2022年8月20日現在、日本の至る各地で国民体育大会・ボクシング競技ののブロック予選が行われています。
このブロック予選を勝ち抜けば、10月に栃木県で予定されている国民体育大会の本戦に出る事ができます。アマチュアボクサーにとっては、大きなタイトルの一つですね。
アマチュアボクシング、今はもうオリンピックボクシングという名称なのでしょうか。正式発表はないように思っていますが、従来の呼び方の方がまだしっくりくるので「アマチュアボクシング」または「アマボク」と書かせてもらいます。
とにかくアマチュアボクシングの快挙がとまりません。
2021年の東京オリンピックで史上最多メダル数(金×1、銅×2)を獲得したあと、その年に行われた男子の世界選手権では世界選手権では初となる金メダル、しかもふたつという快挙。
更に、年があけて2022年、先日まで行われていたU22のアジア選手権大会では、金メダル1個、銀メダル5個、銅メダル3個という大快挙。
「アジア選手権」とはいえ、旧ソ連に位置した中央アジア列国は世界的にみても強豪であり、2024年のパリオリンピックに大きな期待を寄せられる結果になりました。
一般に(ある程度)認知されているプロボクシングとは違い、アマボクはまだまだ。
今回のブログでは、あくまでも主観的に、ですが、プロに負けるとも劣らないアマボクシングの見どころと、まるで別競技にも思えるほどのルールを簡単に解説します。
ぜひとも今後のアマボクの観戦のお供にしていただければ幸いです。
基本ルール(2022年8月時点)
ちなみに、今現在、ルールが変わりそうなので、参考程度にしてください。今現在行われている国内戦に適用されているルールです。
基本的に試合は3分3ラウンズで行われます。ジュニア(高校生以下)の場合、2分3ラウンズが基本です。
試合の決着は、以下の通り。
・WP(ポイント)・・・判定での決着
・ABD(アバンダン)・・・棄権での決着
・RSC(レフェリーストップコンテスト)・・・TKO等のストップでの決着
・RSC-I (レフェリーストップコンテスト・インジャリー)・・・(主に反則でない)負傷によるストップでの決着
・DSQ(ディスクオリフィケーション)・・・失格による決着
・KO(ナックアウト)・・・テンカウントによる決着
・WO(ウォークオーバー)・・・不戦勝
判定決着について
ちなみに、「アマの採点基準よくわからない」という意見をTwitterでもよく見ます。
これはぶっちゃけ、私もよくわかりません笑。プロボクシングと同様に、ジャッジという人に頼ってしまう判定のため、偏りが出ることも否めません。
ルールブックには、
1ターゲットエリアへの質の高い打撃の数
2技術や戦術の優勢を伴って競技を支配していること
3積極性
とあります。
私がジャッジの講習で教わった内容は、基本的に1、ターゲットエリアへの質の高い打撃の数で勝敗を決める、ということで、その際、ただ前進してパンチを振るっているだけ、もしくは、応援の声に流されてしまわないように、と教わりました。
その「ターゲットエリアへの質の高い打撃の数」を数えて、多い方がラウンドを支配したという認識だ、ということです。
ターゲットエリア、というのはプロと同じなのでわかると思いますが、つまりは当てたパンチの数で勝敗が決まるわけです。ただ、戦う位置によって、ジャッジによって見え方が違ってしまうのも事実。たとえば自分のジャッジ席の反対側のコーナーでラッシュをかけた場合、ラッシュをかけている選手の背中だけが見える状態の場合、そのパンチがしっかりとあたっているかどうかは非常に判断が難しい。
ジャッジ席は俯瞰で見れる位置になく、例えばリング中央で戦っている分には見やすい私欲見えますが、どこかのコーナーに寄ってしまうと見えづらいジャッジもいる、ということを念頭に置いておかなければいけません。これは、この競技の悪いところ。
ジャッジ席を高所作業車で上につければ、より公平なジャッジが可能な気もしますが、見る人たちにとっては超邪魔(笑)。
ちなみに、「質の高い打撃」というのは、体重の乗ったしっかりとしたパンチ、という意味です。(ルールブックの表記としては、「パンチはナックルパートで体や肩の重みを伴ったものでなければならない。」と記されています。)
それが最も重要なことであり、2についてはいわゆる「リングジェネラルシップ」であり、3は「アグレッシブネス」ということです。まあ、どちらも非常にわかりにくい笑。
ポイントの付け方
プロと同様、ポイントマストシステムを採用しています。
優勢の方に10点をつけ、劣勢の方から減点をする、という方法です。
プロボクシングとの違いは、ダウンを奪っても必ずしも10-8とはならないこと。
プロボクシングの場合は、よほどのことがない限り10-8をつけるこのダウンポイントですが、アマチュアボクシングの場合は、このダウンの扱いはどちらかというと低い。もちろん、ダウンを奪った方が圧倒的に優位な場合には10-8をつけることもありますし、ダウンを奪わなくても得点となるヒット数が明らかに違った場合には10-8を付ける場合もあります。
尚、Aというボクサーが多くの効果的なヒッティングをしており、劣勢のBというボクサーが一発だけ当ててダウンを奪ったとしても、Aの10-9となる可能性があります。
あと、10-7というポイントの付け方もありますが、これはそうそうお目にかかれません。まあ、プロボクシングでもそうですね。
