なんだかんだ、ディレイ視聴ができたフェニックスバトル。
Leminoには見逃し配信23:00〜みたいに表記されていますが、これは一体何なのか。
私は20:30頃から「最初から見る」を選択、とりあえず3つのタイトルマッチを視聴。
視聴中は、時折Leminoが突然落ちるということが3度ほどあり、これはリアルタイムでもこういうことが起こるのでしょうか。非常に不安です。
ということで今回のブログは、8/30に行われたフェニックスバトルの観戦記。
↓プレビュー記事
8/30(水)フェニックスバトル
WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王座決定戦
井上浩樹(大橋)16勝(13KO)1敗
vs
アブドゥラスル・イスモリロフ(ウズベキスタン)9勝(5KO)1敗
イズモイロフじゃなくてイスモリロフのようですね。
初回、リング中央で向かい合った両者、まずジャブを突いていくのは井上。ややプレスをかけていきます。イスモリロフはサークリング、稀にジャブを突きますが、まだまだ様子見段階といったところでしょう。
後半にはイスモリロフの打ち終わりに井上がワンツー。非常に調子は良さそうです。
2R、引き続きややプレスをかけ気味の井上。長く速いジャブ、ですがイスモリロフもしっかりと反応しています。
イスモリロフは井上のジャブに前手のフックを合わせようとしており、これはちょっと怖いパンチ。後半にかけて、イスモリロフは力強さを増していくように見えます。そろそろギアを上げてくるのか。
3R、イスモリロフがサウスポーにスイッチ。スイッチヒッターのようです。
ここからイスモリロフがプレス、ヘッドスリップで井上のジャブを外し、左クロス。オーソドックススタイルの左フックといい、こちらがイスモリロフの真骨頂か。
やはり中央アジアのボクサーらしく、技術だけでなくそのフィジカルは本物で、強いプレスと強い踏み込みで井上はブロッキングに両手を使わざるを得ず、徐々に手数が減っていく展開。
4R、と、思ったら今度はオーソドックスのイスモリロフ。そうすると井上はプレスをかけられるようです。
井上にとってはやりづらいと思いますが、イスモリロフにとっても井上は大きく、やりづらいのかもしれません。
このラウンドは左ボディアッパー、ステップインワンツーと積極的に攻める場面が目立つ井上。ただ、後半に入ったところでイスモリロフも右オーバーハンドや左フックて攻め込みます。
5R、今度はサウスポーのイスモリロフがプレス。と思ったらオーソドックスにスイッチ、そこからも強い踏み込みを見せています。
井上はちょっとイスモリロフのプレスを持て余しているイメージで、大きく動く場面が増えてきています。
6R、井上は良いジャブを出しますが、そのジャブの打ち終わりに効果的な攻めを見せられているのはイスモリロフ。ジャブ以外のパンチがなかなか出ない井上でしたが、後半にはボディアッパーや周りながらの右フック等、うまくボクシング。
7R、井上はサークリングスタート、イスモリロフはガードを上げて鋭い踏み込み、インサイドでの戦いに持ち込もうとしています。
パワフルなワンツーで井上を追いかけるイスモリロフは、非常に運動量が多い。
8R、イスモリロフの力強いコンビネーション。しかもこれが非常にしつこく、一回で終わらず二回、三回と続く波状攻撃です。
このイスモリロフの素晴らしい攻撃パターンに、井上は少し圧され気味、後半にはイスモリロフの右ストレートを思いっきり浴び、これは効いてしまったか!!
その後もイスモリロフが攻勢、井上はちょっとハートの弱さがひょっこりと顔を出したイメージで、ここで諦めてしまっては永田大士戦と変わりません。ここは何とかしのいでもらいたい。
かなり足のバランスが悪くなってしまった井上ですが、ここは自身もパンチを返すことでサバイブ。しかしなんとも苦しい展開です。
9R、井上は足を止めます。ここで先手を取るのはイスモリロフで、ここでは井上に先に動いてもらいたいところ。
と思ったら井上が先に攻め、イスモリロフを下がらせる場面も出てきます。
前ラウンドのダメージは何のその、後半、ガードの上からとかお構いなしに井上が攻勢に出ます。
10R、井上がジリジリとプレス。イスモリロフはポーカーフェイスで、更にパンチの威力も衰えないことから、どの程度のダメージなのかはわかりません。
井上はここを勝負どころと見てなのか強いプレス。ボディショットが素晴らしい。
と思った中盤、プレッシャーをかけてイスモリロフを下がらせた井上は、右フックをヒット、これでイスモリロフはダウン!!
立ち上がったイスモリロフに、強引に攻める井上!イスモリロフもディフェンスがよく、この攻撃をよくしのぎますが、コーナーに詰まったところで井上の右フックを浴びてダウン!
ここは倒しきりたい井上、残り時間は1分弱!
井上はやや雑になりつつも、最後は右フックでこのラウンド3度目となるダウンを奪い、レフェリーがストップ!!!
井上浩樹、10RTKO勝利!!
