日本ボクシング界のゴールでウィークが終わっても、見るべき試合がたくさんあります。
野球やサッカーといったシーズン・スポーツと違い、ボクシングファンというのは年間絶えることなく試合があるため、楽しめてありがたい。
6月第二週の週末、数が多すぎるきらいはありますが。。。
とはいえ、気になっていた試合を(メインだけ)視聴の観戦記です。
東京五輪バホディル・ジャロロフのプロ11戦目
WBAレギュラー世界ヘビー級タイトルマッチ
16連続初回KO、エドガー・ベルランガ
そしてネクストスター、ハイメ・ムンギア
では、一気にいきます。
6/10(日本時間6/11)アメリカ・ニューヨーク
ヘビー級8回戦
バホディル・ジャロロフ(ウズベキスタン)10勝(10KO)無敗
vs
ジャック・ムロワイ(ベルギー)11勝(7KO)2敗1分
このジャロロフが世界タイトルまでたどり着けば、ウズベキスタン史上初のはず。東京五輪でも金メダルを獲得した、アジア期待の星、ジャロロフはパーフェクトレコードをキープできるか。
初回はジャロロフがステップワークを使い、サウスポースタンスからジャブで翻弄。インサイドに入りたいムロワイは、一向に近づけません。
やっぱりジャロロフは距離が長い。
2R、ジャロロフがジャブとステップワークで優勢、後半には左を決めてムロワイはピンチ。もみ合いのなかでムロワイは倒れますが、これはスリップ。その後もジャロロフは左を幾度となくヒット。
3R、ムロワイはプレスをかけるだけでパンチを出せません。ステップで距離をキープし、ジャブのジャロロフ。このラウンドも後半に左ストレートをヒットしたジャロロフは、後退したムロワイを攻め立てます。
この左は、ムロワイが入ってきたときにあてたカウンターの左でした。
4Rもジャロロフはややディフェンシブな戦い、後半にジャブ→ボディストレートからワンツーというコンビネーションをヒットして優勢も、終盤に減点。オープンブロー?
5R、ジャロロフは左カウンターを狙うという戦法で、エキサイティングさには欠けます。それでも各ラウンドで見せ場をつくり、ポイントは問題ないでしょう。
戦い方は上手いですし、大きな実力差を感じますが、ヘビー級として求められている戦い方か、というとそうではないと思います。
このラウンド中盤に恐るべきパンチスタッツがでます。パワーパンチはジャロロフが37/82の45%、ムロワイは0/32!!一発も当たっていません。(確かにそうですが。)
このラウンドも中盤、後半にジャロロフは左ストレートをヒット、もう強引に詰めてもいいんじゃないでしょうか。
6R、ムロワイがジャブから攻め込むとジャロロフは右フックでまわり、又は左ボディアッパーを打って右フックで回るという繰り返し。さすがにつまらなくなってきた、と思った終盤、ムロワイの右ストレートをスウェーでかわしたジャロロフは左ストレートカウンターをヒット、ムロワイダウン!!
ここは終了のゴング直前で、ムロワイが立ち上がってラウンド終了。
7R、開始早々打って出るジャロロフ!プレスをかけてジャブで距離を測り、左ストレートを打ち込みます。これを好機と見たか、ムロワイは右を強振!しかし当たりません。
ジャロロフはほとんどワンツーしか打ちませんが、これは強烈でガードしているムロワイの体を泳がせます。
後半にジャロロフは左をねじ込み、ムロワイは後退するも、その後再度プレスをかけて何とかサバイブ。
ラストラウンド。ジャロロフは、圧倒しながらも連続KOは途切れてしまうのか?リズムにのるジャロロフは、ムロワイの入り際にカウンター、そして続いて左ストレートをヒットして、ムロワイダウン!!
このダウンで勝利を確信したジャロロフは両手を挙げて勝利をアピール、ほどなくしてレフェリーはこの試合をストップ!
ムロワイはしばらく立てません!!
バホディル・ジャロロフ、8RTKO勝利!
