カナダはモントリオール。
このカナダ・モントリオールを拠点に活動するロシア人ボクサー、WBC・IBF世界ライトヘビー級統一王者であるアルツール・ベテルビエフが登場です。
ライトヘビー級最強を謳われるボクサーは、現在まで16戦全勝、フルラウンド戦った経験すらない怪物王者です。
高い技術と、怪物級のハードパンチ。果たして今回もノックアウトで試合を決められるか。
対するマーカス・ブラウンは、速く、巧い、アメリカンスタイルを売りにするボクサー。ブラウンのステップワークはベテルビエフに通用するのか。
私は仕事もあったので、情報遮断して帰宅後にESPNで視聴。ESPNはすぐにアーカイブが見れるのでありがたいんです。(Showtimeはまる1日かかる)
今回のブログでは、12/17(日本時間12/18)、カナダで行われたトップランク興行、その観戦記です。
12/17(日本時間12/18)カナダ
ESPNでのアーカイブ放送はIBF世界女子スーパーウェルター級王座決定戦、マリエ・イブ・ディケイア(カナダ)vsシンシア・ロサノ(メキシコ)の一戦からスタート。(おそらく生中継の方はその前、スティーブ・ロールズvsクリストファー・ブローカーから始まっていたと思います。こちらは仕事中にチラ見。)
前戦でクラレッサ・シールズ(アメリカ)にフルマークの判定負けを喫しているディケイアですが、この日は地元のお客さんの前で奮起。サウスポースタンスからの左ストレートをよく決めます。
9戦全勝のロサノですが、ここまでの対戦相手の質はちょっと微妙。メキシカンらしく突進するもパンチは出ず、距離感があまり良いとはいえず距離を詰めすぎてカウンターを浴び、または完全にクリンチの距離にまでなってしまいます。
迎えた7R、またもロサノの入り際にディケイアの左ストレートがガンガン決まり、ロサノはあまりに無策。まっすぐ入りすぎですね。
見かねたレフェリーがこの試合をストップ、ディケイアは初のKO勝利で世界初戴冠!
地元のお客さんの前で初戴冠、というのは嬉しいですね。ディケイアの左ストレートは見事なぐらい決まっていました。
そしていよいよメインイベント。
WBC・IBF世界ライトヘビー級統一タイトルマッチ
アルツール・ベテルビエフ(ロシア)16勝(16KO)無敗
vs
マーカス・ブラウン(アメリカ)24勝(16KO)1敗
ESPNは、DAZNやWOWOW、Showtimeと違ってスクショができます。謎ですね。
試合前、国家が流れますがアメリカ国歌→ロシア国歌→カナダ国歌。切れ目なく流れています。何の思い入れもないので、長い。
ともあれ、ゴングです。
初回、ジリジリとプレスをかけるベテルビエフ。ブラウンは非常に軽やか、サウスポースタンスから放たれるジャブは非常にキレています。
かなりプレスはかかっている感じはしますが、ブラウンはジャブだけでなく左ボディストレート、そしてステップワークも良いですね。反応も素晴らしく、ベテルビエフのリターンにもよく反応しています。調子はかなり良さそうです。
ベテルビエフはプレスをかけつつもまだ様子見か、手数は圧倒的にブラウン。
2R、相変わらずブラウンのジャブとステップは良いですね。ベテルビエフは少量のパンチでプレスを賭け続けますが、ブラウンは速く、詰めきれません。ロープ、コーナーに詰まっても脱出、巧いですね。ただ、ちょっとロープを背負いすぎか。
インターバル、ベテルビエフがアップで映りますが、左目付近はやや紅潮。思いの他、ブラウンのジャブが当たっているのかもしれません。
3Rプレスを強めたベテルビエフ。右ボディストレートをヒット。するとブラウンも強気で打ち返し、ガードの上からですが強い左ストレートを返します。その後コーナーに詰まるブラウンですが、見事な奪取のあと左右のボディ。
ここまで上手く戦っているブラウンですが、このラウンド中盤以降はややベテルビエフに押され気味か。ベテルビエフのジャブが当たるようになってきて、ブラウンは徐々にガードの時間が出てきます。
本来は距離で外したいところでしょうが、やはりベテルビエフのプレスは半端ないのか。
4R、若干距離が近くなってきました。ベテルビエフのジャブで顔を跳ね上げられるブラウン。このラウンド序盤、バッティングによりベテルビエフは額をカット、かなりの流血。ブラウンも右目付近をカット、こちらは出血は少ないです。
ベテルビエフの額のカットはかなり深刻そうで、血がぼたぼたと流れ出ています。。。
ここから一気にヒートアップしたベテルビエフ、鋭い踏み込みとパワーパンチでブラウンを追い詰めます。ブラウンもボディで反撃!
ブラウンはガードを固めてベテルビエフを待ち、ベテルビエフの攻撃をガードでしのいだ後に反撃。この反撃は単発ですが、非常に力はこもっています。
5R、開始のゴングと同時に両者にドクターチェック。ブラウンは問題なし、ベテルビエフのあとには「ワン・モア・ラウンド」と聞こえました。あと1Rで終了ということなのでしょうか??
