さてさて、間もなくゴールデンウィーク。
日本にはゴールデンウィークというものがあるので、シンコ・デ・マヨ興行を非常に見やすい、という利点がありますね。
アメリカ・ラスベガスのT-Mobileアリーナで行われるシンコ・デ・マヨ・ウィークのPBC PPV。
アメリカではAmazon Prime VideoのPPVとして配信されますが、日本ではWOWOWで放映されます。つまり、WOWOWには常時加入しているであろう多くのボクシングファンにとっては実質無料で視聴できる興行です。これは嬉しい。
メインイベントはヒルベルト「スルド」ラミレス(メキシコ)vs「メキシカンモンスター」デビッド・ベナビデス(アメリカ)によるWBA・WBO世界クルーザー級タイトルマッチ。
セミファイナルにはWBA世界スーパーミドル級タイトルマッチとして、ホセ・アルマンド・レセンディス(メキシコ)vsハイメ・ムンギア(メキシコ)。
ほぼ全試合メキシカン同士の対決という、シンコ・デ・マヨらしい豪華な夜になりそうです。
ということで今回のブログは、このPBC興行のプレビュー記事です。
5/2(日本時間5/3)アメリカ・ラスベガス
WBA・WBO世界クルーザー級タイトルマッチ
ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)48勝(30KO)1敗
vs
デビッド・ベナビデス(アメリカ)31勝(25KO)無敗
ヒルベルト「スルド」ラミレスは、メキシコ・シナロア州マサトラン出身の34歳。
かつてスーパーミドル級でWBO王座を保持し、ライトヘビー級でも強豪たちを次々と退けてきたボクサーです。転機となったのは2022年11月、ドミトリー・ビボルとのWBAライトヘビー級タイトルマッチ。プロキャリア初の黒星を喫したスルドは、その後クルーザー級に活躍の場を移します。
クルーザー転向後のスルドは本当に安定しています。
2023年10月にジョー・スミスJr.を退けると、2024年3月にアーセン・グラミリアンを下してWBAクルーザー級王座を獲得。
同年11月にはクリス・ビラム-スミスとの激戦を制してWBO王座も統一し、2025年6月にはWBAの指名挑戦者ユニエル・ドルティコスを退けて統一王座の初防衛も果たしています。
クルーザー転向後は4戦全勝、しかも相手はいずれも王者クラスというのだから、この階級でのスルドの「主」としての立ち位置はかなり盤石と言えそうです。
対するデビッド・ベナビデスはアメリカ・アリゾナ州フェニックス出身の29歳。
スーパーミドル級ではWBC王座をいろいろあって3度も獲得するという偉業(笑)を為し遂げていますが、このボクサーがより世界を驚愕させたのは、ライトヘビー級に上がってからでした。
2024年6月にライトヘビー級へ転向し、オレクサンドル・グヴォジクを制してWBC暫定王座を獲得。2025年2月には怪物王者の可能性もあった、当時無敗のデビッド・モレルを明確に退けてWBA王座も手にし、ビボルの王座返上を受けてWBC正規王者にも昇格、前戦ではアンソニー・ヤーデを難なくノックアウト。
現在は29歳にしてWBC・WBAのライトヘビー級2冠王として君臨するボクサーが、今回さらに一つ上のクルーザー級で3階級制覇に挑む、というわけです。
オッズはベナビデスが-400と大幅に有利な状況で、確かにここ最近のベナビデスの充実ぶりを見ればその評価も頷けます。
ただ、これはベナビデスにとってクルーザー級初戦です。ライトヘビー級(175ポンド)からクルーザー級(200ポンド)は実に25ポンド(約11.34kg)の差があり、いかにパワーのあるベナビデスとて、その壁が試合にどう影響するかは正直未知数なところがあります。
ベナビデスの武器はあの独特のアングルから繰り出されるパンチです。変則的な軌道で打ち込まれるそのパンチは、おそらくスルドに対しても当たりはするでしょう。
しかし問題は、それでクルーザー級の体格を持つスルドを後退させ、あるいは効かせることができるかどうか、というところです。ライトヘビーとクルーザーではその部分が全く違う次元の話になり得るわけで、スルドのタフさと体格を前にしてベナビデスのパンチがどれだけ機能するか、そこが最大の焦点ではないかと思っています。
一方のスルドは、ビボル戦の完敗から何一つ焦ることなく、着実に実績を積み上げてクルーザー級の頂点に君臨してきたボクサーです。
強い相手に対してより一層強さを発揮する傾向もあり、ベナビデスのプレッシャーに対してどのような距離管理とジャブを見せるか、そのあたりが見どころになってきそうです。クルーザー転向後の4戦ではいずれも判定勝ち、KOパンチャーというよりは精度とスタミナで勝負するスタイルは、12ラウンドを通じてじっくり試合を組み立てることができるということでもあります。
