4/8(土)、有明アリーナは本当に素晴らしい興行でした。
が、本当はもう少しボリュームを抑えても良いくらい。ですが、そうするとチケットは売れないのかもしれないのでなかなか大変です。
ともあれ、翌日はシャクールvs吉野をはじめ、DAZNではジェシー・ロドリゲスはムロジョン・アフマダリエフが登場、更にShowtimeではセバスチャン・フンドラが登場と至るところで注目試合。
ということで今回のブログは、DAZNで放映されたロドリゲスvsゴンサレスの観戦記。
↓プレビュー記事
4/8(日本時間4/9)アメリカ・テキサス州
レイモンド・フォード(アメリカ)vsジェシー・マグダレノ(アメリカ)
大注目のレイモンド・フォードが、元世界王者との試練の一戦。
やはり、このレイモンド・フォードは素晴らしい才能。サウスポースタンス、前手の位置こそ低いものの、後ろ手はしっかりと顎前で大器、そこから非常に速いジャブにはじまり、流れるようなコンビネーション。
ややフィリーシェル気味に構え、ディフェンシブに見えて非常にアグレッシブ。
とにかく素晴らしいコンビネーションを持ち、相手を打ちのめそうという意志のあるボクサーで、この日、マグダレノを寄せ付けない大差判定勝利。
4Rのダウンはマグダレノの後頭部をかすめたもので、マグダレノにとってはやや不運にも思えるダウンではありましたが、11Rに奪ったノックダウンはコンビネーションを打ち込んで奪ったもの。
サバイバルモードに入ったよな雰囲気のマグダレノを倒し切る事は叶いませんでしたが、元王者を相手にしっかりとその実力を証明してみせました。
今後も楽しみなボクサーです。
WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)11勝(8KO)無敗
vs
マーロン・タパレス(フィリピン)36勝(19KO)3敗
セミファイナルは井上尚弥の対抗王者候補、ムロジョン・アフマダリエフ、通称MJ。
ここ2戦のパフォーマンスは決して良いとは言えませんが、ここで脱却し、やっぱりスーパーバンタム級最強はMJだ、を証明してほしいものです。
タパレスは我らがてっしーを2RKOで屠り、挑戦権を獲得したボクサーですが、岩佐には負けている分、どうしても評価は下る。タパレスは気合(?)の坊主頭。
さて、注目のゴング。
初回は接触の少ない立ち上がり、互いにフェイントをかけあい、攻撃のタイミングを伺います。お互いにもっとガンガン行くと思っていましたが、かなり駆け引きが発生しています。
ラウンド終盤、タパレスの左がヒット、この1発でこのラウンドはタパレスに行ってしまったかも。
2R。なんか、もしかして、MJはサウスポーが苦手なんじゃないか?という展開。アングルをつけて攻め込むのはタパレスの方で、タパレスのジャブ、アッパーがMJにヒット。MJはいつもの硬質なコンビネーションが出ない、どころか、ほとんど手が出ません。
3R、攻め込む時にちょっとバランスを崩しがちなMJ、なんだか様子がおかしいように思います。タパレスは自分のペースでできていて良いですね。前半型のタパレスは、後半までちゃんとスタミナをもたせるために前半は行き過ぎない方が良いと思いますが、今日のタパレスはジャブが鋭く、動きも最小限で素晴らしい。
4R、MJが流石にプレスをかけ始めます。相変わらず前進時、特に前手で強く踏み込む時のバランスが良くないですが、それでも少しずつらしさをだしていきます。これはやっぱり、タパレスがサウスポーというのが問題なのか?と思いましたが、そういえば岩佐もサウスポー、しかもMJのアマキャリアを考えると、流石にサウスポーが苦手はありえません。
MJが少しずつらしさを出していく中ですが、このラウンドも良いのはタパレス。前半4Rはすべてタパレスにかっさらわれた感じ。
5R、やや強引に攻めたMJはコンビネーションをヒット。これで良いと思いますが、タパレスも退かず、反撃してクリーンヒットを浴びせます。
MJはもっとペースを上げたほうが良い。タパレスの楽なペースに付き合ってしまっているイメージ。ただ、このラウンドはMJでしょう。
6R、徐々に良い感じになってきたMJ、ここからは安心して見ていられるはず。と思った矢先、タパレスのワンツーがヒット!このままいくとマジでヤバいんじゃないでしょうか。
ちょっと引き気味に構えるタパレスに対してちょっと距離が読みづらいのか、MJはなかなかテンポの良い攻撃ができず、サイドに周りこんでの攻撃もできない。
7R、そろそろ考え方を改めます。MJが悪いのではなく、タパレスが圧倒的に良いのでしょう。そう考えると、タパレスは非常に丁寧に戦っており、このラウンドにきても雑なところを見せません。
