怒涛だった6月興行。
この6月でボクシングに興味を持った人も多かったのではないか、と思う今日このごろ。
単純に、井上尚弥〜京口紘人戦後、様々な記事のPV数が上がっています。是非とも持続してもらいたいなぁ。(PV数の話ではなくて)
さて、私には皆さんが興味を持ってくれた「ボクシング」について調べた時、ぽっと検索ででてくるようにしっかりと記事を書いておく、ということくらいしか出来ません。
なので、あまり皆さんが興味がないような記事も此処に置いておきます。
ということで今回のブログは、週末の海外興行。全くと言って良いほど話題になっていない、オーストラリアでのIBF世界クルーザー級タイトルマッチと、イギリスBTスポーツ放映興行のプレビュー記事です。
7/2(日本時間7/2)オーストラリア
IBF世界クルーザー級タイトルマッチ
マイリス・ブリエディス(ラトビア)28勝(20KO)1敗
vs
ジャイ・オペタイア(オーストラリア)21勝(17KO)無敗
日本で全くと言って良いほど話題にならないクルーザー級。
このクルーザー級において、階級最強の座を手にしているのはこのブリエディスでしょう。(個人的にはローレンス・オコーリーを推したいのですが、まだ強固に推せない。)
ブリエディスの過去の敗戦は、現在のPFPキングの一角、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に喫した一敗のみ。しかもその敗戦も僅差の判定負けであり、クルーザー級においてはウシクを最も苦しめたボクサー、とも言えると思います。
そんなブリエディスは、「あの時」のイメージが強く、ダーティファイターではないか、とも思われますが、本来は非常にバランスの取れたボクサーファイター。やや突っ込みがちになり、フィジカルに自信がある分、もみ合いの展開にはなりがちなボクサーですね。
フィジカルのパワーが強いのは旧ソ連の国々出身のボクサーにありがちなことですが、このブリエディスも正にそんな感じ。
こういうゴリゴリくるボクサーは怖いですね。しかもブリエディスは技術もあるので、怖い怖いボクサーです。
そんなブリエディスに挑むのが、オーストラリアの新鋭、ジャイ・オペタイアというボクサーで、26歳という若さを持ったボクサーです。
この体躯なので、おそらくオーストラリアン・フットボールの出身なのでしょうが、このボクサーの武器はスピードにあると思います。
ステップスピードは勿論のこと、コンビネーションの回転力も早いオペタイアは、非常に身体能力の高いボクサーでもありますね。
ステップインとステップアウト、サイドステップと上体の動き、これらを忙しく組み合わせて、どれくらいブリエディスを苛つかせられるのか。
ブリエディスがオペタイアのスピードについていけない、となればオペタイアペースになりますが、そのペースを12R維持できるか、というのは厳しく、どこかで近い距離での打ち合いにも発展していきそうです。オペタイアはリーチも体格もあるため、ブリエディスを釘付けにできれば良いですが。
予想としてはやはり実績に勝るフィジカルファイターのブリエディスが優位、ただ、ここ最近勢いのあるオーストラリア勢が、アップセットを起こさないとも言えません。ブリエディスも37歳、年の差10歳以上という状況なので、オペタイアが機動力を生かして戦った場合、ついていけないということも考えられなくはありません。
放送・配信
この興行は、オーストラリアではKayoスポーツで中継。オーストラリアのボクシング中継はここしかない、というぐらいのところですね。
アメリカではESPNが中継してくれる、とのことです。
日程は、オーストラリア現地時間で7/2(土)なので、日本時間でも同日です。放送開始時間は日本時間7/2(土)18:00〜メインカード、となっています。(メインカード枠が何試合あるか解りませんが、通常だと1〜3試合程度)
なお、日本での放送の予定は今の所ありません。
7/2(日本時間7/3)イギリス
ジェイソン・カニンガム(イギリス)31勝(7KO)6敗
vs
ゾラニ・テテ(南アフリカ)29勝(22KO)4敗
ジェイソン・カニンガム。32歳、戦績は上述の通り。
果たして期待されてきたボクサーか、というとそうではありませんが、今回は元世界王者を迎えてのステップアップファイトです。
