3/19(日)の日本ユース・フェザー級タイトルマッチ、英洸貴vs渡邊海は本当に素晴らしい試合でしたね。その翌日、3/20(月)は後楽園ホールでのDANGAN興行、こちらも非常に楽しみな一戦です。
この興行はABEMA.TVで生配信、本当にABEMA.TVはありがたいプラットフォームですね。
ということで今回のブログは、3/20(月)のDANGAN興行、メインは大注目の日本バンタム級タイトルマッチ!!!
↓プレビュー記事
3/20(月)DANGAN
第一試合、齊藤陽二(角海老宝石)は初回からプレス。対戦相手のトンテップ・テーヤウォン(タイ)は迎え撃ちますが、結構振り回すタイプ。齊藤はブロックを固めてグイグイと前に出てトンテップを削っていきます。
2Rの中盤、左フックをヒットしたあと左ボディ、一拍おいてトンテップはダウン。立ち上がったトンテップを詰めた齊藤は、これまた左ボディをお見舞いしてダウンを追加。
これにも立ち上がったトンテップでしたが、齊藤がラッシュをかけるとトンテップは前のめりに倒れるダウンを喫して試合が終了。
トンテップはパワフルでちょっと怖さのあるボクサーでしたね。齊藤も左目上あたりは少し腫れており、結果こそ2RTKO勝利もちょっと被弾しすぎたか、というイメージ。
第二試合は東泰誠(TRY BOX平成西山)vs梅津奨利(三谷大和)。
ヒゲがなくなってちょっと若返った感じの梅津は少し頭を振りつつ、プレス。東はリングを広くつかってよく動き、長い距離から左ストレート。梅津のハードパンチをもらわないよう左を打っては頭をずらしています。
右に左によく動く東に対して、梅津はちょっとやりづらそうな雰囲気。しかし徐々に梅津の強いプレスが効いてきたか、東はロープを背にする場面が増えてきたようにも感じます。
しかしその後は東も梅津のパワーパンチに慣れてきたのか、やや近めの距離で打ち合う場面も。たポジショニング、アングルを変えながら何とか近い距離でも梅津とやり合いますが、少しでも手が止まると梅津がその強打を次々と打ち込んでくる分、やはりこの距離では分が悪い。
5R、東の右が梅津を捉え、梅津の顔が跳ね上げられますが、直後梅津は猛ラッシュ。左右のフックをガードの上から叩き込み、防戦一方になった東を見てレフェリーはストップ。
ちょっとストップは早かったようにも思いますが、ちょっと梅津のラッシングパワーはすごかったですね。東も非常にがんばりましたが、残念。
第三試合は湯場海樹(ワタナベ)が登場。対戦相手はチャンナロン・インジャンパ(タイ)。湯場はもうこの次が決まっているので、ここは怪我なく終えてほしいところ。
ちょっととらえどころのないタイ人、チャンナロン。スイッチもしつつの変則的な動きから、左右のオーバーハンドを振り回してきます。こういう相手は湯場にとっては嫌な相手で、注意して戦ってほしい。
2R、ラッキーなダウンを奪った湯場、後半にもラッキーなダウンを追加。これレフェリーちゃんと見てるのでしょうか。。。
そして3Rには湯場のボディでローブローをアピールしたチャンナロン、後半は湯場の右フックを浴びてダウン。4Rも湯場は右フックでダウンを追加、5Rにも右フックをヒットしてストップを呼び込みました。
スーパーフェザー級8回戦
李鎮宇(角海老宝石)9勝(4KO)無敗
vs
リドワン・オイコラ(平仲)11勝(6KO)1敗1分
さて、メインの次に楽しみなのはこの試合。間違いなくジヌは期待のボクサー、この試合で謎多きリドワン・オイコラの全貌を明かせるか。
初回、アグレッシブにいくのはジヌ。ジリジリとプレスをかけて、オイコラを動かします。オイコラは周りながら鋭いジャブ、やはりこのボクサーはジャブこそ真骨頂。ですが左右のフックにもパワーがありますね。
2R、常に前に出て攻めるジヌ、しかしオイコラが上手い。そのステップ、ジャブも素晴らしいですがそこから自然につなげる左右のフックもパワフルです。パンチに対する反応も良いですし、ガードも非常に固い。
3R、オイコラは下がりながらもコンビネーション、これもまた力強い。ジヌも諦めずにグイグイと攻めていきますが、オイコラのパワフルな攻撃にはブロッキングしても身体が泳いでしまいます。
4R、このラウンドはちょっとオイコラは疲れたのか、ペースダウン。というか、ラウンドの中で休むタイミングを作っているのかもしれません。
