いよいよやってくるXデー、12/12(日)
注目試合だらけの興行は、本当にボクシングファンを困らせますね。
12/12ライブスケジュール(すべて配信開始時間)
ジョンリエル・カシメロvsポール・バトラー(WOWOW・AM2:00〜)
コナー・ベンvsクリス・アルジェリ(DAZN・AM4:00〜)
ワシル・ロマチェンコvsリチャード・コミー(WOWOWオンデマンド・AM11:00〜)
ノニト・ドネアvsレイマート・ガバリョ(WOWOW・PM0:00〜)
亀田和毅vsヨンフレス・パレホ(Youtube・PM2:00〜3:00くらい、メインのみ)
時間別に並べるとこんな感じのようです。私はこの日、指導している大学が大会に出るので、そのすべてをリアルタイムで視聴できません!
数日情報遮断しながら視聴したいと思います。が、全てを見る前に12/14が来てしまうんでしょうね。
ということで、今回のブログではこの中で個人的には最も注目している試合の一つ、ロマチェンコvsコミーのトップランク興行についてのプレビュー記事です。
↓今後のライト級の主役は誰になるのか。
12/11(日本時間12/12)ニューヨーク
ライト級12回戦
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)15勝(11KO)2敗
vs
リチャード・コミー(ガーナ)30勝(27KO)3敗
結局ライト級のキングは、ロマチェンコなのではないか、と今も思っています。
テオフィモ・ロペスがロマチェンコに勝てたのは、やはりロマチェンコの肩の怪我が大きかったのではないかと。
試合終盤に巻き返したロマチェンコは、やっぱり強かった。ふたりの13R目が始まれば、優位に立つのはきっとロマチェンコでしょう。
と、ジョージ・カンボソスJrにアップセットを許したテオフィモ・ロペスを見て思うのですが、それでも負けは負け。ロマチェンコは今も再起ロードの途中です。
2020年10月にテオフィモ・ロペスに王座を奪われたロマチェンコは、翌2021年6月、中谷正義(帝拳)を相手に再起戦。
当時、ロペスを最も苦しめた男として知られ、前戦ではフェリックス・ベルデホ(プエルトリコ)を破る殊勲を挙げていた中谷に対し、完璧なボクシングで9RTKO勝利。
ライト級でも破格の体躯を誇る中谷を、出入りのボクシングで倒したことは、ボクシング界に「ロマチェンコの帰還」を決定的に印象づけた出来事でしたね。
そして、テオフィモ・ロペスの戦歴を辿るように、中谷戦のあとはコミー戦。
ロペスは、中谷に超がつくほどの大苦戦を強いられたあと、リチャード・コミー戦では2RTKO勝利。衝撃的な右カウンターでコミーを退けてIBF王座を戴冠しました。
ボクシングには、たしかに「相性」というものが存在し、ワンツー主体で攻め込んでくるコミーに対して、ロペスは素晴らしく相性が良かった、とも言えます。コミーのワンツーは真正直すぎ、ロペスのカウンターは本当に素晴らしかった。
コミー戦での素晴らしいノックアウトを見せたロペスと闘う事になったロマチェンコは、そのカウンターを必要以上に警戒し、またサイズ差もあり、序盤から中盤にかけて攻め込む事を躊躇してしまったのかもしれません。タラレバであり、後の祭りですが。
コミーは非常に身体能力に優れたボクサーで、荒々しい部分はありますが破壊的なパンチ力を持つ、パンチャーです。攻撃力はものすごいものを持っている分、カウンターに弱い、という見方もできるかもしれません。
以前保持していたIBF王座は2度目の挑戦で手に入れましたが、最初のタイトル挑戦時も当時無敗のロバート・イースターJr(アメリカ)からダウンを奪うもスプリットの判定負け、という非常に悔しい内容でした。
確かな実力と、破格の破壊力を持つこのリチャード・コミーからすれば、カウンターパンチャーであるロペスよりは、ロマチェンコの方がやりやすいかもしれません。
ロマチェンコは攻防分離タイプのボクサーで、ディフェンスのときはディフェンス、パンチをまとめる時はまとめる、というタイプのボクサー。
序盤は距離を測り、相手をサーチすることに時間を使うので、悪い方に考えると相手も落ち着いてしまう、という欠点があります。スロースターター、と見られても良いくらいです。
コミーは最初からガンガン飛ばしていくのがおそらく得策で、序盤に一発当たればこれは結構分かりませんね。まあ、サーチ中のロマチェンコに一発当てるというのが難しいのですが。
ロマチェンコは、中谷戦では、全体的に非常にアグレッシブに出ていきました。これはロペス戦の反省なのかもしれません。しかし、コミー相手にあまりに距離を詰めようとすると危険が伴います。ロマチェンコとしては攻めて来るコミーをかわし、すかし、空転させて、その後ベストなポジショニングから攻撃を加える、という展開が良さそうな気がします。
