信太のボクシングカフェ

信太のボクシングカフェ

ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

12/27、矢吹正道vsフェリックス・アルバラードが発表。メキシコ開催報道は何だったのか。

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

12/27、日本で矢吹正道vsフェリックス・アルバラードが開催されるというニュースは、嬉しいニュース、というものにあたるのでしょう。

ご存知の通り、アルバラードは元IBF世界ライトフライ級王者。過去には井岡一翔や小西伶弥とも対戦経験があり、42勝(35KO)4敗という戦績を誇る歴戦の猛者です。

このアルバラードは、昨年12月、当時無敗の若きプロスペクト、トビアス・レイジェスを降してIBFの挑戦権を獲得、このほどIBFが指名戦をオーダーしたことでこの試合が決定しています。

しかし、両陣営での交渉がまとまらなかったため、9月にIBF本部にて興行権の入札に至っています。

「入札」とは、平たく言えば「ウチがこの試合を主催したいので、これだけのお金(ファイトマネー総額)を出します!」とプロモーターが提示額を競い合うオークションのことです。その入札に至る前、両陣営が話し合いでファイトマネーや場所、日程等を決められれば、この入札には至らないはず。そしてこの試合では、本来であればジャパンの配信マネーを持っているSAIKOU×LUSH側で主導して行われるのが当然という見方でした。

 

 

 

しかし、結局この興行は入札となり、その結果、アルバラード陣営であるMPプロモーションズが、興行権を落札しました。

衝撃的なのはその金額です。

落札額は、わずか 3万ドル(当時のレートで約450万円) だったと報じられています。

さらに驚くべきことに、この入札に参加したのはMPプロモーションズのみ。彼らが「唯一の入札者」だったのです。矢吹陣営は入札に参加しなかった(あるいは、できなかった)と推察されます。

IBFフライ級王者・矢吹正道 12・27に初防衛戦 愛知県国際展示場でVSアルバラード(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

 

 

 

「3万ドル」の「異常」さ

この「異常」さは、IBFのルールブックと比較すると明確です。

IBFのルールによれば、フライ級(105~122ポンドのカテゴリ)において、王者 vs 1位または2位の挑戦者の試合における最低入札額(Minimum Bid)は「2万5000ドル」と定められています。

つまり、MPプロモーションズが提示した3万ドルというのは、最低入札額をわずか5000ドル(約75万円)上回るだけの、「ギリギリ」の金額だったわけです。

ちなみに、比較対象としてWBO(世界ボクシング機構)を見てみると、同じフライ級の最低入札額は「8万ドル」です。いかにIBFの最低額が低く、そしてMPの入札額がその最低ラインに張り付いていたかが分かります。

本当にこの3万ドルで世界戦の興行権を購入できるのならば、個人でも全然いけますね。もともと購入できる権利なんてないのでしょうけど、仮に興行に入札できる権利を持っていて、かつ、挑戦者という身分であれば、良い買い物というレベルのものだと思います。

 

 

 

悪夢のシナリオ:「メキシコ開催」と「290万円」のファイトマネー

入札に敗れた王者・矢吹は、興行権を失いました。

これは本来、彼が「王者」でありながら、挑戦者陣営の指定する場所と条件で試合をしなければならない、ということを意味します。

興行権を得たMPプロモーションズは、早速スケジュールを組みました。

複数の海外メディアが「矢吹 vs アルバラードは11月22日にメキシコのエルモシージョで開催される」と報じたのです。

矢吹にとっては、キャリア初のアジア圏外での試合、それも完全な敵地での防衛戦となるはずでした。

そして、最も深刻なのが「お金」の話です。

IBFのルールでは、入札額(3万ドル)のうち、王者の取り分は65%、挑戦者の取り分は35%と定められています。つまりは王者はファイトマネー290万円、という圧倒的に安いファイトマネーで敵地で試合をしなければならない、という状況になってしまいました。

