週末、3人のP4Pファイターたちがアメリカ、日本のリングに登場。
テレンス・クロフォード、井上尚弥がそれぞれ強さを発揮、その評価を更に高めたという内容でした。
クロフォードの成し遂げたことは偉大すぎて、彼がP4Pキングだということに異論はありません。ウシクが2度にわたりフューリーを退けたとき、彼が現役中にこの功績を超えるボクサーは現れないだろうと思っていましたが、現れました。実際、偉業というものでもそのインパクトはときがたてば少しは風化するものです。
さて、今回話題に出したいのはクロフォードではなく、スーパーバンタム級のほう。
今回動きがなかったスーパーバンタム級ですが、来年の5月を過ぎればおそらく井上尚弥は次のステージに進まなければならないでしょう。
ということでおそらくあと1年以内に動きがある(ことを願う)スーパーバンタム級について。


2026年5月の激突
井上尚弥vs中谷潤人、日本のボクシングファンはもちろん、世界が待望する戦いまで、お互いにあと1戦です。
少なくとも、この12月の戦いが終わったあと、このランキングに顔を出すであろう中谷は、そこで何位であろうが、この階級での井上尚弥にとっての「最終戦」となるべきで、その後、仮にまだ戦っていないサム・グッドマン、シャバズ・マスードらと戦っても致し方のないことです。
まずは12月、井上尚弥が現在5位にランクされているアラン「ダビ」ピカソ(メキシコ)と、中谷潤人は現在9位にランクされているセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)または8位のラモン・カルデナス(アメリカ)いずれかとのテストマッチをクリアすれば、2026年5月に激突。
ピカソの実力は、というと、残念ながら亀田京之介とそこそこ勝負になってしまったので、その実力は白日のもとにさらされてしまっています。亀田京之介ががんばった、というのはあるのでしょうが、それにしたって明らかな実力差があって然るべき。井上尚弥としてはモチベーションが上がらない試合ではありますが、おそらく油断はないでしょうからしっかりと倒しきって勝利してくれるはずです。
中谷潤人は、というと、エルナンデスかカルデナス、どちらも強敵には違いがありません。
カルデナスはフィリーシェルのようなスタイルからカウンターショットを狙うタイプのボクサーで、その左フックのスイングはスピードがあり、パワーがあります。非常に危険ながらも、あの左フックが長身サウスポーの中谷相手に有効か、というとそうではない可能性もあります。
カルデナスにとって、というか、ボクサー全体にとって、中谷のスタイルはやりづらく、中谷としては遠い距離で釘付けにできれば勝利は固いはず。ただ、カルデナスと戦う場合、中谷としても井上尚弥よりも良い倒し方をしたい、という意気込みがあるはずですから、近い距離で戦って自らを危険にさらしてしまいそう、というのは不安要素ですね。
そして未だ無敗で、20勝中18KOという好KO率を誇る謎のボクサー、セバスチャン・エルナンデス。
最新の試合では5月、アザト・ホバニシャン(アルメニア)を相手に明確な勝利を勝ち取っています。175cmという長身、かといって遠くで戦うボクサーではなく、メキシカンらしいファイトスタイルを持っているボクサーですね。ジャブからしっかりと攻め入り、プレスをかけて手数で攻め入るエルナンデス、ホバニシャン戦を見る限りではタフネスも有しており、バランスも良いとは言えませんが常にパンチを振るってくるタイプのボクサーに見えます。
ホバニシャンはこれで3連敗となってしまったわけですが、相手はネリ、ピカソ、エルナンデスであり、ホバニシャンへの勝ち方を見れば「ピカソ≒エルナンデス」が成り立つでしょう。
そう考えれば、中谷にとっては、リングマガジンにランクインするエルナンデスでも、もちろんカルデナスでも、井上戦を見据えたスーパーバンタム級のテストマッチとしては申し分のない相手。ここは中谷に強さを見せつけてほしいところです。
1位〜3位はコンプリート済
現在(アップデートは9/12)のリングマガジンランキングは、1位にタパレス、2位にアフマダリエフ、3位にルイス・ネリ。すでにこの3人に関しては、井上尚弥がそれぞれ撃退済みで、1位のタパレスというのはアフマダリエフに勝利している、ということが大きいでしょう。
4位のサム・グッドマン(オーストラリア)については先日ニック・ボールに挑戦して善戦、今後はスーパーバンタム級で戦っていくのでしょうか。井上尚弥との試合については残念ながら実現しそうにありませんが、その実力は確かであり、今後はトップ3との対戦も興味深いですね。
5位のピカソは12月、リヤドシーズンで井上尚弥と対戦予定、一度は陣営が断り、カルデナス戦を見て考えを改めて12月の契約書にサイン、そして今、MJですらあの絶望的な状況になってしまった試合を観て、この契約書を取り下げる、なんてことにならなければ良いですが。
6位のシャバズ・マスード(イギリス)はKO率こそ低いですが、ジャック・ベイトソンやリアム・デイビスといった国内のライバル対決を制して上がってきている注目のプロスペクト。ただ、井上尚弥と対戦する気は全くなさそうで、井上尚弥という嵐が去ったあとのタイトルを狙っているような気がします。
7位のTJドヘニーはすでに日本のボクシングファンでその名を知らないものはいない、というボクサーで、アイルランド出身でオーストラリアを拠点としており、第3の故郷は日本、と言っても過言ではありません。年齢的にも他のボクサーが狙い目である、とも言えますが、常軌を逸したリカバリー幅を持つ分危険な相手でもありますね。
ネクストスター
日本からは村田昴(帝拳)が10位にランクイン。前戦で元世界王者、小國以載を6Rでノックアウト、山崎海斗戦でもそうでしたが、ポイントを取られることはあろうとも倒し切る力がものすごい。現在パーフェクトレコードを継続中です。
そしてランク外ですが、石井渡士也(REBOOT)も注目のボクサーで、非常にバランスの良いボクサーファイターですね。激闘がすぎるきらいはありますが、ここ最近でも津川、福井、池側に勝利、厳しいマッチメイクを乗り越えてその評価をどんどん高めています。
対して日本王者時代、その石井をドロー防衛でなんとかしのいだ下町俊貴(グリーンツダ)はやや停滞気味、もう一皮ぐらいむけてほしいところですね。
他にもこの階級で言えば中嶋一輝(大橋)は世界が近いはず。実際、もし井上が中谷に勝利して王座を返上すれば、決定戦のチャンスが巡ってくるのはこのボクサーではないか、と思います。
そして西田凌佑、ジェルウィン・アンカハスとのIBFの指名戦が内定している状態なので、結局はこのボクサーが今、世界に最も近い日本人ボクサーと言えるのでしょう。井上vs西田があり得るか、というと、それは中谷戦が終わったあとのことになるので、その井上vs中谷が終わったあと、井上がタイトルを返上すればこの試合は実現しないはず。5月と言われる東京ドーム決戦の前に井上vs西田を入れる、というのは時間的に現実的ではないはずです。西田にはここをしっかり勝利して、王座決定戦のチャンスを待ってもらいましょう。
当然上記のことは、井上が中谷に勝利した場合に限られます。
中谷が勝てば、この階級にとどまり、防衛戦を重ねていく可能性もありますね。
ただ、井上尚弥に勝利したあとの中谷に、この階級でやり残しがあるかといえば、もう全くないでしょう。中谷が井上に勝利したとしても、即刻タイトルを返上、フェザー級を狙う、ということも十分に考えられることです。
ともあれ、もう1年後には勢力図はガラリと変わっている可能性があります。
この1年、スーパーバンタム級を注視していきましょう。
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