長らく大きな動きがなかった大人気階級、ミドル級。
いや厳密に言えば今年に入ってからゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が返上したIBF世界ミドル級王者が決まる等、動きはあったのですがはっきり言って誰も知りません。
そんな中、その決定戦でエスキバ・ファルカン(ブラジル)に勝利したヴィンセンツォ・グアルティエリ(ドイツ)と、WBO世界同級王者でかねてから統一戦を熱望していたジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)との間で王座統一戦が同意のニュース。
10月とされるこの戦いは、ミドル級活性化の第一歩となるのでしょうか。
ということで今回のブログは、現在のミドル級について。
↓マイク・コッピンガーさんによると、10/14(日本時間10/15)、テキサス開催。
アリムハヌリvsグアルティエリ!
10年前、この階級はゲンナディ・ゴロフキンが次々と挑戦者をノックアウトしていた時期です。
そのゴロフキンもいまや引退状態、1年と4ヶ月前には来日して村田諒太(当時帝拳)と戦い、日本を熱狂の渦に巻き込んでくれた事を考えると、現在のミドル級は我々にとってもそうですが世界的にみてもきっと物足りないものです。
村田がもし復帰したらチャンスがあるのでは。。。?とまで思わされるほど、不活動な現在のミドル級世界戦線。
最新の世界タイトルマッチというのは2023年7月1日に行われたIBF世界ミドル級王座決定戦で、ここではロンドン五輪決勝で村田と戦ったエスキバ・ファルカン(ブラジル)が優位と見られていたものの、当時無名のヴィンセンツォ・グアルティエリ(ドイツ)がファルカンからダウンを奪っての判定勝利、完勝でした。
グアルティエリは現在21勝(7KO)無敗1分という戦績で、その戦績が指し示す通りのテクニシャンタイプ、ディフェンス勘がよく、ディフェンス技術に秀でて足が速い。
さほど当て勘が良いとはいえないところと、カウンターを主たる武器としてもっていないことがこのKO率を生み出してしまっていると思われ、ナックルを握って打ってないとか、あまりにもパンチが軽すぎる、という感じはしないですね。
ラッシュ時の迫力といえばなかなかのものがあり、またパンチのアングルと選択(ファルカン戦ではアッパーがよく当たっていた)は良いと思うので、逃げつつしっかりとポイントが取れている感じ。
ということは対アリムハヌリにおいては戦法は明確で、グアルティエリが逃げてアリムハヌリがプレスをかける、という展開になるはずです。
さて、ジャニベック・アリムハヌリ。ゴロフキンの後継者と捉えられるカザフスタイルを持つアリムハヌリは、14勝(9KO)無敗という戦績。
中央アジアの規律正しいボクシングに、チャージ力をプラスしているボクシングは、ゴロフキンほどではないにしろ攻撃的なスタイルで、その実、やはりKO率は高い。
ただ、どうしてもゴロフキンと比べてしまう私としては、相手を見るタイミングの多いアリムハヌリのボクシングは、ゴロフキンのスケールダウン版、に思えてしまいます。
前戦のスティーブン・バトラー(カナダ)戦はミスマッチと言えるほどの実力差、前々戦のデンゼル・ベントレイ(イギリス)戦は「粘られてしまった」印象で良いパフォーマンスとは言えません。
アッサン・エンダム(フランス)、ロブ・ブラント(アメリカ)を一蹴しており、もちろん強い王者で間違いありませんが、(どうしてもGGGの影がチラついてしまうため)「もっと」「もっと」とそのパフォーマンスに期待を寄せてしまう王者。
そんなアリムハヌリは、他のミドル級王者と違い、タイトル獲得後すぐに「王座統一」を口に出し、同胞の大先輩、ゴロフキンと戦うことも厭わない、という姿勢を見せていました。
ここは本意ではなく、ゴロフキンの王座返上はホッとした様子ではありましたが、その意気や良し、であり、例えばゲンナディ・ゴロフキンの影を払拭するにはこの階級でのUndisputedチャンプになるしかありません。
ここから想像以上に大きく飛躍してくれることを期待しましょう。
ミドル級不活性の元凶
もちろん、元凶はWBC世界ミドル級王者、ジャモール・チャーロ(アメリカ)。最後の試合は2021年6月のことで、もう2年以上も試合をしていません。
まあ、村田もそれくらいWBA王座を保持したままでしたけど。
そう思うとミドル級ってずっと不活性なのか。。。とも思いますが、とにかく今はジャモール・チャーロ。
32勝(22KO)無敗という素晴らしい戦績を誇りますが、逮捕だの何だのと活躍の機会は訪れません。カネロと決まったのもこっちかと思ったらまさかの弟の方で、いったい何やってるんでしょうか。
暫定王者にはカルロス・アダメス(ドミニカ共和国)がおり、こちらは2022年に獲得した暫定王座を、2023年6月にTKO防衛。「暫定王座の防衛戦」なんてものは意味不明で聞きたい言葉ではありませんが、もうこっちを正規王者に認定してほしいものです。
ちなみにこのアダメスの評価は高く、リングマガジンのランキングでは(王者不在)1位にゴロフキン、2位にアリムハヌリ、ついで3位にアダメスです。
WBA王者も不活動
リングマガジンのランキングは、4位にはリアム・スミス(イギリス)の次にWBA世界ミドル級王者、エリスランディ・ララ(キューバ)がランクインしています。
2021年5月、空位の王座を獲得して2022年5月に初防衛。
いずれも良いパフォーマンスを見せており、もしかしてララのプライムタイムはここからはじまるのか?と思わされたものの、その後の音沙汰は無し。
今年はこのままリング登場無しで終わるのかもしれません。ちなみに現在のWBAのトップコンテンダーはマイケル・ゼラファ(オーストラリア)。ですが2位のオースティン・ウィリアムス(アメリカ、14勝10KO無敗)の方が気になりますね。
ちなみに、しつこくリングマガジンランキングを見てみると、ララのあとには6位におなじみセルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)がいますが、7位はなんとメイリン・ヌルスルタン(カザフスタン)。竹迫に勝利した「アリムハヌリのライバル」は、すでにこれほどの評価を獲得しているのですね。
そして8位には英国期待のフェリックス・キャッシュ(イギリス)、9位のクリス・ユーバンクJr(イギリス)は置いといて、10位にはイライジャ・ガルシア(アメリカ)!!
この中では圧倒的にガルシアは若く(20歳)、期待したいところですね。
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