“モンスター”井上尚弥の次戦が「ほぼ決定」のニュース!!
予想通りのジョンリル・カシメロ!
2020年の幕開けから、間もなく間もなくと言われてきた井上尚弥の次戦が、いよいよ発表されました!(ブログ投稿日現在、正式発表はまだです。双方が合意したとの情報のみ)
対戦相手は、3階級制覇王者でWBO世界バンタム級王者、ジョンリル・カシメロ(フィリピン)!!
あの世界戦最短記録KO記録保持者、ゾラ二・テテ(南アフリカ)を圧倒し、3Rで見事ノックアウト!戦績は29勝20勝4敗、ムラがあるような感じもしますが、パンチがあり、間違いなく強敵です。カシメロはとにかくぶん回して思い切りよく打ってくるので、注意が必要です。
普通に闘えば井上のスピード、パワー、テクニックをもってすれば圧倒できる相手ではあると思いますが、カシメロはダーティーなテクニックもあり、強引に来ることもあるので何かトラブルが起こらないとも限りません!
ラスベガス進出初戦、是非是非怪我なく、そして圧勝で終わらせてもらいたいと思います!
そしてそして、そんな4/25を楽しみにしつつ、日本が生んだモンスター、日本ボクシング史上最高傑作である井上尚弥のこれまでの奇跡を振り返っていきたいと思います!
デビューから4戦で日本王座を獲得!相手はのちの世界統一王者!
まず、プロデビュー戦からですが、デビュー戦は当時OPBF(東洋太平洋ボクシング 連盟)ランカーである、クリソン・オヤマオ(フィリピン)との対戦でした。
既に、アマチュアボクシングで前人未踏の結果を残していた井上尚弥、もちろんファンやメディアから熱い視線が注がれた中でのデビュー戦でした。
今や「モンスター」の愛称もしっくりきますが、この頃は確固たる技術は持っているものの、まだ線も細く、怪物というイメージはなかったです。
続くデビュー2戦目でタイ人を秒殺KOしたあと、当時日本ライトフライ級1位の佐野友樹(松田)との一戦を迎えます。
ランキング1位という事は、待っていれば日本タイトルへの挑戦が可能なんです。それでも、新進気鋭の怪物の挑戦を受ける佐野の漢気よ。。。
そして日本タイトルマッチ。
相手は、田口良一(ワタナベ)。のちにライトフライ級でWBAの世界タイトルを7度防衛、IBFタイトルも獲得する名王者です。
この頃は、前戦で日本チャンピオンになったばかりでした。
その初防衛戦(初防衛戦は鬼門と呼ばれます)で新進気鋭の怪物を指名する田口の漢気よ。。。(2回目)
ちなみに、田口は高校生だったころの井上尚弥にスパーリングでボコボコにされている過去がある、との事。
果たして田口が意地を見せ、名勝負となった日本ライトフライ級タイトルマッチ。(井上尚弥、初の判定勝利)
この後、井上尚弥はご存知の通り飛躍していきますが、田口も井上戦の翌年に世界チャンピオンになります。後年、井上との試合があったからこそ世界チャンピオンになれた、と語った田口。まさに敗者なき闘いでした。
デビュー6戦目で日本人最速(当時)で世界王座奪取!思わぬ試練も!
井上尚弥は、日本タイトルは防衛せずに返上。5戦目でOPBF(東洋太平洋ボクシング 連盟)ライトフライ級王座決定戦に臨みます。
ここを5RTKOで勝利した次の試合が、2014年4月6日、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ。チャンピオンは、アドリアン・エルナンデス。
エルナンデスは2度めのタイトル獲得後、4度の防衛に成功しているチャンピオンでした。
その試合でも、1Rから井上尚弥の強さは光ります。
攻めては的確なパンチをヒットし、攻められては間合いで外し、すぐに攻撃に転じる。打たれずに打つ、理想的なボクシングを展開していました。
圧倒的ポイントリードで迎ましたが、5Rに井上が若干失速。後日談によると、これは減量の影響で、足が痙攣を起こしていたとのこと。。。
残り半分以上のラウンドを残し、かなりの危機だったと推測されます。
しかし、続く6R、一気に勝負をかけて試合を決めてしまったのです!
トラブルに陥ったときに、守りに入らず攻めきる、このハートは本当に非凡ですね。
当時20歳(試合の数日後に21歳)の若武者が、前評判通り、これほど完成度の高いボクシングをしたことに驚きました。タイトルマッチとなると、緊張もあり力を出しきれない選手もいる中で、圧巻でした。
ただ、競技歴が長く、すでに完成されたボクシングで、意外にも伸びしろは少ないのではないか…と、当時思っていた私は大馬鹿者でした(*_*)
8戦目では世界最速(当時)で2階級制覇!モンスター伝説の幕開け!!
