信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

「仮想・那須川天心」「仮想・井上拓真」11/24 Prime Video Bxing、勝敗のカギはスパーリングパートナーにあり?

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10月も後半に入り、来月最も楽しみな国内興行であるPrime Video Boxing 14まであと1ヶ月を切っています。

まだこの先、十分にオッズは変わるわけですが、10/28(火)時点の海外オッズはなんと那須川天心-650、井上拓真+400と想像以上に大きな開きが出ての天心優位。

那須川天心の動きは海外のボクシングファンにもわかりやすいほど素晴らしいのか、それとも未だにフロイド・メイウェザーJr.と相まみえたことで認知度があるのか。国内で50-50と言われているのは、拓真を応援する意味で拓真優位とするファンが多いのか。

私にはこの戦いの結末は全くと言って良いほどわからず、完全な50-50に見え、それでも井上拓真を応援したい、という感覚です。

ともあれ、あと1ヶ月と迫ったこの戦いはいろいろな角度から楽しみたいですね。

ということで今回のブログは、両者の「対戦相手対策」について。

 

 

 

那須川天心と坪井智也の新パートナーに15戦全勝の世界ランカー、アコスタ – Boxing News(ボクシングニュース)

「仮想・拓真」=15戦全勝の現役世界ランカー

天心陣営が「仮想・井上拓真」として新たに迎えたパートナー、その名はオラユウォン・アコスタ 。プエルトリコ出身のこのボクサーは一体何者なのでしょうか。

まず戦績がすごい。プロで15戦して、全勝。しかも10個のKO勝ちを収めています。現在、WBA世界スーパーフライ級の8位にランクされる正真正銘の世界ランカーです。今年5月にはリオ五輪銅メダリストであるジョーニース・アルヒラゴス(キューバ)に判定勝ち、前戦は9月でカルロス・ブイトラゴ(ニカラグア)に4RTKO勝利。ボクシングファンならご存知の通り、キューバの選手は卓越した技術とボクシングIQの高さで知られています。その選手をアウトボックスしたという事実は、アコスタが単なる強打者ではなく、非常にクレバーなボクサーであることを示唆しています。

報道では「動きの速いオーソドックス」と紹介されています。「ホワイトモンキー」というニックネームを持つ彼は、非常に長い距離をもったボクサーファイターで、スーパーフライ級にして170cmという高身長。井上拓真と背格好もファイトスタイルもこのボクサーを呼んだのは、なぜでしょうか。

井上拓真はオーソドックススタイルでありながら、その動きは実は変則的。兄・尚弥とはまた違う、独特のリズムと出入りのスピード、そして高いディフェンス勘を誇ります。天心陣営は、拓真のその「速さ」と、相手の動きを読んで対応する「ボクシングIQ」をシミュレートするために、アマチュアエリートをも下すアコスタこそが最適任だと判断したのではないでしょうか。

 

 

 

しかし、天心陣営の“本気度”はこれだけにとどまりません。アコスタ招聘の前には、なんと現役のWBO世界バンタム級王者、クリスチャン・メディナまでもがパートナーとして来日していました。現役の世界チャンピオンが、他団体の王座を狙う挑戦者のスパーリングパートナーを務めるなど、普通では考えられない、まさに異例中の異例の事態です。

この背景には、帝拳ジムがただお金でパートナーを「雇用」するのではなく、彼らと深い信頼関係を築いていることが伺えます。メディナ自身が帝拳ジムを「チームというよりも家族や友人のような存在」と語っていることからも、その関係性の強さがわかります。メディナはタイトルを獲得したあとの記者会見で、天心は「アミーゴ」だから試合はしないと発言しています。(同じくスパーリング経験のある堤聖也とはやりたいらしい。)天心も「チャンピオンは僕を一番強くしてくれたパートナー」と全幅の信頼を寄せています。

このことから、天心の「仮想井上拓真」は一人のボクサーで補えるものではなく、メディナ、アコスタ、そして同じ写真に収まっている坪井智也も、そしてもしかするともっと他のボクサーも交えて井上拓真にどのように対応するか、という策を練っていることが伺えます。「何でもできる」オールマイティーな拓真の対策をするには、ここまでいろいろなタイプのボクサーとやるというのは一つの最適解なのかもしれません。

ともあれ、ボクシング転向からわずか7戦で世界の頂点を目指す天心。彼にとって最大の懸念材料は、22戦のキャリアを誇る拓真との「経験値の差」でしょう。その差を埋めるため、帝拳ジムはこれまでも様々なタイプのメキシカンボクサーを招聘し、そして今回は現役王者と無敗の世界ランカーという、これ以上ないほどの豪華な布陣を揃えました。

 

 

 

これは、スパーリングという名の「超実践シミュレーション」を繰り返すことで、天心に数試合分の経験を短期間で注入しようという壮大な戦略もあるのだと思います。どんな相手が出てきても対応できるように準備する、という天心の言葉を、陣営が総力を挙げてバックアップしている。その本気度には、少し鳥肌が立つほどです。

