9月最終週はボクシング三昧!
↓ヨーロッパでの注目試合はこちら
boxingcafe.hatenablog.com
ドイツではWBSSクルーザー級決勝、ユニエル・ドルティコスとマイリス・ブリエディスの一戦が行われ、イギリスではジョシュ・テイラーにアジアの雄、ダオヌア・ルアワイキン(アピヌン・コーンソーン)が挑みます。
どちらも大変興味深いマッチメイクですね。
そして今回のブログではアメリカで行われる2部制興行、PBCのチャーロ兄弟出場の興行をプレビューします。
注目試合ばかりなのでまずは第一部!メインでチャーロ兄が登場する興行のプレビューです。
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9/26(日本時間9/27)
WBO世界バンタム級タイトルマッチ
ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)33戦29勝(20KO)4敗
vs
デューク・マイカー(ガーナ)24戦全勝19KO
カシメロはご存知、元々井上尚弥(大橋)との対戦相手として決定されていたボクサーです。2007年にプロデビュー、地域タイトルを獲得し、14戦目でWBO世界ライトフライ級暫定王座を獲得します。
しかし初防衛戦で僅差の判定を落とし、無冠に。再起戦で今度はIBF世界フライ級王座に挑みますが、当時の王者モルティ・ムザラネに敗北、2連敗となります。
復帰後すぐにIBF世界ライトフライ級暫定王座戦を制し、正規王座に繰り上がった後は3度防衛、4度目の防衛戦でウェイトをつくれずに王座剥奪。
またすぐにIBF世界フライ級に挑戦、アムナット・ルエンロン(タイ)に判定負けを喫しますが、再戦でリベンジして戴冠。2階級制覇。その王座を1度防衛のあと返上したあとのノンタイトル戦でジョナス・スルタン(フィリピン)に判定負け。
そして2019年にWBO世界バンタム級暫定王座を獲得、正規王者ゾラニ・テテ(南アフリカ)を下馬評不利の中3RTKOで降し、タイトルを統一、正規王者となりました。
キャリアは非常に山あり谷あり、負け数もありますが、世界タイトル戦やそれに準ずる試合が多く、経験値は多く積んでいるようなイメージ。そして世界各地で戦っており、アップセットもよく起こしています。
安定性がイマイチで、一発当たればみたいなボクシングなので試合自体は緊張感もあっておもしろいですが、ポカをする可能性もあります。
↓テテvsカシメロ、フルファイト。
対するデューク・マイカー(以前ミカーと表記したかもしれませんが、中継局WOWOWの表記に合わせました)は、スピードのあるボクサー。
スピードのあるサウスポー、ゾラニ・テテを攻略したカシメロですが、どちらかというとカシメロはスピードのあるタイプは得意ではないように思います。
試合映像自体は多くないながらも見てみると、マイカーは素早くバックステップして、そこから攻め入るパターンが多いような気もします。このバックステップでカシメロの前進、というか突進をかわしたりいなしたりできるかどうか。
カシメロが超強引に入って、反則じみたパンチを繰り出していくならば、マイカーが崩れる可能性がありますし、逆にカシメロが空転するという展開も考えられます。
↓マイカーの試合はあまりYoutube上にありません。2017年のもの。
テテ戦、カシメロの勝利がフロックだったのかが問われる試合になりそうです。これに勝てば井上尚弥との統一戦が近づくでしょうし、負ければ口だけだったと罵られる。逆にマイカーとしてはこれまでの対戦相手の格、実績から言って失うものがありません。通常であれば精神的にはカシメロの方が追いつめられた状態で闘うわけですが、カシメロはあまり気にしなそう。
我々日本人は、一旦カシメロで盛り上がってしまったので、カシメロに勝って井上戦につなげてもらいたいですが、マイカーが勝っても特に驚きはしないでしょう。
WBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
ブランドン・フィゲロア(アメリカ)21戦20勝(15KO)1分無敗
vs
ダミアン・バスケス(アメリカ)16戦15勝(8KO)1敗
無敗のホープ、フィゲロアは元世界ライト級王者、オマール・フィゲロアの実弟。オーソドックスを軸にしたスイッチヒッターで、ずっとサウスポーで闘ったりもしています。
2019年1月に暫定王座につき、当時の正規王者、ダニエル・ローマン(アメリカ)がIBF王者のTJドヘニー(アイルランド)との統一戦で勝利してスーパー王者となったために、正規王者に昇格しました。(そのローマンもこの興行の2部に登場。)