何よりも素晴らしいのはそのジャブで、踏み込みの鋭さや意外性のあるパンチはそのままに、このジャブが圧倒的に良い。上に、とにかく数も多い。
ということでMJの突進、リズムに乗ったボクシングを阻んでいるのはこのジャブ。から、油断していると飛んでくる巻き込み気味の右ストレート。この右がこのラウンド後半にもMJにヒット。
8R、もしかすると、MJが苦手なのはスピードのあるボクサーなのかも、それほどにタパレスのジャブは速く、これがよくMJにヒットしています。そのタパレスのペースにつられ、急かされているような感じのMJ、そしてタパレスの集中力たるや素晴らしいもの。
9R、MJがプレスを強めてアタック。タパレスのジャブにも止まらず、そのまま打ち続けます。これはもうこのような戦法しか取れない、しかしここから間に合うのか。
やや緩慢に見えるMJ、強く左を振るうもタパレスは体を柔らかく使い、当てさせません。
しかし後半、MJは攻め込む場面をつくり、タパレスも反撃してラウンドが終了。
10R、MJは相打ち覚悟で攻め込みます。この攻めは非常にワイルドで、キレがあり、素晴らしい。タパレスもブロッキングに頼らざるを得なくなりますが、固まってしまうとそのガードの間隙からMJの左が飛んできます。
11R、ポイントは集計してみれば微妙かもしれませんが、明確に取っているラウンドはタパレスの方が多いように思います。ここは両者ともに勝負、互いに手の届くところでの打撃戦。
ラストラウンド、タパレスも出てきます。前ラウンドよりもより近い距離で、より激しい打撃戦が繰り広げられます。これが当初期待した展開で、ともに最後まで行く気がない、みたいな試合を見たかったですが、最後の最後に打撃戦を見れました。
ちょっとここまで来ると集中力が途切れそうなタパレスですが、中盤、声を発して自身に気合を入れると、固いブロッキングと鋭いジャブ、いろいろなものを載せた左オーバーハンド。
しかしこの距離ではMJに叶う術はなく、打ち込まれるのが目立って規定の12ラウンズが終了です。
判定は、115-113タパレス、118-110MJと聞いた時点で非常に嫌な予感しかしませんでしたが、最後の1者は115-113でタパレス。なんとマーロン・タパレスが2-1の判定でムロジョン・アフマダリエフを破り、見事統一王者に!!
さすがに118-110MJは有りえません。が、どっちが勝っていてもおかしくはなかったような接戦でした。スーパーバンタム級最強、と思われたムロジョン・アフマダリエフは、力を発揮できずに王座陥落、初黒星を喫しました。118-110は耳を疑ってしまいましたが、兎にも角にもこれは非常に残念。フルトンvs井上後、井上を待っていてくれるのはアフマダリエフだと思いこんでいたので。。。
とにかく序盤の戦い方が悪かったMJ、もしかするとタパレスを相手にノーダメージで前半を切り抜け、後半勝負だった可能性はあります。後半勝負なら後半勝負で、前半、もっと削らなければ話になりません。もしくは、不意な1発さえもらわなければ負けないと踏んでいたのか。
蓋を空けてみれば、マーロン・タパレスは非常に丁寧な戦い方を選択、最後まで集中力も気持ちも切らさず、タイトル返り咲きへの執念を見せたここ一番のボクシング。
見事なアップセット、ではありましたが、こういう素晴らしいパフォーマンスを見せた後、あっさりと陥落してしまう可能性も無きにしもあらず。
WBO世界フライ級王座決定戦
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)17勝(11KO)無敗
vs
クリスチャン・ゴンサレス(メキシコ)15勝(5KO)1敗
前日から感情の振れ幅がものすごいまま、DAZN興行のメインイベント。(ちなみにこのDAZN興行の前にフンドラvsメンドサ、その前にシャクールvs吉野を見ています)ここは平穏に(バム勝利で)いってくれ、と願う。
初回、高身長のゴンサレスが軽快に飛ばします。非常に長いジャブ、大きなストライドのステップワーク、これはやりづらいボクサーです。
バムはジリジリとプレス、しかし大きく動くゴンサレスをなかなか捕まえられず、ジャブやストレート、アッパーを浴びます。クリーンヒットの数によりポイントはゴンサレスに流れるかもしれませんが、ゴンサレスはKO率通りのパワーか、バムはびくともしませんね。
2R、ゴンサレスはタイミングの良い長いパンチを上手く使っていますが、徐々にバムのプレスが勝ってきたか。後半には踏み込んでのワンツーをヒット。
