週末はU-NEXT BOXING 5。
トリプルタイトルマッチ+挑戦者決定戦という長時間興行、日曜日というのと、始まる時間が早いのはありがたいことです。
しかし、同日には海外ファイトでもいくつかの注目ファイトがあるため、ボクシングファンにとって忙しい1日になりそうです。
その中でも最も注目すべきは日本で行われるU-NEXT BOXING興行なわけですが、日本のボクシングファンとしてもバルボサvsシムスJr.には、もっと言えばそのアンダーカードには注目セざるを得ません。
ということで今回のブログは、アーノルド・バルボサJr.vsケネス・シムスJr.、そしてその共同メインにセットされたオスカー・コラーゾvsヘスス・ハロのプレビュー記事。

3/14(日本時間3/15)アメリカ・カリフォルニア
アーノルド・バルボサJr.(アメリカ)32勝(11KO)1敗
vs
ケネス・シムスJr.(アメリカ)22勝(8KO)3敗1分
アーノルド・バルボサJr.というボクサーはなかなか不思議なボクサーです。
安定感のあるボクシングで以前から評価が高かったものの、チャンスを掴むことができたのはわずか2〜3年前ほどからで、それでも彼の実力が実力通りに評価されているかどうかは疑わしいところです。
はやくから評価を得ていたバルボサは、2022年、当時無敗のダニエリト・ゾリラを撃退、その後ホセ・ペドラサ、スリサニ・ンドンゲニと言った元王者、世に聞こえた強豪を破っています。
さらに2024年、ホセ・カルロス・ラミレスをも破ったバルボサは、ジャック・カテラルにも勝利。無敗のまま、プロデビューから12年もの歳月を経てようやく正規の世界王座初挑戦となりました。
昨年5月、テオフィモ・ロペスの持つWBO世界スーパーライト級王座に挑んだ一戦では、とにかくロペスのパフォーマンスがよく、初黒星を喫したものの、確かな実力を示したファイトでもあったと思います。
彼のスタイルは、まさに教科書です。無駄な動きを削ぎ落とし、ジャブを基点に試合を組み立てる。相手の攻撃をバックステップ一つでいなし、すかさずリターンを返すその正確性は、対戦相手からすれば「穴が見当たらない」絶望感を与えるものです。ただ、その手堅すぎるがゆえに、ビッグマッチのチャンスをなかなか掴みきれなかったという皮肉なキャリアでもあります。
今回はウェルター級での初戦、34歳という年齢を考えれば、ここでの躓きは世界への道が完全に閉ざされることを意味します。これまで以上に「負けられない」というプレッシャーの中で、彼がどれだけ冷徹に、いつもの「正しいボクシング」を貫けるかが焦点です。
対するケネス・シムスJr.も、苦労人という点ではバルボサに負けていません。キャリア序盤に喫した敗戦から学び、近年は目覚ましい進化を遂げています。特にバティルザン・アフメドフとの激闘を制したあたりから、単なるアウトボクサーではない「タフネス」と「勝負強さ」が備わってきました。
シムスの魅力は、バルボサとは対照的な「柔軟性」にあります。スイッチを織り交ぜ、角度を変えて放たれるパンチは、バルボサのような正統派にとっては非常に読みづらいはずです。また、懐の深さを活かしたディフェンスも一級品で、バルボサの正確なジャブにどう反応し、自分から「崩し」を仕掛けられるかが鍵となるでしょう。
この試合、おそらく派手なダウンの応酬にはならないと思うのです。むしろ、12ラウンドをフルに使った、非常に高度な「技術の削り合い」になる予感がします。
バルボサが完璧な距離でジャブを突き続けるのか。それともシムスがそのリズムを嫌い、インサイドに潜り込んでバルボサの均衡を崩すのか。中盤以降、どちらかのスタミナ、あるいは「集中力」が僅かに途切れた時、試合は一気に動くはずです。
大きな山場こそ期待できませんし、エキサイティングとはかけ離れた試合になるとは思いますが、多くのボクサーが参考になる動きは見れるのではないでしょうか。
