今年に入ってもう半分が経過しようとしています。
そういえばうっかり忘れてしましたが、毎年の年始め、日本人世界王者の期待と展望記事を書いていたのを思い出し。
別にルーティンにしているわけではありませんが、毎年書いているのでせっかくなので今年も書きましょう。
ということで今回のブログは、2026年の日本人世界王者たちの展望記事です。
↓2025年は9人もいました。
2025年は6人ですね。
※2023年の初頭は4人、2022年は8人。定点観測をするとなかなか面白いものです。

WBA世界ミニマム級王者
松本流星(帝拳)7勝(4KO)無敗
2025年、多くの帝拳ボクサーたちが世界のトップ戦線に挑みましたが、結果的に王者のまま年を越せたのはこの松本流星ただ一人でした。
デビュー当初からすでに異彩を放っていたこのミニマム級は、わずか7戦目ながらも満を持しての世界挑戦という雰囲気が出るほど落ち着いていました。
2025年9月、名古屋のIGアリーナ、井上尚弥vsムロジョン・アフマダリエフのアンダーカードで行われたこのファイトで、松本は国内最強のライバルとも言える高田勇仁(ライオンズ)に勝利。
この戦いは5R負傷判定勝利、という結果で、おそらく本人も納得性は乏しいものでしょう。
ただ、そこまでのラウンドでポイントをピックアップしていたのは間違いなく松本であり、ルールに則っての勝利ですから、文句のつけようはありません。
ただ、やはり王者の証明は2026年にやるべき大きな使命。
元々この階級にはWBAスーパー・WBOの統一王者であるオスカー・コラーゾ(アメリカ)が君臨しています。そしてこのコラーゾは、2025年末、滑り込みでリングマガジンのPFPランキング10位にランクイン。
WBAのレギュラー王者である松本は、現状、コラーゾへの挑戦権を有していない、セカンダリー王者です。
これはWBC王者のメルビン・ジェルサェム(フィリピン)やIBF王者のペドロ・タドゥラン(フィリピン)といった王者たちとは立場が異なります。
今にもミニマム級を飛び出してしまいそうなコラーゾ、これをなるべく追いかけてほしい。それには、早々の統一戦が必要なわけですが、帝拳には高見での失敗もあり、なかなかそうはいかないでしょうね。
IBF世界フライ級王者
矢吹正道(緑)19勝(18KO)4敗
2025年、3月にアンヘル・アヤラ(メキシコ)に12RTKO勝利してIBF世界フライ級王座を獲得、見事2階級制覇を成し遂げた矢吹正道。そして12月、そのタイトルをフェリックス・アルバラード(ニカラグア)を相手に防衛、これも12RTKOで降しています。
これらの素晴らしいファイトの映像が、限られた中でしか回っていないのが非常に残念。試合を中継するABEMAは国内限定で、海外のファンは違法アップロードされたものを見る他ありませんから、矢吹正道の名が世界中のボクシングファンに知られることはありません。
アヤラ戦は確かESPN knockoutが中南米では中継していたような気がしますが、いずれにしろ、このボクサーはもっと世界的評価を受けて良いボクサーでしょう。
とにかく2025年は矢吹にとってビッグイヤーで、無敗のアヤラ、そして不倒のアルバラードを完璧にストップしてみせたそのキャリアは、モンスターさえいなければ国内のFighter Of The Yearを受賞してもおかしくないものです。
転級2戦ですでにこの実績を残している矢吹に望むことは、もちろん、フライ級の統一王座戦。
対抗王者はWBOにアンソニー・オラスクアガ(アメリカ)、そしてWBA・WBCの統一王者にリカルド・サンドバル(アメリカ)。
現在矢吹はサンドバルに対戦要求、過去にはオラスクアガにも対戦要求をしたことがあります。どちらと決まったとしても、これはものすごく興味深いファイトですね。
いずれにしても、IBFの指名戦をクリアした矢吹は、次は選択防衛戦。これは、IBFからの横槍が入らないはずなので、王座統一戦の話は進めやすくなるはずです。
