結局、IBFはこのオペタイアvsグラントンの戦いを、IBF世界クルーザー級タイトルマッチとしては承認せず。
なのでこの戦いは、ズッファボクシングのクルーザー級王座決定戦と、そしてもう一つ、リング・マガジンベルトがかかったタイトルマッチとなりました。
IBFはオペタイアからIBF王座を剥奪する方向性のようですが、IBFが承認しない戦いを戦った、ということは剥奪の対象になるのでしょうか。指令とかでてましたっけ。教えて詳しいひと。
ということで今回のブログは、ジャイ・オペタイアvsブランドン・グラントンの観戦記。

3/8(日本時間3/9)アメリカ・ラスベガス
ジャイ・オペタイア(オーストラリア)29勝(23KO)無敗
vs
ブランドン・グラントン(アメリカ)21勝(18KO)3敗
ズッファボクシングのベルトが格好よくない、とか色々言いたいことはあります。ただ、基本的にはオーストラリアというボクシング興行についてさほど恵まれない地から出てきたジャイ・オペタイアのその判断を応援しています。
どんなに強さを見せても、ビッグマッチにたどり着けない彼の今回の判断は、リヤドシーズンでお世話になった恩返しの一つなのかもしれないし、ただ単にこの道を行けば望む試合ができそうだと思ったのかもしれません。
いずれにしろ、ここで負けては始まりません。
いよいよラスベガスの地に降り立ったジャイ・オペタイア、そのパフォーマンスに期待。
初回のゴング、まず軽やかなステップワークからいきなり左を伸ばしていくオペタイア。戦前の予想通り、グラントンはジリジリとプレスをかけていき、それをオペタイアがボックスするという展開です。
オペタイアは若干のジャブを散らしつつ、左をしっかりと伸ばしており、これがまたタイミングが良い。グラントンはプレスをかけるもインサイドに入れない、どころかパンチを届かせることすら難しい状態が続きます。
ただ、これはファイターvsボクサーという構図にありがちなことで、こと前半についてはボクサータイプに優位に働くことが多い。それはオペタイアという抜群のスキルを持つボクサーに対してはなおさらです。まず、グラントンは入り方を学ばなければなりません。
2R、オペタイアが差し込むような右のリードブローから、強い左ボディストレート。おいかけるグラントンもボディジャブ、しかしこれも距離とポジショニングで外されています。
しつこい前進で追いかけていくグラントン、しかしオペタイアを削れているか、というとまだ難しいか。
常に動き続けるオペタイア、追いかけるグラントンは立ち位置、スタンスが安定せず、強いパンチを打つ事すらできません。
3R、グラントンが入ってくるところにオペタイアは右のアッパー。これは巧い。
射程距離に入ればコンビネーション、これをグラントンはその場でブロッキングしてしあうから近づけません。ここでグッと距離を潰せれば良いのでしょうが、オペタイアのパワーとスピードはそれをさせないのでしょう。
若干密着状態になることも増えてきましたが、グラントンの功績ではないように見えます。
4R、いよいよプレスを強めたグラントン。良い判断だと思います。オペタイアもやや足を使い切れず、距離が詰まる場面も出てきましたね。
しかし中盤、オペタイアはフック、アッパーを混ぜたコンビネーション、打った後もしっかりと頭の位置を替えるしたたかさをもっています。
近い距離でもアッパーをヒットしたオペタイア、スキルの差は歴然ですが、あとは果たしてグラントンのタフネスがどうか、というところ。
5R、プレスをかけるグラントン。密着状態になったところから彼のワイルドなパンチは打てず、この距離でもオペタイアが巧くパンチを差し込んでいます。
ただ、グラントンとしてはこの密着状態で削っていきたいところ。そろそろ自分の望む展開になってきたか、というところですが、それでもこの距離でもオペタイアの回転力、パンチの的確性が勝っているように見えます。
後半、密着状態から半歩下がった距離でオペタイアが右アッパーからのコンビネーション。これを被弾するグラントン、もう随分とダメージを溜めているようにも見えます。
6R、とはいえ、ガツガツいって泥試合を目指すほかないグラントン。これにオペタイアは若干巻き込まれながら、そしてここでも強さを見せようというばかりに打ち合います。
距離が若干でも離れるとオペタイアのジャブ、長いストレートが飛んできて、グラントンがインサイドに入ればオペタイアのコンビネーション。
ここまでのパンチスタッツはオペタイアが96/235、グラントンが55/160と圧倒的なもので、さらにグラントンはここでホールドの減点。ホールドじゃなくてバッティングか?ともあれ、この時点でグラントンはもう倒す、もしくは最低でも一つのダウンを奪うほかありません。