「仮想・天心」=国内最強のサウスポーエリート

一方、迎え撃つ井上拓真陣営はどうか。世界中から“傭兵”を呼び寄せる天心陣営とは対照的に、彼らの「仮想・天心」は国内に、それも同じ大橋ジムの中にいました。

その名は、坂井優太。

まだプロでのキャリアは浅いですが、この20歳の青年こそ、日本のボクシング界が誇る至宝であり、拓真にとってこれ以上ない「仮想・天心」だと断言できる、と私は考えています。

▼最新の試合では8月、中国人ボクサーを5RでTKO。

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彼の経歴は、まさにエリートそのもの。高校時代には主要全国大会をすべて制覇する「高校6冠」を達成し、アマチュア戦績は52戦50勝2敗。そして極めつけは、2022年の世界ユース選手権での優勝。これは日本ボクシング史上3人目の快挙であり、彼の才能が世界レベルであることを証明しています。プロに転向してからもその勢いは止まらず、現在5戦5勝、しかも全てがKO勝ちというパーフェクトレコードを更新中です。

坂井の最大の武器は、天心と同じサウスポースタイルから繰り出される、卓越したスピードと距離感。「打たせず打つ」を信条とするそのボクシングは、テキスト化すれば天心のスタイルそのものです。天心の最大の強みである、予測不能なタイミングで飛び込んでくるスピードと、相手を翻弄するフットワーク。これをシミュレートできるパートナーとして、坂井優太以上の存在は、国内はもちろん、世界中を探してもそう簡単には見つからないでしょう。大橋秀行会長がこの二人のスパーリングを「ハイレベル」と評したのも、当然のことだと思います。

そしてもう一人、名前が上がっているのは韓 亮昊(六島)。すでに幾度となく大橋ジムに呼ばれている、というのは、井上拓真としても学ぶ事が多いということなのでしょう。こちらももちろんスピード豊かなサウスポー、ディフェンス能力にも長け、カウンターも巧い。天心にはアマチュアボクシングの経験はないですが、元トップアマを相手に調整するのが良い、という判断なのでしょう。いずれにしろ、様々なタイプとトレーニングを積む天心とは異なり、方向性としてはやはり天心を意識したスパーリングパートナーと言えます。

しかし、拓真陣営の本当の強みは、坂井という最高のパートナーがいることだけではありません。彼らには、帝拳にも勝るとも劣らない最高の「環境」があります。

まず、父でありトレーナーの井上真吾。彼は米国の権威あるボクシング専門誌『リングマガジン』やWBCから「年間最優秀トレーナー賞」を贈られるなど、世界最高の指導者の一人として評価されています。彼の緻密な分析力と戦略眼は、拓真にとって最大の武器です。

 

 

 

そして、兄・井上尚弥の存在。言わずと知れたパウンド・フォー・パウンド最強の男が、すぐ隣でミットを打ち、練習を見守り、時にはアドバイスを送る。これはお金では絶対に買えない、世界で最も贅沢な環境です。兄の存在が彼の向上心を極限まで引き上げているのは間違いありません。

那須川天心の陣営は、非常に質の高いスパーリングパートナーを集め、多角的なアプローチをすることに対し、井上拓真は天心に似たスタイルの一点突破。そして彼らをサポートする「環境」はどちらが優れていると言うことはできず、この準備段階から50-50といえるのではないでしょうか。

アプローチの違いはどう結果に影響を及ぼすか

ここまで両陣営の準備を紐解いてきましたが、二つのアプローチは「どちらが優れている」という単純な話ではない、と思います。これは、それぞれのファイターが置かれた状況から導き出された、最も合理的で、かつ最善の戦略なのです。

 

 

 

天心陣営の戦略は、一言で言えば「質の獲得」です。キックボクシングで42戦無敗という前人未到の記録を打ち立てた天才も、プロボクシングの世界ではまだ8戦目の挑戦者。彼に足りないものを補うため、陣営は世界中から多様なスタイルのトップ選手を招聘し、あらゆる状況に対応できる「引き出し」を増やそうとしています。これは、天心がかつて語った「どんなものが来てもいいように対応をしていた」という言葉にも通じる哲学です。この戦略は、近代ボクシングにおける、他競技からのスーパースターを短期間で頂点に押し上げるための一つのモデルケースと言えるかもしれません。

対する拓真陣営の戦略は、「環境の最適化」です。彼らには、井上真吾という世界最高の頭脳と、井上尚弥という世界最高の“教科書”が常に側にいます。そして、大橋ジムには坂井優太という完璧な「仮想・天心」がいる。この自己完結した世界最高レベルのエコシステムこそが、井上家の、そして拓真の最大の強みです。外部から何かを取り入れる必要がない。自分たちの持つリソースを完璧に使いこなすことで、一点の曇りもない、研ぎ澄まされた対策を完成させることができるのです。これは、一つの家族が長年かけて作り上げてきた、ボクシング界の至宝とも言える開発モデルです。

 

 

 

輸入された多様な「質」で経験の差を乗り越えようとする天心か。それとも、最適化された究極の「環境」で一点突破を図る拓真か。

どちらの準備が、11月24日のリングの上で相手を上回るのか。この水面下で繰り広げられてきた「パートナー戦争」の勝敗が、そのままベルトの行方を左右すると言っても過言ではないでしょう。

自分で書いてきて、この試合はどんどん楽しみになってきます。

まだ間に合う、11/24、トヨタアリーナであ会いましょう。

 

 

 

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