井岡一翔のバンタム級参戦、そしてジェシー・ロドリゲスのバンタム級参戦予告。
バンタム級という、日本人にとって特別な階級は、世界を巻き込んだ未曾有の盛り上がりを見せている、といっても過言ではありません。
4強が君臨した時代の「SUPER FLY」に続く、軽量級の主役の階級はこの「BANTAM」です。
ということで、今回のブログでは苛烈を極めるバンタム級戦線について。

いよいよくる、PFP
これまでも井上尚弥、中谷潤人とPFPボクサーがバンタム級で戦っていました。そして、中谷がこの階級を抜けたところで、次のPFPがこの階級に入ってきます。
ジェシー「バム」ロドリゲス、最新のリングマガジンPFPランキングでは4位につけ、これまで3強だったPFPを4強と捉える向きさえもあるボクサーです。将来的に中谷潤人、井上尚弥との対戦も期待されるアメリカのボクサーファイターは、すでにその名が世界中に響き渡っています。
さて、問題はそのバムが、いつ、バンタム級に来るか、です。
早ければ次戦がバンタム級、遅くとも来年の後半にはバンタム級初戦を迎えるのでしょう。
これはIBFのスーパーフライ級の動向にかかっており、12/27に王者ウィリバルド・ガルシアが寺地拳四朗を迎える一戦がタイトルマッチ。この勝者がバムとの4団体王座統一戦に進む、というのがバム陣営が希望している路線ですが、IBFはこの一戦の勝者に対して指名試合をオーダーする予定とのこと。
IBFの指名挑戦者はアンドリュー・モロニー、この試合が来年前半に行われる場合、バムは早々にバンタムに移ってしまうかもしれません。
個人的にはバムにはここで4団体統一を成し遂げてほしい思いもありますし、バムvs拳四朗を是非とも見てみたいと思っているので、IBFは「王座統一戦」を理由として指名戦を延期してほしい。
こういうことは過去にもあったことなので、全く不可能ということはないと思いますが、今回、拳四朗がIBF王座に挑戦するにあたり、すでにモロニーは待たされているような気がするので、もしかしたら厳しいのかもしれません。いずれにしろ、モロニーとしてもこの次の「王座決定戦」の方がチャンスあるような気もしますが。
仮にこの4団体王座統一戦が来年の前半に行われたとするならば、バムはその試合を終わらせてからのバンタム級挑戦となるのではないでしょうか。
いずれにしろ、バムのバンタム級初戦はおそらく世界タイトルマッチ。
その場合、「Mr.ホンダはプロモーション内のボクサー同士を試合させたがらない」と言われていますが、もうそうはいかない感じになってきますね。来年以降のバンタムも非常に楽しみです。
WBA王者、堤聖也と謎の挑戦者決定戦
いったいWBAとは何なのか、という問題。らしさ爆発のバンタム級についてはちょっと整理が必要です。
まずはWBAの正規王者は堤聖也。一時期は休養王者となった堤は、正規王者アントニオ・バルガスとの団体内王座統一戦がセット、その後バルガスが家庭の理由により欠場すると、正規王者に繰り上がり、暫定王者のノニト・ドネアとの団体内王座統一戦に切り替わりました。
なので現状は正規王者として堤聖也、暫定王者としてノニト・ドネア、休養王者としてアントニオ・バルガスという事になっています。
この正規、暫定、休養をまわす判断スピードは謎で早いWBA、12/31に行われる井岡一翔の試合はWBA世界バンタム級挑戦者決定戦、と銘打たれています。
スーパーフライ級での功績もあり、井岡がバンタム級でそれなりのランクを与えられたことはまだ許容できることではありますが、対戦相手のマイケル・オルゴスゴイッティに関しては発表当時ノーランカー。12月発表のランキングではランクインするのでしょう。(このブログを書いているのは11/29、WBAは12/1にランキングを発表するはずです。)
なのでこの挑戦者決定戦を勝利したボクサーは、WBA王者、堤vsドネアの勝者への挑戦権を獲得する、という事になるのですが、これが施行されるかどうかは不明です。
そもそも堤vsドネアの勝者が次に迎えるのは休養王者のアントニオ・バルガスであるはずで、バルガスの休養が伸びさえしなければ、この次にチャンスが回ってくる可能性は低いと言えます。
おそらく、オルゴスゴイッティが勝った場合は、この挑戦権はなかったことにされるのではないか、とも思っています。(自然消滅)
ともあれ、挑戦者決定戦という雑音が入りつつも、ここを落とすわけにはいかない井岡一翔。そしてその勝利の先に見据えるのは堤聖也ではなく、井上拓真の方です。
WBC王者、井上拓真は一気に評価を高めた
堤と拓真、どちらが評価が上か、と問われれば、当然堤聖也。それは直接対決で勝利しているということが大きい。
しかし、実際にもう一度戦うのならば、やはり井上拓真が優位となるのではないか、というのをファンは感じているのではないでしょうか。
前戦は、5回に1度位の確率の勝利を、堤が手繰り寄せたというイメージ。そして再戦があるとするならば、堤は同様の確率の勝利をもう一度手繰り寄せなければなりません。ただし、それは絶対に不可能なことでもない、だからこそ50-50に近い戦いとなるはずです。
とにかく見事としか言いようがなかった那須川天心戦、この戦いは拓真のベストバウトに数えられる試合であり、同時に那須川天心の長いラウンドへのフィット(技術面、戦略面等も含め)という弱点もさらけ出したもの。今のところ、那須川天心は前半からリードしなければ、後半に盛り返される可能性が大きいボクサーであり、少なくとも序盤7Rはフルスロットルで取りに行かなければ世界タイトル戦での勝利が難しい。
