7/2(土)、日本ではダイナミックグローブ。
そして同様の時間帯だったのだと思いますが、オーストラリアでも注目のボクシング興行がありました。
オーストラリアでの試合にもかかわらず、アメリカのESPNで放送されたようなので、私はそちらのESPNを視聴。
ということで今回は、IBF世界クルーザー級タイトルマッチ、マイリス・ブリエディスvsジャイ・オペタイアの観戦記です。
↓プレビュー記事
7/2(日本時間7/2)オーストラリア
IBF世界クルーザー級タイトルマッチ
マイリス・ブリエディス(ラトビア)28勝(20KO)1敗
vs
ジャイ・オペタイア(オーストラリア)21勝(17KO)無敗
ここ最近、隆盛を迎えているオーストラリアン・ボクシング。クルーザー級のジャイ・オペタイアが、階級最強の呼び声高いマイリス・ブリエディスに挑みます。
このオペタイアはスピードとコンビネーションを武器とするボクサー、対してブリエディスは非常にテクニカルな面を持つフィジカルファイター。
日本での注目度こそ低いものの、非常に興味深い一戦です。
初回、ともにリズムとステップワーク、リズミカルに動きつつ様子を伺います。先に動いたのはオペタイア、ややプレスをかけながら鋭いジャブを飛ばします。
ブリエディスが打ってこようとするとスッと下がり、サイドへ。ブリエディスは踏み込むタイミングがまだ掴めないか、必然的に手数も少なく、距離も詰まりすぎてもみ合いになる場面も。
2R、オペタイアがリズムに乗り、鋭いジャブからノーモーションの左。このノーモーションの左はカウンターとしても機能しています。
リーチも長く、懐も深く使うオペタイアに対して、ブリエディスは攻めあぐねています。
オペタイアはブリエディスが攻め込んでくるとコンビネーションをリターン、ここまで上手く戦っています。
3R、戦いは激しさを増します。強く踏み込むブリエディスですが、オペタイアはステップでかわすとカウンター。距離が詰まった場面でも、離れ際にオペタイアの左がヒット!これでブリエディスは顔を跳ね上げられます!
オペタイアは昔のボクサーのような、ピョンピョン飛び跳ねるリズム。そのステップはクルーザー級と思えないほど軽やか、非常に反応も良い。これはもしかして、ひょっとするのでしょうか。
後半、ブリエディスはアッパーをヒットしてお返し!しかしオペタイアの左を返し、譲りません!
4R、オペタイアは前半にノーモーションの左をヒット。この左は本当に巧い。そしてブリエディスが出てくるとステップでかわし、決してフィジカル勝負に持って行かせません。
終盤、オペタイアがフェイントをかけての右アッパーカットをヒット!!これでブリエディスは効いたか、後退!!!オペタイアが詰めようとしたところでゴング!!なんと、とんでもないことが起こりそうです!!
インターバル中、鼻血を流すブリエディスが映ります!
5R、いよいよブリエディスは攻め手がなくなってきます。入ろうとするとカウンターが飛んでくるため勢いよく入れず、しかも遠い距離では明らかにオペタイアのジャブがよく、ノーモーションのストレートが長い。
ブリエディスは鼻血で呼吸が苦しそう、かなり気にしているように見えます。
6R、自信満々のオペタイア、ボディジャブも良い。ブリエディスは下がりながらオペタイアに対応しますが、これではジリ貧。もっとグイグイ、ラフファイトを仕掛けたほうが良いでしょう。
前後左右、縦横無尽に動くオペタイアを、ブリエディスは捕まえられません!!
私はプレビュー記事で、
「ブリエディスがオペタイアのスピードについていけない、となればオペタイアペースになりますが、そのペースを12R維持できるか、というのは厳しく、どこかで近い距離での打ち合いにも発展していきそうです。オペタイアはリーチも体格もあるため、ブリエディスを釘付けにできれば良いですが。」
と書きましたが、このまま行ってしまうのかもしれません。。。
7R、このラウンドもオペタイアは軽快なリズム。オペタイアペースでしたが、中盤、ブリエディスが強引に右を打ったところからラフに攻め入ります。ブリエディスはここから真骨頂か?
