炸裂。ボクシング史に残る壮絶なアップセットとなりました。

セバスチャン・フンドラvsブライアン・メンドサ

記憶に新しいのが、2023年4月8日のセバスチャン・フンドラ対ブライアン・メンドサです。無敗の長身王者フンドラに対し、メンドサは身長差に苦しみポイントで劣勢でした。しかし7ラウンド、ロープ際で放った左フックからの右フック一閃。この一撃で巨漢王者はキャンバスに崩れ落ち、劇的な逆転KO勝利を飾りました。

 

 

 

ガブリエル・ロサドvsベクテミル・メリクジエフ

同じくこれもまだ最近ですが、ベテランが若き強打者を沈黙させたのが2021年6月19日のガブリエル・ロサド対ベクテミル・メリクジエフ。圧倒的なパワーで攻め立てる五輪銀メダリストのメリクジエフに対し、ロサドは防戦一方。しかし3ラウンド、カウンターの右オーバーハンド一発で大逆転KO。戦前の予想を覆す、完璧な一撃でした。

ブルーノ・スラーチェvsハイメ・ムンギア

そして昨年末、世界中を驚かせたのが2024年12月14日のブルーノ・スラーチェ対ハイメ・ムンギアです。無名の挑戦者スレースが、スター選手ムンギアを相手に6ラウンド、起死回生の右一発でKO勝利。まさに「シンデレラマン」を体現した一戦でした。

こう見ると最近もアップセットだらけですね。特にこの一発でそれまでの劣勢をなかったことにする、というのはロマンの塊です。

起きてほしいときに起きるアップセットを今後は期待しましょう。

 

 

 

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