5R、やはりディフェンス能力が素晴らしいオイコラ、なかなかジヌのパンチが当たる場所にいません。距離が近くなれば上体でのディフェンスも駆使、その他明らかにガードを下げてサークリング、ここまで手が出なければパンチをもらっていなかったとしてもポイントを取るのは困難ではないでしょうか。
6Rもオイコラは前半から中盤にかけてはそんな感じで、後半はジヌを迎え撃ちます。やっぱり上の階級のボクサーとやるのは想像以上に疲れるのか、もしくはそういうタイプなのか。
7R、少ない手数ながらもオイコラの動きは落ちませんし、ガードも固いまま。ジヌは終始前に出るも、クリーンヒットは少ない。
ラストラウンド、ジャブから攻め入ったオイコラは左右のフックをジヌのガードの上からガンガン叩きつけます。ジヌも懸命にパンチを返しますが、1発1発のパワー、というか勢いはオイコラの方が上か。丁寧で細かいコンビネーションはジヌ、近い距離ではこれが当たります。
最後はしっかりと打ち合い、終わった瞬間に両者とも手を挙げて勝利をアピール。
判定は、77-75オイコラ、78-74ジヌ、76-76ドローで3者3様のドロー。
これはちょっとオイコラにとっては不運だったかもしれません。
オイコラはしっかりとアウトボックスしていたように見えましたが、ちょっと手数が少なかったかもしれません。もう少し、明確ⅱポイントを取る必要があったかもしれませんね。
ただ、このリドワン・オイコラ、やっぱり強い。
今回のジヌは1階級上のスーパーフェザー級のホープ、このジヌと引き分けです。これはフェザー級戦線がますます面白いですね。
↓フェザー級についての記事
スーパーライト級8回戦
麻生興一(三迫)vs大野俊人(石川)
そしてセミファイナル。初回から大野がものすごくダイナミック。麻生は距離をつぶして泥臭くいきたい、大野は少々距離を空けて思い切って打ちたい、と同じくファイタータイプながらもちょっと距離が違いそう。
ただ、初回から近い距離での乱打戦での展開はやや麻生の距離か、距離を潰せている感じがします。
2R、大野はもうちょっとストッピングジャブなどをつかって麻生を止めたいところ。ここまではベテラン麻生がうまく距離を詰めています。
とにかくガードを固めて身体をぶつける麻生、大野はかなりやりづらそうですが、近い距離でもそのパンチは非常にパワフル。
3Rに入っても近い距離での打撃戦、近い距離での麻生の回転力、ガッツが素晴らしい。対して大野は麻生を押しのけるアクションが入ってしまい、これは非常に疲れる展開かもしれません。ただ、このラウンド中盤くらいから大野はジャブが出るようになります。
4R、迷いが全くない麻生のボクシング。スタミナとタフネス、馬力、回転力に自信を持った「昭和」とも言えるボクシングスタイルですね。5Rに入っても衰えを見せない麻生、これは素晴らしい。どこからでも、どんな体制からでもパンチが出てきます。この大激闘はとんでもないですね。パワーは大野、ヒット数は麻生、というように見える展開が続きます。
6R、大野はジャブをよく使うようになっており、低く入ってくる麻生に対してアッパーも多用しますが、それでも麻生の前進は止まらず。フォロースルーが効いている大野のパンチの打ち終わりに必ずと言っていいほど攻め込む麻生、押されて下がるタイミングはあれど、バックステップの概念はないのでしょう。7Rも同様に前進を続ける麻生、大野は結局この距離で付き合うしかなく、ここまで来ると打ち負けないようにするしかありません。
そしてラストラウンド、両者ともに退くことなくパンチの交換。見ているだけでも身体に力が入り、疲れてしまうような勝負は判定へ。
採点は、77-75麻生、77-75大野、77-75大野。2-1の判定で大野。
おっとこれは意外、でしたね。個人的には麻生の勝利に見えました。
とてつもない大激闘、本当に両者ともによく戦いました。
日本バンタム級タイトルマッチ
堤聖也(角海老宝石)7勝(6KO)無敗2分
vs
南出仁(セレス)7勝(5KO)2敗
そしていよいよメインイベント。
初回、サウスポーでスタートの堤。距離を測るジャブを飛ばします。リング中央、まずは探り合いの展開、かと思いきや、ラウンド後半に入ろうかというところで堤はジャブでステップイン、左ボディから右フックをコネクトすると南出がダウン!
