信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

ここからはじまる、敗者の物語。ムロジョン・アフマダリエフ、カネロ・アルバレスは如何にして再起するのか。

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9月の3連休のビッグマッチからはや1週間。

個人的にいそがしかったということもあって、一気にまくしたてられた感じもしますが、要約気持ちが落ち着いてきました。

まさに「お祭り」のようだったカネロvsクロフォードからの井上vsアフマダリエフ。

興行こそ多かったですが、つまらない試合も多かったゴールデンウィークと比べて、非常に濃密な一日でした。

ですが、この「祭りのあと」の静けさこそ、新たな物語の始まりを告げる合図と言えます。

ということで今回は、Good Loserとなったカネロ、そしておそらく心の奥底ではGood Loserであろうアフマダリエフ、二人の強者の今後について。

 

 

 

ムロジョン・アフマダリエフの評価は上がったのか、下がったのか

まず語るべきは、「モンスター」井上尚弥と12R戦ったムロジョン・アフマダリエフ。MJは敗れましたが、井上尚弥とフルラウンド戦った史上4人目のボクサーとなり、さらにダウンを奪われなかったボクサーとしては田口良一に継ぎ史上2人目。

強者とはいえども、これはよく健闘したのだ、とも言えるのではないでしょうか。

果たしてMJの評価がこの試合でどうなったのか、というのはわかりませんし、その基準もないわけですが、個人的に言えばMJの評価は上がった、と言えます。

まず特筆すべきことは、あの日の井上尚弥はそういう作戦だったと思いますが非常に慎重でもありました。12Rにわたり無理をせずボックス、それはもちろん、MJのパワーを最大限に警戒していたからに他なりません。

おそらく井上が倒しに行けば、MJを倒しに行く未来もあったでしょう。それでも井上が強く出てMJが倒れなかった可能性もあれば、最後の最後まで狙っていたMJの一発を喰らってしまっていた可能性もあります。

 

 

 

井上のパンチは、MJの固いガードの間隙を縫って入っていましたが、それでもなお、あのガードは井上のストロングポイントの一つである「強打の連打」を封じたのだとも言えます。

そしてこのディフェンス能力、カウンター能力に加え、やはり最後まで心が折れなかったこともこのMJの強さを物語る一つ。

もう判定ではおそらく勝ち目がない状態ではありながらも、ガムシャラに行かなかったMJは、いつか、どこかでカウンターのパワーショットが当たるという可能性を信じ続けた、という結果なのでしょうし、ラフに、ガムシャラにいくよりも確率としては高い、と踏んだからなのでしょう。それは確かに、その可能性が(低いながらも)なくはなかった、というのは、やはりMJは最後の最後まで怖さがあった、ということで納得性があることです。

 

 

 

MJの再起ロード

井上尚弥というモンスターの存在がなければ、今も彼がこの階級の主役だったかもしれません。しかし、その道が閉ざされたわけではありません。彼の王座返り咲きへの具体的なルートを、いくつか考察してみましょう。

-vs サム・グッドマン-

最も分かりやすく、最も過酷な道が、かつて指名挑戦権を持っていた実力者、サム・グッドマンとの対戦です。グッドマンは色々あって井上と対戦できなかったボクサーですが、前戦でニック・ボールに善戦、その実力とがんばりを世界中に示しました。トゥルキ・アラルシクもリヤドシーズンに再度出場してもらうことを明言しています。

アフマダリエフvsグッドマンというのはなかなかに面白いカードで、グッドマンはボールのフィジカルに対してもしっかりと渡り合ったボクサーですから、スーパーバンタム級のMJのフィジカルをなんとかできる可能性は十分にあります。MJとしては、そのフィジカルにスキルがくっついているわけですから、両者にとって簡単な試合ではありませんね。

-vs マーロン・タパレス-

アフマダリエフにプロ唯一の黒星(当時)をつけたのが、井上選手に4団体のベルトを明け渡したマーロン・タパレスです。しかも、その敗戦は物議を醸した1-2の僅差判定でした。

アフマダリエフ陣営としては、今も納得がいっていないかもしれません。リベンジと再起をかけたこの一戦は、ファンにとっても非常に分かりやすい物語性があります。あの時失ったものを取り戻すための戦いは、彼のモチベーションを最高潮に高めるでしょう。

 

 

 

-vs アラン・ピカソ-

十中八九、12月の試合では井上尚弥がピカソに勝利するでしょうから、その前提で話をしておくと、MJvsピカソというのもあり得る試合ではあります。

相手が井上尚弥とはいえ、「無敗」という幻想的な戦績から「1敗」というレコードが載ったピカソは、これまでよりも大胆にマッチメイクが可能になります。

そうすると、「元王者」というMJの肩書は非常に良いものとなり、王者でなくなったMJについてはおそらくマッチメイクに苦労するでしょうから、これはわたりに船。とはいえ、ピカソが井上戦で心折れてしまわないとも限らないので、これこそが絵に描いた餅、となるかもしれません。

いずれにしろ、2つ目の黒星を喫したMJですが、まだまだこの階級には必要なボクサー。今後の再起に期待しましょう。

 

 

 

「Face of Boxing」カネロの岐路

同日にキャリア3敗目を喫したカネロ。

前2つの負けは、フロイド・メイウェザーJr.という当時のP4Pに「挑戦」した試合であったし、ドミトリー・ビボルというライトヘビー級最強の一角に「挑戦」した試合でもありました。たとえオッズがどうあれ、です。

