仕事から帰り、FODプレミアムを視聴。
すでに19:00をまわっているものの、第一試合から順を追って見れるのは本当にありがたい。何せ、私がこの日の興行で一番楽しみにしているのは第一試合です。
ということで今回は、オール8回戦、3/8(火)に行われたフェニックスバトルの観戦記です。
↓プレビュー記事
3/8(火)フェニックスバトル
今回は全5試合、全て8回戦というA級戦!世が世なら、全てがメインイベントになり得る試合、ということですね。
今回は大橋ジムのホープたちは敗戦からの復帰戦に臨むぶん、やや慎重なマッチメイクになっていると言わざるを得ませんが、それを差し引いても非常に注目のマッチメイクが並びます。
配信開始、「ひかりTV」のほうのフェニックスバトルは煽り映像に力を入れていますが、「FUJI BOXING」の方はなし。作り手が違うからですね。一長一短、足してもらうと最高なんですが。
53.0kg契約8回戦
湊義生(JM加古川)9勝(4KO)5敗
vs
興法裕二(新日本木村)10勝(3KO)7敗2分
PXB常連の感のある、湊。魂あふれるファイトは、見る者の心を刺激してくれます。今日こそ勝利を掴み取ってもらいたい、私的メインイベントです。
やや静かな立ち上がりから、鋭いジャブ、左フックから右ストレートと、積極的にパンチを放っていくのは湊。サウスポースタンスの興法は初回はしっかり見る作戦なのか、手は出ません。
中盤、湊のローブローで試合が中断。
後半には打撃戦の展開、湊の左右のボディが良い。終盤に湊が攻めたところでゴング。
2R、やはり積極的なのは湊。接近戦となると興法もパンチを返しますが、湊のほうがパンチングパワーにも回転力にも優れている印象。
中盤、湊は打ち合いの中でダウンを奪取!ショートの右フックから、この試合何度もヒットしている強烈な左ボディブローのコンビネーション!!
ダウンした興法は目をチカチカとさせて、ダメージはありありと見えます。
それでも立ち上がった興法でしたが、湊が攻め入ったところでレフェリーがストップ!
湊義生、2RTKO勝利!!
快勝でした!
国内トップクラスとばかり戦っている湊、やはりノーランカークラスの相手とは実力が違う、というイメージですね。
ここのところは激闘続きでダメージをためているかも、とも思いましたが、今回はほぼノーダメージ。今年中のランカー挑戦が待たれます。
71.0kg契約8回戦
安達陸虎(大橋)15勝(11KO)3敗
vs
甲斐斗志広(宮崎ワールド)6勝(2KO)13敗3分
今日の安達は、良い勝ち方が求められるという一戦だと思います。アンダードッグとして呼ばれた甲斐は、意地を見せられるか。
初回のゴング、明らかにスピード、体のキレは違います。サウスポーの甲斐のまわりをススっと華麗にサークリング。
1分頃、安達は左フックをヒット、中盤にも右ストレートを見せて左フックをヒットする等優位に立ちます。
2R、ジャブをついてプレスを強める安達。そこから左右のボディを叩きます。甲斐もリターンを返すものの、そのパンチは安達と比べてしまうとキレや迫力が足りません。
このラウンド、幾度か甲斐をコーナーに詰めてラッシュを仕掛ける安達。終盤には、強い右ストレートもヒットします。
3R、甲斐にとって安達は速すぎるか、なかなか自分からは攻められません。安達の鋭い攻めに対して、リターンは出ています。
後半、安達の右ストレートが効いたか、甲斐は後退。甲斐の左をかわしての右、お見事なカウンターです。
4R、できることが少なくなってきた分、手が出るようになってきた甲斐。距離が近くなってきたこともあるかもしれません。そのガードは非常に固く、中盤には安達のガードの間隙を縫ってアッパーをヒットさせます。
しかし、終盤に安達は左ストレートをヒットして反撃、甲斐もアッパーに望みを託し、左右のアッパーを武器に粘ります。
5R、このラウンドも安達は良い攻撃をみせ、甲斐は劣勢。近い距離になると懸命にパンチを繰り出す甲斐ですが、後半、安達の左フックカウンターであごを跳ね上げられます。
それでもダメージを感じさせずに打ち返す甲斐、この甲斐がタフなのか、それとも安達がパワーレスなのか。
6R、安達は甲斐のジャブにあわせてジャブのカウンター。これは効果的に見えます。このラウンドで決めようということか、このラウンドの安達は今まで以上に積極的にコンビネーションで攻め込みます。
中盤、ジャブのカウンターから打った右ボディが、甲斐の鳩尾にジャストミート!一拍置いて倒れた甲斐は、そのまま悶絶して立てず、10カウントを数え上げられました。
安達陸虎、6RKO勝利!
