あっという間にお盆が過ぎました。
今年も残すところあと4ヶ月半、というところですが、このあともまだまだボクシングの注目試合は続きそうです。
何よりも、12月に井上尚弥の2階級での4団体制覇を見られると思うと、生きる活力が湧いてきますね。
ともあれ、8月もまだまだ注目試合は盛りだくさん。
その中のニュースで、「ウシクvsデュボアがU-NEXTで配信」というのがありました。
これは嬉しいですし、珍しいことです。
これまで海外興行といえばPBC興行をメイン(というか全て??)で配信してきたU-NEXTが、トップランク興行を配信することになり、更に幅が広がった感がありますね。
今回はWOWOWとの競合もなく、もしまだ加入していない方がいれば、U-NEXTに加入して損はないでしょう。
ということで今回は、ウクライナ独立記念日の2日後(現地時間)に開催される、ウシクvsデュボアのプレビュー記事。
8/26(日本時間8/27)ポーランド・ワルシャワ
WBA・IBF・WBO世界ヘビー級統一タイトルマッチ
オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)20勝(13KO)無敗
vs
ダニエル・デュボア(イギリス)19勝(18KO)1敗
場所は、ポーランドの首都、ワルシャワ。ボクシングが盛んではないこの国で、ボクシングのヘビー級タイトルマッチ、それもウクライナ人王者の試合が行われることは、大きな意味を持つことだと思っています。
ポーランドとウクライナは隣国であり、文化的にも言語的にも似たところがある、とのこと。
「アウシュビッツ」「ホロコースト」という言葉で語られるポーランドという国は、その悲劇的な歴史の中で人間的強さを培っており、ロシアのウクライナ侵攻を受けても即刻ウクライナの支援へと動き、それは政府間だけでなくポーランドの民間企業においても続々とウクライナ支援を行っているようです。
勿論これには、もしロシアがウクライナを奪ってしまうと、ポーランドへの侵攻もあり得るから、という理由はあるでしょう。
ただ、個人的なイメージで言うと、弱者に寄り添う心根を持ち、そして強き心を持つ国というのがポーランドのイメージです。
このポーランドでウシクが注目のヘビー級戦を戦うことで、きっとポーランド人への恩返しとなり、経済的支援ができるのでは、と考えると、非常に素晴らしいことなのではないかと感じます。
と、まあ、そんな背景があるからこそ、(デュボアも好きなボクサーですが)応援するのはオレクサンドル・ウシク。
現在、PFPはクロフォード、イノウエが同列に語られる存在となりましたが、それ以前はウシクでした。
ウシクは自分よりも随分身体の大きいアンソニー・ジョシュア(イギリス)を技術で圧倒しました。1度ならず2度までも、です。
かつてのPFPキング、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とともにアマチュア時代をウクライナ代表として過ごしたウシクは、ロマチェンコ同様に機動力を活かしたボクシングを得意としています。
このことが、体躯にまさるヘビー級ボクサーを相手にしても発揮されているわけで、36歳となった今でもこのスキルによるアドバンテージは保たれたまま。バケモノの類ですね。
ウシクの強さ(巧さというべきか)たるや、ボクシングファンにはおなじみのものでしょう。勿論機動力だけではなく、対戦相手への対応力、ポジショニング、ヘビー級においてはパワーは他と比べて目減りするも、やはり総合力となると極めて高い部類。
ただ、やはり一つの懸念点としてはパワーゴリ押しで来られた場合の対処法には限界がある、と思われることです。
DDD
ダニエル「ダイナマイト」デュボア、略してDDD。19勝中18KOというハードパンチを持つデュボアは、ただただ振り回すだけのヘビー級ではなく、しっかりとジャブを突いてコンビネーションを打てるタイプのパンチャーです。
そのザ・グレート・ブリテンみたいなボクシングでヘビー級を勝ち上がってきた頃は、個人的に大きな期待を寄せていました。
しかし、ジョー・ジョイス(イギリス)との無敗プロスペクト(?)対決では自ら膝をつくダウン、そしてTKO負け。
