とうとうきてしまった、メキシコの独立記念日。(正式に言うと現地時間で9/16)
この独立記念日にあわせたボクシング興行は、ラスベガス、T-MOBILEアリーナ。
メインはサウル「カネロ」アルバレスvsゲンナディ「GGG」ゴロフキン、現代のボクシング界で最大のマネーを要する一戦です。
プライムタイムにあるカネロと、衰えを見せているゴロフキン、過去2戦と違ってゴロフキンの勝ち目はどんどん目減りしています。
カネロ圧倒的優位という中で、ゴロフキンがどれほどの意地を見せられるのか。
ゴロフキンが自身初のノックアウト負けを喫してしまう可能性もあります。
ということで今回のブログでは、カネロvsGGGのトリロジー興行の観戦記。
↓プレビュー記事
9/17(日本時間9/18)アメリカ・ラスベガス
わたしは仕事を終えて自宅に帰ってきてからのDAZN視聴。今回はセミセミから見ます。
アリ・アフメドフ(カザフスタン)18勝14KO1敗
vs
ガブリエル・ロサド(アメリカ)26勝15KO15敗1分
激闘男、ガブリエル・ロサド。敗戦も非常に多いですが、アップセットを起こす可能性を秘めているボクサーであり、侮ることはできません。
カザフスタンのプロスペクト、アフメドフはここを快勝でクリアできるかどうか。
初回、やや静かめの立ち上がり。リング中央で互いにジャブを打って様子見。やや打ち気なのはロサドの方で、アフメドフは軽やかにステップ、後半にはアフメドフの左がロサドを捉え始めたか。
2R、ギアを1段階あげたアフメドフ、プレスをかけていきます。ロサドは下がらされるとダブルトリプルのジャブで対抗し、アフメドフを押し返します。
互いにまだクリーンヒットは少ないですが、アフメドフのジャブに力がこもってきましたね。
3R、アフメドフがプレスを強め、ロサドは下がらされます。このラウンドはアフメドフがいくつかの右をコネクト、互いによくジャブを出す分、そのリターンの右は決まりやすそうですね。
4R、ブロッキングを使い始めるロサド、アフメドフに怖さを感じなかったのでしょうか。多田、固まるとアフメドフの回転力のあるコンビネーションがロサドを襲います。
それでもロサドはガードを固めて前進、後半にはボディムーブを使ってグイグイと攻め入り、アフメドフは手数が少なくなってしまいます。
5R、快調にプレスをかけるのはロサド、アフメドフは絶妙なステップバックでロサドの攻撃をいなします。そして序盤を過ぎた頃、ロサドのジャブへのリターンで右をヒットしたアフメドフ!これでロサドはぐらり。
アフメドフは強引には行かず、十分にロサドの反撃を警戒しながらジャブから攻めています。ロサドは、下がりながらも右オーバーハンドを狙っているようです。
6R、アフメドフのパワージャブ、そしてコンビネーションがロサドを襲います。ここをしっかりとしたブロッキングのロサドは、そのごプレスをかけて攻め込んでいきますが、アフメドフはステップワークとディフェンスが良く、なかなかクリーンヒットを奪えない状況。
7R、ハイガードで前に出るロサド、そこにアフメドフのコンビネーション。1分ほどのところでアフメドフは上をガードさせての左ボディ、これに一瞬間を置いて苦悶の表情を浮かべたロサド!徐々にダメージを蓄積していっているかもしれません。
アフメドフはジャブの距離感、タイミングが素晴らしいですね。
8R、変わらずアフメドフのジャブ、ステップ、ディフェンス、コンビネーションは良いですが、諦めずに前進するのはロサド。9Rも同様の展開、中盤にはアフメドフがロサドの入り際に左フックをヒット。その後ロサドも右をヒットする等頑張りますが、ロサドの攻撃のほとんどは届きません。
ラストラウンド、ここもアフメドフは素晴らしいジャブとステップワーク。ロサドは左右を強振して強引に攻め入る場面を作りますが、決定的なダメージを与えることはできません。
ロサドの飛び込みの左フックなんかは、アフメドフを脅かすに足る武器だと思いますが、これもうまく外され、またはブロッキングされています。
アフメドフは最後までマイペースを貫き、規定の10ラウンズを終了。
判定は、3者共に100-90、フルマークでアリ・アフメドフの勝利。
非常に堅実なジャバー、コンビネーションパンチャーというイメージのアリ・アフメドフ。個人的に言うと、チャンス時の詰め、という部分で素晴らしいものを持ってはいるものの、そこに至るまでの道程においてもう一工夫欲しいところ、ですかね。
WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)16勝(11KO)無敗
vs
イスラエル・ゴンサレス(メキシコ)28勝(11KO)4敗1分