これは序盤に大きなポイント!ちょっと足が揃ってしまったか、という雰囲気の南出、立ち上がった後は少し距離をとります。
堤も攻め急ぐことなく、警戒しつつプレスをかけていきます。
2R、早くもビハインドを被った南出は強い左。そこから中盤はプレスをかけていく展開。中間距離での駆け引きの時間、互いに互いを警戒しつつ、この時間を過ごした後半、南出が左を打とうとしたところに堤の右がまっすぐヒット、これで南出はダウン!!!
堤が巧すぎる。ものすごいアングルで、ものすごいタイミングのパンチを放っていきます。
3R、堤はカウンターを狙いつつもサークリング、フェイント気味のジャブを見せつつ、獲物を狙う獣のようなイメージ。
南出は自分から行くしかありませんが、素直にならないように注意したい。
中盤、南出は思い切って飛び込んでの左をヒット!しかしそれは堤を読んでいたのか、素晴らしい反応でコンビネーションをリターン!逆にダメージを被ったのは南出の方、南出のハードパンチに全く臆すことのない堤。
堤は距離が空いたところから歩くように踏み込むステップ、これはタイミングをずらしていて素晴らしい上、コンビネーション時のアングルも素晴らしい。
4R、相手のパンチが当たらないところでの堤の右の使い方。ちょっとこれに南出は翻弄されているような感じで、そこからつなげる堤のコンビネーションに対応できていません。
堤は常に南出が出てきた時の対応を意識しつつ、自らも攻め時を伺っているような感じで、今、目の前で起こっていることの情報処理速度と正確さがものすごい。
5R、前半に堤がチャージ!ブロッキングで耐える南出、ここで仕留めきれないとみるとすっと退く堤。
中盤、堤の左フックでややぐらついたようにも見えた南出、堤のパンチも非常に固そうで、これはテンプルを捉える左フック。
そして後半、南出の左でブロッキングを余儀なくされた堤、一瞬動きを止めます。ここをチャンスを南出が攻め立てたところで、堤の右フックカウンター!!南出は膝をつくダウン!!
これももしや、堤の手のひらの上か。。。
残り時間は30秒、堤もフィニッシュを狙って前進。南出はステップワークと強打をちらつかせてサバイブ。
途中採点は3者ともに50-42で堤。とてつもないポイント差。
6R、行くしかない南出は、1発を狙いすぎか、強い左をミス。堤は冷静に距離を詰めて左右のコンビネーションで攻め立て、南出は単発を強振、これはちょっと南出にとってよくありません。
決して攻め急がない堤、回っていく南出をジリジリと追い詰め、当たる距離でコンビネーション。どんどんどんどん南出の「勝ち目」を摘んでいきます。
7R、堤がコンビネーション、から再度に回り込んでのコンビネーションへとつなげます。これに南出はついていけないイメージで、ちょっと足がバタつくのはこれまでのダメージか。
中盤、強い左から攻め込む南出ですが、堤は確実にリターン。ここでダメージを被った南出はクリンチのあと倒れますが、これはスリップ。
ダメージの明らかな南出、ちょっと堤にもたれかかるようにして打ってくる堤に応戦、しかしここで堤がパンチをまとめると、レフェリーが割って入り、試合はストップ!
堤聖也、7RTKO勝利!!
これは強い、堤聖也。盤石の試合運びで強さを見せつけました。やはり試合巧者という言葉が似合う堤、南出の強打を当てられる準備をしていた、そこからのリターンが完璧で、本当に見事なカウンターやリターンを次々とヒットしました。
日本バンタム級ランキングを見渡すと、もしかするともう堤に敵はいないかもしれません。
もしランカーから選ぶとするならば、比嘉大吾とのリマッチか。
しかしこの比嘉とのリマッチよりも、やはりWBOアジアパシフィック王者・西田凌佑(六島)やOPBF東洋太平洋王者・栗原慶太(一力)とのアジア王座統一戦を目指すべきなのでしょう。個人的には日本人と、というよりも、他国の世界ランカーとやってほしいと思いますが。
堤聖也、もう世界は近いのかもしれません。
今後も非常に楽しみです。
【宣伝】
ボクシング用品専門ショップ、やってます。
英国には大人気ボクシングメーカー、FLYというメーカーがあります。日本では唯一、BoxingCafeで取り扱い中!
是非覗いてみて下さい。