大橋ジムに移籍してから初のKO勝利、内容的には圧勝。当然といえば当然の結果ですが、勝つべきところでしっかりと勝利した、ということは大きいかもしれませんね。
今後の安達にも期待です。
日本ユース・スーパーバンタム級タイトルマッチ
石川春樹(RK蒲田)9勝(7KO)3敗
vs
津川龍也(ミツキ)8勝(4KO)1敗
これは本当に楽しみな一戦。「勝負論」として考えたときには、このマッチアップが本日の興行で最も勝負論のあるマッチアップだと思います。
ともにまだまだ発展途上の若き獅子、だからこそおもしろい「ユースタイトル戦」。この試合の勝敗は別として、願わくば、この一戦を糧にどちらもより大きく羽ばたいてほしい。
初回、キビキビと動くふたり。見るからにパワーのありそうな体つきの石川と、キレキレの肉体の津川。
リズム、ジャブでの探り合いからスタートした初回は、津川が鋭いジャブでやや優勢に見えます。距離を詰めたい石川は強いプレスをかけて、ワンツーで攻め込んだところでゴング。
2R、石川は、津川のジャブに対して下がってよけるのを止めたかもしれません。がっちりとガードして、もしくはダックして外して攻め込みます。
中盤、津川が左ボディを巧打!その後左フックから右ストレート!そしてコンビネーションで攻め込んでいきます!しかし石川もしっかりと打ち返して反撃!
津川は優れた距離感だけでなく、チャンスを逃さない爆発力も素晴らしい。
3R、石川がジャブで攻め込めば2発3発と返す津川。接近戦となれば石川もパワフルなパンチを放っていきますが、やや粗く、津川のパンチはコンパクトで丁寧、しっかりとしたコンビネーションです。
後半にも石川の入り際に右ストレートをヒット、終盤には同じく右で石川をぐらつかせます。これは強い。
石川はこのままでは危ない。何とか馬力勝負に持っていきたい。
4R、石川が津川のジャブの打ち終わりにステップイン。これは狙っています。しかし石川がワンツーで攻め込んだその直後、今度は津川がワンツーで反撃、これがヒット!石川はまたも効かされます!
ここをチャンスとみた津川は攻め込み、コンビネーションをヒットしますが、気の強い石川はここから反撃、ここでなんと打ち勝って見せます!
今度ダメージを受けたのは津川!手数が減り、ダメージの回復を図ります!
残り時間は1分、ピンチとチャンスが一気に入れ替わりましたが、やや打ち疲れた石川に今度はコンパクトで軽めのパンチながら津川が反撃!
ガードしながら力を溜めた石川が、今度は強いパンチを繰り出して津川に攻め込み、素晴らしいラウンド!
5R、こうなると近寄りたくない津川、とにかく近くでボクシングをしたい石川。
津川は鋭いジャブ、そしてガードを固め、プレスをかけてこのジャブの終わりを狙う石川。
ジャブを警戒しすぎると津川のノーモーションが飛んでくる、やはり距離を詰めなければ石川にとっては厳しい展開。
序盤は津川のボクシングが冴えますが、中盤には距離が詰まるという展開、そして終盤もまた津川の距離。両者譲りませんが、ポイントは津川か。
6R、このラウンドも津川のジャブ、ストレートが冴えます。非常にリズムもよく、距離感も良い。動きながらカウンターを当てられる技術も持っています。
しかし一発で試合をひっくり返せるパワーが石川にはあります。
中盤から後半にかけて距離が詰まる場面もありますが、津川も負けじと打ち返します!このボクサーはボクシングが巧いだけでなく、ハートも強い!
7R、津川はジャブを連打。このジャブは本当にキレがあり、素晴らしい。そしてそこに続いての右ストレートもモーションがなく、キレが半端ない。
このラウンドは津川が上手く距離をキープ、ストレート主体のコンビネーションと右カウンター、そしてステップワークを使って優勢。
そして再三にわたり石川が津川の右ストレートをあびた終盤、石川陣営がタオルを投入して棄権の意思表示。
津川龍也、7RTKO勝利で日本ユース・スーパーバンタム級王者に!