こうなると、対戦相手は、最初の7Rで1つでも2つでも取れば勝ち筋が見えてくる、ということになり、この露呈した弱点は那須川にとって非常に厳しく、また、このことのトレーニングとしてはかなりハードルが高いのではないか、と思う次第。
だからこそ、那須川天心が今後どのように化けていくのかは非常に楽しみです。
さて、井上拓真に話を戻すと、もしも5月、東京ドームに出場するのならば、当然最も盛り上がるのは井岡一翔戦です。しかしこの試合をセミファイナルにセットするならば、大橋ジム、というか井上真吾氏の負担が如何ほどか、というのも問題です。
これはちょっと別でやったほうが良いんじゃないか、と思います。本人たちのためにも、そして、ファンのためにも。たぶん情緒が持ちません。
井上拓真vs井岡一翔、この試合は「日本のボクシング」という括りのマスタークラス王座決定戦。どちらがボクシングをわかっているのか、そんな対決です。これは「現在の」ではなく、「オールタイム・ジャパン・ボクシングマスター」選手権の決勝戦。この方向性においては、これほど楽しみな日本人対決はありません。
WBO王者、IBF王者
WBO王者は、武居由樹を倒して王者になったクリスチャン・メディナ。リングマガジンのランキングでは堤についでNo.2にランクされるこの王者は、西田と戦った時よりもパワーが増し、サウスポーへの戦い方への迷いがなくなっていました。
まだ25歳の若き王者は、もしかすると王者たちの中で最も伸びしろのある王者なのかもしれません。
反面、まだまだ穴も多い印象で、武居戦では戦法も対策もどハマりしましたが、完全無欠の王者ではないことも確かで、正面切って戦ってくれないボクサー相手には空転させられる可能性があります。
ただ、現在のバンタム級にダンサーはおらず、それはメディナにとってその実力を遺憾無く発揮できる状況にあるのではないか、とも思います。
現在空位のIBF王座は、12/13(日本時間12/14)、ホセ・サラス・レイジェスvsランディ・ギーケで争われ、ここは長らく指名挑戦者として待たされているレイジェスがAサイド。これは今後のためにぜひとも見たいファイトですが、日本はおろかメキシコ、アメリカでも今の所視聴方法は不明。
バムは誰を狙うのか
バンタム級の中心地は、まだ日本だと思います。
そうなると、バンタム級転級初戦でバムが日本人の世界王者と戦うか、というとそうではなく、少なくとも1つの王座を保持した状態で日本に来る方がファイトマネーを考えた上で適正ではないでしょうか。
つまり、バムが狙うのはWBO王者のヒメネス、IBF王者のレイジェスvsギーケの勝者、と考える方が妥当のように思います。
仮にドネアが堤に勝利したならば、もしかするとバムを迎えるのかもしれません。その辺り、「強敵と戦う」ことに関してドネアは全く恐れを持っておらず、その試合を実現するためのマッチメイク能力にも恵まれているのではないか、と思えるからです。
バムが一体どの王座を狙うのか。
これは、IBFがバンタム級王者に対して指名戦をオーダーするのか、ということが分岐点となり、おそらくそれは水面下で来年初頭に始まるネゴシエーション。その時点でIBFが指令を出すなら早々にバムがバンタム級転級の可能性があり、いずれかの王者との交渉を始めていくのでしょう。まずは来年早々の動きに要注目ですね。
敗者たち
2025年も大きな動きがあったバンタム級。
2月、比嘉大吾は堤聖也に挑んでドローで王座獲得ならず、そして7月、アントニオ・バルガスに挑んでドローで王座獲得ならず。
ここまでバンタム級王座に拒絶されることはない、と思われるほどの3連続王座戦を経て、比嘉大吾はまだ正式に引退を表明していません。あと一歩、いや半歩、いや、親指一つ分。是非ともその勇姿を見たい。ただ、おそらくノンタイトル戦等ではこの3戦ほどの気持ちを作れないでしょうから、また足掻く時間は必要なのかもしれません。
そんな比嘉大吾に2024年に勝利し、今年5月の試合では会心の初回TKO勝利、順風満帆に思われた防衛ロードは、クリスチャン・メディナによって突然の終演を迎えさせられました。
4RTKO負けというショッキングな敗戦、武居もまた、穴が多くともそれを補って余りある魅力に溢れたパンチャーで、今後のキャリアも期待せずにおれません。
そもそもこの階級にとどまるのか、というのは、体の大きな武居にとっても悩みどころの一つ。いずれにしろ、世界タイトル奪還の機会はまだ先でしょうから、井上尚弥が去ったあとのスーパーバンタム級を狙う、というのは一つの選択肢として大いにアリだと思います。
そしてその武居との対戦が熱望される那須川天心。何も考えずにいけば、これで武居vs那須川をやっても良いかもしれませんが、結局のところ興行的にはまだそのタイミングではないでしょう。
この2人は、是非ともプライムタイムでぶつかるべきで、武居が29歳、那須川が27歳ということを考えれば、あと2〜5年くらいがベストタイミングと言えるでしょう。ナチュラルボーンファイターである彼らは、きっと体の管理もしっかりとしているから、それぐらいはプライムタイムとして持つだろう、という算段です。今の時勢を考えるともっと持つかも。
この戦いは、井上尚弥vs中谷潤人と同様に一つの区切り。キックボクシングから来た期待のボクサーたちが、そのすべてを集結して臨むべき戦いです。是非とも相まみえるまでに実績を積み重ねてもらいたいですね。
最後にバンタムではありませんが、まだランキングに入っているので言及しておくと、スーパーバンタム級での西田凌佑にも期待しましょう。そろそろ復帰戦の報せが来ても良いころかと。
ということで来年もまた、楽しみなバンタム級。2026年もビッグな年になりそうです。
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