その後2RKOで再起したデュボアは、再起3戦目でトレバー・ブライアン(アメリカ)を4RKOで屠り、ジョイスよりも先に世界タイトル(とはいってもセカンダリータイトルのWBAレギュラー)を獲得しています。
しかし、前戦となる初防衛戦はいただけませんでした。ケビン・レリーナ(南アフリカ)を相手に初回に3度のダウンを喫する波乱の展開、その後足を引きずりながら3Rで逆転TKO勝利。これはデュボアがハートをみせた試合とも言えますが、フラフラのデュボアに対して、果たしてレリーナが何をしたかったの?仕留めに行かないの?という疑問が残ったことも事実ですね。
このタイミングでウシクとの王座統一戦のチャンスが転がり込んでくる、というのは非常にラッキーなことだと思います。
ここでウシクに勝てば、前戦の失態を帳消しにできる上、一気に3団体統一王者にステップアップできることになります。
デュボアの戦法やいかに
ダニエル・デュボアは、ヘビー級としては技術のある方だと思っています。そのボクシングは、中量級のそれに近い、というほどに。
ただ、ウシクを前にして技術では太刀打ちできるはずはなく、デュボアは「技術がある」といってもそれはディフェンス面ではなく、オフェンス面。要は、何気なくシャドーをさせるときっとかっこいいシャドーを見せてくれるタイプのボクサーだと思います。
そのボクシングでは、おそらくウシクを捕まえられません。
デュボアに求められるのは、おそらくスタイルチェンジではなかろうかと思います。
もしデュボアが、自らのボクシングをかなぐり捨て、なりふり構わずぐいぐいとプレスをかけていくようなボクシングをすれば、どうか。
パンチで捕まえられなかったとしても、身体で捕まえ、クリンチも含めて(できるかどうかは知らない)とにかく体格差を武器に戦えば、チャンスは生まれてくるかもしれません。
とにかくデュボアの勝ち筋は、ウシクを倒し切るというよりもウシクに気持ちよくボクシングをさせないこと、ですね。
そしてそれができたとしても、スタミナ豊富なウシクを削ることができるかどうかは疑わしい。逆に、デュボアのスタミナの方が不安でもあります。
デュボアというボクサーは、おおよそ早い回で倒すタイプのパンチャーで、これまでの最長ラウンドは10(唯一の判定勝利)ですが、それ以外に6R以上を戦ったのは10RKO負けを喫したジョイス戦のみ。このあたりは、大きな不安要素ですね。
どのような展開になろうとも、デュボアの勝ちはラッキーパンチ以外には見えないな、というのが本音です。
それでも怖いダイナマイト
しかし、その一発が序盤にヒットしてしまうと、ウシクもたまったものではありません。
ほぼ全ての試合を5R以内に終わらせているデュボアの強打というのは、恐ろしいことこの上ありません。ウシクとしては後半勝負に持っていくべきであり、特に前半、たとえポイントを少々取られたとしても慎重に慎重に戦う必要があると思います。
そして後半にさえなれば、いかにウシクがヘビー級の中ではパワーレスの部類に入ろうとも、スタミナ面で不安のあるデュボアを相手にストップに持ち込める可能性もどんどん大きくなっていくと思います。
ともあれ、今回は全力でオレクサンドル・ウシクを応援。
ウシクには、どうか序盤は無理せずランニングでも良いので、後半勝負でストップ勝利を収めてもらいたいものです。
放送・配信
さて、冒頭にも書いた通り、この興行はアメリカではESPNが放送しますが、日本でもU-NEXTが放送してくれます。
FIGHT SPORTSと契約後、あまり奮わなかった(勝手なイメージ)U-NEXTですが、ここにきて本気度を見せてくれていますね。
先日のエマニュエル・ロドリゲスvsメルビン・ロペスも放送しれくれましたし、今もまだアーカイブが残っているので、このタイミングで加入すれば両方とも見れます。
ウシクvsデュボアの放送時間は、日本時間で8/27(日)AM2:30〜開始。早起き、しましょう!
ちなみにおそらく放映されるアンダーカードは4試合(定かではありません)、ウクライナ人ボクサーたちが次々と登場です。
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