井上尚弥のスーパーバンタム級制覇から数日。
まだまだ興奮冷めやらず、2024年のスーパーバンタム級に想いを馳せる。
それ以上に、2024年のバンタム級はより楽しみとなり、それはファイト・オブ・ザ・イヤー候補とも言える堤聖也vs穴口一輝の戦いによるものですが、本当にボクシングファンというのは次から次へと楽しみにができてくるのでありがたい、と思うのです。
17階級(18階級??)もあるし、オフシーズンもないし、個人競技であることもあるし、言ってしまえば深く知れば知るほど「飽きる」ことがないスポーツだと感じます。
さてさて、ということで1年中、どころか大晦日まで楽しませてくれる我らがボクシング、そして今年も日本で、いや世界のボクシングを井岡一翔が締めてくれます。
ということで今回のブログは、2023年最後の国内興行であり、2023年最後の世界タイトルマッチでもある、LIFE TIME BOXINGのプレビュー記事。
12/31(日)大田区総合体育館
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
井岡一翔(志成)30勝(15KO)2敗1分
vs
ホスベル・ペレス(ベネズエラ)20勝(18KO)3敗
井岡一翔は12度目の大晦日出場。
希望するエストラーダとの対戦は決まらなかったですが、こればかりは仕方ありません。大晦日のファイトでエストラーダを呼べなかったのであれば、井岡の後ろ盾であるサンキョー、ABEMAのタッグではもう無理なのでは?とか思いますが、どうなんでしょうか。
ともあれ、今回のホスベル・ペレスは比較的テクニシャンが多いイメージのベネズエラにおいて、グイグイくるファイタータイプのボクサーです。今の井岡としては、考えずにくるこういうボクサーというのは比較的苦手の部類のように感じています。
ペレスは過去にアルテム・ダラキアン(ウクライナ)に挑戦しており、体ごとぶつけていくようなボクシングを展開、ハードパンチとテクニック、強いフィジカルを持つダラキアンを相手に判定まで粘っているボクサー。このペレスのボクシングはテクニシャン潰し、ともいえるものであり、フィジカル勝負で荒々しいパンチを放っていくスタイルなので、井岡が得意とするところのインテリジェンスを使うようなところで勝負をしてくれないボクサーです。
Avalancha、「雪崩」というニックネームを持ち、このKO率というのはなんだかそれだけで彼のファイトスタイルを想像できそうなものですね。
井岡は極力アクションを小さくしているボクサーなので、ペレスがぶっ飛んできた時にどのように対応するのかは見ものですね。これをブロッキングのみで対応しようとしてしまえば、後半に行くに従ってダメージを溜めてしまう可能性もゼロではありません。とはいえ、このペレスのステップインを距離で外そうとすれば、かなりアクションが大きくなり、井岡本来のボクシングとかけ離れてしまいそう。
ペレスの大振りのパンチは井岡にクリーンヒットすることはほぼないはずです。キャリアにしても、このダラキアン挑戦以外の部分については、果たしてチャレンジャーとしての資格があるかどうかは怪しいボクサー。それでもある一定の怖さのあるボクサーであることは間違いないので、井岡は気をつけて戦わなければなりませんね。
井岡としては、12Rにわたり集中力を維持しつつ、近い距離でコンパクトなコンビネーションを当てていく必要がありそうです。おそらくこのペレスは止まらないので、ピンポイントで急所を打って迎撃しつつ、ダメージを蓄積させていく流れ。そしてペレスの強力なオーバーハンドに対応することと、頭に気をつけること。
個人的には、ランキングも高くないし強豪とも対戦経験がほとんどないこのホスベル・ペレスは、スタイル的に井岡にとって危険なボクサーではないかと思っています。
ただ、井岡が今後もエストラーダ戦を求めるのであれば、エストラーダ以上の評価を得て、「エストラーダが逃げてる」という雰囲気を作り出さなければなりません。ジャパンマネーでエストラーダを呼べれば良かったのですが、それが叶わなかった今となっては、階級最強を決める戦いとしてエストラーダを振り向かせるしかありません。それには、この程度のレジュメのボクサーに苦戦するわけには絶対にいかないのです。
難しい相手でありつつ、圧倒して倒さなければエストラーダ戦は消えてしまう、とも感じます。これはただ勝てば良い、という戦いでないだけに、非常に難しい試合。どのような戦いを見せてくれるのか、期待しましょう。
比嘉大吾(志成)20勝(18KO)2敗1分