ライト級にフィットしてきたとはいえ、やはりまだスーパーフェザー級くらいがベストな階級であろうロマチェンコが、ライト級屈指のパンチャーの渾身のパンチをガードの上から受けたとして、どのように感じるか、というのは注目どころ。それで大丈夫そうだ、と思えば、ロマチェンコが先手をとって攻めていくという可能性もありますね。
あとは距離が詰まった時、コミーがロマチェンコのボディを打てるか、というのもカギの一つ。
中谷戦で明らかに中谷のボディを嫌がるそぶりを見せたロマチェンコ、この弱点(っぽいもの)をコミーは見逃してはいけません。サウスポーのロマチェンコに対して、オーソドックスのコミーは、接近戦で右手のアッパーやボディフックを使いたいですね。
おそらく、オッズはロマチェンコ優位と出るはずです。これまでの実績を考えれば至極当然のことで、ロマチェンコは勿論こんなところでつまずいてはいられません。
ただ、コミーは強敵。コミーが上手く戦えて、ロマチェンコがコミーを過剰に警戒してしまうようだと、アップセットは起こりえます。
私はロマチェンコ応援なので、勿論そうなってほしくはなく、ロマチェンコがいつものように多角的なステップワークからのオフェンス、そしてディフェンスを駆使して、コミーを撹乱、最終的にはストップ勝ちでまた「ロマチェンコ強し!」「いったい誰がロマチェンコに勝てるのか?」くらいの圧勝を期待したいです。
ジャレッド・アンダーソン(アメリカ)10勝(10KO)無敗
vs
オレクサンドル・テスレンコ(カナダ)17勝(13KO)1敗
ヘビー級のプロスペクト、ジャレッド・アンダーソン。前戦はタイソン・フューリーvsデオンテイ・ワイルダー第3戦のアンダーカード、PPVファイトの中に組み込まれている、ということが大きな期待を抱かせますね。
このアンダーソンはヘビー級ながら非常にスタイリッシュなボクシング。上下の打ち分け、コンビネーションを使いながら相手をストップに持ち込むこともう10戦。
2019年10月デビュー、世の中は早々にコロナに突入しましたが、その中でたった2年で10年というのはハイペースなキャリアであり、トップランクも大いに期待を寄せる22歳。
対するカナディアンヘビー級のテスレンコ。名前的には東欧の流れを汲むのかな、とBoxRecをチェックすると、生まれはやはりウクライナ。現在の国籍はカナダのようですね。
2019年3月に空位のNABFタイトルを獲得、初防衛戦で初黒星を喫していますが、地域王者クラスの力はあるのかもしれません。
対戦相手の戦績だけで判断すると、今年に入って対戦相手の質を徐々に上げてきているアンダーソン。世界トップ戦線へ進出するのに、後どれくらいでしょう。
今年はこれで最後、そして来年しっかりと地力を固めて、早ければ2023年あたりを勝負の1年としてもらいたいですね。
その他にも、トップランクの誇るスペシャルなプロスペクト(候補)であるザンダー・ザヤス(プエルトリコ)、かのモハメド・アリの孫にして、デビューから2連続KO勝利中のニコ・アリ・ウォルシュ(アメリカ)、2019年のアマ世界選手権、2021年の東京オリンピックで銀メダルを獲得したキーショーン・デービス(アメリカ)といったプロスペクトも登場。ニコ・ウォルシュをプロスペクトと言って良いかどうかはわかりませんが、注目を集めているのは確か。
対戦相手は、BoxRecを見てもESPNのHPを見ても、12/2現在、TBAとなっています。対戦相手が決まっていない、ということはないのでしょうが、若手有望株にキャリアを積ませるための試合、扱いとしてはこんなものですね。
若手有望株を大切に育てる傾向の強いトップランク「らしい」興行であるとも言えますね。
放送・配信
このニューヨークでの興行は、アメリカではESPN、ESPN +で生放送および生配信。ESPNに加入していれば無料で見られるプラットフォームですね。
日本では、WOWOWオンデマンドで生配信。時間は11:00〜となっており、第一報よりも時間がずれているのでご注意ください。
尚、WOWOWではこのオンデマンド生配信の翌日、12/13(月)21:00〜のレギュラー放送でタイムリーオンエア。多分、おじさんのWOWOWファンたちがいつも言う「録画の可否」を配慮してくれてのことだと思います。
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WOWOWは初月無料です。今月入れば、カシメロvsバトラー、ドネアvsガバリョ、ロマチェンコvsコミーが無料で見られます。しかも今月のWOWOWは、レギュラー放送のほかに、黄金の中量級と呼ばれた80年代のレナード、ハグラー、ハーンズ、デュランのライバル対決を特集。これはリアルタイムを生きたファンも必見ですが、若いファンも必見ですね。