信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】ベルチェルトvsナカティラ!3/26TR興行、再起に臨むボクサーたちの明暗。

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たくさんの注目試合があった、日本時間3/27(日)。

仕事から帰ってESPNを視聴です。今回はアンダーカードにも興味があったので、Prelimsから視聴しましたが、オープニングはベルチェルトのノックアウト・ハイライト!復活を期すベルチェルト、ナカティラは危険な相手ですが良い勝ち方をしてもらいたい。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

3/26(日本時間3/27)ラスベガス

まずはアンダーカードでのプロスペクトたちをチェック。

ホスエ・バルガス(プエルトリコ)の相手はアルゼンチンのニコラス・パブロ・デマリオ。セペダ戦からの復帰戦(初回KO負け)ということで、相手としては完全なアンダードッグです。

始まってみても、スピード、テクニックに明らかな差があることがわかります。

しかし、3Rにデマリオの強引な攻めにダウンを奪われたバルガス。クリーンヒットではなくて、弾き飛ばされたようなダウンでしたし、ダメージはなさそうでした。

しかし続く4Rには左ジャブでまたもバルガスはダウン。3R、4Rとダウンを奪われるという大ピンチ、特に4Rはかなり攻められ、終盤に盛り返したものの結構なピンチを経験。

そしてその後の5R、事件が。

終盤、突然レフェリーがタイムの指示、「Bite」と言ってデマリオを減点。カメラの画角上、見えませんでしたが、なんとデマリオがバルガスの右肩を噛んだみたいです。。。

3R、4Rにダウンを奪われ、5Rには文字通り噛ませ犬に噛まれてしまったバルガス。。。

その後はポイントをピックアップし、ダウンポイントを挽回してユナニマスの判定勝利を得たバルガスでしたが、この試合内容は全く喜べる内容ではありませんでした。

特に、この打たれ脆さはかなりまずいんではないでしょうか。スピード、コンビネーションで圧倒しながらも、パンチが交錯する場面ではかなりヒヤヒヤします。ともあれ、バルガスは再起に成功です。

 

続いて登場したのは、元オリンピアンのプロスペクト、デランテ「タイガー」ジョンソン(アメリカ)。こちらもアルゼンチン出身のセバスチャン・ガブリエル・チャベスが相手です。

ジョンソンは非常に速い。コンビネーションも、バックステップも速いジョンソン、自らジャブをついてタイミングを図り、非常にバランスの良いボクサーです。

呼吸をするようにスムーズに速いジャブが出るジョンソンは、手数、ヒット数ともにチャベスを大きく上回り、4Rにチャベスが入ってきたところに右カウンターをジャストミート。一拍おいて膝をついたチャベスは立ち上がりますが、その後もまた右カウンターをヒットされ、最後は左フックカウンターでダウン、レフェリーは試合をストップ。

ハンドスピードが速く、自ら攻撃をしかけながら、相手が反撃したところでカウンターをとる技術。やはり、素晴らしいボクサーですね。

最初のダウン以降、やや攻めが雑になってしまった点や、まだ線の細さを感じる体つきということはありますが、だからこそ伸びしろも十分。タイガー・ジョンソン、注目ボクサーですね。

 

14勝(14KO)1敗のカルロス・カラバロ(プエルトリコ)は相手はメキシコのルイス・フェルナンド・サベドラ。カラバロは前戦でジョナス・スルタン(フィリピン)にまさかの判定負けを喫してからの再起戦です。

初回からプレスをかけ、ダック、ウィービングを駆使して距離を詰めながら強打を放つカラバロ。しかし、サベドラは思った以上に巧く、ステップワークを駆使してコンビネーションで対抗する、という展開です。

このサベドラの足を使いつつも打つコンビネーションは非常にスムーズで、しかも体重が乗っており、カラバロのオフェンス力を持ってしてもなかなか捕まえられません。このサベドラはポジショニングが絶妙で、サウスポーカラバロが強い左オーバーを放てば逆方向にまわり、コンビネーション。純粋なアウトボクサーではないようですが、カラバロは翻弄されてしまいます。