あわやストップ負けか、というところからの持ち直しての勝利、本当にお見事。
「ブレイクスルー」という自ら掲げた課題をまさに乗り越える、というような試合内容で、「絶対に勝つ」という意地が見えた試合でもありました。
1度目の引退前と比べて強くなっているか、というのはまだわかりませんが、この苦しい試合を乗り越えたというのはきっと大きな糧になるはずです。
今後の井上浩樹に期待しましょう。
日本バンタム級タイトルマッチ
堤聖也(角海老宝石)8勝(7KO)無敗2分
vs
増田陸(帝拳)3勝(3KO)無敗
初回、まずはサウスポースタンスで大きく足を使う堤。最初は見よう、ということで、おそらく完全にアウトボックスしようという感じではないはず。
増田は落ち着いてプレス、非常にバランスがよく、またプレッシャーも強い。
増田のまっすぐの右ジャブが堤にヒット、このジャブもまた力強いですね。堤の踏み込みにはすっとバックステップでかわす増田、中盤にはガードの上ながらも力強い左ストレート。
プロ4戦目、初のタイトル戦にも関わらず、異常なまでに落ち着き払った増田は不気味です。
2R、堤が軽めのジャブをいくつも突いてスタート。ちょっと距離感が良くないのか、距離を測っているように見えます。
増田は引き続き強いプレス、前進も後退も非常にバランスが良い増田は、おそらく向かい合っては隙が少ないのでしょう。
このラウンド中盤、堤の距離感が合い始めたか、増田の打ち終わりに堤のパンチが届き始めます。増田が打った後に必ず打ち返す堤、増田はあくまでも先手を取るスタイルで、自身を持って左ストレートを放っていきます。
3R、距離を測り終えたか、堤が出ます。増田の打ち終わり、細かなパンチをまとめていきます。このラウンド、増田のジャブで幾度か堤の顔が跳ね上がる場面。
堤もダブルジャブをヒット、その後も多彩なコンビネーションで攻め入ります。
両者は近い距離で戦い、非常にスリリングな戦いになってきます。
4R、増田がサークリングしながら鋭いジャブ。このジャブも硬そうで、これは堤にヒット。堤は強引に距離を詰めると乱打、近い距離では堤の回転力が勝ります。
中盤、増田の左ストレートを躱した堤は右から左!そこから畳み掛ける堤!増田は少しぐらりときたか!
堤の入り際に左を狙う増田、しかしこれは堤がすでに読んでいるように見えます。このラウンドは堤がショートの左、左のストレートをヒット。
しかし堤も右目の上をカット、流血。堤の方がクリーンヒットが多いように見えますが、この出血は微妙です。
5R、序盤、増田のアッパーがヒット。これは危険なパンチです。
増田の打ち終わりに返すコンビネーションは素晴らしく、そこから一気呵成に攻め立てる攻撃は非常に有効です。
増田も左を幾度かヒットしていますが、その後堤のリターンがあるため、攻防の最後のパンチは堤のパンチで終わるイメージ。
堤が優勢ではあるものの、このラウンドもやはり出血が目立つ堤。
堤のしつこい攻撃にステップでは躱しきれない増田、かなりダメージも溜まっていそう。
途中採点は、48-47で堤、48-47×2で増田。
6R、堤のインサイドへ入るタイミングは素晴らしく、また増田の左を喰らってもすぐにリターンを返すハート、フィジカルはものすごい気迫を感じます。
しかし、出血はかなり酷く、これはフルラウンド持ちそうにありません。
それをわかってか、とにかく増田の必殺の左に左をあわせようとする堤!この位置の出血は、ガードをしていてもどうしても傷が開いてしまうでしょう。
7R、堤がプレス、様々なアングルからコンビネーションをスタート、回転力のある連打で攻め立てます。増田は比較的待ちのボクシングですが、やはり一発の重さは増田にあります。
しかし堤のノンストップボクシングに、やや疲れの見えてきた増田。特に右ガードが落ちてしまうので、堤の左をもらう場面が増えています。
このラウンドも堤の出血はすごいですが、レフェリーはよく我慢しています。これは止められてもおかしくないレベルの出血だと思いますが。
8R、増田を中心に据えてサークリングする堤、増田の左はしっかりと警戒していますが、やはり増田の左をガードで受けても出血はしてしまいます。
このラウンドも堤のインサイドに入っての連打が有効に見えます。
9R、開始早々に堤が出ます。強い踏み込みから一発で終わらないしつこい攻撃、増田もワンツーで迎え撃ちますがちょっとふらつく場面も。
後半に入る頃にもしつこく追いかける堤、とんでもないスタミナ。ここでもいくつもの左をヒットした堤ですが、増田も非常にタフです。
ラストラウンド、まさかここまで来るとは思いませんでした。おそらく劣勢を意識して、増田が出てきます。すると堤はサークリング、増田がかなり気持ちを見せてコンビネーション。増田はこれぐらいの手数を最初から見せられていれば違っていたかもしれません。
後半、増田の動きが鈍りますが、このラウンドダメージを負った堤もそれは同様。出血はまた、更にひどい。