上手くて強いジャロロフ、こんなにも消極的な戦いの中、結局はストップ勝ちしてしまうあたりはさすが。スロー映像が流れますが、ムロワイは最後にジャロロフの左オーバーハンドを受けてダウンした時、リングに頭を打ち付けていますね。
バホディル・ジャロロフのテクニックとパンチングパワーのみにスポットがあたった一戦となりました。
6/11(日本時間6/12)アメリカ・フロリダ
WBAレギュラー世界ヘビー級タイトルマッチ
トレバー・ブライアン(アメリカ)22勝(15KO)無敗
vs
ダニエル・デュボア(イギリス)17勝(16KO)1敗
英国プロスペクト、ダニエル・デュボアの世界初挑戦試合。対するは、ドン・キング傘下で「謎の」世界ヘビー級王者、トレバー・ブライアン。
初回、デュボアが鋭いジャブを飛ばしてスタート。デュボアの動きは非常に軽快で、たいしてブライアンは熊のようにのっそりしています。
デュボアのジャブをパリングして左フックカウンターを狙ったブライアンは明らかに反応が遅く、ちょっと差が大きそうです。ブライアンはこの差をなくすために、強いプレスをかけて接近戦に持ち込まなければいけなさそうです。
しかし、ブライアンにプレスをかけようとする様子はうかがえず、中間距離から踏み込んだデュボアの攻撃はよく当たります。
鋭い踏み込みから強いコンビネーションを見せるデュボア、ブライアンはリズムをとることしかできません。ともすればカウンターを狙っているのかもしれませんが、これはスピード差がありすぎます。
2R、デュボアはかなり余裕が出てきたか、恐れなく踏み込んでのワンツー。ブライアンは応戦するも、打ち終わりのケアもしっかりしているデュボアに対して突破口を見いだせず。
3R、ようやくジャブが出始めたブライアン。それでもほとんどの時間を待ちに使ってしまい、こうなるとデュボアはやりたいように攻撃できてしまいます。
しかもそのスピードについていけないブライアン、終盤にかけてデュボアのラッシュを受けて防戦一方。体をくっつけて後続打を回避しようとしますが、左フックで起こされて大ピンチ、それでもここは何とかしのぎます。
4R、ここはチャンスとばかりに積極的に攻め入るデュボア、ブライアンはその対応をしているだけ。近い距離での攻防で、デュボアの左フックがカウンターとなってヒット、前のめりにダウンしたブライアンを見てレフェリーは即刻ストップを宣告!
ダニエル・デュボア、4RTKO勝利でWBAレギュラー世界ヘビー級王座を獲得!!
ダニエル・デュボアが見事なノックアウト勝利で王座を獲得、これで少しは注目されるのか、WBAレギュラー王座。
ウシクやフューリーと見たいか、というと勝ち目は薄いように思いますが、ジョイスとの再戦はちょっと見てみたい。
ともあれ、DDD(デュボアの愛称)はまだ24歳と若く、ウシク、フューリーが去ったあとのヘビー級の覇権を握れるボクサーなのかもしれません。
6/11(日本時間6/12)アメリカ・ニューヨーク
エドガー・ベルランガ(アメリカ)19勝(16KO)無敗
vs
アレクシス・アングロ(コロンビア)27勝(23KO)2敗
16連続初回KO記録のあと3連続判定勝利のベルランガ。今回の対戦相手はベテラン、アングロ。ベルランガはかつての勢いを取り戻せるか。
初回、強気に攻めるのはアングロ。ベルランガはガードをしっかりと上げて、距離でアングロのパンチを外そうとします。が、比較的すぐに距離が詰まり、クリーンヒットは少ないものの両者のパンチが交錯するという展開に。
中盤、アングロの右をブロッキングしたあとにベルランガは左フックをリターン、この反応は素晴らしい。
2R、ベルランガのジャブは鋭く、そのコンビネーションも力強い。ですがアングロのブロックは非常に固い。やや脇をあけてハンズアップするアングロに対しては、もっとボディをたたきたいですね。
3R、アングロは勇気あるボクサー、ぐいぐいとプレスをかけて前進します。下がりながら対応するベルランガ、クリーンヒットはベルランガですが、アングロの前進には少々手を焼いているというイメージ。
4R、ガードポジションの真ん中が空いているアングロに対して、明らかにアッパーを狙っていくベルランガ。ここでも多くのクリーンヒットを奪いますが、アングロの前進は止まりません。
ただやはりクリーンヒットはベルランガで、終盤には逆ワンツーをヒットして優勢です。
5R、このラウンドは中盤、終盤にアングロが良い攻撃を見せます。ベルランガはちょっと集中力が切れてきたのか、体で押し込まれる場面が目立ちます。
6Rは逆にベルランガが序盤にカウンターの左フック、ワンツーを決めます。やや突進力が鈍ったように見えるアングロにジャブ、ストレートを放ち、このラウンドは自分の距離を作れています。
7R、気を取り直して突進してくるアングロ、そのプレスをやや持て余し気味のベルランガ。ベルランガはふいのタイミングで放つジャブは鋭く、良いですがアングロに踏み込まれ、もみ合いの展開も多い。
この籾井の状態からベルランガはアングロの左肩付近を噛んでいたよですね。インターバル間のスロー映像で何度も流れます。