適正階級であるフライ級で戦う、と言いつつも、スーパーフライに残留しているジェシー「バム」ロドリゲス。
この試合に勝てば12/4に予定されているファン・フランシス・エストラーダとローマン・ゴンサレスの勝者との一戦が画策されているとも言えますが、そこまでこのスーパーフライで戦うのならばフライに戻ることは困難になってしまうのではないでしょうか。
と、そんな心配は置いておいて、今回の防衛戦の相手はイスラエル・ゴンサレス。
世界的強豪ではあるものの、クアドラス、シーサケットを撃退したバムにとっては「負けるはずがない」相手であり、快勝、圧勝が期待されます。
そんな中で、モチベーションを落とさずにこの試合をクリアできるかどうか、が試されます。
初回、ジャブの差し合いもほどほどに、バムが自信満々でプレス。ゴンサレスはジャブ、まっすぐのストレートを伸ばしてやや長めの距離で戦おうとしています。奥の手のアッパーも良いですね。
ゴンサレスはリーチがあり、回転力もあり、バムをインサイドに入らせないことに成功しています。
2R、とにかくよく手が出るゴンサレス、これはバムもやりにくそう。バムは左ストレートから入るパターン、この左は当たりますが単発気味。
バムはガッチリとしたガードでプレス、このプレスが後半に入って機能してきたか、ゴンサレスは下がり始めているように見えます。ただ、未だゴンサレスの手数は脅威。
3R、プレスを強めたバム、徐々にコンビネーションも出始めます。ジャブから入ることができており、前手のアッパーも決まり始めます。
中盤には得意のサイドに展開してからの多彩なパンチも出始め、ゴンサレスの動きに慣れたのか、エンジンがかかってきました。
4R、ゴンサレスの非常に回転の速いストレート連打は非常に厄介ですが、バムはこれをブロッキングして攻め入り、ロープに詰めて左ストレートをヒット。印象的なヒットはバムですが、ゴンサレスはやはり手数が非常に多い。
5R、今日はバムのサイドステップがあまり機能していませんが、これは極めて近い距離でこそ活きるステップ。(視界から消えるため)今日はサイドステップを始める位置がやや遠いように思え、それだけゴンサレスがバムとの距離を作っている、とも言えます。やはりこのボクサーは強敵。
前ラウンドからボディの叩き合いが増えたイメージ、共に上体を動かすディフェンスが良いからでしょう。
6R、序盤はバムの鋭いジャブが有効、というところから、後半にかけては頭をつけて打ち合うという場面が増えていきました。この距離はバムの距離ではなかろうか。
7R、ゴンサレスの手数に嫌そうにしながらも、ガードを固めて前進、コンビネーションを打ち込むバム。後半には左ストレートに加え、右フックもヒット、徐々に上回っていっているように見えます。
8R、前半にバムが攻め込んだところでバッティング。どうやらゴンサレスが左眉付近?をカットしたようです。ドクターチェックの後、試合は再開。
後半にはバムの連打の中の一打がローブローで試合が少し止ま李、再開後ももう一度バムのローブローでゴンサレスが倒れるということが起こり、バムは減点。
スロー映像が流れます。ベルトラインの少し下くらい、というところでしょうか。受けて見ないとわかりませんが、ゴンサレスの時間稼ぎのようにも思える。
9R、打撃戦は苛烈になっていきます。互いに退かないパンチの応酬、ここでも手数に勝るのはおそらくゴンサレス、印象深いクリーンヒットはバム、という展開。
10R、ゴンサレスはディフェンスが良いですね。バムのパンチをもらってはいますが、2発3発ともらうことはなく、上体を激しく動かして追撃を免れています。手数も多く、このボクサーを倒すことは容易なことではないでしょう。
11R、続くバチバチの打ち合い。共にディフェンスがよく、致命打こそもらっていませんが、だからこそお互いに見せ場も作れていません。
後半、バムの右ボディでゴンサレスがダウン、かと思いましたが、これもまたローブローか?スロー映像、左足の付け根くらいに当たっています。これはローブローですね。。。会場からも悲鳴が。
ラストラウンドも前に出て攻めるのはバム。しかしこのラウンドになってもゴンサレスの手数は衰えを知りません。
ゴンサレスはロープに詰まることも幾度もありますが、柔らかい上体を使ったディフェンスで致命打を回避、その後しっかりと連打でリターン。
バムも序盤と比べて明らかにコンビネーションが出ていますが、強打を叩き込むことはできませんでした。
終了ゴングを聞くと、両者手を上げてアピール。
118-109、117-110、114-113、3-0の判定でバム・ロドリゲス!
