さて、本日は脅威のど平日・クアドラプル・タイトルマッチ。
確かに興味深い試合ばかりなのですが、どうしてもすべてを集中して視聴するということは難しい。
ということで今回のブログは、10/21に行われたフェニックスバトルの観戦記。
↓プレビュー

10/21(火)フェニックスバトル
荒竹一真(大橋)vs坂田一颯(S&K)
アマ8冠、荒竹のプロ2戦目。早くもランカー挑戦です。
対する坂田はかつて全日本新人王決定戦で北野武郎と引き分けた実力者ですね。
お互いにサウスポー同士、荒竹は相変わらず井上尚弥を彷彿とさせる動き。先手を取るのは荒竹が多く、プレスをかけるのは坂田ですがどちらかというとそれに合わせるというイメージですね。
特に相打ち気味に放つ右フックが良いように見える坂田、しかしやや単発気味でしょうか。
速く、コンビネーションも良い荒竹は2Rに入るとより積極性を増し、坂田は反応こそ良いですがやはり後手に回る印象でしょうか。
そして迎えた3R、坂田がこれまでよりも低く構え、ブロッキングで距離を詰めようと戦法変更。近い距離でブロッキングで受け止める坂田に対して強気で連打を放っていく荒竹、これに対して坂田は右フックを強振。
距離が詰まった打撃戦となった中盤、この荒竹の連打の中で坂田の強振右フックが荒竹にヒット!額に当たったように見えたこのパンチで荒竹がダウン!
ダメージが残る足取りながらも、前に出て打ち合う荒竹!しかしここでバランスを崩して両手をマットにつくと、これもダウン判定!
再開後、またも近い距離!踏ん張ろうとした荒竹ですが、最後も坂田の右フックで荒竹がダウン!レフェリーがストップ!!!
坂田一颯、3RTKO勝利!!!
これはなんとも素晴らしい勝利、坂田一颯!
最初の右フック、カウンターとなってヒットしており、あの一撃でほとんど勝負はついていたのでしょう。
坂田は非常にバランスがよく、非常にパワフルな右フックを持つボクサーで、自信をつけた今後に期待ですね。敗れた荒竹は無念、この敗戦で終わるようなことはないでしょうから、この悔しさを味わった後、どのようなキャリアを見せてくれるのか期待しましょう。
WBOアジアパシフィック・ミニマム級王座決定戦
北野武郎(大橋)9勝(4KO)無敗1分
vs
ジョセフ・スマボン(フィリピン)8勝(4KO)1敗
大橋ジムのホーム興行で、スーパーホープのTKO負けという衝撃的な結果を受け、会場に集まったファンたちも心をかき乱されているかもしれません。
しかし何が起きようとも時計の針は進み、次は北野の挑む王座決定戦です。
この戦いもサウスポー同士ですね。高身長の北野に対して、スマボンはちょっとやりづらそうか、サークリングスタート。
長く鋭いジャブから左を返し、自信満々に攻め込む北野ですが、終盤、近いもみ合いぐらいの距離でスマボンのショートの左フックが炸裂、北野がダウン!!
今度は自信を持って降ってくるスマボン、ここで北野も近い距離で応戦。長い距離でジャブで削っていった方が良いのでは?と思いますが、ダウンを奪われて意地になってでもいるのか、近い距離での打ち合いを選択しています。
スマボンは身体も強く、近い距離でアッパーも巧くヒット、アングルが良い。北野も良いパンチを返していますが、いかんせん高身長の北野の方がもらった時の見栄えは良くないように見えます。
3Rは一転して距離をとってのスタートとなりますが、早々に距離が詰まります。そしてこの距離でスマボンの左フックを幾度か浴びており、やっぱり良くありません。その後もこの距離で戦わなければならない縛りでもあるのか、というボクシングの北野、せめて右のガードはしっかりと上げておくべきでしょう。
5Rに入ると若干距離を意識しだしたように見える北野。さあここから、とはいってもここまでのビハインドは随分と痛いですね。終盤はやはりもみ合いの距離、ここではやはりスマボンのショートの右フックを幾度も浴びています。距離を詰めすぎるのは何なんでしょう、あの距離でないと安心できないのでしょうか。
プレスをかけて前に出る北野、下がるスマボンですがどこかで前に出てきます。そこにカウンターをあわせられれば良いですが、バックステップで距離をとるだけになってしまうか、ブロッキングして止まって乱打戦となるかのいずれかです。
しかしこの距離での勝ち目があると踏んでいたのでしょう、この打撃戦を繰り返し、9Rには優勢煮立ったようにも見えました。
ラストラウンドも展開は変わらず、懸命に攻める北野ですが、スマボンは時にいなし、ときに打ち返してラウンドを終了。
判定は96-93×2、97-92、3-0の判定でジョセフ・スマボン。
ちょっと策がなさすぎたと感じる戦いでしたね。北野武郎。リングに上がらないと見えないものがある、というのは承知ですが、ちょっと流れを変えられませんでした。
日本ミニマム級王座決定戦
