さて、今週末もボクシングがアツい。
週末、日本時間5/10(日)には、2つの注目ファイトが開催されます。
ひとつはイギリス・ロンドンで行われる英国ヘビー級の覇権を争うファビオ・ウォードリーvsダニエル・デュボア、もうひとつはアメリカ・ニュージャージー州ニューアークで行われるアンジェロ・レオvsライース・アリームのIBF世界フェザー級タイトルマッチです。

5/9(日本時間5/10)イギリス・ロンドン
WBO世界ヘビー級タイトルマッチ
ファビオ・ウォードリー(イギリス)20勝(19KO)無敗1分
vs
ダニエル・デュボア(イギリス)22勝(21KO)3敗
この試合は、事実上の英国ヘビー級最強決定戦、もしくは最強一歩手前の決定戦と言えるのではないかと思います。
最強はタイソン・フューリーとの見方もありますが、やや不安定なところもある上、アンソニー・ジョシュアと戦ったらまた引退するかもしれません。
そう考えると、モーゼス・イタウマがものすごい勢いで迫ってきてはいるものの、この試合は英国ヘビー級の覇権を争う戦いと言えるでしょう。
ファビオ・ウォードリー(イギリス)は31歳、20勝19KO無敗1分という戦績を誇ります。無敗を守り続けており、19KOという高いKO率が示す通り、圧倒的なパワーを持っていますね。
前戦では元王者ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)を11RTKO、その前はジャスティス・フニ(オーストラリア)に大逆転の10RKO勝利、その前は一度は引き分けたフレイジャー・クラーク(イギリス)を1Rでノックアウト。
ウォードリーの勢いは本当に素晴らしく、現在の英国ヘビー級で最も勢いのあるボクサーと言っても過言ではないかもしれません。
その魅力はなんといっても一発のパンチングパワー、特にジャスティス・フニ戦で見せたあの破壊的な一発は、彼のキャリアの中でも最上のものです。
ダニエル・デュボア(イギリス)は28歳、22勝21KO3敗です。年齢的にはデュボアの方が若く、経験値という点でもデュボアが上回っているのではないでしょうか。2024年9月、ウェンブリー・スタジアムでアンソニー・ジョシュアと対戦し、5RKO勝ちという衝撃的な勝利を収めました。
その前も当時無敗のフィリップ・フルゴビッチ、そして同じく当時無敗のジャレル・ミラーにノックアウト勝利。
その素晴らしい3連勝を挟むようにオレクサンドル・ウシクにTKO負けを喫しているものの、2020年、世界タイトル獲得前にジョー・ジョイスに敗れた時とは異なり、間違いなくヘビー級トップレベルの実力を示しています。
ジョイスに敗れた時は精神面での弱さを指摘されたデュボアですが、大舞台でジョシュアを何度も倒したあの試合は、そのメンタル的な弱さを克服したとも捉えられる出来事。
今回も大きな試合ではありますが、踏んできた場数はデュボアが上回る用に思います。
このウォードリーvsデュボアは50-50の戦いで、かつ、KO決着必至のファイトだと思います。
両者ともパンチ力に優れており、慎重にポイントを取り合うような展開にはならないでしょう。
ガンガン前に出るウォードリーと、どちらかというとカウンター狙いというデュボア、という構図になる可能性が高いのではないでしょうか。
これまでの試合を考えると、これまで幾度かダウンを経験しているデュボアが倒される姿は想像できます。ことウォードリーのような強打者との打ち合いになれば、そのリスクはより大きいでしょう。
しかし、ウォードリーに関してはまだ倒されるイメージが沸きません。無敗を守り続けてきた実績、そして誰も止められなかった勢い、それがウォードリーの強みなのかもしれませんね。
ただし、デュボアの経験値、特にジョシュアという超大物を倒した経験は、ウォードリーにとって未知の領域かもしれません。
ウォードリーはまだウェンブリー・スタジアムのような大舞台で、世界的ビッグネームと戦ったことはありません。その意味で、デュボアの経験の差が試合を左右する可能性もあるのではないでしょうか。
どちらが勝つにせよ、英国ヘビー級の未来を占う重要な一戦になることは間違いないでしょう。

5/9(日本時間5/10)アメリカ・ニュージャージー州ニューアーク
IBF世界フェザー級タイトルマッチ
アンジェロ・レオ(アメリカ)26勝(12KO)1敗
vs
ライース・アリーム(アメリカ)23勝(12KO)1敗
フェザー級タイトルホルダーの中では、比較的「穴」王者であるアンジェロ・レオ(アメリカ)。
非常にエネルギッシュでアグレッシブなボクサーですが、ここはアリーム優位かもしれません。
レオは2020年8月、トレメイン・ウィリアムスを退けてWBO世界スーパーバンタム級タイトルを獲得。これはもともとスティーブン・フルトンとの決定戦でしたが、直前でフルトンが(コロナでしたっけ?)で離脱、代役のウィリアムスと戦った、という経緯。
