ボクシングの良いところは、なんだかんだ平日も含めて視聴できる興味深い興行が多い、ということですね。飽きる事が全くありません。
さて、アンジェロ・レオvsライース・アリームという注目ファイトが中止になっても、ファビオ・ウォードリーvsダニエル・デュボアがあります。
プレビュー記事でもっとアンダーカードに触れておけば良かったのですが、この興行はPPV興行らしい豪華興行です。
3,500円という金額は決して高い金額ではありませんが、DAZNもPPVだらけになってきて辟易としますね。塵が積もれば山となります。
PPVは死んでなかった。
ということで今回のブログは、ウォードリーvsデュボアの観戦記。

↓プレビュー記事
5/9(日本時間5/10)イギリス・マンチェスター
デビッド・モレル(キューバ)12勝(9KO)1敗
vs
ザック・チェリー(イギリス)16勝(8KO)3敗1分
デビッド・モレル、昨年2月にデビッド・ベナビデスに敗れてからの復帰第2戦。モレルの復帰第1戦は、当時無敗のイマム・カタエフ戦でしたが、スプリットの辛勝と言える内容でした。
今回の相手、ザック・チェリーは、カラム・シンプソン等の国内強豪との対戦経験はあるものの、世界レベルでの勝利はいまだ無し、これはモレルにとって勝ち方を問われる試合。
スピード、反応に勝るモレルは、初回から右のボディジャブをいくつかヒット、ラウンド後半にはチェリーを下がらせて左を打ち込んでいきます。
ただ、この後ろ荷重に構えるチェリーはちょっと遠いか、モレルもやや攻めあぐねている印象。チェリーはディフェンシブに戦いつつ、攻める時は一気に右を打ち込んで攻めてくる印象で、これは弱者の戦法、タパレススタイル。一発を狙うこのスタイルは、「勝ち方を問われる」モレルにとっては非常にやりづらいスタイルです。
それでもやはり上回るのはモレル、ラウンドが進むごとに顔面へのジャブを当てはじめ、接近戦でもアッパーや回転力のある連打を出しはじめたモレル、チェリーは長い距離でのモレルの左の打ち終わりに右をリターンして反撃します。
これはなかなか当たりませんが、右足と同時に出すこの右は、もし当たればデカい。
5Rに入るとモレルはちょっとチェリーを中に引き寄せ出したか、ブロッキングで防ぐ事が多くなっています。この後リターンを狙おうというものかもしれません。
チェリーの方も随分モレルのスピードに慣れてきたようで、もともとボディムーブの良い選手ですが、モレルの空振りも徐々に増えてきているイメージ。ただ、このチェリーは躱すのみでそこに反撃に繋げられていません。
チェリーの武器は、いきなり打つ右足同時出しの右ストレート、モレルのジャブの打ち終わりに合わせる左フックカウンターとシンプル。それでもモレルがなかなか攻め込めないのは、パワーを感じているのかもしれません。あとはやっぱりボディムーブが良い事でしょうか。外されてはリスクがあります。
7Rはチェリーが見せ場を作れたラウンドで、良いラッシュを見せています。しかしそれでも、ラウンド中長い時間を支配しているのは明らかにモレルで、このチェリーの攻撃があったからこそなのか、8R、モレルはよりディフェンシブで、より盤石にペースをキープしています。
すでにモレルの勝利が固いかに思われた9R、しかも終盤、チェリーがこれまで何度も何度も狙い続けてきた右がヒット!!ガードをしていたモレルですが、その真中を撃ち抜いた形になり、モレルは明らかなダメージ!ここで猛然とラッシュするチェリー、モレルをロープに詰めて激しい攻撃、ここでゴング!
辛くもゴングに救われたモレル、インターバルで回復できるか!