後半になるとカラバロのプレスが奏功し、サベドラも攻撃につながらないサークリングを多用するようになりましたが、サベドラも良く戦ったと思います。

結果判定は2−0でカラバロ。79-73、77-75、76-76までジャッジの中でも大きく差が開いた一戦となりました。ギリギリの勝利でしたが、カラバロは再起に成功、初の判定勝利を収めました。

サベドラというボクサーは、これで9勝(3KO)7敗という戦績ですが、戦績以上にかなり厄介なボクサーです。過去、プロスペクトたちのアンダードッグとして呼ばれ、無敗の相手にも判定勝利を得ているボクサー。今回もあわや、というポイントもありましたが、「判定勝ち」でアップセットを起こせる可能性を持つボクサー、次回の登場も注意です。

 

フェザー級10回戦

ホセ・エンリケ・ビバス(メキシコ)21勝(11KO)1敗

vs

エドゥアルド・バエス(メキシコ)20勝(7KO)2敗2分

いよいよメインカードの放送枠に入り、興行のセミファイナルのビバスvsバエス。

メキシカンの新鋭対決です。

初回のゴング、さすがメキシカン対決はいきなりの打撃戦!

フックの打ち方、ボディショット、ボラード、そのすべてがよく似ており、背格好も一緒。おまけに名前もちょっと似ています。

フェザー級を主戦場にするビバス(バエスはスーパーバンタム)のほうがややフィジカルに優り、バエスのほうはボディムーブに優れる、という印象です。

2Rはフィジカルの利を活かしてビバスが攻め込みましたが、3Rに入ると今度はバエスがサイドに回りながらもアグレッシブに戦い、両者譲らない展開が続きます。

 

4Rも終始体で押していくのはビバスですが、バエスのほうがディフェンスにやや優れる分、クリーンヒットはバエスなのか?という展開。5Rもバエスは下がりながらですが的を絞らせず、うまく戦っています。

それにしても非常にタフなファイト。ふたりともよく手が出ます。。。

その後も微妙なラウンドが続きますが、頭を動かしながら考えてパンチを振るうバエスに対して、ビバスは結構なワンパターン・ゴリ押し。ただ、パンチをもらっても態勢を崩さない分、ビバスの見栄えは悪くないです。逆に体を折りながらパンチをもらうバエスの見栄えは、良くありません。

6R終了時点のパンチスタッツは、ビバスが133/474、バエスは174/457。一応、バエスが上回ってはいるもののそこまでの差はなく、接戦ですね。

残りのラウンドも同じく打撃戦。初回から最終10Rまで、互いに休むことなくしっかりと打ち合いました。スタミナもものすごいですね。

判定は、2-0でバエスを支持。エドゥアルド・バエスがタフファイトを制し、見事再起。

 

 

ライト級10回戦

ミゲル・ベルチェルト(メキシコ)38勝(34KO)2敗

vs

ジェレミア・ナカティラ(ナミビア)22勝(18KO)2敗

いよいよ、メインイベント。前WBC世界スーパーフェザー級王者、ミゲル・ベルチェルトの復帰戦です。

相手はハードパンチャー、ナカティラ。シャクール・スティーブンソンには完封されたものの、本物のパワーを持っているボクサーです。

ミゲル・ベルチェルト、復活なるか。注目のゴングです。

ベルチェルトのリングコールには大声援。何とか復活してもらいたい。

初回、ナカティラが長い、速いジャブを飛ばしスタート。ベルチェルトはまず見る作戦か、サークリング。

なかなか拳が出ないベルチェルト、ナカティラは早々に思い切って右も振っていきます。

ベルチェルトはダックしてナカティラの右をかわしますが、やはりナカティラはパワーがありそうなスイング。しかも、結構無理な体勢からでも打ってくるのが怖いところ。

 

後半、ナカティラは右ストレートをミスしたあとの左ストレートをヒット、その後も左フックを相打ちのタイミングで放ちますが、これもベルチェルトの体に当たります。

ベルチェルトは距離を詰められず、(もしくはまだ詰めようとしていないのか)得意のコンビネーションが出せません。

2R、思い切ってワンツーで攻め入るナカティラ、ベルチェルトのステップはスムーズとは言い難い。ベルチェルトは自ら攻め入ることがほとんどできず、必然的にナカティラの距離で戦ってしまっています。ここは何とかしたいところ。

ナカティラのパンチは空を切ることも多いですが、非常にパワフルなスイング、その迫力に気圧されているようにすら見えるベルチェルト。

3R、完全に「逃げるための」ステップワークとなってしまっているベルチェルト、荒く、隙は多そうに見えるナカティラのその隙を付けません。何とか自分から中に入り、手数勝負をしてもらいたい。

しかしハーフタイム頃、ナカティラとベルチェルトはジャブを相打ち、リーチ差から深く刺さったナカティラのこのジャブで、何とベルチェルトは尻餅をつくダウン!!!

