信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

ラスベガスで爆発したボンバーレフト、三浦隆司の軌跡。〜Part2〜

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WBC世界スーパーフェザー級王者、三浦隆司。

2013年、幼い頃からの夢を叶え、見事世界チャンピオンとなった三浦隆司

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初防衛戦は、メキシコのカンクン。相手は三浦の同門、ホルヘ・リナレスを番狂わせで破った事のあるセルヒオ・トンプソン(メキシコ)。26勝24KO2敗というハードパンチャーの地元に乗り込んで行う鬼門の初防衛戦。勇気があります。

お互いの強打を警戒しながら始まった一戦でしたが、打撃戦になるのに時間はかかりませんでした。2R、三浦が左アッパーを効かせた後の連打でダウンを奪います。その後の追撃はクリンチで寸断されます。

三浦はその後、一発狙いのボクシングになってしまいます。そして迎えた6R、トンプソンの右がクリーンヒットした後、詰めに来たトンプソンに逆に左ストレートをお見舞い。その後の連打でまたもダウンを奪います。

三浦は倒しにかかりますが、逆に8Rにダウンを奪われる展開。三浦も踏ん張り、試合は判定にもつれ込みます。そして僅差の3-0判定をものにした三浦。敵地、海外での初防衛戦をクリア!!心臓に悪いくらいの大激闘でした。

その年の大晦日、ダンテ・ハルドン(メキシコ)をほぼ一方的な展開で9RTKOに退け、翌年にはエドガル・プエルタ(メキシコ)に6RTKOの圧勝。この間、1年ほどのブランクをつくっています。(防衛戦が決まっては流れを繰り返したため)

メキシカンキラーぶりを発揮し、どんどん完成に向かう三浦のボクシング。

この頃には、未だにWBAスーパーフェザー級王者として君臨していた内山高志(ワタナベ)との統一戦(再戦)も浮上していました。実現していたらおもしろかったですが。。。

そして4度目の防衛戦を元IBF世界フェザー級王者、ビリー・ディブ(オーストラリア)を相手に衝撃的な3RTKOで飾ると、いよいよラスベガスでの防衛戦が決まります。

 

ラスベガスで爆発したボンバーレフト

2015年11月21日、ラスベガスのマンダレイ・ベイ・イベントセンター

メインイベントはミゲール・コット(プエルトリコ)対サウル・アルバレス(メキシコ)というビッグイベント。

相手は無敗のトップコンテンダー、フランシスコ・バルガス(メキシコ)。

好戦的な両者の試合は、勿論大激戦となりました。

1R目から距離が近く、お互いの強打を交換し合います。そんな中、バルガスのボラードがクリーンヒット!三浦は腰を落としてしまいます。なんとかダウンを免れた三浦でしたが、その後はバルガスの追撃に合い、苦しい時間が続きます。なんとか生き延びて1R終了。

初回からかなり危ない。ヒヤヒヤしながら見ていましたが、2Rに入ると、多少は回復している模様。

バルガスはメキシカンらしく、シントゥーラ(体の振り)を使ってくるので上体の動きが三浦よりも柔らかいです。クリーンヒットをもらわない技術はバルガスの方が上でしょう。

しかし、一発の破壊力は三浦の方がありそうです。

序盤、バルガスは上体を上手く使い、三浦のパンチをはずしつつ打ち込んでいきます。ややバルガス有利のラウンドが続きました。

そして迎えた4R、ここで待望の!ボンバーレフト!!が炸裂します!!!まっすぐの左ストレートがバルガスを襲い、バルガスはキレイにダウン!おそらくここまでのポイントはバルガス有利、ここからの大逆転を連想させるダウンシーンでした

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しかし、バルガスは素晴らしいファイターでした。気持ちも折れることなく、粘ります。

両者ともにダメージを負っています。プレスをかけるのは三浦。バルガスは下がりつつも手を出し、更に三浦の打ち終わりには必ずパンチを返す。しかしバルガスも疲れているので、チャンスを待つ時間。

8R、大きなヤマ場が訪れます。終了間際にまたもボンバーレフトが炸裂!よろめくバルガス、連打で攻める三浦!ロープに詰めたところで8R終了のゴング!惜しかった!しかし次のラウンドに大きな期待を持てるラウンドでした!