オペタイアも左ストレートを返し、ブリエディスのターンは長くは続かず。その後もオペタイアの右フックを浴びて鼻からの出血は更に苛烈。この鼻血の止まらなさを見ると、もしかするとブリエディスの鼻骨は骨折かも。そうなると、かなり苦しい。
8R、やはり強引にインサイドに入るしかないブリエディスは、体ごと突っ込んでいきます!こうなったブリエディスは(色んな意味で)怖い!ここから巻き返せるか。
オペタイアのフットワークは衰えを見せませんが、ほんの少し、ブリエディスのステップインが機能し始めてきたようにも見えます。
9R、ブリエディスが調子に乗ってきそうなところで、先に攻めるのがオペタイア!このオペタイアもよく分かっています。
このラウンドは互角の展開ながら、ブリエディスの右でオペタイアの顔が大きく跳ね上がる場面も。
10R、ブリエディスは思い切って打つワンツーが良い感じ。オペタイアもそれに怯まず、自らプレスをかけてコンビネーション、ステップも止まりません。
しかし中盤、ブリエディスがオペタイアの左をかわしての右アッパーをヒット!ビッグショットでチャンスをつくり、オペタイアはステップでエスケープ!
11R、回復力もあるオペタイア、このラウンドも先手。オペタイアが遠い距離からワンツーをヒットすると、ブリエディスも近い距離で左右のフックを振り回す。ともにクリーンヒットを奪い合う激戦!!
ラストラウンド、オペタイアは生命線のステップこそ止まらないものの、バランスを崩す事も多くなっています。クリンチも駆使してブリエディスの前進を攻略、最終ラウンド終了のゴングを聞きました。
判定は、116−112、115-113、116-112でオペタイア!!!
ここがオーストラリア、ということを加味すれば、もっとポイント差がついていてもおかしくなかったのではないでしょうか。二人目のジャッジは日本の中村勝彦氏でしたね。
ジャイ・オペタイア、素晴らしいボクサーだとは思っていましたが、ここまでだとは思っていませんでした。あの「ウシク相手に大善戦した」ブリエディスに対して、初回から距離感とステップワーク、ストレート系のブロー、カウンターでペースをつかみ、特に序盤、ブリエディスを管理下に置きました。
後半、強引な攻撃で追い立ててくるブリエディスに対しても果敢に打ち合い、ハートの強さもスタミナも、そしてタフネスも示したオペタイアは、このクルーザー級において信じられないほど軽やかなステップワークと、スピードを有しているボクサーです。しかも、今回を見るとリングIQが高く、「相手の良さを出させない」巧さのあるボクサーだと思います。近い距離で自然にクリンチに持っていくのもうまかったし、近い距離でサイドステップで外すのもうまかった。
ブリエディスは流石、というところは見せたものの届かず。もっともっと序盤から思いっきり行っていれば勝機が見えたかもしれません。タラレバですが。
リングアナウンサーによってめちゃくちゃ溜められ、「New!!」というコールが会場に響いた時、オペタイアと陣営、オーストラリアの人たちの喜びようはものすごかった。日本にも早く、こういう雰囲気が戻ってきてもらいたいものです。
控室に戻ったあとも涙、涙のオペタイア、これはなかなか難攻不落の王者の誕生です。
ブリエディスは自ら突っ込んでいく事が多く、ダメージを溜めやすいボクサーではありました(ので今後も心配ではありますが)し、今回の試合でもものすごいタフさを示しました。年も年ですが、まだ続けるのでしょうか。
クルーザー級のニュースター、ジャイ・オペタイア。この試合で一気にその株を上げたでしょうから、やっぱり楽しみなのは今後の話。
オペタイアが統一戦を臨むのならば、ローレンス・オコリーとの対戦もあり得るでしょう。
これまた、非常に楽しみです。
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