これは非常に難しい判定でしたが、ジェシー・ロドリゲスの勝利で問題ないと思われます。
決め手としてはクリーンヒットの数であり、各ラウンド、僅差でバム、というような内容だったと思います。(ただ、118-109はかなりバム寄りの採点に思います。)
世界スーパーミドル級4団体統一タイトルマッチ
サウル・アルバレス(メキシコ)57勝(39KO )2敗2分
vs
ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)42勝(37KO)1敗1分
いよいよやってきました、カネロvsGGGのトリロジー。
カネロについては、メキシカンビーフさえなければそのボクシングスタイル自体は好きであり、判定云々については周りのカネロ持ち上げ過ぎによるところ、そしてキャッチウェイトの試合ばかり、というのは自分で築いた地位とも言うべきところなので、特に嫌悪感はありません。
しかし、やはりこの試合に関してはゴロフキンを応援することは当然のことです。
ゴロフキンのファイトスタイルは好きだし、日本で村田とも戦ってくれたし、ジェントルマン。
しかし、ゴロフキンにとっては厳しい戦いが予想される一戦でもあります。
カネロvs GGG、決着戦とも言える第三戦目、二人の第25ラウンド目がスタート。
初回、大歓声の中で試合がスタート。ゴロフキンは村田戦の時よりは良いように見えます。ただ、やはり少し腹回りに余裕があることもあって、重そうにも見えますね。
カネロは大きな左フックを振り回していきますがこれは当たらず、初回はゴロフキンのジャブが良い、ように思います。
2R、ゴロフキンのジャブは非常に硬質ですが、カネロのリードはアングルが様々。このラウンドもカネロは幾度も大きな左フックを空振りますが、これが当たってしまうと怖い。もしくは、ここから何かにつなげようとしているのか。
カネロの速いジャブもゴロフキンに当たり始めています。ゴロフキンはここまでほとんどジャブのみで、攻めることができていないような気がします。もしかすると、ビボル戦を参考にジャブ主体で戦おうとしているのかも知れませんが。
3R、カネロがジャブで攻め込むと、ゴロフキンは嫌がっているように見えます。ゴロフキンの額は赤みを帯びており、これはカネロのジャブによるものでしょう。
中盤、カネロはワンツーからの左ストレートをヒット、会場は大歓声。
ゴロフキンはあまり手が出ませんね。後半、スタミナ切れを起こさないために温存しているのでしょうか。カネロがビボル戦で失速したことを受けて、後半勝負なのかもしれません。
4R、今日のカネロは非常に丁寧。ビボル戦よりも全然丁寧です。ゴロフキンのことを認めているのでしょうし、ここで負ければ大きく商品価値を下げてしまうことがわかっている、ということからでしょう。
傲慢さを封印したカネロは、非常に隙が少ない。ガードポジションも非常にしっかりとしていますし、そこにすぐ戻りますし、相手のことをよく見て、ジャブの戻しまで速い。
ただ、その分ダイナミックさには欠けるイメージです。
ゴロフキンは、やはり自分から攻めてあのフックを叩き込まなければ、ジリ貧ではないでしょうか。
5R、カネロがフェイント、コンビネーションで攻め込むのが目立つラウンド。カネロのジャブから右ボディ、この右ボディを体を捻って側面で受けるゴロフキンですが、これを受けてよろめくのが気になります。
ボディを庇って、逆に腎臓にダメージをもらっていないか心配です。
終盤、このワン→ボディと見せかけたワン→オーバーハンドがゴロフキンにヒット。ゴロフキンがカネロの右ボディを警戒しているからこそ当たるパンチでもあり、これはより心配になります。
ちなみに、このカネロのワン→ボディというコンビネーション(ボディは思いっきり打つ)は、ガードさせることを目的としたかの有名な「腕破壊」パンチのことです。
6R、カネロが絶好調。ディフェンスも機能し始め、序盤に打てていなかった得意の左ボディもヒットします。これでも顔色を変えないゴロフキンも恐るべし、ではありますが、ゴロフキンにとってはかなり苦しい展開、どのように突破口を見出してくれるのか。
7R、これまで下がりながらのボクシングを展開していたゴロフキンはこのラウンド距離を詰めます。しかし、やはり168がベストのカネロ、初の168を作ったゴロフキンではフィジカルの部分でも差はありそうです。
ただ、このラウンドはゴロフキンがコンビネーションで攻め入る場面も増えました。
8R、引き続き、ゴロフキンが攻める場面は幾度もあります。カネロはガードを固くし、ヘッドムーブも良いですが、いささかディフェンシブな戦い。
前ラウンドまでの圧が亡くなっているように見えますが、これはゴロフキンの攻撃の効果か、それとも別の何か?