この試合はファイトではなく勉強、スタディです。
現役ボクサーが見るべき試合の一つなのかもしれませんね。
WBA・WBO世界ミニマム級タイトルマッチ
オスカー・コラーゾ(プエルトリコ)13勝(10KO)無敗
vs
ヘスス・ハロ(アメリカ)13勝(2KO)3敗
続いて、ダブルメインイベントと言っても過言ではないのが、ミニマム級で「最強」の呼び声高いオスカー・コラーゾの防衛戦です。
オスカー・コラーゾを見ていると、ミニマム級という階級の概念が揺らいでしまいます。13勝のうち10KOという数字以上に、彼のパンチが相手に与える「衝撃」が重すぎる。サウスポースタイルから放たれるジャブ、そして相手のガードを粉砕するような左ストレートとボディ打ち。
前戦、2025年9月のジェイソン・バイソン戦でもそうでしたが、コラーゾは相手を倒すのではなく、破壊しにいきます。
バイソンはフライ級で強打者、ユーリ阿久井とフルラウンドを戦い、ライトフライ級で山中竜也に2RTKO勝利したボクサー。そんなバイソンをミニマム級のコラーゾがプレスをかけて下がらせた上、ストップ勝ち(バイソン陣営の棄権)してしまうなんてことは、もう本当にものすごいことです。
あのプレッシャーに晒されれば、どんな名手であっても自分のボクシングを忘れてしまう。現在、P4Pランキングの議論に彼の名前が挙がるのも、至極当然のことだと思わざるを得ません。
当初、コラーゾはメルビン・ジェルサェムとの統一戦を予定していましたが、それが6月に延期され、急遽チャンスを掴んだのがヘスス・ハロです。23歳の若き挑戦者は、戦績こそ地味ですが、非常にテクニカルでしぶといボクサーです。
ハロの唯一の勝機は、コラーゾの強打を徹底的に空転させることにあります。足を使い、頭を振り、コラーゾが「一発で終わらせよう」と焦る瞬間を待つ。
コラーゾにとっては、ジェルサェムとの統一戦と比べてモチベーションの低下は否めないでしょうから、そこを突くしかありません。
KO率の低さは懸念材料ですが、判定まで持ち込むスタミナと根気は持っています。コラーゾにとって、こうした「逃げ足の速い」相手をどう捕まえるかは、今後の統一戦を見据えた上での良いテストになるかもしれません。
展開としては、立ち上がりからコラーゾがぐいぐいとプレスをかけ、ハロがサークリングしながらそれを受け流す形になるでしょう。注目したいのは、コラーゾがハロの「逃げ道」をどう塞いでいくか、そのプロセスです。
コラーゾは単なる強打者ではなく、極めて高いリングIQの持ち主でもあると思います。ハロがどんなにトリッキーに動いても、数ラウンドのうちにそのパターンを読み解き、残酷なまでの正確さでボディを抉るはずです。
もし、ハロが中盤を過ぎてもコラーゾと対等に渡り合っているようなことがあれば、それはミニマム級戦線における「大事件」となります。コラーゾが「絶対王者」としての貫禄を見せつけるのか、それともハロが世紀の番狂わせを起こすのか。
ここはコラーゾのスペクタクルなノックアウト勝利に期待し、そしてもうしばらく、ミニマム級にとどまってくれる事を期待しましょう。
▼同日、日本でもミニマム級戦!
アンダーカードと配信情報
この興行は、アンダーカードにガブリエラ・フンドラvsビビアナ・ルイス・コレドールという世界女子フライ級4団体統一タイトルマッチ、そしてアレクシス・ロチャvsジョセフ・ディアスというウェルター級のサバイバルマッチもあります。
これは大変興味深い興行ですね。
配信はDAZN、配信日時は3/15(日)AM9:00からですね。
いつも通りメインは昼過ぎからでしょうから、それが終わってから小休止、15:30から配信開始のU-NEXTに備える、みたいなイメージでしょうか。
ともあれ、ボクシング漬けの1日を楽しみましょう!
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