今週末の注目は、ジャロン・エニスのスーパーウェルター級デビュー戦です。本当は米国で行われたデイブ・アレンvsアルスランベック・マフメドフも楽しみにしていましたが、プレビュー記事を書いたところ壊滅的なPV数だったので観戦記はやめておきます。
ということで今回のブログは、ジャロン・エニスvsウイスマ・リマの観戦記。

10/11(日本時間10/12)アメリカ・フィラデルフィア
アレクシス・バリエル(カナダ)12勝(10KO)無敗
vs
グイド・ヴィアネッロ(イタリア)13勝(11KO)3敗1分
フィラデルフィア出身のボクサーが多数登場したこの興行ですが、このセミファイナルはフィラデルフィアとは無関係の一戦です。
WBCコンチネンタルアメリカのヘビー級王座決定戦と銘打たれたこのファイトは、無敗のバリエルが強敵、ヴィアネッロを迎え撃つという構図。
ヴィアネッロは「グラディエイター」というニックネームの通りの激闘型で、前戦でリチャード・トーレスJr.に負けていますが、その前にはアルスランベック・マフメドフからアップセット勝利を勝ち取っています。
さて、注目のゴング。
初回、サウスポースタンスからややプレスをかけるのはバリエル、比較的アップライトの構え。攻撃力はヴィアネッロの方がありそうか、ヴィアネッロもややアップライト意味の構えですが、攻めては大きく振り、ここが非常に雑というかエネルギッシュというか、なのはいつも通り。
スピード、出入り、カウンターで翻弄したいらしいバリエル、ヴィアネッロが前に出ようとしたところでバックステップ、良い反応を見せます。
良いスキルを持っていると感じたバリエルですが、終盤にヴィアネッロが右のダブル、この2発目がヒット。
2R、もうとっくに様子見を終えているのか、ヴィアネッロはかなり強引にバリエルに詰め寄ります。左を伸ばして右を思いっきり打ち込み、空振りも厭わずグイグイとパワーパンチを振ります。
バリエルもカウンターで対抗、ノーモーションの左は有効です。後半には近い距離でも打ち合いはじめたバリエル。彼も非常に勇気があり、良いボクサーですね。
3R、ヴィアネッロの打ち終わりに確実にパンチを出してくるバリエル、特に右の打ち終わりが雑になりがちなヴィアネッロは少し慎重になっています。
ここで膠着状態とはならず、バリエルは自分から攻め込めることができています。
このバリエルの攻撃に対してはヴィアネッロも力強いリターン、それでも先に動くのがバリエルのほうが多いため、ほんの少しずつ、主導権はバリエルに移っていきそうな感じがします。
4R、相手のペースになりそうだ、と感じたのか、突然ヴィアネッロがチャージ。強いプレスからオーバーハンド気味の右を振り切り、その右をボディに持って行くなどしてとにかく勢いがすごい。
ここでバリエルも強いアッパー、ノーモーションの左をリターンしてこの勢いをとめます。バリエルはあくまでもポジションを変えながらのカウンターリターンです。
後半、強い踏み込みからのワンツーをヒットしたヴィアネッロ、これでバリエルは一瞬動きが止まります。ここを見逃さないヴィアネッロは強い左右を振り回し、バリエルをロープに詰めると力づくでダウンを奪取!
立ち上がったバリエルですが、かなりのダメージを感じさせます。とにかく攻めに攻めるヴィアネッロ、ロープになんとか詰まりながらもエスケープするバリエル、なんとかゴングに救われます!
5R、ここは当然行きます、ヴィアネッロ。もう序盤のような反応を見せられないバリエルをコンビネーションで痛めつけると、バリエルはたまらずダウン。
ロープ最下段に頭を打ち付けたように見えましたが、レフェリーはカウントを数え、その反応を見てようやくストップ!
グイド・ヴィアネッロ、5RTKO勝利!
もっと早くにセコンドが棄権するか、最後のダウンのカウントは不要だったはずです。ともかく、バリエルがペース掌握に向けて良い感じになりそう、というタイミングで速攻チャージを決めたヴィアネッロ、もしくはその陣営の勝負をかける早さ、判断力、そして何よりもヴィアネッロの肝の座り方とそのパワーが何とも素晴らしかった。
やっぱりこのボクサーは面白い。これからもヘビー級のトップ下辺りでゲートキーパー的な存在になるのかもしれませんが、いつかこのボクサーが世界戦を戦える日を見てみたい、と思いますね。
↑プレビュー記事
ジャロン・エニス(アメリカ)34勝(30KO)無敗
vs
ウイスマ・リマ(アンゴラ)14勝(10KO)1敗
さて、メインイベントです。「ブーツ」エニスにとっては勝ち方を問われる試合ではあるものの、スーパーウェルター級初戦ということもあり、若干の不安要素もありますね。
現在、群雄割拠と呼べるこのスーパーウェルター級、誰とどのように絡んだとしても非常に面白いマッチアップになります。
この階級にはスターが必要、その第一歩目を華々しく踏み出す事ができるか。
エニスはいつものなんだかふわふわした感じのトランクス。ウイスマ・リマというボクサーもなかなか精悍な顔、均整のとれた良い肉体をしています。
注目のゴング。
初回、オーソドックススタートのエニスは、まず距離をとって長いジャブ。様子見です。
リマが入ってくるところに右カウンターをあわせる素振りをみせ、リマをインサイドに入らせないように牽制します。
リマが攻めようとしたところには右ボディアッパーのカウンターショット、そしてその後は相手が前に来るのを止めるような左ジャブを使っていますね。
途中、サウスポーにスイッチしたエニスは、リマが前に出てきたところに前手となった左アッパー!これでダメージを被ったリマ、そこにエニスがコンビネーション!
ガードポジションに固まるリマ、しかし構わず左右のフックを叩きつけるエニス、左右から脳を揺らされたリマはあっという間にダウン!!
立ち上がったリマに対して、容赦なく責め立てるエニス!このパンチの嵐は全く途切れることを知らず、この猛攻にさらされたリマはこの試合2度目のダウン!まだ1分以上残っています!
ここを逃がすことはないエニス、攻めに攻めてリマをコーナーに下がらせると、レフェリーはストップ!
ジャロン「ブーツ」エニス、初回TKO勝利でスーパーウェルター級デビュー!
引くほど強かった、ブーツ・エニス。
リマはIBOの世界王者でしたが、あっという間に飲み込まれてしまい、結局何も出来ませんでした。
テストマッチをクリアしたことで、次戦での世界タイトル戦をほぼ確約させた、と言っても過言ではないジャロン・エニス。ウェルター級で王座統一を果たしたエニスでしたが、そのキャリアの真骨頂というのはまさにこの日、この瞬間からなのかもしれません。
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