しかし今回の戦いは、P4Pボクサーとはいえども、2階級下のボクサーの「挑戦を受ける」という試合であり、ここでパワーを活かせなかったことは、カネロの評価を下げることに繋がるでしょう。

かつてスーパーミドル級を11ヶ月で制覇したときと、今のカネロは随分と違います。その当時PEDに頼っていた、と考えれば合点がいってしまうものではありますが、それは信じたくはない出来事です。

いずれにしても、この敗戦はただの1敗ではありません。長年、ボクシング界の顔として、P4Pとして君臨してきたカネロの「絶対的な存在感」そのものはゆらぎ、カネロをキャリア最大の岐路に立たせています。

明らかな衰えの渦中にある、と言わざるを得ないカネロ、今後の戦いはどうなるか。一体何を目指すのか。

 

 

 

-王者としてのプライド-王座返り咲きを目指す

スーパースターであるカネロが、本来選ぶはずのない道かもしれません。

しかし、もしこの茨の道を選んだならば、それは彼の「ボクサーとしての魂」がまだ燃え尽きていないことの何よりの証明となります。

対戦相手候補は、WBC暫定王者のクリスチャン・ムビリや、WBA暫定王者のホセ・アルマンド・レセンディスといった、無敗でハングリーな強打者たち。彼らとあえて拳を交え、這い上がってでも再び頂点を目指す姿を見せるなら、ファンは再びカネロに熱狂するでしょう。

ここでカネロは「挑戦者」となり、下から這い上がる格好となります。そして、その栄光への道のりは、決して楽なものとはならないはずです。

-未来へのバトンを渡す役目-

偉大な王者たちの役割の一つ、しかしこれは大きな哀愁を与えるものでもあります。

老いてかつての力を誇示できなくなった偉大な王者は、そのバトンを次世代に渡す、これこそが大きな役割だと個人的には思っています。

その役割がカネロにできるのか、というと難しい気もするわけですが、ぜひともこのマッチアップを見たい、今までカネロがボクシング界を背負ってきたものすべてを、次世代のボクサーたちに託してもらいたい、と思います。

ハムザ・シーラズ、オスレイス・イグレシアス、ディエゴ・パチェコ。

彼ら無敗のプロスペクトたちにチャンスを与え、時代のバトンを渡す。これはムンギアやベルランガといった、確実に劣るであろう相手と戦うのとはまた少し訳が違ってくるでしょう。

ともあれ、この戦い(とくにイグレシアス)を実現してくれるのであれば、個人的には「有終の美を飾ってくれた」とカネロを送り出せると思います。

 

 

 

-最も現実的な再起-

とはいえ、カネロは最後までカネロのままで良い、という意見がきっとメキシコでは多いはず。ということで、スター、カネロの行く末は、この現実的なルートで落ち着きそうな予感があります。

それは、タイトルショットに絡まない12ラウンドファイトにおいて、その名前が知れており、さらにビジネス面でも成功が迎えられ、かつ、勝てる確率が高いという相手を選ぶことです。

そう考えれば、必然的にカネロの相手はジャモール・チャーロになりそうな気がします。

そして、この試合に勝って引退、何もおかしくありません。

ジャーメル・チャーロはカネロに何も出来ずに終わりましたが、その弟の仇討ちと称してジャモールが試合を盛り上げる、こんなプロモーションは容易にできます。

しかもジャモールはスーパーミドル級での実績はなく、試合は枯れており、コンディションには不調が囁かれ、それでいて名前があるボクサー。

カネロにとってこれ以上ない相手ではないでしょうか。

-ド級のエンターテイメント-

そしてこれが最もやってほしくないことですが、カネロが早々にエンターテイメント・ファイトにその身を堕とすことです。

それはボクサーとしてのプライドを捨て、強さを求めず金だけを追い求めるために行う、ジェイク・ポールとのファイトです。

このカネロのレガシーを著しく損ねるファイトは、そうはいっても天文学的な収益を得るためのエンターテイメントファイトとなります。

自分で書いていて胸糞悪くなりますが、この可能性はゼロではありません。

ただ、カネロにはボクサーとしての矜持を持ってもらいたいものです。

 

 

 

ここから始まる、敗者のものがたり

ムロジョン・アフマダリエフのこれからのストーリーは、世界王座への返り咲きを狙うもので、ボクサーとしては非常に純粋な物語です。

同様に、世界戦に敗れたボクサーたちが、返り咲きを目指し、幾度も失敗を重ねる中で思っても見ないところで返り咲きを達成したり、何度挑戦しても跳ね返されたりということをいくらでも見てきました。

井上に敗れたものたちの中では、田口良一は本当に見事でしたし、ドネアも素晴らしかったと思います。(1戦目から2戦目の話)そして最近でもフルトンが2階級制覇を達成しており、モンスターに敗れてもまだチャンスがある、ということを示しています。

対してカネロの次章というのは、「存在意義を問う」ものだと感じ、それは彼がなしてきた数々の偉業を台無しにしてしまう可能性もあるものです。

彼らがこれから、どのような道のりを選択し、どのような道のりを実際に歩むのか。

彼らの次の一歩が報じられる日を、静かに、そして楽しみに待ちたいと思います。

 

 

 

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