ラストラウンド、とにかく勢いよく右を打ち込んでいくチェリー。チェリーはいかなければなりません。
ここで右と同じくずっと狙っていた、モレルのジャブに対する左フックをヒットしたチェリー、まだダメージから回復していなかったモレルはこれを浴びて固まります。
チェリーは一気にいかないのはどうなのか、ジリジリとモレルにプレスをかけ、中盤にも飛び込みの左フックをヒットしてモレルのバランスを崩します。後半に入ったところでもラッシュ、モレルはクリンチに逃げる等ダメージは甚大。
あと40秒、立っていれば勝利できたはずのモレルでしたが、コーナーに詰められ、チェリーが力強い左右のフックをガードの上から叩きつけると、腕がだらり。これをよく見ていたレフェリーは即刻ストップ、ザック・チェリー、なんと最終10RTKO勝利!!
レフェリーはナイスストップ。無防備な状態でこれ以上打ち込まれていたら、危なかったでしょう。
これはとんでもないファイト、アップセット・オブ・ザ・イヤー候補です。
世界的にみればまだわかりませんが、BBBofCのアップセット・オブ・ザ・イヤーはこれで決まりではないでしょうか。。。
ともかくデビッド・モレルは大ショック。結局は、9R終盤のあの右一発に集約されてしまう敗北です。
戦いづらい相手とはいえ、スキルには大きな差があり、もしかすると一瞬でも集中力を切らしてしまったのかもしれません。
改めて、ボクシングは何が起こるかわかりません。
WBO世界ヘビー級タイトルマッチ
ファビオ・ウォードリー(イギリス)20勝(19KO)無敗1分
vs
ダニエル・デュボア(イギリス)22勝(21KO)3敗
さてさて、「KO決着必至」と思われる試合が、KO決着にならないということはままありますが、さすがにここは本当にKO決着必至、のはず。。。
佐々木尽vs田中空がまさかの判定決着という結果を受けているのでその自信は少々揺らぎ、もうここがKO決着にならなければこのブログで「KO決着必至」という表現は使わないようにしよう、とも思うレベル。
DAZNに表示されたFAN ZONEの表示では、ウォードリー59%、デュボア41%、と出ています。実際のオッズとは異なりますが、ウォードリー勝利に期待しているファンの方が多い、ということですね。
パワーは、当然デュボアもありますがウォードリーの方が上、しかし穴が多いのもウォードリー、みたいに思っていますが、どちらも非常に危険なボクサーであることには代わりありません。
さて、いよいよゴング。
ステップを刻みながらジャブを飛ばすデュボア。ウォードリーは比較的どっしりと構えて迎え撃つ展開。から開始10秒、デュボアのジャブの打ち終わりにウォードリーの右のオーバーハンド、これがデュボアの頭部をかすめると、なんとデュボアがダウン!!!!
パワーがありすぎるのか、デュボアが脆すぎるのか。。。!デュボアは歴戦、かなりハイレベルなボクサーと戦ってきており、さらに3つの敗北もすべてノックアウト負け、と考えると、すでに打たれ弱くなっていてもおかしくはありません!
もう終わりそう、というところですが、ウォードリーはやや慎重に攻め、ここでデュボアはボックス。相変わらず良いジャブです。
ダメージはさほどでもなさそうで、反撃にあうウォードリー、しかしウォードリーも右のオーバーハンドを狙っていきます。
早くもエキサイトした二人、デュボアが勢いあまってウォードリーにタックルをかましてしまう場面もありますが、それぞれが強打を振るうとそれだけで観客は大歓声。これ怖い。
ダウンがあったのでポイントはウォードリーでしょうが、デュボアが下がらずにうまくボックス、ジャブをヒットしているようにも見えます。
観客はずっとSeven nation armyを歌っていますが、インターバルに入るとそれにあわせて音響が流れます。歌っている歌にタイミングを合わせて流す、なんてことができる会場のPAは非常に優秀ですね。
2R、デュボアがステップインジャブをヒット、からのワンツー。ウォードリーの攻撃にはバックステップで空転させ、ブロッキングの後のリターン、自ら攻めてはジャブからのコンビネーション、ボクシングの巧さでいえばデュボアが2段くらい上、に見えます。
ウォードリーもスピードはありますが、やや単発、やや単調でしょうか。
3R、デュボアは前に出ながらの右カウンターでウォードリーを下がらせます。デュボアの強打はここまでもウォードリーにヒットしており、ウォードリーのタフネスというのはこの試合で大きく試されそうですね。このペースでもらえば、立っていられるボクサーはイないようにも思いますが。
ということでデュボアの勝機が見えてきた中盤、デュボアがジャブを出したところでウォードリーの右クロス!肩でガードしていたように見えましたから、100%のヒットではなかったですが、デュボアはこれで膝をつくダウン!!!