小林豪己(真正)8勝(5KO)2敗
vs
森且貴(大橋)13勝(3KO)4敗
ここまで自主興行で2連敗と厳しい大橋ジム。しかしここの戦いも、雨評判では不利予想でしょう。
初回のゴング、キビキビと小林の周りをサークリングする森。長い距離で鋭いジャブの小林。
長い距離ではやはり小林がよく、森はとにかくインサイドに入らなければなりません。
2Rも同じ流れですが、森が鋭いステップインからコンビネーション。近づきすぎず、打ってはバックステップをする森、更に当たる距離ではとめどなくパンチがスムーズに繰り出されている感じで、非常に良いですね。
長い距離でも中間距離でも絶えずフェイントをかけ続ける森。足も手も身体も、そしておそらく頭もフル回転、とんでもない運動量です。
小林もこの森のハイテンポなボクシングに負けることなく、中間距離で強いパンチを打っていきますが、こちらはやや単発なだけに森にとっては見えやすいかもしれません。
常に動きつつプレスをかけ、小林が前に出てきたらすっと引く森、素晴らしい距離感から一歩進んだところでは多彩なコンビネーション。今日の森は本当に集中力が素晴らしく、この試合にかける覚悟を感じるボクシングです。
6Rに入ると小林も随分パンチをつなげてくるようになりました。おそらく途中採点でビハインドだった、ということなのでしょう。(途中採点があるのを忘れていました。)これは小林にとっては良い兆候で、これまではちょっと単発すぎて森にとって読みやすかったと思います。
森はポジショニング、手を打ち出す角度、本当に色々と考えてここまでのボクシングを組み立ててきたのだな、と感じます。インサイドに入らなければならない戦いですが、入りすぎず、バックステップ一つで相手のパンチをかわせる場所をキープ。その中で足と手で角度を変えつつ、本当に多彩で回転力のあるコンビネーション、得意な武器で勝負をしています。
9R、若干焦りの見える小林は若干振りが大きいか。その小林のスイングのインサイドをコンパクトに突く森、このラウンドに来ても身体全体をつかって表現するとてつもない運動量、そしてそのキレは衰えるところを知りません。
ラストラウンドもキビキビとした動きの森、打っては離れ、というよりも打って打って打って離れ、また打って打って打つ。ある種、ミニマム級とはこういうボクシングをいうのだ、というのを見せつけた森且貴は、そのままゴールテープを切りました。ラストラウンドのゴングがなった瞬間、小林が右グローブを太ももに打ち付け、悔しさを出しました。これがすべてでしょう。
判定は、3者ともに98-92、3-0の判定で森且貴。
これは間違いなく過去最高の森且貴、ベストパフォーマンスでキャリア最大の勝利。4度目の挑戦でたどり着いた王座、遠回りこそしましたがこの経験は大きな糧になるでしょう。
感動ものの勝利です。
日本フェザー級タイトルマッチ
阿部麗也(KG大和)27勝(10KO)4敗1分
vs
殿本恭平(勝輝)16勝(8KO)4敗2分
再度世界を目指す阿部麗也。対戦相手は殿本恭平、11年ぶりの再戦です。当然、より気合が入っているのは殿本の方でしょう。
まずはリードの差し合い。両者ともに状態を揺らしながら、タイミングを図ります。
早々に仕掛けていくのは殿本、サウスポー対策でしょう、右から思い切って入っていきます。両者ともに入り際、頭が低いのでバッティングの危険性もありそうですね。
2Rに入るとより思い切って降ってくる殿本。阿部の相手はいつもこんな感じになりますが、この相手には圧力を強くかけていかなければならないというのは共通のことでしょう。
しかしそれに慣れっこの阿部、殿本が入ろうとしたところで左ストレートをヒット、殿本がダウン!抜群のタイミングでの非常にコンパクトな右でしたね。
殿本もここで臆しては勝ち目がありません。またさらに強い前進。なりふり構わないこのスタイルは、殿本の覚悟を感じさせるものです。殿本が勝つとすればそれはボクシング技術ではないはずで、そのことをおそらく陣営もよくわかっているのでしょう。このなりふり構わない攻撃に何度か阿部の顔面が弾かれています。
強い殿本のプレス、それに対して巧く右フックをひっかけてまわる阿部。両者ともに持ち味を発揮する良いファイトです。このラウンド、殿本の左フックがカウンター気味にヒット、阿部はちょっと聞いた素振り。
5Rに入るとガードを固めて歩くように前進する殿本、身体が密着する距離でも構わず拳を回してきます。阿部にとってやりづらいでしょうが、そこはさすがにベテラン、集中力をキープしています。
6R、より苛烈な攻めをみせる殿本。このラウンド後半は殿本の意地ともいえる左フックが炸裂、阿部はかなりのダメージを負ってクリンチでエスケープ。45秒という長い期間を見事に逃げ切ったのはさすがのところ、この次は非常に重要なラウンドです。