このカニンガムというボクサーは、アマからの転向組。2011年似プロデビューのあと、キャリア途中の2014年に何者でもない相手に2敗しており、2015年以降はホープ対決でことごとく敗戦。2015年にカリド・ヤファイ、2017年にリース・ベロッティ、2018年にジョーダン・ジル、2018年にマイケル・コンラン。注目ホープに対して、気持ち良いくらいに「ちょうどよいアンダードッグ」の役目を負ったカニンガムは、その他の試合では負け越しのボクサーたちを相手に勝ち星を積んでいきました。
しかし2021年5月、何が起こったのかカニンガムはガマル・ヤファイ(イギリス)から何度も何度もノックダウンを奪い判定勝利、その次戦でも当時無敗の若きホープ、ブラッド・フォスター(イギリス)を退けるというアップセット(?)を成し遂げました。
その後の2022年4月にも、こちらも無敗のテリー・ル・カウビオ(フランス)を6RTKO、実に2015年5月以来のストップ勝ちを収めています。
数々の地域タイトルを獲得しながらも、大事なところで敗北を喫してきたジェイソン・カニンガム。現在32歳、170cmのサウスポーは、ここに来て真価を発揮し始めたのかもしれません。
最近の英国ボクサーは、30歳を超えてから良いパフォーマンスを出し始める例が多くなっているように思われ、それにはリー・ウッドもうそうですしポール・バトラー(前戦のみで判断)もそう。そしてこのカニンガムもそうでしょう。
カニンガムは、英国オーセンティック・アウトボクサー。
それ以外に言いようがないほど、「ノックアウト」に興味がないように見えて、とにかく「パンチをもらわない」ことに重点を置いているように思います。そしてしっかりとは打たない事から、当然のごとくパワーレス。
さて、そんな相手に挑戦するのは元世界2階級制覇王者のゾラニ・テテ。
このテテに関しては、日本のボクシングファンにはあまり説明もいらないことでしょう。
カシメロに王座を追われてしまい、「元凶」などとは言われてしまっていますが、その実力は間違いなく世界トップレベル。2019年11月のカシメロ戦後、2021年12月に復帰していますが、この復帰戦が初回KO勝利ということでリング勘がどうか、というのは不安要素の一つではありますね。
加えて、今回はテテにとって初めてのスーパーバンタム級の対戦相手であり、その部分も未知ではあります。(前戦、テテはスーパーバンタム級戦でリングに上がりましたが、相手はバンタム級のウェイトでした。)ただ、ジェイソン・カニンガム相手には階級の壁は感じにくそうですね。
ということで、おそらく下馬評としては、敵地ながらもテテが優位なのではないでしょうか。ならば私は、不遇のキャリアを築いてきても諦めなかったジェイソン・カニンガムなる「一般的にはつまらないと言われるボクサー」を応援したいと思います。
このカードがメインかと思っていたのですが、どうやらメインはこっちか?というのが↓
ジョー・ジョイス(イギリス)13勝(12KO)無敗
vs
クリスチャン・ハマー(ドイツ)27勝(17KO)9敗
とはいえ、いわゆる「勝負論」というものを考えれば、まだテテに対するカニンガム、という方が可能性があるでしょう。
ジョー・ジョイスに負けたボクサー、ダニエル「ダイナマイト」デュボアはすでにWBAレギュラー世界ヘビー級タイトルを獲りました。ジョイスにはまだ、チャンスは巡ってきません。
積極的に強いパンチを振るっていく、というスタイルではないにも関わらず、13勝中12KOというKO率は驚異的だと言えます。
右手は顎のあたり、左手は目線。左手は肘を伸ばすように真っ直ぐ伸ばす「だけ」というジャブで、ナックルを返すことすらほとんどせずに縦拳。
正にお手本のようなジャブから、いけそうだったらストレートを返すというスタイルのジョイスは、強さがよくわからないボクサーではあるものの、困った姿を晒したことすらありません。
こんなにも倒しているのに、こんなにもエキサイティングではないボクサーが、かつてヘビー級にいたかどうか。
さて、相手のクリスチャン・ハマーに関しては、歴戦の雄、といえば聞こえは良いですが、ここ最近でもフランク・サンチェス、ヒューイ・フューリー、トニー・ヨカ等々に敗北を喫しています。
このランクのボクサーを、今更ジョイスが痛めつける意味はあるのでしょうか。
放送・配信
この興行は、イギリスではBTスポーツが生中継。アメリカではESPNで生中継するようですね。日本での中継はなさそうです。
日本時間では7/3(日)AM3:30〜メインカードの放送があるようです。ポスターを見る感じだとメインカードは全4試合、順調にいっても6:00〜7:00くらいにジョイス登場、となりそうですね。
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