やっぱり、デュボアは打たれ脆くなっているのか。。。
残り半分、ダメージがありそうなデュボアはクリンチ、ステップを駆使して回復を図ります。ダブルジャブで攻め込む場面もつくりますが、ダメージからかスピードがありません。これは危ない、また右を合わされてしまいそうです。
と思ったら後半、デュボアの右オーバーハンドがヒット。これに警戒したウォードリーが今度は距離をとり、終盤にプレスをかけるのはデュボア。
ウォードリーは一発で仕留めようとしているか、フォローがありません。デュボアはコンビネーションがよく出ていますが、打たれて脆い。
4R、早くもスピードが回復したデュボア。十分に気をつけて戦えばまだまだいけそうですが、ともかく序盤2Rのダウンというのはかなりのビハインド。
このラウンド前半、デュボアはワンツーをヒットしてウォードリーを下がらせ、ダメージからの完全回復を印象づけます。中盤にも幾度かの右のオーバーハンド、後半にはその右から左、鋭い左ストレートのようなジャブをヒットしています。が、ウォードリーは全然ダメージを感じさせませんね。
5R、変わらず良いボクシングをしているのはデュボア。ステップインジャブでウォードリーのバランスを崩し、軌道を変えての左フック。ウォードリーは右オーバーハンドの一辺倒ではあるものの、これですでに2度のダウンを奪っているのですから、これは正解なのでしょう。
中盤、デュボアがずっと狙っていた、ウォードリーの右への右カウンター!これでさすがにぐらつくウォードリー!ウォードリーもこれまでのデュボアのパワージャブ、コンビネーションでダメージを溜めているかも。
ここまでリング中央で戦っていた両者ですが、若干均衡は崩れ、ウォードリーがロープを背負う場面がちらほら出てきています。
後半にはデュボアのジャブで顔面を跳ね上げられるウォードリー、ダウンこそないものの、限界は近いかもしれません。
6R、デュボアのジャブがトントン当たります。ジャブとはいえ、ダイナマイト・ジャブです。
ウォードリーの必殺の右オーバーハンドはほとんど見切られており、デュボアはダックしてこの右オーバーハンドを外してインサイドに攻め入ります。
かなり反応の落ちているようにみえるウォードリー、これはちょっと心配になってくるレベル。
後半、デュボアはパワージャブのヒットからロープに詰めて猛チャージ!鼻から出血のあるウォードリー、限界は近いのではないでしょうか。
7R、序盤にデュボアのワンツーがキレイにヒット!もうウォードリーはかなり反応が落ちています。かなり危険な状態、ですが倒れないウォードリー、レフェリーも止め時がないのでしょうか。
とはいえまだウォードリーのスイングも鋭い。これが当たれば、という所ですが、やはり当たるのはデュボアのパンチです。
しかしこのラウンド終盤、近い距離でのウォードリーの右でしょうか、これをもらったデュボアは一気に動きが落ちます!ウォードリーはここぞとばかりにラッシュ、フラフラになるデュボア!!!
残り10秒の拍子木をレフェリーがゴングと勘違い、この打撃戦を止めてしまいます!勘違いに気づいたレフェリーはボックスを指示しますが、ここでゴング!!