頭を低くして(それが危ないのですが)相手を見ずいがむしゃらにパンチを放っていくグラントン、こういうボクサーはもちろん嫌いではありません。
7R、改めてステップを取り戻したオペタイア、中間距離からのコンビネーション。オーストラリアという地で、これほどの体格を持っていながらボクシングを選んだ事に(ラグビーやオーストラリアンフットボールに行かなかったことに)感謝しかありませんね。
押してくるグラントンに対しても押し返すオペタイア、このラウンドも中間距離でも密着状態でも優勢を保っているように見えます。
8R、このラウンド、グラントンがローブローでオペタイアが膝をつきます。この試合2度目の中断です。
ボディから崩していくしかないグラントンからすると必死で、仕方ない事ではありますが反則は反則、ここでグラントンはさらに1ポイントの減点を受けています。
ここを挽回しようと必死に食らいつくグラントン、オペタイアは大きくサークリングして強い左ショット、足が止まることもなく、高く掲げた両の手がルーズになることもありません。
9R、中間距離で、まるでジャブを打つかのようにノーモーションで飛んでくる左。グラントンは結局これに対処ができず、そこから軌道を変えて飛んでくるアッパーにも対応はできません。せいぜいガードを固めることぐらいで、攻めなければいけませんが手数が出ない状況。
なんとも見事なボクシングを披露し続けるオペタイア、それでもこの異常なタフさを誇るグラントンは前進を辞めません。
10R、大逆転に望みをかけるグラントンですが、「これが当たればオペタイア危うし」みたいなところすらもありません。
オペタイアは非常に冷静で、相手をよく見てパンチセレクト。全く隙を見せません。
どころかグラントンが不用意に放ったジャブに、前手のアッパーをあわせ、固まるグラントンのガードの間隙を縫ってフック、アッパーをヒット。
11R、何かが起こる気配が全くありません。しかしそれでも、未だ勝利を諦めないブランドン・グラントン、ラフになりながらももがきにもがきます。ここでまたグラントンに減点、今度はホールディング。
もちろん褒められたものではありませんが、この勝利への執念は認めましょう。
このラウンドのグラントンは、とにかく相手を打ち倒そうと猛烈な手数を出し、減点はありましたがとにかくオペタイアを困らせるボクシングができています。ただ、やはりパンチの的確さ、そして見せ方はオペタイアか。
ラストラウンド、当然グラントンは前進してパンチを振るいますが、オペタイアも安心して逃げ回るでもなし、油断もなし。このボクサーを崩すのは至難の業です。
オペタイアには全く遊ぶところがなく、両手の高さは初回と変わらず、しっかりとコンビネーションを突き刺し、楽をしようというところが一切見えません。
オーストラリアのボクサーは誰しも非常に勤勉で、だからこそ私は彼らを好みます。
そして後半に入った所で、オペタイアの左がヒット。逆に集中力が切れかけていたのはグラントンだったか、グラントンがいよいよぐらり。
ここでもヘッドハンターとならず、右ボディから入るオペタイア、ここまで幾度もヒットしている右アッパーをコンビネーションに織り交ぜます。
そしてこの右アッパーをヒットしたところで終了のゴング、オペタイアの素晴らしいボクシングと、グラントンの心と身体のタフネス、存分に楽しめた試合でした。
パンチスタッツは、オペタイア250/574、グラントン118/299。
判定は、119-106×3、ジャイ・オペタイア。
ズッファボクシングのミライ
完勝というか圧勝だったジャイ・オペタイア。スルド・ラミレスがいようとも、デビッド・ベナビデスが来ようとも、やはり個人的にはオペタイアを最強と信じたいし、応援します。
しかし今回獲得したズッファボクシングのベルトを、今後オペタイアは防衛していくのでしょうか。勝利者コールのあと、ズッファベルトを腰に巻き、IBFベルトとリングベルトを肩にかけたオペタイア。
やはり彼は4団体統一に並々ならぬモチベーションを見つけているのだから、本来、この試合は寄り道として認定されないか。
ズッファボクシング、今はまだ良い。
しかしズッファボクシングがオペタイアや他のボクサーを使って権威を手に入れたあと、見えているのはUFCモデルなわけで、それは後に続くボクサーたちにとっては全くもってありがたくないことです。
まずはオペタイアが、これからズッファの庇護のもとでも何でも良いので、4団体統一に向かっていけること。
そして、我々の考えてしまう未来、UFCモデルがボクシング界に訪れないこと。
この2つを望むのみ。
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