3R、非常に巧くプレスをかけるバム。ゴンサレスの行き先を塞ぐような足運び。ロープ際まで下がらせられる事が多くなってきたゴンサレスですが、そこはやはりメキシカン、打ち返してそこから脱出。ハートが強いですね。
後半にも、終盤にも左ストレートをヒットしたバム、早くも試合を決めてしまいそう。
4R、ここにきてゴンサレスの足がよく動きます。バムはちょっと狙いすぎなのか、やや手数が減る。互いにクリーンヒットを奪い合いますが、やはりゴンサレスのパンチはバムを脅かすものではなさそうです。
5R、ここまでのパンチスタッツが出ますが、バムが60/125、ゴンサレスは45/171。バムの的中率はエグいが、ゴンサレスもよく頑張っています。
とにかく手数の多いアウトボックスを敢行するゴンサレス、どちらかというともうサバイバルモードに近いようにも見えます。まだその大きなストライドのステップは健在ですが、とにかくバムを突き放す事が最優先のようです。
とにかくリングをぐるぐると回るので、これは逃げる方も追う方も大変。
6R、本当によく動くゴンサレスですが、バムはどんどん追いかけて左をヒット。中盤には右のダブル、その後も右フックをヒットして優勢。終始攻めるバムですが、このゴンサレスは非常にタフ。
7R、ゴンサレスは動いて動いて、ジャブを打っては動いて、バムが攻めてきたところへのカウンターに一縷の望みをかけます。スイッチもしつつ放つジャブは素晴らしいタイミングで出ますが、パワージャブではなく、ストッピングジャブ。これで相手を倒し切るのは無理でしょう。
如何せんパワーと的中率を持っているバムに太刀打ちできる武器がありません。それでも諦める事なく、このラウンドの終盤は左フックをヒット。
8R、開始早々にバムがワンツーをヒット。かなり良いタイミングで当たりましたが、このゴンサレスは本当にタフですね。結構平然としています。
ただ、やはり動きながらなので、動いている途中でバムのパンチを浴びると踏ん張れるタイミングではなく、顔が跳ね上がります。これはなかなかジャッジの印象は悪い。
9R、ゴンサレスはタフなだけでなく、スタミナも素晴らしい。惜しむらくはやはりちょっとパワーレスなところ、これでものすごくパワーがあるかカウンターが上手ければかなり怖いボクサーかもしれません。
とにかく大きく動く上、本当に止まらないため、バムも得意の波状攻撃を出せずにおり、相手が止まったところでサイドステップしてアングルを変えて、という攻撃もなかなか出せません。
10R、このラウンドも同様に、逃げるゴンサレスと追うバム。ゴンサレスは序盤ハイペースに見えましたが、これはヒズ・オウン・ペースだったのかもしれません。
11R、ここからこのゴンサレスが逆転でバムを倒してしまう、という未来は想像し難い。それでもここはゴンサレスは勝負をかけなければいけないラウンドです。
前半に左右のフックをヒットしたゴンサレス、責め立てられても打ち返して意地をみせ、後半に入ろうかというところでジャブ、これでバランスを崩したバムはグローブをマットにタッチ。これはダウン判定とはならず、スリップ裁定ではありましたが、足がひっかかったりしたわけではない(と思う)のでダウン判定でも良かったのでは。
スロー再生を見るとバムは足ぐきってなってるけど大丈夫なのか。
ラストラウンド、序盤にはもっと早く決まるかと思っていましたが、意外と最後まで来ました。
ここはゴンサレスも退かずに打ち返し、打撃戦の展開へ。しかしこの距離はやはりバムの距離で、幾度となく顔を跳ね上げられるクリスチャン・ゴンサレス。
それでも最後まで立ち続け、終了のゴングを聞きました。
判定は、118−110、117-111、116-112、3-0の判定でジェシー「バム」ロドリゲスの勝利。
バムはWBO世界フライ級タイトルを獲得し、2階級制覇!!!
さて、ここは当然のようにタイトル奪取を果たしたジェシー・ロドリゲス。ただ、ゴンサレスの頑張りにより、思ったような結果ではなかったはずです。
Who's Next、と問われると、指名戦となるのでしょうか。そうすると3位に加納陸(大成)、4位にオリムジョン・ナザロフ(ウズベキスタン)、5位にユーリ阿久井政悟(倉敷守安)となってきます。
今後誰と闘うのか、非常に楽しみですね。
で、なんとバムは途中、顎を骨折したとのこと。う〜ん、アクシデント、と呼ぶべきか、特に序盤はゴンサレスのジャブやストレートをまともにもらってしまっていましたから、タイミングによるものかもしれません。
しかしそれをお首にも出さず、フルラウンドを戦い抜いたバム、やはり並の王者ではありませんね。ともかく次戦が楽しみです。
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