未だ、開催にすら賛否のある東京オリンピック。
各国の選手団、スタッフが日本に入ってくる事で、既に様々な問題が起こっている事も事実。
しかし時は進んでいき、もう7/21(水)にはサッカーやソフトボール等の競技開始、7/23(金)には開会式を控えています。
ここから中止ということはさすがにない。
東京では感染者が日に日に多くなっているこの現状で、開催の是非が問題になるのは十分に理解できますし、個人的にも中止にできるのであれば中止にするという選択肢を支持します。
ただ、この東京オリンピックの開催は目前。特に私が言いたい事は、選手たちには何の罪もありません。誰が悪いか、ということを言及することはしませんが、やることなすこと裏目に出ているような状況、アスリートたちの頑張りに水を差すようなことだけはしないでもらいたいですね。
怒りの矛先を選手や競技に向けて、「オリンピックを見ない」という人もいるかもしれませんが、そのことで選手たちが申し訳なく思ったり、心にしこりを残したまま競技に臨むのはファンとして心が痛みます。
ということで、開催されるのであれば全力で応援しましょう。
今日のブログでは、(本当は書くかどうか迷った)東京オリンピック、ボクシング競技の日本代表についてです。
↓東京オリンピック代表が決まるまでの話。
東京オリンピック日本代表!
男子フライ級(52kg)
田中亮明
3階級制覇王者、田中恒成の実兄。攻守ともにバランスのとれたサウスポーです。世界で戦うには、ややフィジカル面で物足りないような感じもあります。
田中としては、五輪が延期となったこの1年、弟・恒成とともにトレーニングを積んできたとのこと。コロナ禍においても、トレーニング環境においては今まで以上に良いものとなったのではないでしょうか。
と、考えれば、弟・恒成のような爆発的な攻撃力から何かしらを学び、持ち前のハードパンチを武器に「一戦一戦倒しに行く」と宣言することも頷けます。
アマチュアボクシングのおもしろさを見せてもらい、そしてできるだけ上に進んでもらいたい。ネームバリューは抜群、ここで田中がメダルをかけた闘いまで上がってくれる事で、アマチュアボクシング自体が大きく注目度を増すことになるはずです。
井上尚弥を超えるには、そこしかない!
男子ライト級(63kg)
成松大介
今回の代表の中で唯一、リオ五輪を経験している成松。サウスポーからプレッシャーを与え、ゴリゴリのファイタースタイルから一転、最近ではアウトボックスを駆使する闘い方に。つまりは、離れてもくっついても戦える、ということだと思います。
リオ五輪では2回戦敗退、31歳となった今回は、より高みを目指します。
このライト級という階級は、世界的に見ても非常に強豪が多い。階級的に競技人口が多い事がその理由だとは思います。
キューバのアンディ・クルス、アメリカのキーショーン・デービスあたりは非常に有名なボクサーで、その技巧や身体能力に、日本人ボクサーが対抗しうる事は非常に困難。
それでも、一発勝負のトーナメント、奇跡が起こらないとも限りません。
アマで実績を残して、プロに行くボクサーが多い中、成松はその経験値を持ったままアマに残ってくれました。勿論本人が目指すは金メダルでしょうが、日本人選手団にとって、前回の五輪を経験したこのベテランの存在は、そこにいるだけできっと大きいはずです。
日本アマチュアボクシング史上、最年長の31歳での五輪挑戦。おそらく、パリは目指せない。
最後の五輪で、ぜひとも大輪を咲かせてもらいたい。
男子ウェルター級(69kg)
岡澤セオン
このほど、アマチュアのプロとなった岡澤。そのボクシングはスピード、距離感に優れ、高い技術力を誇る、まさに現代アマチュアボクシングの真髄と言えます。
結果的に途中で終わってしまった、東京五輪予選では男子選手の中で唯一人、自力出場を獲得。(他3名は開催国枠。最終予選は結局行われませんでした。)
出入りのボクシング、得意のカウンターが冴え渡れば、金メダル獲得は夢ではありません。自国開催のオリンピックであり、おそらくコンディショニングに不安を感じない岡澤は、男子選手の中で最も期待の高いボクサー。