その後の初防衛戦ではフルトンを迎え、ほぼフルマークで敗北、タイトルを失っています。
その後、復帰してから4連勝してIBF世界フェザー級王座に挑戦する機会を得ます。
しかしこの戦いは、当時フェザー級最強とも謳われていたルイス・アルベルト・ロペスへのチャレンジであり、レオは明らかなアンダードッグでした。
なのでこの試合には世界が驚きましたね。
蓋を開けてみればレオはロペスを10RKO、どこかロペスの調子は悪そうでしたが、ロペスはこの試合で脳出血という大ダメージを負いました。もしかすると、トレーニング中から何かしらトラブルがあったのかもしれません。
レオのスタイルは前に出てプレッシャーをかけ、ボディワークで相手を削っていくというものです。特にボディブローは強力で、相手のスタミナを奪いながらガードを下げさせ、そこから上への強打を叩き込むというパターンを得意としています。
エネルギッシュに前に出続ける姿勢は魅力的ですが、このスタイルがアリームに通用するかどうかが鍵になるのではないかと思います。
レオは良いボクサーですが、あまり尖ったものはなく、まだまだその評価は高いとは言えません。
ライース・アリーム(アメリカ)はもう35歳ですが、プロスペクト時代から期待されていたボクサーの一人。
ただ、マッチメイクには恵まれず、2011年にプロデビューするも良い相手と戦い始められたのは2020年頃の話であり、本当に下積みが長かったボクサーです。
この頃、アダム・ロペス、ビック・パシージャス、エドゥアルド・バエス、そしてマイク・プラニアといった好戦績のボクサーたちを降し、ようやくたどり着いたIBF世界スーパーバンタム級の挑戦者決定戦。
しかしこの2023年6月に行われた挑戦者決定戦で、サム・グッドマン(オーストラリア)に判定で敗れて初黒星を喫しました。
グッドマン戦では、アリームらしいアグレッシブなスタイルで挑みましたが、グッドマンの巧みなディフェンスとカウンターに苦しんでいます。この敗北は、アリームにとって大きな痛手でしたが、同時に学びの機会でもあったのではないでしょうか。
そこから巻き返して、前戦では挑戦者決定戦で中野幹士(帝拳)を判定で降しています。
この試合が非常に興味深いもので、今まで見せたことのないようなアウトボクシング、という大胆な戦略で中野を空回りさせてみたアリーム、そう考えると非常にタフでもあるかもしれませんね。
中野はマノス・デ・アセロ(鉄の拳)と呼ばれるほどの強打者で、これまで多くの対戦相手を倒してきました。しかし、アリームは距離を保ちながらジャブとストレートで的確にポイントを積み重ね、中野の強打をかわし続けました。
12R戦い抜いたという事実が、アリームのタフネスとボクシングIQの高さを証明したのではないでしょうか。
アリームは今回、ボックスするのか、それともファイトするのか。中野戦のようにアウトボクシングで試合を組み立てるのか、それともレオのプレッシャーに対して真っ向から打ち合うのか。
もしアリームがボックスする戦略を選べば、レオをかわしながら有効打を積み重ねていくことができるでしょう。
一方で、もしファイトする戦略を選べば、レオとの打ち合いになりますが、アリームのパンチ力も侮れません。
どちらの戦略を取るかは試合当日までわかりませんが、アリームには両方の引き出しがあるというのが強みではないでしょうか。
どちらにしても、個人的にはレオの勝ち目は薄いのでは、と思います。アリームの技術、経験、そして中野戦で見せた柔軟性を考えると、レオの勝ち目は薄いように思います。
レオがプレッシャーをかけ続けても、アリームは冷静に距離を取り、カウンターやジャブで対応する姿が目に浮かびます。もちろん、レオが序盤からボディブローで削り続け、中盤以降にアリームのスタミナを奪うという展開もあり得ますが、アリームは中野の強打を12R耐えきったタフネスを持っていますから、簡単には崩れないのではないかと思います。
中野に勝ったならばここは勝って王者となり、是非とも中野を挑戦者として迎えてほしいところです。
中野は日本のフェザー級を代表するパンチャーであり、アリームが王座を獲得すれば、その防衛戦として中野との再戦は非常に魅力的なカードになるでしょう。
中野にとってもリベンジのチャンスですし、前回とは違う戦略で挑んでくるであろう中野との再戦は、アリームにとっても大きな意味を持つのではないかと思います。もし再戦が実現すれば、中野はしっかりと対策を練ってくるでしょうし、レラト・ドラミニ戦ではその一端を示したと言えます。
そして何より、帝拳プロモーションにとって、ライース・アリームを呼んでくる事に関しては、さほど困難ではないのではないでしょうか。
ということでアリームの勝利を願い、そしてその先に中野との再戦を願い。
今週末もボクシングを楽しみましょう。
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