子供の頃からボクシングを見続けている身としては、ボクシングの中心はアメリカにあってほしい、と思っています。
アメリカという国はボクシングを商業的に成功させた国ですが、現在、その覇権は大いに弱まり、ヘビー級は英国に移り、軽量級は日本に移り、メガマッチの類はサウジアラビアに移っています。
それでもやはり、アメリカという国ではボクシングがメジャースポーツであってほしい。
それには、アメリカ大陸に住む者同士のビッグマッチ、興味深いファイトを生み出す必要があります。
さて、ボクシングのビッグマッチといえばいつしか5月と9月、になってしまいましたが、その間の8月、アメリカのボクシング界では大変素晴らしいカードが組まれています。もしくは、組まれようとしています。
ということで今回のブログは、アメリカの威信をかけたビッグファイト、8月のイベントについて。

WBO likely to order Devin Haney-Keyshawn Davis for August super fight
正式発表、ライト級のダブルヘッダー
「噂」が出てからわずか1週間、早くも正式発表されたのは、オスカー・デ・ラ・ホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションがしかける興行で、これはライト級世界タイトルマッチのダブルヘッダーとなります。
メインイベントはどっちか、というのはよくわかりませんが、おそらくGBPのプロモート、ということであればこちらでしょう。
WBC世界ライト級王座決定戦、ウィリアム・セペダ(メキシコ)vsレイモント・ローチ(アメリカ)です。
前王者、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)はタイトルを保持したままWBO世界スーパーライト級王者テオフィモ・ロペス(アメリカ)に挑戦、ロペスに勝利してWBO世界スーパーライト級王者となったのが今年の1月末。
そしてもちろん、シャクールはスーパーライト級を選び、それに乗じてこのWBC世界ライト級王座は空位となりました。
なお、その試合の1か月ほど前、WBC世界ライト級暫定王座決定戦というものが無理やり組まれ、オシャーキー・フォスターvsスティーブン・フルトンが暫定王座決定戦として行われたこともありました。完全な迷走でしたね。ここで勝ったフォスターが、ライト級王座を選ばなくて本当に良かった。少なくとも、オシャーキー・フォスターはまともです。
さて、話がそれましたが、そうして空位となった王座に挑戦するウィリアム・セペダは、GBPが強力に推すボクサーです。
私も飽くなき手数と、頭悪いと思わせるぐらいのアグレッシブネスを持つこのセペダは大好きなボクサーですが、前戦は1年前、シャクール・スティーブンソンに全く刃が立たずの判定負け。そこからの復帰戦で王座決定戦というのは非常に恵まれている分、もう後がありません。
対するローチは昨年、ジャーボンタ・デービス(アメリカ)と戦ってドロー、そして昨年末にイサック・クルス(メキシコ)と戦ってもドローというとんでもなく運を持っていないボクサーです。
当然実力は折り紙付き、ローチのスキルをセペダが崩せるか、という勝負は、非常に興味深いものですね。
ライト級最強は難敵を迎える
で、このセペダvsローチがメインだとすれば、co-mainはIBF世界ライト級タイトルマッチ、レイモンド・ムラタラ(アメリカ)vsロブソン・コンセイサン(ブラジル)となります。
昨年ザウル・アブドゥラエフ(ロシア)を順当に降し、IBF世界ライト級暫定王者となったムラタラは、当時の正規王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)が引退したことに伴い正規王者へ昇格。
そしてその初防衛戦で、なんとアンディ・クルス(キューバ)を迎えなければならない、という苦難を迎えます。
クルスは東京五輪金メダリストにして、アマ時代、キーショーン・デービスが超えられなかった高い壁で、世界タイトルを保持していないにも関わらず、その評価は当然非常に高いボクサー。
ムラタラ危うし、と思われたファイトでしたが、蓋を開けてみればレイモンド・ムラタラはFOTY級のファイトをみせ、常にプレッシャーをかけて互角の戦いの中でポイントをピックアップ、2-0の判定勝利を得ています。
こうして一気に評価を高めたムラタラが、2度目の防衛戦で迎えるのは元スーパーフェザー級王者のロブソン・コンセイサン。
ちなみにこちらもリオ五輪の金メダリストですから、ムラタラは2戦連続でゴールドメダリストを迎える事になりますね。
コンセイサンは大変に恵まれないキャリアを歩んできました。それは主にメキシコ人から勝ちを奪われた、と呼べるものです。
ようやくコンセイサンに運が回ってきたのは2024年7月のオシャーキー・フォスター戦で、この試合に勝利してコンセイサンはようやく世界王者に。しかしこのファイトは、今度はコンセイサンが勝ちを盗んだ、と呼ばれるような内容でした。
明確に勝ち切る事ができないコンセイサンですが、その実力は非常に確かであり、何よりもやりづらいボクサーです。
コンセイサンに明確に勝利したのはシャクールぐらいのもので、誰がやっても厳しい内容になります。
この老な雰囲気のコンセイサンに、正攻法で挑むムラタラ。ムラタラの方が能力的にどんなに高くても、はぐらかされてしまう可能性は大いにあります。ムラタラのボクシングは素直すぎるのでは、とも思います。
一方で、ムラタラのプレッシャーが、スーパーフェザー級から上がってきたコンセイサンを圧倒してしまう可能性もあります。
いずれにしろ、この試合も非常に楽しみで、このダブルヘッダーは見逃せません。
8月、最大のビッグマッチ
上記のセペダvsローチ、ムラタラvsコンセイサンというライト級ダブルヘッダーは、8/1(日本時間8/2)との正式発表がなされています。
もうあと2か月切ってますね。
そしてもう一つ、8月に「オーダー」されるビッグマッチがあります。
それは、WBO世界ウェルター級タイトルマッチ、デビン・ヘイニー(アメリカ)vsキーショーン・デービス(アメリカ)です。
前戦、ブライアン・ノーマンJr.(アメリカ)からダウンを奪っての判定勝ちを収め、3階級制覇を為し遂げたヘイニー。
そして、つい先日、ナヒール・オルブライト(アメリカ)との仕切り直しの再戦を制し、ヘイニーを挑発したキーショーン。
このオルブライト戦はスーパーライト級だったにも関わらず、WBOはキーショーンをウェルター級のトップコンテンダーにランクイン。そしておそらく来週には、ヘイニーに指名戦としてこのキーショーン戦をオーダーする、とのことです。
そしてその試合は8月に行われる事が濃厚、とのこと。
キーショーンはスーパーライト級のウェイトをつくることにも苦労しており、はっきり言って規律が正しいボクサーとは言えません。
しかし、倒せるボクサーであり、ヘイニーやシャクールと違ってそのボクシングは面白いボクサーです。
だから、キーショーンに頑張ってもらいたい。
ただ、前戦のヘイニーの充実ぶり、階級を上げて打たれ強さも安定感も増した感じ、アレを見せられるとなかなかに厳しいかもしれません。
キーショーンは、過大評価されているのか。
この議論は、アンディ・クルスがムラタラに負けてしまったこともあって、アメリカでは比較的多く議論されていることですが、このヘイニー戦はただの勝ち負けではなく、キーショーンの評価を決定付けるファイトになりそうですね。
さてさて、ということでアメリカ大陸では8月にビッグマッチ。これは今から非常に楽しみです。
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