7戦目でタイのサマートレック・ゴーキャットジムを11RにKOして初防衛。
ただ、この一戦は序盤こそキレのいい動きでしたが、終盤になると粗さが出てきて、最終的には力技でねじ伏せた感じでした。
理由は、減量苦。21歳という体がまだ大きくなるというタイミングで、10kg以上の減量をしていたそうです。試合が近くなると、練習というより減量だったそうです。ライトフライ級のリミットが48.97kgで、10kg以上の減量って、、、まぁ、やばいですよね。
このとき、既にライトフライ級では限界で、戦前から返上の噂がありましたが、防衛戦をしないと王者とはいえない、という思いから防衛戦を行ったのでしょう。とりあえずチャンピオンとしての義務は果たした、と。
防衛戦後、すぐに王座は返上し、フライ級にあげての世界挑戦を模索しはじめます。
実際、ファン・カルロス・レベコとの試合が決まりかけたそうです。しかし、この試合は流れます。(レベコは実力のある選手ですので、もし実現していたら興奮したでしょうね!それでも井上の負けは考えられないですが…)
結果的に決まった試合は、フライ級をすっとばし、スーパーフライ級のオマール・ナルバエス(アルゼンチン)とのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチでした。
当時、オマール・ナルバエスは、フライ級に続き、スーパーフライ級を制した2階級制覇王者。46戦して、敗北はたったの一度。しかも相手はあのノニト・ドネア。(判定負け)
世界タイトルの防衛記録は通算27度、今回がスーパーフライ級のタイトルは12度目の防衛戦でした。
とんでもないバケモノです。いかに「怪物」井上尚弥といえども、苦戦は免れない。ひょっとしたらひょっとするかも…
しかもいきなり2階級もあげて、大丈夫なのか??
このころ、来日していたノニト・ドネアが井上を訪ねます。ドネアは過去、ナルバエスに勝利していたので、ナルバエス攻略の糸口を井上に指導したそうです。
この写真は、当時も見ましたが、ドネア戦が決まってからまた大きく取り上げられていましたね。
これまでも井上尚弥の試合は、何試合か現地観戦してきました。この時は、どうしても見に行かないといけない気がして、いつもよりちょっと良い席をとって現地観戦。
結果はご存じの通りで、私の心配は全て杞憂でした。
開始早々、右ストレートを痛打。もう一発。ナルバエスダウン。
この1発目の右ストレートがかたい額にあたり、井上尚弥は早くも右拳を痛めました。
額にあたって効かせるって、大変なことです。
(実況はテンプルって言っていますけど、映像見返す限り額です。おでこです。)
おでこは急所じゃないですよ!!!
むしろ、かわせないぐらいならおでこから当たりに行け、と言われる位の場所です。
その1発目で効かせ、2発目はナルバエスのガードの上。
ガードの上に当たった右ストレートで、ナルバエスダウン!!
減量苦から開放された、とんでもないパワー。その後もダウン追加。
2R、左フックでまたもダウンを奪う。この左フックは、バックステップしながらの左フックで、相手の右に合わせる左フック。サウスポーのナルバエスが右を打ちながら入ってきたところに、ドンピシャのところで当てました。
この左フックは後々の試合でもよく使う、井上尚弥のフェイバリットブローの一つです。
そして悪魔の左ボディー!一瞬、間をおいて、膝から崩れ落ちるナルバエス!!
そのままテンカウント!!
このニュースの衝撃は、世界中をはしりました。
今までナルバエスは、効かされてダウンを奪われた事は一度もなかったそうです。
これまで軽量級を引っ張ってきた安定王者が、次世代にバトンを渡し(てしまっ)た瞬間だったかもしれません。
ボクシングはいつもそうです。
どんなに強いチャンピオンでも、どんなに負ける事が想像できない選手でも、いつかは落日の日がきます。
落ち目だと思っても、そこから違う輝きを放つ選手もいます。
世代交代、成るか否か。
これはボクシングを見る上では、非常に興味深い事象です。
これで2階級制覇、井上尚弥21歳。ものすごいスピードで駆け上がっていきます。
それと、有名な話ですが、ナルバエス陣営、パンチが効きすぎて、井上のグローブに何か仕込んでいるんじゃないか、と疑いを持ったそうです。
試合後、リング上でグローブチェック。
何もないとすると、「グッドファイト」と新チャンピオンを讃え、その後、井上のインタビュー中もリングの上に残り、拍手で井上を祝福したのち、リングを降りたそうです。
井上尚弥 vs オマール・ナルバエス | ボクシング WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ | Inoue Naoya VS Omar Narvaez HD Full Fight Story
偉大なチャンピオンからのバトンを受け取った井上尚弥の伝説が、また、ここから始まります。
Part2へ続く。