体格の壁をベナビデスが越えられるなら、それはそれで見事な3階級制覇への道が開けるでしょうし、越えられないならばスルドが終盤にかけて盛り返す展開も十分あり得るのではないかと思います。前半と後半でどちらがペースを握るか、そのあたりを楽しみながら見たい一戦です。
WBA世界スーパーミドル級タイトルマッチ
ホセ・アルマンド・レセンディス(メキシコ)16勝(11KO)2敗
vs
ハイメ・ムンギア(メキシコ)45勝(35KO)2敗
セミファイナルに位置するco-mainもまた面白い組み合わせです。
WBA世界スーパーミドル級王者ホセ・アルマンド・レセンディスの初防衛戦の相手が、ハイメ・ムンギア。次の時代を担うメキシカン同士の対決として、これまた見逃せない一戦になりそうです。
レセンディスといえば、2025年5月のカレブ・プラント戦での大金星が記憶に新しいところです。当時のオッズでは大幅アンダードッグとされていながら、スプリット判定でプラントを下してWBA暫定王座を獲得。
その後テレンス・クロフォードの引退に伴いフル王座に昇格し、今回がその初防衛戦となります。逆境に強いメキシカン、という印象がぴったりくるボクサーで、個人的にはこの選手の今後に非常に期待しています。
対するムンギアは、2024年5月のカネロ・アルバレスへの挑戦での判定負けまでは、次世代のメキシカンスターとして大いに期待されていたボクサーです。
しかしそのカネロ戦の後、ブルーノ・スラーチェに6回KOという衝撃の番狂わせを喫してしまいます。再戦では判定でリベンジを果たしたものの、その内容はかなり慎重なもので、試合後には禁止薬物の陽性反応という話題も出てしまいました(後に無罪放免とはなりましたが)。
45勝35KOという数字は立派なものの、今のムンギアの評価は「かつてほどではない」という状況のままでしょうか。
レセンディスの勢いとムンギアの経験がぶつかる試合という構図ですが、ここ最近の流れを見ると、勢いという点ではレセンディスに分があるように思います。ムンギアはパワーと前への圧力という部分では依然として脅威ですが、スラーチェ戦での敗北以降、かつての迷いのない積極性がやや薄れているような印象もあって、その点が気になるところです。
個人的にはレセンディスに期待している一戦ですが、ムンギアが往年のスタイルを取り戻してくるようであれば話は変わってくるかもしれません。
スーパーライト級10回戦
オスカー・ドゥアルテ(メキシコ)30勝(23KO)2敗1分
vs
アンヘル・ダニエル・フィエロ(メキシコ)23勝(18KO)4敗2分
アンダーカードで個人的に気になるのが、オスカー・ドゥアルテvsアンヘル・ダニエル・フィエロのスーパーライト級戦です。
ドゥアルテはかつてライアン・ガルシアのアンダーカードでリングに上がり敗北を喫したボクサーですが、その後ジョジョ・ディアス、バティルザン・アフメドフ、ケネス・シムスJr.と強豪を連破して評価を上げてきました。
そして今年2月、いよいよIBF世界スーパーライト級王者リチャードソン・ヒッチンズへの挑戦が実現するはずでした。
ところが試合当日の数時間前、ヒッチンズが体調不良を理由に出場をキャンセル。計量もパスして万全の準備を整えていたドゥアルテにとっては、本当にやるせない結末だったと思います。
その後ヒッチンズは王座を返上してウェルター級へ転向しており、ドゥアルテへの世界タイトル挑戦のチャンスは一度消えてしまった形です。
今回の相手フィエロは現在2連敗中で、勢いという点では厳しい状況にありますが、かつてイサク・クルスを相手にリングに立ったこともあるファイターですので、決して油断できる相手ではないでしょう。
ドゥアルテとしてはここをしっかり勝ち切って、次の世界挑戦への道筋をまた一歩進めたいところです。ヒッチンズ戦で果たせなかった悔しさをぶつけるような、インパクトのある勝ち方を見せてほしい一戦ですね。
配信情報
「THE DAY」翌日にこれだけの興行が控えているというのは、体力的には正直少し心配なところもありますが、それでも見ないわけにはいかないでしょう。
メインのスルドvsベナビデスはクルーザー級の壁がベナビデスにどう影響するかという純粋な興味があり、コメインのレセンディスvsムンギアもメキシカン同士の熱戦が期待できます。
WOWOWでの放映ということで実質無料で見られる環境もありがたいですね。
ともかく、ボクシング漬けのゴールデンウィークを楽しみましょう。
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