10月中、海外のボクシング界はスロー・ボクシング・ウィークと呼ばれる週末が多いのかもしれません。
ビッグマッチと呼ばれるものは少なく、先週末に引き続き、今週末も大きな話題はほとんどありません。海外のライターたちも書くことがない、と嘆いているわけですが、こんな週末だからこそ、ジャロ「ブーツ」・エニスのリング登場はそのインパクトを大きく残せる可能性があります。
さて、ということで今回のブログは、ジャロン・エニスのスーパーウェルター級デビュー戦、ウイスマ・リマのプレビュー記事。

10/11(日本時間10/12)アメリカ・フィラデルフィア
ジャロン・エニス(アメリカ)34勝(30KO)無敗
vs
ウイスマ・リマ(アンゴラ)14勝(10KO)1敗
未来のP4P、ジャロン「ブーツ」エニス。
完璧なスイッチヒッターである彼は、テレンス・クロフォードの後継者とも言えるボクサーです。
非常に完成度が高く、スピード、パワー、スキルが融合したスタイルは、とにかく穴がなく、負ける姿が想像出来ないボクサーの一人。
プロデビューから8年と半年、コロナ禍を挟んでも34戦というのは非常に立派です。
非常にシームレスなスイッチ、そして素晴らしいタイミングを持ち、スピードとパワーを持っているエニスは、それでいてコンビネーションの打ち分けも上手い。まさに完全無欠、と言えるボクサーで、この34戦のうちで弱点らしいものは一切見せていません。
様々なタイプと戦えば、こういうタイプは苦手かも、というのも見えてくるわけですが、今のところエニスにそれは見えず、リングIQ、ディフェンス技術、どれをとっても一級品です。
底が見えない、というのは、底を見せる相手と対戦できていない、ということにもつながるわけですが、エニスは対戦相手探しに難航しており、その「ライバル不在」の部分に関してもクロフォードと同様の道を辿っているのかもしれません。
若い若いと思っていたエニスももう28歳、そろそろビッグマッチが欲しい。
前戦では当時のWBAの王者、エイマンタス・スタニオニスを迎えての王座統一戦に望み、スタニオニスを寄せ付けず6RTKO勝利。今回は1階級上げて、スーパーウェルター級での初戦となります。
ここに、わずかにエニスの不安要素があるわけですが、たとえ1階級上の相手にエニスのパワーが目減りしたとしても、負けるような相手ではないでしょう。
ウイスマ・リマは、知られていないボクサーではありますが、れっきとしたIBOの世界王者です。
メジャー4団体に次ぐタイトルホルダーであるリマはアフリカの出身ですが、比較的まとまりのあるボクシングをするサウスポーで、身体能力に頼ったボクシングというよりもちゃんと練習してきたものを出す、みたいなボクシング。
拠点はポルトガルだそうで、ヨーロピアンスタイルのボクシングに影響を受けているのかもしれません。
いずれにしろ、このエニスを倒せるならば、やはりどこか突出していなければならないのではないか、と思います。もしくは、総合力でエニスを上回るか、ですが、シームレスなスイッチヒッターであるエニスをボクシングで上回るというのはなかなかできることではありません。
なので当然、ここはエニスの勝利が固く、どちらかというとエニスは勝ち方を問われる試合である、と言えます。
おそらく、エニスの多角的な攻撃にリマは対応しきれないでしょう。なのでリマのタフネス次第ではあるものの、エニスのKO勝ちが濃厚と言わざるを得ません。
ジャロン・エニスがまた強さを発揮するのか。
いずれにしろ、このスーパーウェルター級という階級はかなりの激戦区です。
WBA王者は前戦でヨエニス・テレスを退けたアバス・バラオウ、WBC王者はセバスチャン・フンドラ、暫定王者にはエニスのライバルとも言われるバージル・オルティスJr.。
IBF王者にはセンセーショナルなノックアウトでティム・チューを破ったバフラム・ムルタザリエフ、WBO王者にはザンダー・ザヤス。
スター性も名前もあるボクサーも多いので、ここにエニスがどのように絡んでいくのか、楽しみでなりません。この階級は、2026年に何かが起こると期待しましょう。
アンダーカードと配信情報
アンダーカードにはWBC USAライトヘビー級戦、カーリー・コーvsジェシー・ハートが組まれていましたが、コーは負傷で出場を辞退。ハートは別の相手と戦うのでしょうか。
その他にはヘビー級戦でアレクシス・バリエル(カナダ)vsグイド・ヴィアネッロ(イタリア)というファイトが組まれています。こちらはWBCコンチネンタルアメリカの王座決定戦のようですね。
他には26歳の無敗プロスペクト、ターミル・スモールズというボクサーが出ますね。このボクサーはアメリカはペンシルバニア州、フィラデルフィア出身のようなので、このビッグイベントに気合が入っているでしょうね。15勝11KO無敗という戦績を引っ提げ、地元での試合というのは大いに期待できるでしょう。
配信はDAZN、日本時間12/12(日)9:00の開始です。DAZNではプレリムスから配信、こちらは5:30からの開始のようですね。
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