今週末は、ラファエル・エスピノサvsアーノルド・ケガイというトップランク興行がありますが、興行として最も注目されるのはクリス・ユーバンクJr.(イギリス)vsコナー・ベン(イギリス)なのかもしれません。
今年4月に行われた初戦はFOTY級の好試合で、ダイレクトリマッチではあるもののその注目度は高い。
しかし、この試合は彼らの階級のトップを決める戦いではありませんし、さらにベンにはドラッグテストの陽性反応という過去もついてまわります。なので、個人的にはあまり乗り切れません。
スーパーライト級プロスペクト、アダム・アジム(イギリス)も登場するし、ジャック・カテラル(イギリス)vsエコウ・エスマン(イギリス)なんていうジョシュ・テイラーを破った者同士の一戦も興味をそそるものではありますが、このPPVファイトを購入するのは悩ましいところ。そう、すべてはコナー・ベンのせいです。
ベンには当初期待をしていたがためにその落胆も大きい私としては、この試合をスルーするかもしれません。そして、「そんなことよりも」と思わせるほど、その翌週に控えるファイトは魅力的です。
その一つは、那須川天心vs井上拓真でもあるのですが、その他にも興味深い試合が盛りだくさんなRING興行。
ということで今回のブログは、11/22(日本時間11/23)に行われるThe RINGの興行から、サム・ノークス(イギリス)vsアブドゥラ・メイソン(アメリカ)のプレビュー。

11/22(日本時間11/23)サウジアラビア
WBO世界ライト級王座決定戦
サム・ノークス(イギリス)17勝(15KO)無敗
vs
アブドゥラ・メイソン(アメリカ)19勝(17KO)無敗
この試合に注目すべき理由はいくつかあります。いや、いくつかではなく、いくつでもあります。
弱冠21歳、若きプロスペクトであり、かつ、ノックアウトアーティストでもあるアブドゥラ・メイソンは、トップランクが早くから目をかけてきたボクサーです。
プロデビューは2021年、この11月で丸4年が経ちましたね。そう、わずか4年です。
アマではUSAのユースタイトルを獲得したメイソンのキャリアは、英国式のキャリアを築いてきたサム・ノークスのそれを明らかに上回っています。
英国式のキャリア、というのは、主に負け越しの相手を選んでキャリアの序盤にぶつける手法で、ヨーロッパ圏によくいる「ジャーニーマン」を相手にしたキャリア。決して否定するものではありませんが、ノークスはキャリアの序盤、特に7戦目くらいまでは明らかにジャーニーマンを相手にしています。
メイソンは、というと、キャリア4戦目には無敗の相手と戦っているのですから、その当たりは同等のキャリアのボクサーを相手に試合をこなしてきた、と言えます。
元々注目株だったメイソンは、現れた敵をバッタバッタとなぎ倒し、アメリカン・プロスペクトとしての立ち位置を明確にしていきます。
そのほころびが見えたのは2024年、ヨハン・バスケス(ドミニカ共和国)戦。
↓観戦記
余裕を持ちすぎたのか、ともかく2度もリングに倒れたメイソンでしたが、最終的にはバスケスをしっかりストップ。しかしこの戦いで、彼はその打たれ脆さを露呈してしまったのですから、ノークスとしてもかなり自信を持って戦えるはずです。
しかし、かなり痛烈なダウンから立ち上がり、何食わぬ顔で相手を圧倒したメイソン、それはそれで恐怖を感じさせるボクサーです。
このダウン経験以降、慎重になるではなく、攻撃性はそのままに打ち終わりを気をつけるようになったように思えるメイソン。細心の注意を払いつつ、多彩なコンビネーションで攻め入る姿は、ボクシングファンとして非常に好むところでしょう。
ここ2戦、カルロス・オルネラス(メキシコ)、ジェレミア・ナカティラ(ナミビア)戦はまさに圧巻のパフォーマンスで、地域タイトルを獲得してのステップアップ。
天才肌のシャープシューター、そしてリングIQの高さも感じさせます。長いリーチを活かしたシャープなジャブ、まるでレーザービームのようなストレートは、アフロ・アメリカンらしいバネと、生真面目さを感じさせるものです。
対してサム・ノークスは、英国期待のプロスペクト。
2019年にプロデビューすると、前述のジャーニーマンとの戦いを終えた2021年にWBCインターナショナルのシルバータイトルを獲得。その後、コモンウェルスタイトルの獲得を経て、BBBofC、WBCインターナショナル、EBUヨーロピアンタイトルといった数々の地域タイトルをコレクトしています。
この間、無敗プロスペクト対決を制し、イバン・メンディ(フランス)、ライアン・ウォルシュ(イギリス)といった大ベテランを撃破。この老練な2人はフィニッシュできませんでしたが、ほぼフルマークの判定で勝ちきっており、だからこそ大きな経験を得たのだと思います。
英国でたまに出てくるフィジカルモンスターでありパワーパンチャーであるのークス。華麗、天才と称されるボクサーではありませんが、被弾を恐れずしつこく前進するハートの強さと、フィジカル、タフネス、パワー、スタミナを持った恐ろしいボクサーです。
この試合の意義
アブドゥラ・メイソンはトップランク、そしてサム・ノークスはクィーンズベリープロモーションの所属です。
一昔まえ、いや、5年ほど前であれば、この試合はWBOから指令された王座決定戦とはいえど、いずれか一方が辞退し、このタイミングでは叶わなかった戦いではないでしょうか。
いずれのプロモーターも、このボクサーに限っては「最低でも世界王者」という判断をしているでしょうから、一発で取らせなければならないのは自社のプロモーションにとって絶対に必要なこと。
しかし、今の時代はプロモーション会社がプロモーションに力を入れずとも高額のファイトマネーでコールされる時代であり、それはすなわち、無敗でなくても良い時代。
そのことにより、この2人のボクサーはこのタイミングで戦えるのだと思います。
アブドゥラ・メイソンは、未来のP4P候補の一人だと思います。それは数年後というよりも10年後の話であり、まだまだこれから大きなキャリアを築く事ができるボクサーです。
一方でサム・ノークスは、メイソンよりも7歳年上、28歳とプライム・タイムに差し掛かっていると言えます。
アブドゥラ・メイソンという稀代のボクサーが、このタイミングで、この危険なボクサーを相手にファーストタイトルに挑まなければならないのは、トップランクの事情もあるはずです。個人的には、このチャレンジは大いに応援したいですし、初めて見た時からこのメイソンには期待していますから、ここは勝ってもらいたいところ。
オッズはメイソン-333、ノークス+350とメイソンが優位。これは、戦ってきた相手とそのスタイルの差、かもしれません。
どちらも底を見せていないボクサーであり、あのノークスのプレッシャーと相対し、メイソンがいつも通り、もしくはいつも以上のボクシングができるのか、あのパワーをガード越しでも食らった時の反応はどうなのか。ノークスはメイソンのようなスピード、キレを経験したとき、いつも通りプレスをかけて捕まえられるのか。
底を見せていないからこそ、これはどちらが上回るのかは全くもってわかりません。
だからこそ、この戦いは非常に興味深いものであり、オッズ差はどちらかというと実力差というよりも期待値の差である可能性が高いです。
アメリカvsイギリス、トップランクvsクイーンズベリー、ボクサーvsファイター。
様々なライバル関係が積み重なった一戦は、この超がつくほどの大注目興行の中でも、最も注目すべき戦いなのかもしれません。
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