大人の事情で決まりづらいオラスクアガなのか、統一王者としてGBPという強いプロモーターをバックにつけるサンドバルなのか、いずれにしても一筋縄ではいかないでしょう。
矢吹さえ良ければ、アメリカでサンドバル挑戦というのは悪い案ではないと思いますが、どうでしょうか。
WBO世界フライ級王者
アンソニー・オラスクアガ(アメリカ)11勝(8KO)1敗
日本国籍は有していませんが、日本人世界王者としてもカウントしても良いぐらいのオラスクアガ。
2025年は京口紘人(ワタナベ)、ファン・カルロス・カマチョ(プエルトリコ)、そして年末に桑原拓(大橋)を退け、3勝(2KO)で終えています。
これで4度の防衛となったオラスクアガは、当面の目標であった5度防衛まであと一つ、次は誰がこの王者に挑むのか。
京口戦ではパワーだけではないインテリジェンス、ボクシングの幅を見せたオラスクアガですが、その魅力はやはりそのパワーと倒しっぷりです。
指名戦はファン・カルロス・カマチョ戦で終えているオラスクアガも、矢吹同様、今は自由に挑戦者を選べる立場にあり、そしてこのボクサーが目指すのもまた、王座統一戦です。
カマチョ戦後、寺地拳四朗との再戦を望んでいると発言したオラスクアガ。しかし拳四朗はすでにこの階級におらず、そうなると矢吹、サンドバルがターゲットですね。
矢吹との試合はやってほしいですが、ユーリ阿久井との試合も見たい。
オラスクアガvsユーリ阿久井というのは、セニョール本田がGoサインを出せばすぐに決まる試合でもあり、決まったら決まったでこれはどっちにも勝ってほしいファイトにはなりますが、ビッグマッチになりますね。
東京ドームに組み込まれても良いレベル。
WBA世界バンタム級王者
堤聖也(角海老宝石)13勝(8KO)無敗3敗
決して「絶対王者」というイメージはわかないですが、現代においては最もエキサイティングな王者、「サイクロン」堤聖也。
2025年は2戦、休養王者期間をいれての年2戦というのは非常にアクティブだったと思われます。
2月、比嘉大吾(志成)と3者ともに114-114というドローを演じた堤は、12月、ノニト・ドネア(フィリピン)に勝利して、井上拓真から奪ったWBA王座の2度目の防衛に成功しています。
日本国内で絶対的な地位を確立した堤の次戦は、休養王者、アントニオ・バルガス(アメリカ)でほぼ決まりでしょうか。
バルガスは手数が多く、かつ、エンジンのかかりが遅いボクサーで、堤もどちらかというと後半に強いボクサーですから、これはまた尻上がりに盛り上がる大激闘の試合となりそうです。
この試合は是非今年前半にやってもらいたい。
そして後半はまた彼の動向が楽しみになるわけですが、さすがにドネアとの再戦はご容赦いただきたいところ。
負けてなお1位に居座るドネアは、即時世界戦を要求。しかしランキングのその後を見れば、那須川天心、井岡一翔、増田陸が控えている状況です。
この中では、増田陸との再戦というのも興味深いですが、例えば武居由樹(7位)とのファイトも非常に興味深いですし、現在10位にランクされるケネス・ラバー(フィリピン)戦もまた興味深いものです。
名勝負製造機、堤聖也に関しては、見たい対戦相手が多すぎます。
誰と戦っても素晴らしいファイトになりそうですが、一戦ぐらいはほんの少し気の抜ける防衛戦を挟んでも良いかも、とか思ってしまいますね。
WBC世界バンタム級王者
井上拓真(大橋)21勝(5KO)2敗
2025年はわずか一戦、それでもその一戦で大きなインパクトを残した井上拓真。
2024年10月、堤聖也に敗れ、王座を失った井上拓真は、その後、怪我もあって復帰が遅れて、2025年11月に13ヶ月ぶりのリング復帰。
しかもその相手は那須川天心、元々そのクイックネスとキックボクシング時代のキャリアにおいて、日本国内では大いに期待されていたボクサーは、ジェイソン・モロニー(オーストラリア)を破って一気に国際的な評価も高めていました。
海外オッズは、那須川天心が優位というオッズ。コアなボクシングファンは井上拓真の勝利を予想、というか、「期待」に近かったものだとも思います。