 

その後もナカティラは荒々しくパンチを振るっていきますが、ベルチェルトはガードで対応すると体ごともっていかれそうになっています。これはかなりキツい展開です。

4R、開始早々にワイルドに攻めるナカティラ。ベルチェルトは手を出して反撃するものの、ウェイトの乗ったパンチは打てず、ナカティラはもらいながらも打てるという始末。

この打ち合いの中で、ベルチェルトはほんの少し、「らしさ」が垣間見えるようなコンビネーションを放つことができますが、続かず、回転力でもナカティラに劣ります。

5Rもナカティラがぶんぶん振り回してスタート。このパンチをかわして、左右のフックを叩きつけたベルチェルト!会場が沸きます!

ナカティラのパンチをかわし、前に出てパンチを当てる。これがベルチェルトがすべき戦いです。

ナカティラの右ストレート、左アッパーをもらいつつも、何とか前にでるベルチェルト。ようやくこのラウンド、ナカティラを下がらせることに成功したベルチェルトですが、まだパワーパンチの見栄え自体はナカティラにありそうです。

しかし、ここからようやく反撃の開始か。

6R、ここまでのパンチのヒット数が出ますが、5Rにようやくベルチェルトがナカティラを上回ったようです。しかし、一発のパワーは明らかにナカティラにあり、ヒット数が上回ったからといってポイントをとれたとは限りません。

このラウンドもナカティラの強いワンツーからスタート、ベルチェルトは前ラウンドのような強固な攻撃を見せることができません。

 

ジャブの相打ちでもぐらついてしまうベルチェルトはまた下がりはじめ、以前としてナカティラの右ストレートは非常に怖いパンチ。

残り30秒ほどのところで、ベルチェルトのジャブの引きにあわせたナカティラの右ストレートがヒット!このパンチでベルチェルトのマウスピースが飛びます。

その後もナカティラのジャブ、ストレート、果てはアッパーもヒットされ、苦しいベルチェルト。

このラウンド終了後、実況が「It`s Over!!」と叫びます。

ベルチェルト陣営が棄権し、ジェレミア・ナカティラの6R終了RTD勝利が決定しました。

これは非常にショック。

ベルチェルトにとってライト級にあげての初戦、とはいえ、ナカティラもスーパーフェザー級上がりのボクサー。ここまでパワーに差があったというのは本当に驚きです。

勝利したナカティラは、荒々しく、隙も多そうに見えますが、あのパワフルなスイングはその隙を隠す、またはその隙を突けないようにするのに効果的なのでしょう。この試合を通して、ナカティラを完璧にシャットアウトしてみせたシャクールの怪物性が見えてしまいました。

 

振りは大きいですが、スピードはあり、しかも長いストレート系のパンチは特に怖い。

勝ったナカティラの素晴らしさは当然のことなのですが、ベルチェルトはかつての強さを発揮できずに終わった感じがあります。

終始「下がっていた」というよりも「下がらされていた」わけであり、得意のコンビネーションも、粘り強い攻撃もほとんど出ませんでした。

あの3Rのダウンを演出したパンチは、ナカティラのジャブ。

ジャブの相打ち、つまりはカウンターではあるものの、やはりバルデス戦でのKO負けの後遺症というものはあったのではないか、と思っています。言い方は酷なのかもしれませんが、ナカティラに対して「ビビっていた」という表現が正しいように思いました。

このような負け方をすれば、グローブを壁に吊るすというのが当然なのかもしれません。ただ、果たして、今回のような一戦が最後でも良いのか、否か。

かつてのエネルギッシュな攻撃が、まだできるのであればリングに戻ってきてほしい、とも思いますし、できないのであれば厳しいでしょう。カムバックするなら応援はしますが、非常に切ない。

 

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