8Rもジャブとステップワークでアングロの突進をいなすベルランガ。いつの間にか塩分濃いめのボクサーになっています。相変わらずジャブは素晴らしいですが、それ以上のものは見せられません。
9R、これまでよりもオフェンシブに戦うベルランガ、頭をつけての打ち合いに臨みます。しかしアングロはタフで、体が強く、どちらかというと押されてしまうのはベルランガ。後半には足を使ってエスケープしながら、ジャブ。
ラストラウンドも展開は変わらず、下がりながら、回りながらジャブを打つエドガー・ベルランガと、じりじりとにじり寄るローマー・アレクシス・アングロ。
そして終了のゴングを聞きました。
結果は、エドガー・ベルランガの判定勝利。
かつての勢いはどこへやら、という感じはありますが、連続初回KOしていた頃も強引に倒しに行っていたイメージはありません。
良いのが当たった時からの詰めは良いですが、そこまでの組み立てがまだまだ、という感じ。
今回は非常にジャブがよかったし、ステップワークもディフェンスもよかったと思います。エドガー・ベルランガは速攻型のパンチャーではなく、塩要素がかなり濃いジャバー。変な風に期待をするよりも、認識を改めたほうがよさそうです。
6/11(日本時間6/12)アメリカ・カルフォルニア
ハイメ・ムンギア(メキシコ)39勝(31KO)無敗
vs
ジミー・ケリー(イギリス)26勝(10KO)2敗
視聴しているのがメインだけ、とあっても、さすがに疲れてきた4戦目は、ムンギアとよく知らないジミー・ケリーの一戦。皆さんもここまで読んでくれてありがとうございます。速攻決着でも一向に構いませんよ。
初回、メヒココールでスタート。どアウェーのケリーに臆した様子はなく、固いガードポジションからジャブ、コンビネーションを放っていきます。
非常にオーセンティックな英国ボクサーに見えるケリーは、前後左右への動きも鋭く、なかなか良いボクサーです。
プレスをかけてかけられて、両者ともに素早い動きと反応を見せたラウンドは、ともに前手の左フックをコネクトしあって終了。これは好試合が期待できるかも。
2R、ムンギアがプレス、ケリーがサークリングという展開の中、ケリーが右フェイントからの左フックをヒット!!ムンギアは一瞬効いたようにも見えましたが、その後も強気にプレス。
その後もケリーは左右へのステップを展開し、ムンギアが攻めてくれば左手をプッシング気味に伸ばしてムンギアの動きを制限、非常に巧く戦っています。
追いかけて追いかけてバランスを崩したところにパンチを見舞う、という戦い方です。
3R、機動力のあるケリー、この動きが12Rにわたり続けられるのなら、アップセットの芽が出てきます。ジャブがよく、コンビネーションが出て、距離が詰まったときのボディムーブも良い。
ムンギアも上手くフェイントを使う等して攻め込みますが、ややケリーに翻弄されているようにも見えます。ケリーはムンギア相手にフィジカル勝負にもっていかないところが良いところで、ムンギアの打ち終わりに逆ワンツーをヒットする場面も。ムンギアはミスブローが多い印象。
4R、ケリーのジャブを外して中に入ろうというムンギア、リング中央を陣取ってプレス。ケリーはロープを背に回りますが、追い詰められてる感はありません。
ムンギアがケリーのジャブを外せるようになってきたら、今度は飛び込んでの左フックを見舞うケリー、非常に頭の回るボクサーでもりますね。
ムンギアが攻めれば当たらなくても大歓声、は仕方のないことではありますが、これは結構ムンギア苦しいのではないでしょうか。
5R、ムンギアのプレスが強くなったか、ケリーはこれまで以上に速く、大きく動きます。
中盤、ムンギアはケリーをロープに追い込んでコンビネーション、クリーンなパワーパンチは当たっているように見えませんが、苦しくなったケリーはクリンチに逃げます。
レフェリーに引きはがされた再開後、ムンギアの攻めに対して距離をつぶして対処したケリーでしたが、その離れ際にムンギアの左フックをまともに浴び、よろよろと後ろによろめいてダウン!!
ロープに体を打ち付け、ともすればリングアウトかというほど吹っ飛ばされたケリーでしたが立ち上がり、試合は続行!
しかしここを逃すムンギアではなく、ダメージの残るケリーにまた左フックをヒット、ケリーは2度目のダウン!
またも立ち上がったケリーは果敢にも攻めてでますが、こうなるとムンギアの土俵。ムンギアの怒涛の攻めで3度目のダウンを喫し、立ち上がりましたがレフェリーは試合をストップ!
ハイメ・ムンギア、5RKO勝利!!
いやー、素晴らしいノックアウトでした、ハイメ・ムンギア。あそこで倒しきるというのはやはりスターの資質でしょう。
一時はどうなることかと思いましたが、12Rにわたり、ムンギアのプレッシャーをさばききることは非常に困難なミッションでしょう。そんな中、完全アウェーの地でよく戦ったジミー・ケリー、戦前よりも(私の中では)一気に評価を高めました。
ムンギアはもう調整試合は必要ありません。さっさとミドル級の世界王者に挑んで欲しいものですね。
最後に(この順番で見ました)良いものを見せてもらいました。
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