さほど日本では注目されない、ヘビー級暫定タイトルマッチ。
しかし暫定王者、アギット・カバイェルは、ドイツというボクシング競技にとっては恵まれない環境から産まれた好ボクサーです。恵まれない、というのは、盛んではない、という意味ではなく、欧州のボクシング大国といえばイギリスですから、なかなか日の目を見づらい、という意味です。
元々土壌としては格闘技の土壌があり、フィジカルが強く、強者が多いわけですが、チャンスを掴みづらい。
そんなドイツからこのカバイェルをピックアップしたのは、トゥルキ・アラルシクの功績の一つであると思います。
さて、ということで今回のブログは、ドイツで行われた「The Homecoming」興行の観戦期。

1/10(日本時間1/11)ドイツ
WBC世界ライト級暫定王座決定戦
ハディエル・ヘレラ(キューバ)17勝(15KO)無敗
vs
リカルド・ヌニェス(パナマ)26勝(22KO)7敗
恥ずかしながら知りませんでしたが、このヘレラvsヌニェスという一戦はWBC世界ライト級暫定王座決定戦だそうです。
「暫定」にする必要がもはやあまりなく、現在のWBC世界ライト級王者はシャクール・スティーブンソンで、このシャクールは今月末、WBO世界スーパーライト級への挑戦が決まっています。
おそらくシャクールはもうライト級に戻ってこないのだから、ここは王座決定戦で良いでしょう。ここに勝利したボクサーは、来月にもWBC世界ライト級王者となると思われます。
WBCランキングは、1位にリカルド・ヌニェス、2位にウィリアム・セペダ、3位にハディエル・ヘレラ。1位と3位の決定戦、となりますね。
初回、まずリング中央で向かい合う二人、ヘレラがでかい。というか、長い。
サウスポースタンスに構えるヘレラは長いボディジャブ、スピーディなワンツーです。ヌニェスはフェイントをかけてインサイドに入ろうとしますが、やや固いか、リターンでヘレラのコンビネーションを浴びます。
しかし後半、強い右ボディでヘレラを下がらせたヌニェス、続いてジャブからの右オーバーハンドをヒットするとヘレラがダウン!!
これを機に一気にエキサイト!攻めるヌニェスですが、ここは時間切れです。
2R、波乱の立ち上がり、ヘレラはボクシングを立て直すかのように細かいジャブ。なかなかインサイドに入れないヌニェスではありますが、そのパンチは非常にパワフルで、特に右ボディは軌道、タイイングともに良いですね。
3R、プレスをかけはじめたヌニェス。ジャブからの右ボディストレートを入り口にしよう、という感じですが、ここにヘレラは左カウンターをあわせようとしています。
ヘレラは回転力があり、反応がよいですね。ヌニェスは近い距離で力強いパンチを打ち込んでいきますが、ヘレラも退きません。
4R、前半、ヘレラの長い左がヒット。これが非常にスムーズで、更に速い。
中盤、攻め込むヌニェスに対してショートのカウンターをヒットしたヘレラ、後半にもコンビネーションで左ストレートをヒットしています。
5R、ちょっと揉み合いの展開が多くなってきています。これはヌニェスが距離を詰める事ができている、ということなのでしょう。
ヘレラは足を使う事が多く、近い距離でヌニェスが奮ってくればカウンター。
そして徐々にダメージをあたえていっているのか、終盤、左をヒットしています。
6R、随分エンジンのかかってきているヘレラ、左から入るパターンがヌニェスには超有効。ヌニェスもミスブローが増えていますが、とにかく空振りしても手は止めません。
近い距離では頭をつけてガチャガチャと攻めるヌニェス、もちろんこの戦法はエリートボクサーに対して非常に有効なものです。
7R、お互いの奥手をいかに当てるか、というオーソドックスvsサウスポーの戦いは、まっすぐのジャブ、まっすぐのストレートを持つヘレラと、分かりづらい軌道を持つヌニェスの戦いです。
もつれ合うほどの近い距離での立ち回りも非常に重要で、いずれにしてもこれまでの戦いはヘレラが上回っていそうです。ただ、お互いにパンチは当たっていますから、ヌニェスが振り回す分、初回のようなダウンをまた奪えそうな展開でもあります。
ヘレラにとってもキャリア最大、苦労している試合に数えられるでしょう。
8R、相変わらず突進して近い距離で戦おうとするヌニェス、ヘレラは疲れもあるのか、この距離で付き合います。
中盤、ヌニェスのアッパーが良い感じに当たり始めますが、しかし接近戦をやめないヘレラ、後半にはいったところでショートの左を振り抜きます。
大きく顔を揺らしたヌニェス、もしかすると一瞬でも気を失ったかもしれません。
ここを一気呵成にラッシュをかけるヘレラ!レフェリーは後ろからヘレラにしがみつき制止、試合はストップ!!!
