世界のボクシングプラットフォームが、いよいよ統一されます。
マッチルーム、トップランク、ゴールデンボーイ、クイーンズベリーといった大手のプロモーターと提携していたDAZNに、PBCも加入する、とのニュース。
契約自体はすでに合意済みで、あとは正式な記者会見を待つのみ、という段階のようです。このブログが公開される頃には、その会見もすでに終えているかもしれません。
ということで今回は、DAZNの王座統一の道のりについて。

https://www.boxingscene.com/articles/pbc-dazn-strike-union-poised-for-long-term-deal
DAZN、王座統一への道のり
まずは簡単に、DAZNがこれまでどのように大手プロモーションを取り込んできたか、その歩みを振り返っておきたいと思います。
口火を切ったのは、エディー・ハーン率いるマッチルーム・ボクシングでした。
2018年5月、パフォーム・グループ(当時)と8年・10億ドル規模の契約を結び、マッチルーム・ボクシングUSAを設立してアメリカでの独占配信をスタート。
DAZNにとって最初期の大型パートナーです。
続いて同年10月、オスカー・デラホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションズが5年間のグローバル契約を締結。マッチルームからわずか半年ほどでの合流であり、DAZNがサービス開始直後から一気にボクシングへ舵を切ったことがうかがえます。
そのマッチルームは2021年6月、27年間続いたSky Sportsとの関係に区切りをつけ、イギリス・アイルランドでもDAZNと5年契約を締結。
これでアメリカ・イギリス双方の主戦場をDAZNに委ねる形となり、まさに屋台骨と言えるパートナーに育っていきました。
そしてクイーンズベリー・プロモーションズ。
フランク・ウォーレン率いるこちらは、長らくTNTスポーツ(旧BT Sport)で放映されていましたが、2025年4月1日よりDAZNへ移行しました。デュボアやウォードリーといったイギリスのトップボクサーたちがDAZNで見られるようになったのは、日本のファンにとっても大きなニュースだったのではないかと思います。
さらに忘れてはいけないのがリヤドシーズン。
トゥルキ・アラルシク氏の影響下にある各種ビッグマッチも、DAZNをメインプラットフォームとして活用してきました。これはアラルシク氏自身がDAZNの大株主となっていることとも無縁ではないのでしょう。
そして今年3月、ボブ・アラム会長率いるトップランクがDAZNとの複数年契約を発表。
前年7月にザンダー・ザヤスvsホルヘ・ガルシアを最後にESPNとの契約が終了して以来、中継媒体を持たなかったトップランクにとっては、ようやく落ち着き先が見つかった形です。
94歳の会長がまだこうして大きなディールをまとめられるというのは、それだけで感慨深いものがあります。
6月にはイギリスのBOXXERも加入。
これにより、DAZNもしくはダナ・ホワイト率いるZuffa Boxingのいずれにも属さない大手プロモーターは、事実上PBCのみという状況になっていました。
DAZN、Undisputedプラットフォームへ
そこへ来て今回、アル・ヘイモン率いるPBCがDAZNと長期契約を結んだ、との報道です。
複数の媒体が「契約は既に締結済み」と伝えており、あとはハリウッドでの正式な記者会見を残すのみ、という段階のようです。信憑性は非常に高いと言えそうです。
これまでPBCはほぼAmazon Prime Videoでの放映に限られており、他のプロモーションとの絡みは実現しにくい状況が続いていました。
それが今回、マッチルーム・トップランク・ゴールデンボーイ・クイーンズベリーという4大プロモーターと同じ屋根の下に入ることになるわけですから、ボクシング界における「4団体統一」と言っても大げさではないレベルの出来事ではないでしょうか。
Amazon Prime VideoになってからのPBCは明らかに興行数が減っており、ビッグマッチしかない状態でしたから、ここはファンにとっても嬉しい限り。PBC復活の起爆剤になれば良いですね。
ただし、ジャーボンタ・デービスの一部の試合はこの契約の対象外になる可能性がある、との情報もあり、まだ細部は流動的なようです。
そもそもタンクがまだ試合をするのかどうかもわかりませんけど。
また、現状のPBC-Prime Video契約が期限を迎える一方で、Prime VideoはDAZNのコンテンツを配信する立場でもあるため、今後もPBCの大きな試合はPrime Videoを通じて視聴できる状態が続くと見られています。
この点は日本のファンにとってはあまり関係のない話かもしれません。
IBO的存在のZuffa Boxing
とはいえ、4団体統一を果たしたところで、ボクシング界には常に「その先」があるものです。
無敗のIBO王者が実は強かったり、防衛戦をこなさなければ最強と認められない空気があったりと、ベルトを統一しても議論が尽きないのがこのスポーツの面白いところであり、厄介なところでもあります。
それと同じ構図が、実はプラットフォームの側にも存在しているのではないかと思います。現在アメリカではパラマウントプラスで、ダナ・ホワイトとサウジアラビアのトゥルキ・アラルシクが設立したZuffa Boxingの興行が配信されています。
UFCの運営会社であるTKOグループが後ろ盾となっており、主要4団体が17〜18階級を認定しているのに対し、Zuffaは8階級に絞り込むという独自路線を取っているのが特徴です。
すでにジャイ・オペタイアがZuffaクルーザー級の初代王者となるなど、独自ベルトの権威づけも進んでいます。そういやジェイソン・モロニーもZuffa加入だとか。
このZuffa Boxingが将来的にDAZNの傘下に入る可能性があるのか、という点は、正直なところ現時点では見通しにくいというのが正直なところです。
むしろ「Zuffa対DAZNの対立構造」と報じられることが多く、しばらくは両者が競合するプラットフォームとして併存していくのではないでしょうか。ボクシング界の完全な一枚岩化には、まだいくつかの壁が残っていそうです。
日本のファンを悩ませるWOWOW問題
そしてもう一つ、日本のファンにとって身近な悩みどころが、WOWOWの立ち位置です。
もともとAmazon Prime Video独占PPVとして案内されていたエロール・スペンスJr.vsティム・チュー(7月25日、シドニー)を、WOWOWが放映すると発表。
しかしこちらは後からDAZNのPPVとしても配信されることになり、DAZN Ultimate加入者は追加料金なしで視聴できるようになりました。
今月頭に行われたアブドゥラ・メイソンvsアルバート・ベルのトップランク興行は、世界的にはDAZN配信でありながら、日本ではWOWOWが中継し、日本版DAZNでの配信は無い、という形が取られました。ライブ配信をしてくれること自体はありがたい一方で、なかなかややこしい契約の形になっているのが実情です。
これから先、PBCがDAZNに合流していく中で、日本ではどうなっていくのでしょうか。
今回のメイソンvsベルのように「日本はWOWOWで、他はDAZN」というパターンがPBC興行にも広がっていくのか、それとも別の形が模索されるのか、まだ何とも言えません。
ただ、これまでWOWOWがボクシング中継に注いできた労力や実績を思うと、簡単に切り離される話でもないのだろうと思います。
ファンとしては少々面倒に感じる部分もありますが、致し方ない側面もあるのかもしれません。
ファンが最も喜ぶのは、DAZNのPPVで放映されるものすべてを、WOWOWがライブ配信してくれることではないかと思います。
そうした形が実現するかどうかも、今後の注目ポイントになりそうです。
ともあれ、PBC×DAZNはありがたい話です。これまでPBC内でしかほとんど試合が組めなかったですから、ここからビッグマッチが加速していくかもしれないですね。
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