序盤2ラウンド、那須川天心はその強さを存分に示しましたが、その後、井上拓真が盛り返したこの一戦は、Fight Of The Yearにも数えられる素晴らしいファイトになりました。
この試合で殻を破った、とされる井上拓真は、今度こそ大きな飛躍の年になりそうです。
2024年、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を9RKOして「殻を破った」と言われた井上拓真ですが、やはり対戦相手によりモチベーションに左右されるのは仕方のないこと。
なので拓真が良いパフォーマンスを見せるには、何よりもその対戦相手こそが重要になってくるのでしょう。
ということは、東京ドームで予定される井岡一翔戦というのは、井上拓真の好パフォーマンスを引き出すには絶好の相手、とも言えます。
あとはもちろん、一度敗れた堤聖也戦というのも拓真にとってモチベーションの上がる相手でしょう。
前述の通り、バンタム級という階級は、我々日本のボクシングファンにとって実力が明らかなボクサーが多く、こちらもまた、誰とやっても面白いと思っています。
できれば、井上拓真vs堤聖也は4団体統一戦で見たい、というのは贅沢でしょうか。
世界スーパーバンタム級王者
井上尚弥(大橋)32勝(27KO)無敗
もはや何も言う事ができないキャリアを歩む井上尚弥。
2025年はキム・イェジョン、ラモン・カルデナス、ムロジョン・アフマダリエフ、そして年末にアラン・ピカソと4勝、自身のフラストレーションは溜まる試合もあったかもしれませんが、将来、振り返ってみればとてつもないレジュメです。
そしてもちろん、期待されることは5/2と言われている東京ドームでの中谷潤人(M.T)戦。
中谷はセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)戦で苦戦、評価を落としたとか井上と戦う必要はなくなっただとか言われていますが、ボクシングファンならばそうは思わないでしょう。思えない、といった方が正しいか。
わずか1戦で評価が上がったり下がったりするのはボクシングの常ではありますが、一つの試合で期待値より低い結果を出したボクサーが、次の試合では見違えるようなパフォーマンスをしてきた、という事実は、枚挙に暇がないほどあります。
そして、エルナンデスは間違いなく異常なほどのタフネスを有していた事は明らかであり、あれはエルナンデスのタフネスとファイティングスピリッツを褒めるべきでしょう。
ともあれ、この5月の東京ドームは絶対に会場に行かねばなりません。すでにホテルは抑えました。あとは発表を待つのみですね。
そして、「その後」です。
今、世界の話題は井上vsバムに向いているらしい。
バムがここから2階級上げて、井上尚弥と闘う、というのであれば、それは歓迎すべき事だと思います。
もしバムがいきなりスーパーバンタム級にあげて井上尚弥と戦いたい、というのであれば、井上陣営として断る道理は全くなく、この挑戦の決定権は間違いなくバム側にあります。
これを無謀と笑うのか、それとも、引退が近いと言われるPFPに挑む挑戦として捉えるのか、というと、もはや現代においては後者の感覚が普通でしょう。
もしバムが井上に勝てば、クロフォードがカネロを攻略した以上の偉業と言えます。バムがそれを目指してくるかどうか。
井上にとっても、仮に5月に中谷に勝利した上で、12月にバム戦が実現したとするならば、これ以上ないほどの評価を得られる事になると思います。そうなれば、「やり残し」や「If」は一切なく、2027年、未知なるフェザー級転級がスムーズにいくでしょう。
そんなことになれば2026年は日本ボクシング界にとって、有史以来のビッグイヤー。実現可能性は低くても、心の何処かでその期待をしたい。
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