プロとの違い
さて、ということでラウンド数、そしてポイントの付け方、ということでプロボクシングとの違いがあることをご理解いただけたと思います。説明が分かりづらかったらすみません。。。
このラウンド数、ヒッティングの数というところが最も大きな違いだと思うので、それにより、必然的に戦い方も変わってきます。
つまりは、スピーディな攻防と、いかに相手のクリーンヒットをもらわないようにするか、ということです。
たった3R、と思われるかもしれませんが、その分、ギュッと凝縮された攻防がアマチュアボクシングにはあります。よく、トップアマは3Rならプロの王者にも勝る、と言われることもありますが、この時間の使い方というものが大きく違います。
一つ一つのステップをとってみても、アマチュアボクシングの方が速く、一つのコンビネーションをとってみても、アマチュアボクシングの方がパンチの数が多い、という場合が多々あります。
これは相手のパンチをもらわずに、自分のパンチを当てる、ということに特化したスポーツだからです。
プロボクシングの場合はいかにダメージを与えるか、が重要ですが、アマチュアボクシングの場合はヒット数。ただ、このヒット数にも「質の高い打撃」とあるように、しっかりとしたパンチをコネクトしなければいけません。
それでも、アマチュアのグローブ(プロボクシングと比べてパディング部分が厚く、同じオンスでもでかい。)はKOが生まれにくいだけでなく、比較的ディフェンス(というかブロッキング)がし易く、パンチをもらいにくい。だからこそ、「当てるための技術」が向上し、それに対応する形で「ディフェンス技術」が向上すると思います。矛盾していますが。
アマボクのおもしろさとは
もし、アマチュアボクシングを見たことがない、というボクシングファンがいたら、是非見てもらいたい。プロボクシングとは違ったおもしろさが、そこにはあります。
目にも留まらぬ速さで、遠い距離からのヒット&アウェイを繰り返す戦いがあります。とは違い、ものすごい手数とアングルでの打撃戦が展開される戦いもあります。
「逆転」が生まれにくい競技だからこそ、1R、1Rが非常に大切であり、「様子見」がないからこそ最初からフルスロットルです。
アマチュアボクサーたちは、インターバルを含めてもたった11分間(もしくは8分間)の中に、己のすべてをつぎ込みます。
こんなにもパンチが当たらないものなのか、もしくは、こんな風に上手くパンチを当てるのか、と驚きの連続です。(矛盾していますが。)
野球、サッカーは長い、プロボクシングの試合も12Rは長くてみていられない、そんな方でも十分に楽しめる競技だと思います。
これまでは見る場所が会場に限られていたアマチュアボクシングは、現在、Webでの配信を中心として本当に多くの試合を見れるようになりました。昔は年に一回、全日本選手権の決勝戦がNHKで録画放送されるだけでしたが、今は本当に多くのところで見る事ができるのです。
日本、だけでなく、世界中のアマチュアボクシングを見る事ができます。
世界で活躍する日本人ボクサーが出てきたにもかかわらず、その状況は以前厳しいまま。
ボクシングファンの皆さんも、是非ともアマチュアボクシングを観て、その素晴らしさを感じていただきたいし、今後のプロボクシングの発展のためにも応援してもらいたい。
【アマチュアボクシング配信場所】
sakana1976
言わずとしれたアマボク界のレジェンド。今のように配信がない時代からコツコツと動画を撮ってくれていたことには感謝しかありません。できれば現役時代に欲しかった笑。
日本ボクシング連盟
日本ボクシング連盟(JABF)のYoutubeチャンネル。現在は日本最高峰の戦いである全日本選手権の配信や、日本代表選手団の合宿等を配信してくれています。
関東ボクシング連盟
関東大学リーグ戦、国体関東ブロック予選、またアンダージュニア等の試合を配信してくれています。
↓その他、国体のブロック予選は連盟での配信ではありませんが続々と配信してくれるところが決定しているようです。
国体ブロック大会はこちらから配信される予定です。
— sakana (@sakanayou1) 2022年8月18日
他の地域もわかりましたら紹介します。
東北ブロック チャンプスポーツボクシングクラブhttps://t.co/qoRBMWZyqB
関東ブロック 関東ボクシング連盟https://t.co/GD0EAzsc6e
九州ブロック 熊本ボクシングhttps://t.co/zm7ASkwo9F
国体近畿ブロック予選
— すずきけんいちろう (@suzuken916) 2022年8月18日
8/19(金)15時〜
ライブ中継予定です。 pic.twitter.com/OhqKahxL4X
IBA
AIBAあらため、IBA(インターナショナル・ボクシング・アソシエーション)のYoutubeチャンネル。世界各地のトップボクサーたちの戦いを配信してくれています。
https://www.youtube.com/channel/UCBdXQS3czTQsr_f_F5TZpww
上記のチャンネルはすべてYoutubeなので、もちろんアーカイブも残っています。流し見でも良いので、是非とも見てください!
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