しかし!続く9R、開始早々に三浦にバルガスの右が炸裂!その後的確なブローで三浦がダウン!かなり効いている。立ち上がろうとするも、足に力が入らないのかまた転がる。それでも尚、執念で立ち上がり、両手を上げてアピールする三浦。止められてもおかしくない程のダウン。レフェリーは再開を指示。

再開後、連打で攻めるバルガス。先程までのダメージはどこへやら、完全に試合を決めに来たバルガスの右がヒットしたところで、レフェリーがストップ。

無念、三浦、ボンバーレフトを炸裂させながらもラスベガスに散る。

ただ、この試合はリング・マガジンをはじめ、ESPN、スポーツ・イラストレイテッド誌等、様々なメディアで「年間最高試合」に選出されます。タカシ・ミウラの名前が一気に全米に広まった試合でもありました。

その後は再起戦を1RKOで飾り、WBC世界スーパーフェザー級タイトルへの挑戦権をかけて、メキシコの激闘王、ミゲル・ローマン(メキシコ)と対決。

 

メキシコの激闘王との大激闘

場所はカリフォルニア州インディオ。メインイベントにはWBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ、王者フランシスコ・バルガス対挑戦者ミゲル・ベルチェルト。勝てば今回メインで勝利した王者に挑戦する権利を得る、というエリミネーター。こういう興行はアメリカではよくあるのですが、日本タイトルマッチとかでも採用すると盛り上がると思います。

序盤から距離を潰しにかかるローマン。三浦は珍しくステップを踏み、ジャブを連打で飛ばす。この試合、三浦はいつもより少しボディが多い感じがしました。序盤は特に右ボディ。ローマンの距離より少し遠い距離で闘いたいのでしょうか。

ローマンは無理やり距離を詰めて、連打で対抗します。

早いラウンドから距離は縮まり、お互いフルパワーのパンチを奮っていく展開。ローマンの方が連打が出る分、手数が多い感じがします。三浦は一発一発を思いっきり、声を上げながら奮っていく展開。あまり距離が近くなりすぎると、三浦のパンチは空を切ります。

お互いにクリーンヒットを奪い、お互いに危ない場面も。

中盤以降、お互いのボディの叩き合い!しかも思いっきり打つ!

終盤に入ると、ローマンは若干のペースダウン。三浦のボディが効いてきたか、だんだんと背中が丸くなってきます。

そして10R終盤、組み合った所でレフェリーが分け、再開したところで。。。

ガードを固めるローマンに向かい、渾身の左ボディー!!!!

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これはすごかった。。。

もんどり打って倒れたローマンでしたが、なんと立ち上がって試合は再開。

その後のラウンドは三浦がボディーを中心に攻めます。最終ラウンド、どんどん体が丸まり、ガードが下がってきたローマンの顔面へボンバーレフト!!!見事テンカウントを聞かせてのKO勝利!!

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ラストファイト

見事WBC世界スーパーフェザー級タイトルへの挑戦権を勝ち取った三浦でしたが、その日のメインイベントで前回激闘を繰り広げたバルガスが敗退。新王者はミゲル・ベルチェルト(メキシコ)。ベルチェルトは流れるようなコンビネーションと手数が武器の、メキシカンファイター。バルガスや三浦よりもテクニカルで、器用です。あまりに近い距離よりも、中間距離で闘いたいファイター可と思います。

この日、序盤から旺盛な手数でバルガスに対し優位に試合をすすめたベルチェルト。中盤に若干押し返されるも、後半、少し失速した感じのあるバルガスに攻め込みます。結果、11RでドクターストップによるTKO勝利。

新チャンピオン、ミゲル・ベルチェルトに挑戦することとなった三浦隆司。

この試合は、初回から三浦はダウンを奪われる苦しい展開。しかも、ベルチェルトは思った程出てきてはくれず、遠目の距離から手を伸ばすベルチェルト。三浦はなかなか中に入り込めず、ボンバーを振るう機会も少ない。

中盤に入り、三浦は声を上げながらパワーパンチを振るうも、ベルチェルト攻略には至らず。ボディーで効かせたパンチもありましたが、ベルチェルトは距離が遠く、上手かったです。

ポイント的には大差の判定敗けでしたが、後半にはベルチェルトもおそらくボディが効き、動きは鈍っていたようにも思いました。もっと前半に距離を詰めて当てられていれば結果は違っていたかもしれませんが、それだけベルチェルトが三浦に対して対策をしてきた、ということでしょう。

非常に悔しい敗戦とはなりましたが、三浦はその敗戦の2週間後、グローブを吊るす事をSNSで発表。

きっと、まだできるのでしょうが、引き際は選手が決める事。

世界王座は4度防衛、海外防衛、海外での挑戦者決定戦勝利等、素晴らしい記録を残しつつ、もっとも偉大な功績はそのエキサイティングなボクシングでアメリカを熱狂させたこと。

あえてベストバウトを上げるなら、敗れはしましたがフランシスコ・バルガス戦。勝負の行方は、紙一重、実力差は紙一重以下、記憶に残る名勝負でした。

 

 

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