残り30秒からは両者死力を尽くした大激闘、持てる力のすべてを振り絞って打ち合い、試合が終了。
判定は、96-94×2、97-93、3-0で堤。
こりゃあまあ、大変な大激闘。75代と76代の違い、についてはもうあのリングアナ辞めさせた方が良いんじゃないかレベルの間違い。多分、指摘されて笑っていたのでしょう。何という失礼な奴。
というのは置いといて、流石の試合運びだった堤聖也。強敵、増田を退け、素晴らしい戦いを見せてくれましたね。
次は穴口一輝戦、これもまた非常に楽しみな一戦です。
WBOアジアパシフィック・フェザー級王座決定戦
日本フェザー級タイトルマッチ
松本圭佑(大橋)8勝(7KO)無敗
vs
リドワン・オイコラ(平仲)11勝(6KO)1敗2分1NC
初回、プレスをかけ気味の松本、オイコラは長いジャブ、これが速い。松本も負けじとステップインジャブ、これもまた速い。
1分過ぎ、松本がステップインワンツー、これがオイコラにヒット。
オイコラの鋭い踏み込みにはバックステップの松本、完璧な距離感です。
2R、オイコラが軽やかなステップ。松本は変わらずプレス、ですが速く動くオイコラにあわせてこちらもステップからのプレス。
後半、強いワンツーから連続的に攻め入った松本、ここでオイコラも一発返すあたりは流石のもの。
3R、ペースは変わらないまでも、オイコラも少しずつ打ち返しはじめます。オイコラは非常に身体が非常に柔らかいですが、上体を大きく動かしすぎて躱したあとに打てる体勢にはありませんね。
松本の方が明らかにパワーに優れ、距離感に優れ、これはオイコラ相手にも安心してみていられる展開になっています。
4R、松本圭佑のバランスの良さは素晴らしく、攻撃のあとでも常に攻撃できる体勢になっていますし、強弱おりまぜて素晴らしいアングルを持っているパンチを次々と打ち込みます。
しかしオイコラも非常にタフ、というか、身体の柔らかさで芯を外しているのかもしれません。
5R、オイコラがハイガード、この状態からでも非常にキレのあるパンチを打ちますね。やはりこのオイコラ、伊達ではありません。
しかしそんなオイコラをしても松本圭佑の壁は厚く、松本のフィジカルに対してオイコラの攻撃が効果的には見えません。
と思っていたら後半、オイコラの右が松本にヒット、そこからはオイコラがプレスをかけていく展開に。
途中採点は、49-46、50-45×2で松本。
6Rは打撃戦スタート。そこから頭をつけての打ち合い、両者ともに良いパンチを当ててはいますが、なぜだか二人とも全然動きが落ちるところがありません。
この近距離での戦いでも、やはりより良いのは松本で、素晴らしいアングルのコンビネーション。
7Rはちょっと距離が遠くなり、松本がしっかりとジャブを使ってのボクシング。
そこからオイコラの入り際に右アッパー、これはすごいパンチ。ですがオイコラはケロリとしており、こちらもすごいタフネス。
8R、このラウンドは前半に連打を見せた松本。その後もいくつかのパンチをヒットする松本、それでもオイコラの動きは全く落ちることはなく、スピーディで力強いパンチをリターン。
9R、松本がプレス、オイコラは大きく足を使ってステップ。オイコラの逆転の芽は次々と積まれ、残るのは絶望だけではないか、という状況。
心なしか客席も空席が目立つようになっています。これは、時間が遅くなってしまっているからなのでしょうが。
詰めすぎず離れすぎず、素晴らしい距離感でのボクシングを展開する松本。
10Rも引き続き圧倒し続ける松本。後は油断せずに2Rを乗り切れば2冠王者確定ですが、ただオイコラの反応はまだ良く、パンチもキレており、倒し切ることは難しいかもしれません。
11R、オイコラがプレス。しかし松本に隙はなく、思い切って行くことができないのかもしれません。
明らかな劣勢のオイコラはセコンドの声に励まされて強いチャージ。それに対して松本は足を使ってエスケープ。ちょっと疲労は松本の方が上でしょうか。
ラストラウンド、ここも勿論オイコラはプレス。中盤、左右のフックを連打して意地を見せます。
オイコラ、素晴らしいスタミナですね。最後まで攻め続けて、ラウンドが終了。
判定は、当然松本圭佑。
今回も強さを見せた松本圭佑。素晴らしい安定感ですね。まだ若いのに。。。
非常に落ち着いたボクシングで、総合力が非常に高く、隙が少ないボクシング。こういう試合のとき、倒せるようになればもう一皮剥けられそうですね。
今後も楽しみです。
これらの3つのタイトル戦は、勝者にとって素晴らしい経験をもたらしたのではないか、と思います。
井上浩樹は強いハートを見せてくれました。
堤聖也はカットをしつつもそれを気迫で打ち消し、最後まで冷静なボクシングを見せてくれました。
そして松本圭佑は、初の12回戦で完璧な安定感のあるボクシング。
王者たちの今後を楽しみにしつつ、敗者たちの今後の復帰にも期待したいものです。
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