9R、ゴロフキンは胎を決めたか、近い距離での打撃戦。やはりこの距離でもカネロの反応は良い。しかし中盤、カネロがパンチを打った後、少しよろめきます。その前のゴロフキンのジャブ?が聞いていたのでしょうか?
ここを好機としたか、攻め入るゴロフキン!カネロはやはりダメージがあるのか?勢いがなくなり、ディフェンシブな戦い方になっています。
ゴロフキンがプレス、しかし終盤にはカネロもコンビネーションで打ち返します!
10R、逆転するなら、このラウンドしかないような気がするゴロフキン。しかしカネロは回復したのか、ぐいぐいとプレスをかけてきます。近い距離でのボクシング、ゴロフキンのパンチも十分に当たっています。
11R、序盤、素晴らしいジャブで攻め込むゴロフキン。カネロが攻めてくればバックステップで対応。基本的にプレスをかけるのはゴロフキン、先手を取るのもゴロフキンが多くなっています。
初回からこのボクシングができていれば、とは思いますが、これはやはり「後半勝負」という陣営の作戦だったのでしょうか。後半の失速を防ぐため、前半から中盤にかけては抑えて戦っていたのかもしれません。
しかし、ポイント差はもう挽回できないほど、ありそうです。
ラストラウンドはカネロがプレス。これでゴロフキンも前に出るので、自然と距離は詰まり、揉み合いの展開も多くはなってしまいます。
ともあれ、両者が戦った36ラウンズもの試合は終わりを告げました。
判定は、116-112、115-113×2でサウル「カネロ」アルバレス。
この判定を聞いた時のゴロフキン、非常にスッキリとした顔をしています。今回は負けを認めざるを得ない内容だったということでしょう。
思ったより、ポイント差は開いていませんでした。
捉えようによっては、ゴロフキン寄りの採点が出た、とも捉えられます。
とはいえ、ゴロフキンにとっては負けは負け、ここで初黒星と思うかどうかは個人の判断ですが、公式記録としては2敗目を喫しました。
元々、カネロのウェイトであるスーパーミドル級戦であり、これはある種の「予想通り」。
そんな中でも、ゴロフキンの後半のチャージは幾ばくかの期待を抱かせるものでしたし、カネロの後半の失速と発表されたポイントは、「カネロの魔法が解けた」ということを世界に知らしめるものだったような気がします。
かつて、ゴロフキンはジェイコブスと戦い、その魔法が解けました。
そして今、カネロはゴロフキンとのトリロジーを済ませ、魔法が解けました。
カネロは、ここからがもしかすると真価が問われる事になるのかもしれません。
ビボルとの再戦は、厳しい戦いになると想像できますが、ここは踏ん張りどころですね。
さて、敗れたゴロフキン、現役続行とのこと。
ゴロフキンはミドル級の統一王者であり、今戦、(戦いようによっては)まだできる、と見る事ができると思います。
この試合を見て、村田諒太は何を思うのでしょうか。
絶対不利の中、しっかりと12Rを戦い抜き、後半には追い上げも見せたゴロフキンと、もう一度と思うのでしょうか。
すぐにというわけにも行かないと思うので、村田は村田でまたどこかでタイトルを撮り、そしてゴロフキンの再戦へと向かっても良いのではないか、と思います。ゴロフキンがやるなら村田も。私のように勝手なファンは、他にもいると思いますが。。。
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