さてさて、明日3月29日、ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナで、WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ、セバスチャン・フンドラvsキース・サーマンが開催されます。
このフンドラvsサーマンについては昨日プレビュー記事を書いたところですが、今回はその試合を前に、改めてこのスーパーウェルター級という階級の現状を整理しておきたいと思います。
というのも、この階級、今年に入ってから本当に目まぐるしく状況が動いています。
誰もが期待したオルティスvsエニスが消え、ザヤスvsエニスという新たな超カードが急浮上し、そしてフンドラはフンドラで今夜もリングに立つ。
盛りだくさんすぎて、少し整理しないと追いきれません。ということで今日のブログはスーパーウェルター級の世界戦線について。

スーパーウェルター級世界王者
現在のスーパーウェルター級の主要タイトル保持者はこうなっています。
WBC王者:セバスチャン・フンドラ(アメリカ) 23勝(15KO)1敗1分。明日サーマン戦で3度目の防衛に挑む。プロモーターはPBC、放送はAmazon Prime PPV。
WBC暫定王者:バージル・オルティスJr.(アメリカ) 24勝(22KO)無敗。ゴールデンボーイ・プロモーションズ所属でDAZN。ただし現在はゴールデンボーイとの法的紛争により、リングに上がれない状態が続いている。
WBA・WBO統一王者:ザンダー・ザヤス(プエルトリコ) 23勝(13KO)無敗。トップランク所属でDAZN。今年1月にアバス・バラウを下し、23歳で2団体統一王者に輝いた。
WBA暫定王者:ジャロン「ブーツ」エニス(アメリカ) 35勝(31KO)無敗1NC。マッチルーム所属でDAZN。昨年10月にスーパーウェルター級に転向、1Rでウイスマ・リマをKOしてすでにこの階級の怪物ぶりを見せつけている。
IBF王者:ジョシュ・ケリー(イギリス) 18勝(9KO)1敗1分。マッチルーム所属でDAZN。
こうして並べると見えてくるのが、フンドラを除く主要選手が全員DAZNに集まっているという事実です。PBC/Amazon Prime側にいるフンドラだけが、少し離れた場所に立っているような構図になっています。
最大のカードが「消えた」経緯
さて、今年の年明けから最大の注目を集めていたのが、オルティスJr.vsエニスというカードでした。
昨年11月、オルティスJr.がエリクソン・ルービンを2RでTKOで下した試合後、エニスがリングに上がってフェイスオフ。「俺が次だ」と言わんばかりの熱い対峙に、会場はもちろんボクシングファンが沸き上がりました。
この2人、どちらも無敗でパンチ力があり、ファイトスタイルも攻撃的。「今のボクシング界で最も見たいカードの一つ」として誰もが期待していたはずです。
しかし、ここに待ったをかけたのが、プロモーターのゴールデンボーイでした。
オルティスJr.はゴールデンボーイとの契約満了を主張し、マッチルームとの3試合契約(総額最大2000万ドル規模とも報道)に動き出しました。
4月18日のエニス戦も視野に入っていたのですが、ゴールデンボーイが法的措置に踏み切り、ネバダ州の裁判官が暫定的差止命令(TRO)を発令。これによりオルティスJr.は第三者との契約交渉を禁止され、エニス戦は完全に止まってしまいました。
3月12日、痺れを切らしたエニスは「もう待てない、次に進む」と宣言。こうして夢のカードは、少なくとも近い将来においては消滅することになりました。
オルティスJr.とゴールデンボーイの法的紛争は仲裁に移行しており、その期限は2026年9月。それまでオルティスJr.がリングに上がれないとすれば、WBC暫定王者でありながら完全に宙に浮いた状態が続くわけです。
急浮上した「ザヤスvsエニス」
オルティスvsエニスが消えた後、急速に浮上してきたのがザヤスvsエニスです。
このカードが実現に向けて動き出した背景には、おそらく放送プラットフォームの統合という大きな変化があります。
ザヤスをプロモートするトップランクは今月、DAZNとのマルチイヤー契約を締結。これにより、マッチルーム(エニス)もトップランク(ザヤス)も、同じDAZNというプラットフォームに乗ることになりました。
