10/2、尾川堅一(帝拳)と西谷和宏(VADY)の元日本王者同士、世界ランカー対決は尾川に軍配が上がったようです。
その試合内容は10/5(月)のG+での放映を待ちたいと思いますが、西谷が先制のダウンを奪い、その後尾川が倒し返すという展開だったようです。
ポイント差は中差、全体的に尾川が試合を支配したのかもしれません。ただ、西谷はIBFの世界ランクに入っているものの、世界的に目立った実績があるわけではなかったので、実績に勝る尾川としてはもっと圧勝したかったのが本音だと思います。
伊藤雅雪(横浜光)がライト級に照準を合わせた今、国内のスーパーフェザー級トップは尾川堅一で良いと思うのですが、ここでは力の差を見せつける事ができなかったかもしれません。(試合を見てみないと何とも言えないですが、ダウンを喰ったのはいただけない。)ここで勝利し、国内最強を証明したことは良いとして、これから更に海外の強豪と戦っていってもらいたいですね。
そして、OPBF東洋太平洋王者の三代大訓(ワタナベ)も、まだそのタイトルを返上こそしていませんが、伊藤戦を皮切りに階級変更を示唆しています。
さて、そうするとスーパーフェザー級の国内には、世界を狙える立ち位置には誰がいるのか。
先に述べた尾川堅一、西谷和宏の次に来るのは日本王者の坂晃典(仲里)。世界挑戦権を有しないWBC29位に顔を出しています。
坂は世界を見据えていた末吉大(帝拳)を番狂わせの6RTKOで破り、日本タイトル2階級制覇。20勝中17KOとパワーがあり、試合はエキサイティングで非常におもしろいボクサーですが、まだ世界を狙える実力があるかというとまだ地力を養わなければならない気もします。
フェザー級の王座を奪われた試合(拍子木をゴングと勘違いしてKOされた)、日本人キラー、ジョー・ノイナイ(フィリピン)に2RTKOで敗れた試合等を見ると、まだまだ安定感に欠け、不安要素が多いボクサーでもあります。王者となって今度こそ初防衛戦をクリアし、自信も実力もつけてもらいたいですね。
次戦は挑戦者決定戦を勝ち抜いたベテラン、渡邉卓也(DANGAN AOKI)の挑戦を受ける事になると思いますが、ナチュラルなスーパーフェザー、渡邉を退ける事ができるかは坂にとっても試金石となる一戦です。
そんな渡邉に挑戦者決定戦で敗れはしたものの、源大輝(ワタナベ)もまだ終わっていません。前日本フェザー級王者、源は渡邊のフィジカルに対抗できずに敗れた印象。次戦は10/8(木)、三迫ジムの中川兼玄とのサバイバルマッチを迎えます。
中川はランカー対決に3戦連続で勝利し、着実にランクを上げてきた勢いのあるボクサー。しかもこれまた勢いのある三迫ジム所属。この源との一戦に勝利すれば、日本タイトル挑戦へ大きく近づく事でしょう。
そしてランカー対決といえば、このコロナ禍の中で大きくランキングを上げた長谷川慎之介(ワールドスポーツ)。8月の三瓶数馬(協栄新宿)との一戦は、負傷判定ながら勝利し、下位(16位)から6位まで一気にランキングが上がり、日本タイトル一歩手前まで来ています。
そして10/2のダイナミックグローブにも出場した波田大和(帝拳)も注目のボクサー。10月発表のJBCランキングでは日本タイトルへの挑戦資格を有しない13位ながらも、やはり評価の高いボクサーです。
この日本ランカーたちが、世界へ羽ばたいていくのはいつか。まだ少し、先の話かもしれません。
さて、世界に目を向けてみると、WBC王者のミゲル・ベルチェルト(メキシコ)を除いては安定王者とはいえない王者揃い。狙い目な階級とも言えます。
世界王者たち
WBAスーパー王者
レオ・サンタ・クルス(メキシコ)39戦37勝(19KO)1敗1分
既にレジェンドともいえる4階級制覇王者ですが、10/31に控えるのはジャーボンタ・デービス(アメリカ)戦。ここは厳しいとの見方が強いです。
WBA王者
レネ・アルバラード(ニカラグア)40戦32勝(21KO)8敗
前戦、アンドリュー・カンシオ(アメリカ)を破って40戦目で初戴冠。ここまで8敗、苦労人ではありますがこれ以上の底上げは難しそうなイメージです。
WBC王者
ミゲル・ベルチェルト(メキシコ)39戦37勝(33KO)1敗1NC
三浦隆司(帝拳)から奪った王座は6度の防衛。フランシスコ・バルガス、ミゲル・ローマンといった強豪との同国人対決を制し、最も評価の高い王者でしょう。
そしてこの階級最強の呼び声高い王者は、元WBO世界フェザー級王者のオスカル・バルデス(メキシコ)の挑戦を受ける予定です。非常に楽しみなビッグマッチですが、バルデスはスーパーフェザー級に上げてからのテストマッチではあまり良い動きができていないように感じるので、ベルチェルト優位でしょうか。
IBF王者
ジョセフ・ディアス(アメリカ)32戦31勝(15KO)1敗
世界初挑戦はフェザー級でゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)に完封されたものの、再挑戦でヘスス・ロハス(プエルトリコ)からWBA王座を奪取。その後階級を上げ、テビン・ファーマー(アメリカ)からIBF世界スーパーフェザー級王座を奪取。
ディアスはこれまで誰とやってもわりと接戦、勝ったか負けたかよくわからない試合を勝ってきています。王者として君臨するならこの事は脅威となるかもしれません。
WBO王者
ジャメル・ヘリング(アメリカ)24戦22勝(10KO)2敗
伊藤雅雪(横浜光)から王座を奪取、先日の2度目の防衛戦では挑戦者、ジョナサン・オケンド(プエルトリコ)の反則負けとなり勝ちを拾いました。
その試合でダメージを受け、もう数戦で引退を匂わせたヘリングですが、次戦はカール・フランプトン(イギリス)の挑戦を受けるというビッグマッチが待っています。
このうち、初防衛をしていない王者がレネ・アルバラードとジョセフ・ディアスのふたり。
サンタ・クルスはこの王座を保持できないでしょうし、ヘリングもフラプトンに勝ってもどうなるのかわかりません。
絶対王者がベルチェルトのみ、(サンタ・クルスを除くと)狙い目の階級であるとは思いますが、日本人ボクサーがそこに届かない状況であるのは歯がゆく、悔しい。
とはいえ、急にポッと世界を狙えるボクサーは出てこないので、尾川の試合内容が「次は世界」といえるような内容であってほしいな、と思います。10/5(月)の放送を待ちましょう。