チャン・ツィーレイ。
「暫定」という名称こそつくものの、紛れもない世界ヘビー級タイトルを獲得した東アジアのボクシング史上初めてのボクサーです。
敵地イギリスでWBO世界ヘビー級のタイトルを獲得したこの戦いには非常に価値があり、さらにここを退けることができれば中国ボクシング史上最大のヒーロー、といっても良いと思っています。
再戦条項があったため、ダイレクトリマッチが決まったこの第二戦の戦いの場はイギリスのロンドン、ウェンブリー・アリーナ。(現在はOVOアリーナという名称)
今回のブログは、「An Eye for An Eye」(目には目を)と銘打たれたクイーンズベリープロモーション主催、チャン・ツィーレイvsジョー・ジョイス2の観戦記。
↓プレビュー記事
9/23(日本時間9/24)イギリス・ロンドン
アンソニー・ヤーデ(イギリス)23勝(22KO)3敗
vs
ホルヘ・シルバ(ポルトガル)22勝(12KO)8敗
ESPNで視聴しましたが、セミファイナルからの中継です。アンソニー・ヤーデが見れるとはありがたい。
ヤーデはアルツール・ベテルビエフ(ロシア)戦での敗戦からの復帰戦、「2times world title challenger」として紹介されていますが、このヤーデが世界王者になれていない、というのは改めて驚きですね。
↓素晴らしい戦いだったベテルビエフとのタイトル戦
対戦相手のホルヘ・シルバについて情報は持っていませんが、ポルトガルボクサーというのは非常に珍しいですね。選手紹介のところに「Accepted fight 2 days ago」とあります。2日前に同意、というのはこれは代役でしょうか。ともかく期待はできませんので、ヤーデのパフォーマンスがどうか、というのを見ようと思います。
初回、軽やかなステップからプレス、フェイントをかけつつジャブを軽く伸ばすヤーデ。本日のヘアースタイルはツインテールですw。シルバはとりあえず速いヤーデをしっかり見ようとしているのか、前手で牽制、攻撃らしい攻撃はせずに左右に動きます。
2R、ヤーデは早くも余裕を持ったか、ハイガードスタイルにして強いプレス。シルバは右オーバーハンドを打って迎え撃つも、このヤーデの強いプレスに下がり、早々にロープ際。
シルバをロープに詰めたヤーデは上下に散らす力強いコンビネーション、シルバはガードで何とかしのぎ、そこからステップワークで脱すると右を返しますが、これをヤーデはボディワークで躱します。
中盤、ヤーデの強い右ボディ。これで下がったシルバにヤーデはラッシュをかけ、顔面への右をヒットするとシルバはダウン。ちょっと嫌倒れにも見えたダウンで、シルバはしっかりと時間をかけて立ち上がりますが、レフェリーはストップ。
アンソニー・ヤーデ、2RTKO勝利!
まあ、これは色々仕方ないですね。
WBO世界ヘビー級暫定タイトルマッチ
チャン・ツィーレイ(中国)25勝(20KO)1敗1分
vs
ジョー・ジョイス(イギリス)15勝(14KO)1敗
さて、ということでメインイベントです。今回、オッズは僅差でチャンが優位。このことは、前戦でアップセットを起こしたチャンの勝利が、フロックでなかったと思われている、ということですね。
立場を変えてのダイレクトリマッチ、注目のゴング。
初回、細かなジャブを突いてチャンの周りをこれまた細かなステップでサークリングするジョイス。チャンはどっしりとした構え、前手でジョイスのジャブをパリー、左ストレートを狙います。オーソドックスとサウスポーによる、よくある立ち上がり。
時間がたつに連れ、ジョイスの動きが良くなっていきます。左はフックも出だし、体は柔らかく、上体の動きもで始めましたね。
どちらもクリーンヒットはありませんが、ジョイスの出だしは好調じゃないでしょうか。あとは、互いにこのジャブを当てていけるのかが勝負の鍵。
2R、相変わらずジョイスのジャブは速くもなく、キレもありませんが、このモーションの少ないジャブで相手を倒してきたのは事実。このラウンドもジョイスはよくジャブを突いてスタート。
対してチャンは、様子見は終わったとばかりにプレスをかけ始め、このラウンド中盤には左ストレートがジョイスに届くようになっていきます。こちらも相変わらずそのジャブ、ストレートはキレており、この展開はジョイス危うし。
ジョイスはしかし、このチャンの左に退かず、前に出て対応。これは非常に勇気のある行動でしたが、終盤、またもチャンの左を浴び、そこからチャンにラッシュを許しています。
ジョイスはチャン・ツィーレイの左に対応できていません。自分の得意のジャブも当てられないので、サウスポーが超苦手なのか、それともチャン・ツィーレイが苦手なのか。。。
3R、ジョイスは早くも勝負をかけるか、チャンにアグレッシブに攻め入ります。しかしこれを冷静に対処したチャン、ジョイスのジャブに対しては左を狙い、内側からの鋭いジャブをヒットしています。
このラウンドも幾度も左をヒットしたチャン・ツィーレイ、左ストレートが当たるようになればジャブも当たるようになり、このジャブが非常に鋭い。
そして終盤、プレスをかけられて下がるジョイスがだした右ストレート、これにチャン・ツィーレイは右フックをカウンター!!ジョイスは前のめりにダウン!!!
立ち上がろうとするジョイスですが、立ち上がる途中でぐらりときたジョイスをみてレフェリーはストップ!!!
チャン・ツィーレイ、3RTKO勝利!!!
いやこれは素晴らしい、ノックアウト・オブ・ザ・イヤー候補の衝撃です。
ジョー・ジョイスとチャン・ツィーレイ、相性も感じるのですが、とにかくチャンは常に冷静で、余裕があり、今回ほとんどダメージを被らなかったと思います。
次は、ウシクか、それともタイソン・フューリーか、それとも。。。?
とにかくこのチャンの倒しっぷりは素晴らしく、まさにBIG BANG。ヘビー級NO.1パンチャーの座をかけて、デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)との一戦が見たい。
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