かつてはプロモーターの違いよりも「どの放送局で試合をするか」という壁が交渉を難航させることがままありましたが、この壁が今や取り払われた形です。
トップランク社長のトッド・デュボエフは「話し合っている」と公言。ザヤス自身も積極的にこのカードを望んでいることが伝えられています。
現時点では「基本的な対戦に向けた話し合いが進んでいる」という段階であり、6月27日・ブルックリンのバークレイズセンターという日程・会場が一部で報じられてはいますが、正式発表にはまだ至っていません。
ただ、双方の陣営が前向きであること、そして放送面の障害がなくなったことを考えると、現時点でこのカードが実現に最も近いのは間違いなさそうです。
このカード、エニスが大本命ではあるが
エニスが大本命なのは確かです。35戦31KO無敗、かつてウェルター級で統一王者にまで上り詰め、スーパーウェルターに上げた初戦でも1Rで圧勝。そのパンチ力とスピードは本物です。
一方でザヤスは23歳、23勝13KO無敗。今年1月の王座統一戦、アバス・バラオウ戦は打ち合いの末の判定勝利で、その勝負強さと成長を印象付けました。
元WBC・WBO王者のティム・ブラッドリーは「エニスがプレッシャーをかけてKOを狙いに行くスタイルは、カウンターとムーブメントを武器にするザヤスと噛み合う可能性がある。エニスの楽勝とは言えない」と指摘しています。
どちらが勝っても、その後の4団体統一へのロードが見えてくる。それがこのカードの最大の魅力でしょう。
フンドラはどこへ向かうのか
そして明日のフンドラです。
フンドラの置かれた状況は、ザヤスやエニスとは少し異なります。PBCとAmazon Primeというプラットフォームにいる以上、DAZN勢と交わるためには相当の調整が必要になります。
WBCの情報によれば、オルティスJr.はフンドラへの挑戦権申請を出しているようですが、前述の通りオルティスJr.自身が法的紛争で動けない状態。仮に解決しても、ゴールデンボーイとPBCの協力関係が必要になります。
ザヤスの目標は「エニスを倒した後、ケリー(IBF)を統一し、最終的にフンドラと戦う4団体制覇」とも語られていますが、現実的にフンドラとDAZN勢の試合が実現するのは、まだずいぶん先の話になりそうです。
まずは今夜、フンドラがサーマンをどう料理するのか。「ワンタイム」の異名を持つサーマンが番狂わせを演じるのか。その結果が、今後のスーパーウェルター級戦線の地図をまた少し塗り替えることになるでしょう。
ということで
現在のスーパーウェルター級を整理すると、
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フンドラ(WBC)はPBC側で孤立気味
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オルティスJr.(WBC暫定)は法的紛争で完全に宙吊り
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ザヤス(WBA・WBO)、エニス(WBA暫定)、ケリー(IBF)はDAZNで一本化
この構図が2026年後半の戦線を決定的に左右します。ザヤスvsエニスが正式に決まれば、このDAZN勢の中から「階級の主役」が決まることになり、そのボクサーが4団体統一に繰り出す事になります。
おそらく勝者はvsケリー戦をもしかすると今年中、遅くとも来年の早い段階で叶える事でしょう。フンドラは最後になる可能性が高く、そこにオルティスJr.は蚊帳の外か、それとも絡めるのか。
いずれにしても、コンテンダーたちからすると挑戦自体が遠く、もしかするとフンドラに挑戦できることがタイトル奪取への一番の近道となるのかもしれませんね。
2026年のスーパーウェルター級から目が離せません。
まずは明日のフンドラvsサーマン、楽しみましょう!
配信情報
明日のセバスチャン・フンドラvsキース・サーマンは、北米ではAmazon Prime VideoのPPVで配信(価格74.99ドル)。日本ではWOWOWでの視聴が可能です。
メインカードの開始は日本時間3月29日(日)午前9時、メインイベントは日本時間の午後あたりになるでしょうか。
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