ハディエル・ヘレラ、8RTKO勝利!
まだやれるアピールをするリカルド・ヌニェス、若干早いストップではあったものの、あのままヘレラの連打にさらされていれば危険だったでしょうから、ナイスストップと言えるでしょう。
WBC世界ライト級に、新王者誕生。
今試合はヘレラにとってもなかなか試練の試合ではありましたが、この試合を経てまだまだ強くなる王者でしょう。今後の活躍に期待ですね。
WBC世界ヘビー級暫定タイトルマッチ
アギット・カバイェル(ドイツ)26勝(18KO)無敗
vs
ダミアン・クニバ(ポーランド)17勝(11KO)無敗
さて、メインイベント。
イベント名が「The Homecoming」だけあって、このカバイェルへの期待を大きく大きく感じます。観客もたくさん入っていますね。大きな会場が満員に見えます。
このカバイェルは、絵に書いたような「Bサイドからの成り上がり」を見せたボクサーですから、この景色は本当に素晴らしいものです。まさにリヤド・ドリーム、地元の英雄を大歓声が迎えます。
先にコールされたクニバにはもちろんブーイング、しかしクニバはデカい。そしてカバイェルには大きな大きな歓声。
初回のゴング、まずはクニバがサークリングしながら細かくジャブ。当然、インサイドに入らなければ勝負できないカバイェルはプレス。
クニバはジャブだけでなく、コンビネーションも良いボクサーで、さらにカバイェルが近づくとクリンチ、この戦い方でこれまでも勝ってきたのでしょう。
スピードのあるボクサータイプに対して、プレスをかける方は特に序盤、優位には立てない事は尋常のことです。カバイェルはプレスをかけつつも焦る必要はないでしょう。クリンチに逃げられるも、距離を詰める事自体はできています。
と思っていましたが、クニバの外から回る右、アッパーはカバイェルを捉えることも多く、やはりこれをもらいすぎると良くはありません。
会場は「アギ」コールの中ですが、カバイェルは早々に右まぶたをカット。右まぶたなので左をもらっているのでしょうか右をよくもらってしまっていたイメージでしたが。
2R、思わぬディスアドバンテージを与えられてしまったカバイェルですが、当然引き続きプレス。相変わらずクニバのコンビネーションは良いですが、カバイェルもボディを起点としてインサイドに入り、パンチをつなげる事ができ始めました。
そして早々にパンチを顔面に返し始めます。もうちょっと辛抱強くボディを叩いても良いのではないか、と思いますが。
クニバのアッパーは非常に良いですが、カバイェルの攻撃がクニバに届くと大歓声、この歓声に後押しされてカバイェルはいつまでも強気です。
後半に入るとジャブも届き初めたカバイェル、クニバは徐々に苦しくなってくるか。
3R、開始早々にカバイェルの飛び込み左フック。細かいジャブをつくクニバに対し、カバイェルは頭を振って距離を詰め、大きな右。
突き放すような左右のストレートを多用するクニバですが、カバイェルの突進はこれでは止まらないようです。もっと初回のようなオーバーハンド気味の力強い右が必要そうですね。
と思った中盤、そのオーバーハンドをヒットさせたのはカバイェルの方で、この右でクニバは一瞬、ぐらり。
カバイェルはそこから力押しで攻めるか、と思われたところで上から下へ巧く打ち分け、クニバのジャブを気にする素振りも見せないプレスで強者のボクシング。もしかしてこの試合、ここでようやく冷静になったのかもしれません。
ジリジリとプレスをかけ、右を2発、3発と打ち込むカバイェル!近い距離となってまるでハンマーで叩きつけるような右!これで大きく体が泳いだクニバ、レフェリーはストップ!!!
アギット・カバイェル、3RTKO勝利!!
身長差をものともせず、素晴らしいノックアウト勝利を飾ったカバイェル。ダミアン・クニバは非常に良いスタートを切りましたが、ちょっと近い距離でカバイェルの右に対して無防備すぎました。
カバイェルは元々上下の打ち分け、アングルを変えてのラッシュは素晴らしいですが、今回は特に序盤、力みからなのか相手がデカかったからなのか、なかなか出ませんでしたね。それが出始めてからのカバイェルは圧巻でした。
「ウシク後」のタレントがどんどん揃うヘビー級。
今年はどんな戦いが繰り広げられるのでしょうか。2026年のヘビー級の戦いも楽しみにしましょう。
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