私を含めてこれを心配したファンも多いですが、これを矢吹はSNSで即刻否定。とはいえ、なぜこんな流れになっているのかは謎でしたね。

 

 

 

米国の著名なリング誌 は、「この低額を考えれば、多くの人々が矢吹はベルトを返上し、(寺地拳四朗のように)階級を上げるなど他の選択肢を探るだろう、と不可避だと感じていた」と報じています。

「興行権買い取り」も謎は深まるばかり

「11.22 メキシコ開催」、「王座返上やむなし」、「剥奪の噂」。

この最悪のシナリオから、どうやって「12.27 愛知開催」という大逆転につながったのでしょうか。

10月31日、都内で記者会見が開かれ、「SAIKOU×LUSH vol.4」として、12月27日に矢吹 vs アルバラードが愛知で開催されることが正式に発表されました。

「試合が決まるまで紆余曲折あったこのカード」は、結局SAIKOU×LUSHの興行で実施されることになり、この結果は想定どおりといったところです。

 

 

 

ただし、興行権は、入札によってMPプロモーションズが法的に保有しました。

だからSAIKOU×LUSHはまずこの興行権をMPプロモーションズから買い取りをせねばならず、それはそっくりそのままMPプロモーションズに入るはずですから、ファイトマネーとは別の話です。

これを8万ドルで買い取った、という報道を見かけたので、この8万ドル(1,200万円)というのはまさにドブに捨てたカネ、となるのではないでしょうか。もしくはその差額の5万ドル(750万円)がドブに捨てたカネ、でしょうか。

いずれにしろ、両者のファイトマネーはこれとは別。なので当然、アルバラードにとってもわずかな報酬で世界タイトルに挑戦するより、日本であれ(来日経験もあることですし)より大きなファイトマネーで試合ができることは幸運でしょう。

なぜわざわざ、このようなことになったのか。

それは入札の時期、SAIKOU×LUSHが、というか、LUSH BOMUという会社がゴタゴタしていたということと無関係ではないのかもしれません。いずれにしろ、なんだかこの会社も亀田氏も胡散臭さが満点です。

 

 

 

ちなみにこの興行権というのは、売却可能な資産、として扱われ、売り手と買い手、双方の合意、そして認定団体の合意を得られれば売買可能。なので手続き的には問題がありませんが、仮に入札前にすでに交渉が行われていた、ということであれば、本来入札には至らないはずであり、その交渉時には何らかの理由でSAIKOU×LUSH側が交渉できない、もしくは金銭を用意できない、もしくは交渉のテーブルにつけるだけのエビデンスを保持していなかった、等々、SAIKOU×LUSH側の準備が整っていなかった可能性がある、と思うのです。

結果オーライ?

当然、この開催は結果オーライであり、表面上は何も問題がありません。

プロモーターがいくらカネをドブに捨てようが、どんなに非効率なことをしようが、我々のようにただボクシングを見るだけのファンには何の不利益もありません。

ただただ、矢吹正道が今回のゴタゴタにより、不安定な未来に対して不安な気持ちにならなかったか、それによりトレーニングの密度が下がらなかったか、雑音になっていないか、そしてこの先、彼が望む方向へと伴奏してくれるのか、それが心配です。

当然、我々に見えていない裏側は多くあり、我々は一方向からしか見れておらず、批判をするというのは間違いでしょう。

表面だけを見ているというのは自覚しつつも、そうはいってもやっぱりこの矢吹正道という2階級制覇を成し遂げた稀有なボクサーを、SAIKOU×LUSHというイマイチ得体の知れないプロモーターがコントロールしているというのは、見ていてあまり良い気はしないですね。

▼試合はABEMAでライブ配信

2022MLB

 

 

【宣伝】

日本で手に入りにくいボクシング用品のセレクトショップやってます。

ぜひ覗いてみてください。

<NEW ITEM COMING>FLYのニューグローブ、入荷しました!

 boxingcafe.base.shop

プライバシーポリシー お問い合わせ