大きなチャンスを手に入れた殿本、しかし阿部はダメージを隠すしたたかさを持っており、カウンターをちらつかせて殿本を牽制。思いっきり降ってくる殿本にカウンターの左、ここもさすがの立て直し。このラウンド、阿部は右眉付近をカットしましたが、ここからより阿部の動きが良くなり、後半に左ストレートをヒット。ガクンと腰を落とした殿本ですが、フルスクワット状態でこらえてそれでも阿部を追いかけるという意地を見せています。
細かなフェイントを入れながら猛烈な手数で突進する殿本。その手数のさなか、カウンターショットを入れる阿部。このカウンターにも全く怯むことなく前に出続ける殿本、とにかく諦めません。肉体的にも精神的にもタフですね。
良いタイミングのパンチをもらいながらも前進してくるファイターを相手にすると、集中力が切れてしまったり少し臆してしまうという事も考えられますが、当然、王者はそうはなりません。
ラストラウンド、これまで以上に気合の入ったチャージを見せる殿本。序盤早々に左フックをヒットし、これは阿部にダメージを与えたか、阿部はクリンチ。殿本は千載一遇のチャンス、しかし阿部はあくまでも冷静で、足を使って大きくエスケープ、距離が詰まるとクリンチ。
とにかくなりふり構わず攻める殿本、阿部もダメージあるか、ちょっと足は止まっているように見えます。いや、止めているのでしょうか。
いずれにしろ最後は近い距離で打ち合い、規定の10ラウンズを終了。
判定は、3者ともに97-92、3-0の判定で阿部麗也。
ポイント差は大きく開きましたが、殿本恭平、とてつもない意地と覚悟を見せました。何がなんでも、という気持ちを感じましたね。それをしっかりと退けた阿部麗也。
OPBF東洋太平洋ウェルター級タイトルマッチ
田中空(大橋)4勝(4KO)無敗
vs
坂井祥紀(横浜光)29勝(15KO)15敗3分
さて、3つもタイトルマッチを見ればもうしんどいです。年ですね。
ともあれメインイベント、そのキャリアは10倍以上の差が開いています。注目のゴング。
まず徐々に前に行くのは田中。坂井も積極的にジャブを突きます。田中がインサイドに入ると坂井は右アッパーで迎撃、田中も得意のコンビネーション。
2Rに入ると田中がギアアップ、飛び込みの左アッパーなんてあんな危険なパンチをよく打てるものです。近い距離では互いにアッパーを打ち合い、遠い距離では坂井のジャブ、田中の右ボディストレートというのが印象的ですね。
前戦、小畑戦ではもしかすると相手を舐めていたのか、今日の田中はディフェンスが非常に良い。しっかりと頭を振って横着することはありません。接近戦でも非常に丁寧に戦っていると言えます。
おそらく坂井の固いブロッキングへの対策、ということなのでしょう、田中の左アッパーが良い。これをダブル、トリプルと出し、同じモーションで左ボディ。
坂井も手数を増やしていきますが、坂井は後手のアッパーからボラード、ものすごい角度で右を飛ばしています。
4R、右と右の相打ちでしょうか、坂井が左目付近をカット。これはちょっと目に入りそうな位置ですね。
パンチによるカット、ということでやや勝負を急がなければならなくなったのは坂井。5Rに入ると回転力のある連打を見舞っていきます。一度チェックが入りますが、かなりぱっくりと傷口が開いているように見えます。
再開後、チャージをかける坂井。バチバチの打ち合いのあと、このラウンド2度目のドクターチェック。ここは続行となりますが、出血はなかなかにおびただしい。
ムキにならざるをえない坂井、終盤に左フックを強振したところに田中の左ボディカウンター!これはエグい。普通悶絶レベル。
あっという間に半分が過ぎたタイトル戦、ここも当然打撃戦のスタート。お互いに力を込めたパンチを交換、田中空の高速コンビネーションに引けをとらない回転力を見せる坂井祥紀!ここもやはり、負けるわけにはいかない、勝つチャンスを手繰り寄せようという意地が見えます。
しかし後半、この試合3度目のドクターチェック。ここで、試合はストップ。
田中空、6RTKO勝利!
前戦のパフォーマンスでは、大きな不安をファンに与えてしまったであろう田中空。しかし、今回のパフォーマンスは坂井を相手に素晴らしいボクシングを見せてくれたのではないでしょうか。
おそらく誰よりも明確に、そして良いパフォーマンスで坂井に勝利したと言える田中。
そしてほとんどのお客さんが帰った中(たぶん時間が時間なので仕方ない)、佐々木尽がリングにあがり、「来年挑戦させてほしい」とのこと。これはあるんでしょうか、田中空vs佐々木尽。いやこれはやばい。
とはいえ、ここをやらなければ国内最強を証明出来ないということもまた事実。これは来年、楽しみですね。あ、もしや井上尚弥vs中谷潤人のアンダーカード?アリですね。
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