実況も「ワン・モア・ラウンド!」と言っていますがよくわかりません。ともあれ再開。
再開後チャージをかけるベテルビエフ。飛び込みながらの右ストレート、ガードを固めて相手を誘ってのカウンターも狙いますが、ブラウンも反応が良い。ベテルビエフの額からの出血はおびただしく、いつ止められてもおかしくないように思います。おそらく目に血も入って、視界にも影響を及ぼしているでしょう。
しかしベテルビエフは攻撃の手を緩めず、グイグイとプレス。顔面を鮮血に染めながらも、ブラウンに襲いかかります。
終盤にはガードで固まるブラウンにパンチの雨あられ。しかしブラウンも稀に打ち返すためか、レフェリーもストップのタイミングを逸します。
ここでラウンド終了のゴング。次のラウンドは始まるのでしょうか??とにかく血が止まってほしい。これで負傷判定になって、ベテルビエフの連続KOが途切れるのは本当に良くない。
6R、ベテルビエフの出血は止まらず。ですが、レフェリーはドクターに見せる事はせず、試合は続行です。かなり傷が深いベテルビエフは、ラウンド開始早々顔面は血だらけ。
それでも気にすることなくガンガン攻め、ブラウンはすぐにコーナーに詰まります。ブラウンはボディムーブが非常に優れ、ここまで攻められても決定打はもらいません。ただ、ダメージを与えるような攻撃には至らず、ベテルビエフの突進を止めるためのネガティブな攻撃のみに終始。
終盤、深く踏み込んだベテルビエフはブラウンをのけぞらせますが、後ろに下がりながらもらっているブラウンのダメージは低い。
すでに圧倒している状況ながら、顔面の出血により、連続KOが途切れてしまうのではないか、という不安がずっと私の心を支配しています。
7R、これだけ血を流すと危険なのではないか、というほどどくどく血が流れています。リングが赤なので分かりませんが、これ白とかだととんでもないことになっていたんではないでしょうか。
このラウンド序盤は良いジャブを出したブラウンでしたが、中盤には足が止まり、ベテルビエフの右ストレートがヒットしてとうとうダウン。ベテルビエフも少々打ちづかれたのか、とも思いますが、ブラウンもがんばります。
ロープにもたれかかりながら、単発気味ながらパンチを返し、勝利への執念を見せます。もしくは、フルラウンド立っていよう、というサバイバルモードなのかもしれません。
このラウンド終盤もベテルビエフの攻撃に対してガードをガッチリと固めてしのいだブラウン。もう止めても良いレベル。
8R、ベテルビエフはもうフィニッシュを考えているでしょう。しかしここでブラウンが勇気をもって打ち合いに応じます。リング中央、ブラウンはロープを背負う事なく真っ向からベテルビエフを迎え討ちます。顔面を血だらけにしてガンガン迫ってくるベテルビエフ。。。こんなにも怖いものがこの世にあるでしょうか。
そしてそれも中盤まで、後半に入るとどうしても下がってしまうブラウン。ただ、このラウンドのベテルビエフはやや手数が少なめ。ブラウンはサバイブ。
9R、序盤から攻勢のベテルビエフ、サイドに回っての攻撃をしかけます。即刻ロープに詰まったブラウンはガードを固めますが、コンビネーションの中で左ボディを食らって膝をつくダウン!
レフェリーがテンカウントを数えあげる間に立つことができなかったブラウン!
アルツール・ベテルビエフ、9RKO勝利!
今回も当たり前のように強かった、ベテルビエフ。マーカス・ブラウンもよく頑張りましたし、素晴らしいコンディションでこの試合に臨んだと思います。特に1〜2Rあたりは非常に良かったですね。
ただ、足が速くて技術のある相手でもあっという間に捕まえてしまったベテルビエフの方が何枚も上手。ブラウンは序盤を過ぎると、ディフェンシブに戦い、延命しながら一発を狙うしかありませんでした。
ベテルビエフは、あの大流血の中で集中力を切らすことなく、恐れる事なくガンガン攻め続けた姿は、改めてメンタルすらモンスターだと感心します。
ブラウンに苦しめられた、というよりは、そのトラブルに苦しめられ、それでも動じることなく自分との戦いを制したベテルビエフ、やはりこの階級ナンバーワンは間違いありません。
是非ともビボル戦を実現させてもらいたいものです。
そしてやはり、カネロを倒せる可能性がある、という意味においても、やはりベテルビエフ。
このベテルビエフしか、カネロを止められないのではないでしょうか。
カネロが、もしベテルビエフ戦を選択するとしても、それはベテルビエフが明らかな衰えを見せた時なのかもしれません。ベテルビエフももう36歳、いったいいつ衰えるのかはわかりませんが。
ともかく、また怪物ぶりを見せつけてくれたベテルビエフ、素晴らしい防衛戦でした。