国際大会でも結果を残している岡澤としては、数多く出場する各国のボクサーたちに対して脅威となる選手は絞られており、しっかりと対策をしているようですのでこれもまた心強い。
「一生アマボク」を宣言しているプロのアマチュアボクサー、岡澤セオン。
是非とも、全国のアマチュアボクサーに夢を与えるような試合をして、そしてそして、金メダルを獲得してもらいたいものです。期待しています。
男子ミドル級(75kg)
森脇唯人
こちらもやはり、世界と日本では差があるであろうミドル級。改めて、村田諒太は偉業中の偉業。
しかしこの森脇は188cmという恵まれた体躯を誇り、いわゆる日本のミドル級とは、その体格において一線を画しているといえます。そしてスピードも保持しており、とかくその右ストレートは強力。
村田がロンドン五輪でミドル級を制したとはいえ、まだまだ雲の上の存在であるミドル級を、どこまでかきまわせるか。
森脇は、アジア・オセアニア予選で1回戦を突破したことで、日本ボクシング連盟から開催国枠としての代表の座を言い渡されたボクサー。そう考えるとあの値千金の国際大会での1勝という経験は非常に大きかったですね。
まだまだ伸びしろ十分に思えた森脇が、この延期期間の中で、どれほどの成長を遂げているのか。全てはそれにかかっています。
女子フライ級(51kg)
並木月海
女子最軽量級の中でも、ひときわ小さく、ひときわ素早く動くボクサーがこの並木。体躯は小さいながらもフィジカルは強く、その踏み込みは鋭い。
サウスポースタンスから飛び込みつつ、左ストレートを伸ばす様は、まさに和製・女版・パッキャオのよう。並木の試合は非常に小気味よく、エキサイティングでおもしろいです。
そんな運動量豊富な並木は、アジア・オセアニア大会でも準優勝、自力で東京五輪への出場権を獲得しています。
一発勝負のトーナメントな分、勿論一回戦から集中して臨まなければなりませんが、この並木は日本に何らかの色のメダルをもたらしてくれるボクサーだと思っていますし、当然金メダルも射程圏内だと思います。
アジア・オセアニア大会では、減点さえなければ優勝、というほどの闘いぶりでもありました。自国開催の五輪、気合を入れて金メダルを目指してほしいですね。
女子フェザー級(57kg)
入江聖奈
並木と同様に、アジア・オセアニア大会で準優勝した入江。このボクサーもそのパンチは鋭く、力強い。世界的に見ても、この入江聖奈というボクサーは、警戒されているはずです。
しかし、アジア・オセアニア大会では絶対女王、台湾のリン・ユーティンに完敗。まだ力の差はしっかりと見て取る事ができるほどのものでした。
入江としては、目標とするこのリンを超えなければ、金色のメダルを手にすることはできません。メダル候補とされる入江が、この地元開催の五輪で、リンを攻略してくれたならばもうそれだけで感動です。
いずれにしろ、この1年の過ごし方、レベルアップというのがどのボクサーにも大切なことではありますが、入江は若く、どのボクサーよりも伸びしろは大きいはず。
女子ボクシングは2012年からオリンピック競技として正式採用され、ロンドン、リオと日本代表はそのリングにさえ立つ事はできませんでした。
今回、開催国枠で2名という代表を送り出す事ができたものの、結局並木、入江ともに自力出場。
このふたりの女子ボクサーが、日本女子ボクシング界に快挙をもたらしてくれる事を期待しています。
ちなみに、東京オリンピック・ボクシング競技は、こちらのサイトでライブ配信されるそうです。
毎日五輪のゴタゴタが世間を騒がせていますが、やるとなれば日本代表を応援するのみです。中止、中止と今更騒いでも仕方有りませんし、五輪後のコロナ感染拡大、というのはもう覚悟しておかなければならないのかもしれません。
起こる事は起こる事として、その対策をしっかりし、前に進んでいく事こそ大切でしょう。
そして今回の、この東京五輪の「失敗」(あえてそう言わせてもらいます)を糧として、今後のオリンピックというものが純粋さを取り戻し、アスリートたちにとっての夢舞台で有り続けてくれる事を願います。