8月というのは毎月、国内でも海外でもビッグマッチが少ない月です。
昔はもっとひどくてプロモーターたちはバカンスか、ってぐらいなかったですが、最近は増えている、というかやはり見れる試合が増えているのでまだマシではありますね。
ただ、どうしても8月というのは薄い。
そして9月に入るとおなじみのメキシコの独立記念日興行がありますから、必然的にビッグマッチ・シーズンが来ます。今年の独立記念日興行は、カネロvsクロフォードです。
この独立記念日興行も、シンコ・デ・マヨ興行もフリオ・セサール・チャベス(もちろんシニア)からのようですね。やはり偉大。
という全く関係のない前段から、今回のブログはライト級について書いていきます。

1位はシャクール・スティーブンソン
吉野修一郎がパワーレスかと思われていたシャクール・スティーブンソンにフィジカル勝負ですら負けたのが2023年、三代大訓がアンディ・クルスに全く歯が立たなかったのが今年、2025年。
全くもって遠さを実感するライト級の現在、狙い目と言える王者はいません。まあ、強いて言えばメンヘラムーブをかましているジャーボンタ・デービスが死ぬほど油断して、そして日本で観光気分で戦ってくれれば、場合によってはチャンスはあるのかもしれませんが。
まあまあともあれ、そのジャーボンタ・デービスはジェイク・ポールとのエキシビションマッチの噂が上がっており、これはもはや我々ボクシングファンと袂を分かつ、ということなのでしょう。本当に残念なことです。
しかしこの階級には光もあり、シャクール・スティーブンソンが覚醒。
これはその類まれなる才能ゆえか、安全策を取り続けてきたシャクールは、「トムとジェリーを見たくない」というトゥルキ・アラルシクの要望に答えるがごとくエキサイティングな試合を見せ、難敵と思われていたウィリアム・セペダに完勝。彼のこれまでのスタイルでは、トゥルキに嫌われた時点で干される可能性もあるのですから、これはトゥルキが良い仕事をした、と言えるでしょう。
このトゥルキの言いつけを守ったシャクールに対して、(トゥルキの意向かどうかは知りませんが)リングマガジンは9月の表紙にシャクールを起用。しかも単体、これはシャクール自身としても初でしょう。
「ランナー」「ダンサー」と揶揄されていたシャクールが、打ち合う場面も見せ、パワーもフィジカルも見せたこの試合は、彼にとってこれまでのベストバウトかもしれません。
↓観戦記
セペダは「ボリュームパンチャー」であれども「パワーパンチャー」ではないことから、シャクールからしてもこの戦法をやりやすかった、というだけなのかもしれません、というのはシャクールに批判的な私が思うこと。
次は一発で倒せるようなパンチャーとの試合が見てみたい。
3位ムラタラは6位スコフィールドと?
2位は純粋な「ボクサー」としてのキャリアから逸脱し始めているジャーボンタ・デービス。ジェイク・ポール戦の噂は盛り上げのため、と信じたいところではありますが、カネロのとき(カネロはクロフォード戦発表前にポール戦を匂わせた)とは違い、タンクには浮いた話はありません。
なので置いといて、興味深いのは3位のレイモンド・ムラタラです。
IBF世界ライト級王者のレイモンド・ムラタラは、リングマガジンランキングで6位にランクされるフロイド・スコフィールドとの防衛戦を交渉中、とのこと。ムラタラはトップランク所属、スコフィールドはゴールデンボーイ、それこそ一昔まえは絶対に決まらなかったタイトルショット。(指名戦ではないですからね。)
このマッチアップが交渉テーブルに乗る、ということ事態が古くからのボクシングファンにとっては驚きですが、両者の間にはザンダー・ザヤスvsバージル・オルティスを決められなかった、という事実もあり、先行きは不透明です。
しかしこれは決まるのであれば非常に良いマッチアップ。
ムラタラは非常にオーセンティックなボクサーファイターで、地力の高さを感じさせます。前戦でザウル・アブドゥラエフに勝利してIBFの暫定王座を獲得、当時正規王者だったロマチェンコの引退により正規王者に昇格しての初防衛戦。
↓ムラタラvsアブドゥラエフの観戦記
スコフィールドはその才能を評価されつつも、これまでなかなか評価の高い相手との対戦に恵まれませんでした。
まだ23歳と若く、シャクールへの挑戦が決まったときも時期尚早として大きくアンダードッグ。(この試合は試合前、スコフィールドがドクターストップを受けて離脱、実現せず。)
しかし前戦、元王者テビン・ファーマーへのパフォーマンスは、これまでの評価を補って余りあるものになりました。ムラタラもセペダも大きく手を焼いたファーマーを、わずか78秒で屠っています。
↓観戦記
交渉が進めば11月、ということで期待しましょう。
そしてその勝者に挑むことになる、というのが、リングマガジンランキングで5位につけるアンディ・クルス。
IBFの指名挑戦者決定戦で三代大訓を一蹴したクルスは、日本のトップボクサー、三代大訓と比べても異次元のスキルを持っていました。さらにこちらもパワータイプではないにしても、三代とのパワー差は明らかで、この「キーショーン・デービスも超えられなかった壁」はムラタラであろうともスコフィールドであろうとも超えることは非常に難しいでしょう。
ちなみに4位はウィリアム・セペダ、7位はデニス・ベリンチク。この2人はまだ1敗ですが、底が見えているとも言えるボクサーですね。
8位以下も楽しみなボクサーだらけ!