救われたのは。。。デュボアでしょうか、それともウォードリーでしょうか。いずれにしろ、ともに限界は近い、というか超えているかもしれません。
8R、デュボアの回復力は凄まじいですが、前ラウンドのダメージが完全に回復したわけではなさそうです。しかしより深刻にダメージを溜めているのはウォードリーの方で、デュボアのジャブ、右ストレートを浴びて大きく顔面を弾かれます。
まだウォードリー陣営にも逆転の芽はあるものの、ここで止めても良いのではないでしょうか。終盤もジャブの相打ちのタイミングでデュボアのジャブがヒット、ウォードリーは大きくバランズを崩します。
9R、開始時にウォードリーの傷をドクターがチェック。もう止めろ、と思いつつも見たいこのファイト、ドクターの判断は続行です。どちらかというと、カットの傷よりも脳のダメージを判断したほうが良いような気がします。
このドクターチェックにより後がないと思ったか、ウォードリーも単発ではなく、手数を出していきます。しかし頼るのはやはり右オーバーハンドで、この右を出した後自らバランスを崩す場面も散見されます。やっぱり限界は超えていそう。
しかし後半、この右がまたもデュボアを捉えます。今度は顎!
しかしここを耐えたデュボア、ウォードリーのパワーは前半ほどではないのでしょう、ラッシュをお返し!ウォードリーをロープに詰めてのラッシュをしかけるデュボア、ウォードリーも懸命にパンチを返しますが、明らかにウォードリーはダメージを負いすぎています!
レフェリーはまだ止めません!陣営も何やってんだ!
10R、またもウォードリーのドクターチェック。今度はウォードリーの目、視界のチェックですね。会場はブーイングですが、もう止めて上げてほしい。見るべきは目とかカットの傷とかじゃなくて。
パワーパンチのスタッツがでますが、ウォードリーは37/140、デュボアは78/165。デュボアは、パワーパンチを倍以上当てています。
このラウンドもデュボアは右クロスをヒット、ウォードリーの右もヒットしますが、デュボアはもうこれに慣れたのか、もらう準備ができているのか、ウォードリーにすでにパワーがないのか、いずれにしろ止まりません。
近づいてショートのコンビネーションを的確にヒットするデュボア、遠い距離ではまだ足も生きており、ウォードリーの起死回生を狙う一発を無情にもバックステップで外し、ワンツーをヒット。
11R、チャンピオンシップラウンドまできました。この状態で判定までいくのか。。。??このラウンドはドクターチェックはなく始まりますが、ウォードリーの右目は完全に塞がっているように見えます。こここそ、ドクターチェックでしょう。
デュボアはワンツーをヒット、プレスをかけてウォードリーをロープに追いやり、ワンツーからの左フックを決めてチャージをかけるとさすがにレフェリーがストップ!!!
ダニエル「ダイナマイト」デュボア、11RTKO勝利でWBO世界ヘビー級王座を奪取!
とんでもない試合でしたね。
少なくとも英国でのFight Of The Yearはほぼ決定ではないでしょうか。
歴戦のダメージなのか、タフネスに問題がありそうなデュボア、と思いましたが、試合序盤はとにかくウォードリーのパワーが規格外なのかもしれません。後半にも右をもらっていましたが、それはしっかりと耐えていました。
そしてやはり、ボクシングスキルと言う面においてはデュボアが上で、ダウン以外のラウンドのほとんどはデュボアがピックアップしていたイメージ。もともとプロスペクト時代から、このDDDが出現してきた時は本格派だと思っていたし、そこにパワーがついてきているから恐ろしいボクサーだとは思っていました。
それでも、ウシクには2度の敗戦を経験しているから、なんだかんだいってやっぱりこの階級の最強がオレクサンドル・ウシクであることもまた、疑いようのない事実。
ウシク3戦目、というのはあまり興味の湧くものではないですから、この激闘のダメージをしっかり抜いた後、「ウシク後」を狙い、そしていつか、モーゼス・イタウマとの世代交代マッチができれば良いですね。
いや、その前に、フューリーvsジョシュアが決定し、フューリーが勝った場合に、英国内のバトンタッチ戦、フューリーvsデュボアも興味深いものになりそうです。
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