前回の防衛戦では、対戦相手のフリオ・セハ(メキシコ)がなんと4.5ポンド(2kg!)オーバー。フェザー級を超えるリミット(スーパーフェザー級)のセハを相手に、苦闘のドロー防衛とはなかなか不憫に思いますね。
そんなフィゲロアは激闘型といってもいいでしょう。コンビネーションパンチャーで、気持ちが強くとにかく手数が途切れないイメージです。
↓セハ戦のひとつ前の試合。
対するバスケスは、ステップワークを使いながら闘うボクサー。こちらは元統一世界スーパーバンタム級王者、イスラエル・バスケスを兄に持ちます。
2019年3月には(この興行の2部にも登場する)ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)にほぼフルマークの判定で敗れていますし、強豪との対決はそれぐらいです。井上尚弥、ルイス・ネリにKOされたパヤノにても足も出なかった、という事実は、ダミアン・バスケスというボクサーの底を知ってしまった感じがします。
↓パヤノ戦のあとのジョスエ・モラレス戦。ドローでした。
なのでおそらく下馬評はフィゲロアが絶対優位にたつでしょう。フィゲロアはここをしっかり倒しきって、スーパーバンタム級で活躍してもらいたいです。
WBC世界ミドル級タイトルマッチ
ジャモール・チャーロ(アメリカ)30戦全勝(22KO)無敗
vs
セルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)15戦13勝(10KO)2敗
チャーロ兄、4度目の防衛戦はデレビヤンチェンコ!!これはビッグマッチと言っていいでしょう。
ジャモール・チャーロは2008年にプロデビュー。キャリア初期は判定勝利が多かったですが、7戦目からは14連続KO勝利をあげ、注目を集めました。
その後2015年にIBF世界スーパーウェルター級王座を獲得、3度防衛のあとに返上し、WBCミドル級の暫定王座を獲得して2階級制覇。(のちに正規王者に昇格)
ミドル級の防衛戦では、マット・コロボフ(ロシア)、ブランドン・アダムス(アメリカ)を相手に判定勝利。豪快なKOが魅力のチャーロの評価は若干落ちてしまったかもしれません。
3度目の防衛戦では7RTKOでデニス・ホーガン(アイルランド)を仕留めますが、ずっと言われていることに「チャーロはまだ本物と戦っていない」ということがあります。
相手は格下が多く、実力者も退けてはいるものの、なかなか評価を得られないチャーロ兄。
↓コロボフ戦。コロボフだって強敵です。
しかし今度の相手はダニエル・ジェイコブス(アメリカ)、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)を相手に僅差の勝負をしたデレビヤンチェンコ。
今度は強敵ではない、とは言わせんません。
ジェイコブス、ゴロフキンと互角(に近い)実力を有している「ザ・テクニシャン」デレビヤンチェンコ。
世が世なら、とっくに世界王者となって、安定政権を築いていたかもしれないデレビヤンチェンコ。ここまで無冠というのが全く信じられないほど完成度の高いボクサーです。
↓ジェイコブス戦のハイライト。
群雄割拠のミドル級、その今後を占う大きな一戦、それがチャーロvsデレビヤンチェンコ。
チャーロが勝って、その評価を正当なものにするのか。
それともデレビヤンチェンコが初のタイトルを手にするのか。
どっちが勝っても驚きませんが、私はチャーロを応援です。デレビヤンチェンコを応援したい気持ちもありますが。。。
このPBC興行はWOWOWオンデマンドで生配信!
翌9/28(月)のレギュラー放送でも放映予定です。
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メインのチャーロvsデレビヤンチェンコは非常に楽しみですが、その他もバンタム級とスーパーバンタム級のタイトルマッチ。非常に日本にゆかりの深いこの階級が1部、2部ともに多くを占めているというアメリカにしては珍しい興行かもしれません。
こうやって軽量級をアメリカでも盛り上げてくれて、現地時間10/31にはいよいよモンスターが登場!となるわけですね。(実際は軽量級はファイトマネーが安く、ゲート収入を期待できない無観客興行に入れやすいというのも理由かもしれませんが。)
そして海外だけでなく、国内でも注目試合が盛り沢山。
↓国内戦は、Youtubeで生配信です。
PBC興行の第一部、3試合のプレビューでした。
次回は第二部、チャーロ弟とロサリオの世界王座統一戦、ルイス・ネリ、ダニエル・ローマンが登場します!