ライト級の層の厚さには本当に感心します。
8位にサム・ノークス、9位にアブドゥラ・メイソン、ともに若く、KO率も90%近くというパンチャー、当然無敗です。
しかもこの二人が11月22日のリヤドシーズンで激突する、というのは本当に考えられないマッチアップで、本来であればもうちょっと出し惜しみされてもおかしくないような戦いでしょう。
この戦いは、キーショーン・デービスが体重超過によって剥奪されたWBO世界ライト級王座の決定戦として行われます。
頑強なプレッシャーファイター、というイメージのノークスは、英国によくいるファイタータイプですが、その中でもパワーパンチを持っている稀有なファイター。どちらかというとこの手数が出るアグレッシブな英国ボクサーはパワーがない、というイメージですが、それを併せ持っています。
イヴァン・メンディ、ライアン・ウォルシュといったヨーロッパ圏内のベテラン(ロートルともいえる)たちを若さと勢いでねじ伏せて、初の英国外の試合。
対してアブドゥラ・メイソンはわずか21歳。しかしこの年齢にして基礎は非常にできあがっており、安定感のあるボクシングをします。
しかしやはり若さゆえなのか、いきすぎるきらいもあり、これまでの戦いでいくつかのダウンを喫し、脆さを見せる場面もありました。
ワンショットで相手を倒せるパワー、パンチのキレを持っているメイソンは、前戦でジェレミア・ナカティラを撃破。シャクールが「パワーがあったので慎重に戦った」と言っていたナカティラを5Rで棄権に追い込み、今回の王座決定戦への出場を決めています。
これもまた非常に楽しみな一戦ですね。
そして10位にはルーカス・バハディ。
ガチムチなボディですが、バックステップからのカウンターショットが得意なボクサーで、カナダ、オンタリオ州のナイアガラフォールズの出身だそうです。ナイアガラフォールズっていう市があるんですね。ここはカナダとアメリカの境らしいです。
ナイアガラ川を挟んで隣にはニューヨーク州のナイアガラフォールズ市もあるらしい。
話が逸れましたが、このボクサーは非常に面白く、フォールズボーイズ・プロモーションを主催、自らプロモーターとしての活動もしているようです。(2022年に1興行きりのようですが)
前戦では元王者のロジャー・グティエレスからダウンを奪っての勝利、この勝利により10位にランクインしたという経緯だと思います。ちなみにこの試合はつい先日のヤンキエル・リベラvsアンジェリーノ・コルドバのアンダーカードで行われています。
その前の3戦は無敗のボクサーに3連勝、現在31歳ですがカナダのナイアガラフォールズがボクシングが盛んなわけないので、地元を背負って立つボクサーでしょう。
今後の活躍が楽しみですね。
今秋も楽しみなライト級
ということで、現在のリングマガジンランキング10傑のうち8名がいまだ無敗。
すでに正式発表済みのアブドゥラ・メイソンvsサム・ノークス、これに加えてレイモンド・ムラタラvsフロイド・スコフィールドが決まるのならば、ここから大きく序列が明らかになっていきます。
そしてこの階級ではおそらく次々とタレントが誕生していくのでしょうから、これからも注目していかなければなりません。
そしていつか、この階級で評価を受ける日本人ボクサーの誕生を楽しみににしましょう。
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