本当にあっぱれな戦いでした、津川龍也。抜群のジャブとストレート、素晴らしい距離感、ブランクをものともせずに強打の石川相手に打ち合ってもみせました。
基本的技術の高さに加え、チャンスへの嗅覚と、相手の土俵でも打ち合いも辞さない気の強さ。非常に魅力的なボクサーです。
そして敗れた石川春樹、やはりこのボクサーも非常に魅力的。この敗北を糧にしてまた這い上がってきてもらいたい。
そしてもう一つ、称えられるべきことはRK蒲田ジム陣営のタオル投入。あそこからの逆転に望みを託しても良かったとは思いますが、打たれすぎた石川を救うという判断は素晴らしいもの。指導者側が止めるというのは非常に勇気のいる事です。
ともすれば選手に恨まれてしまうこともあるかもしれない、陣営側からのタオル投入という行為は、信頼関係と、「次に繋げる」という明確な目標を持ってこそできることだと思います。
ともあれ、やはり素晴らしい好試合となった日本ユースタイトル戦。勝ったボクサーも負けたボクサーも、今後の成長を楽しみにしたいと思います。
フライ級8回戦
桑原拓(大橋)8勝(4KO)1敗
vs
久野喬(スターロード)6勝(3KO)5敗1分
スピードスター、桑原拓の復帰戦。
前戦での痛烈なノックアウト負けからの復帰戦となりますが、快勝での完全復活はなるか。
初回開始のゴング、ともにリズムを刻んでスタート。
桑原は鋭いジャブで様子を見ます。久野は少し硬そうにみえますが、コンパクトなファイティングポーズを取っています。
そして開始15秒ほどのところでしょうか、桑原の何気ない左フックがヒット!ぐらついた久野は、体勢を戻しますが足元がおぼつきません!
それを見た桑原はいっきに畳み掛け、久野はダウン!そのダウンでレフェリーはストップ!!
桑原拓、初回TKO勝利で見事再起!!
快勝すぎました。。。1R32秒の秒殺KO劇。
ほぼワンパンチ、ちょっと久野は硬いところにもらってしまいましたね。
スロー映像が流れますが、久野は桑原の左フックをジャブだと思って右手でパリングをしようとしたのか?それともボディに来ると思って右手を伸ばしてそれを阻止しようとしたのか、もしくはただそうやって反応してしまっただけなのか。
いずれにしろ、完全に見えないパンチでしたね。ものすごい左フックでした。
桑原にとっては、快勝でしたが「前戦からの進化」を見せられたかというとわかりません。
ここだけは次戦に持ち越しです。
スーパーバンタム級8回戦
中嶋一輝(大橋)10勝(8KO)1敗1分
vs
川島翔平(真正)18勝(4KO)6敗2分
バンタム級時代は12kgの減量をしていたという中嶋。スーパーバンタム級に上げたとしても、減量は9kgほどということでやはり楽ではありません。
しかし元々長身の選手で、あの体つき(特に腕の太さ)を見れば致し方ありませんね。
スーパーバンタムでどのような戦いを見せるのか、中嶋一輝も前戦での敗戦からの復帰戦に臨みます。
連敗脱出を目指す川島は、厳しい相手に臨みますが、山中竜也復帰からきている真正ジムの良い流れを繋げられるか。
初回のゴング。
サウスポーの中嶋がフットワークを使いつつもプレスをかけます。ジャブを突き、右ストレートを飛ばします。
川島も良いリズムからジャブ、左ストレートを放ち、中間距離での攻防。
川島も調子が良さそうで、後半は右のオーバーハンド!中嶋のガードに阻まれますが、これは非常に遠くから踏み込んで打てるので、怖いパンチです。
と、思ったら終盤、今度は中嶋が左のオーバーハンド!これは川島にヒット、これで川島はダウン!!そして!このパンチで!テンカウント!!
中嶋一輝、初回KO勝利で再起戦に勝利!
KOタイムは、1R3分ちょうど。
あぁ、そうです。この中嶋は、どちらかというと速効型のパンチャーでした。それを思い出しました。
これで9つのKOのうち、初回KOは5つ。
無愛想に見える勝利者インタビューですが、教えているキッズクラスの子たちが映ると泣いている子もいます。良い先生なんでしょうね。
スーパーバンタムであろうとも、そのパワーに陰りはありません。
これは激戦のスーパーバンタム級戦線に、また怖いボクサーが現れましたね。今後の活躍にも期待です。
ということで、今回のブログではFODプレミアムで生配信された、フェニックスバトルの観戦記でした。後日のフジテレビでの放映では、メイン、セミが初回KOで終わったので、好試合だった日本ユースタイトル戦もほぼ全ラウンド流れるかもしれませんね。
たくさんの人に見て欲しい試合です。
そういえば今日は全試合KO決着、ジャッジの出番はなし、でしたが、レフェリーやジャッジで活躍されている葛城明彦氏の本を一気読みしました。
これは非常におもしろい。おすすめです。