vs
ナワポーン・カイカンハ(タイ)58勝(48KO)3敗1分
前戦、久々にリングに快音を響かせた比嘉大吾。前戦の快勝は、長い長いトンネルを抜け、「比嘉大吾らしい勝ち方」を思い出させてくれた試合なのだと思いたい。
比嘉大吾と引き分けた堤聖也(角海老宝石)は、その後日本王者となり、国内ライバルを次々と撃破。大橋会長の企画したモンスタートーナメントを制覇し、高い評価を得ています。
比嘉大吾が完全にシャットアウトされた西田凌佑(六島)はIBF世界バンタム級挑戦者決定戦に勝ち、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)戦を控える身。
比嘉大吾が大苦戦を強いられたフローイラン・サルダール(フィリピン)は、その後ルイス・ネリにあっけなく倒されるも、栗原慶太をアップセットで破って大復活。(栗原は1/26、OPBFタイトル奪還のためフィリピンで再戦をセットしているようです。)
さて、今度こそ比嘉大吾の番です。
その一つの試金石となるのはこの試合、ナワポーン・カイカンハ戦です。
ナワポーンが果たして世界レベルの強豪か、と問われれば正直わからないのですが、ジェイソン・マロニー(オーストラリア)、ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)との対戦経験を持っています。いずれも敗戦であり、そのほかは「タイ人らしい戦績」の持ち主なので、結局はその実力は謎のまま。
ただ、「マロニーが倒せなかった」カイカンハという見方もできることから、10ラウンズのうちに比嘉大吾の強打が爆発し、ナワポーンを沈めてくれることを願うのみですね。
堤駿斗(志成)3勝無敗
vs
ルイス・モンシオン・ベンチャーラ(ドミニカ共和国)11勝(9KO)無敗
本来であれば10月に対戦するはずだった両者の、仕切り直しの一戦。
前回は試合前日に堤がインフルエンザに感染、ベンチャーラはドミニカ共和国からはるばる飛行機を乗り継いでまできたのに試合ができず。おそらくファイトマネーもなく、手ぶらで帰らされたはずで、これは本当に気の毒なことでした。
もちろん仕方のないことではあるものの、こういう場合、保証をしてあげたほうが良いですね。(実際どうなのかは分かりませんが、また来てくれる、ということであれば、嫌な気持ちはしなかった、ということなのだと思いたい。)
いずれにしろ、ベンチャーラという素晴らしい戦績の世界ランカーがまた日本に来てくれる、というのは本当にありがたいことですね。
ただ、このベンチャーラの戦った相手を見ると、かなり安パイな相手としか戦っていません。その多くはプロデビュー戦を迎えるような対戦相手であり、そうでなければ負け越しのボクサーが相手です。
WBAフェザー級で15位、というのはどういう基準でそうなったのかは謎。
ただ、レジュメが大したことないからといって強くない、というわけではないので、これは蓋をあけてみなければわからない、非常にワクワクする戦いでもあります。
デビューから3連勝、それも全て強豪相手なのは重々承知ながらも、もっともっとそのポテンシャルを発揮してほしい、堤駿斗。
この戦いに期待するのは、初回開始のゴングが鳴った後、「只者ではない」感を出してくれるベンチャーラ、それを倒し切ってくれる堤駿斗。そんな画を、見たい。
OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦
木村吉光(志成)15勝(10KO)3敗1分
vs
坂晃典(仲里)22勝(19KO)7敗
木村吉光と坂晃典が OPBF王座を争うのはこれで2度目、それも両方とも王座決定戦です。
前回は2021年12月14日、坂は当時世界を伺う末吉大(当時帝拳)をアップセットで破って日本王者となり、その後タフな渡邉卓也(DANGAN)に初めてTKO負けでの黒星をつけるなど絶好調で、対して木村吉光は三代大訓(当時ワタナベ)、仲里周磨(オキナワ)と戦い1敗1分、2年以上勝ち星から遠ざかっている状況でした。
しかしてこの試合は木村が3RTKOで快勝。坂は日本王座を保持したままだったので、 OPBF王者と日本王者の序列が順番通りについた、という形となりました。
それ以来の両者というと、木村は OPBF王座を返上してWBOアジアパシフィック王座を獲得。しかし初防衛戦で力石政法(緑)に敗れています。そして坂も奈良井翼(RK蒲田)を迎えた防衛戦では防衛成功するも、続く原優奈(真生)戦で敗北、日本王座を奪われています。
この試合は、王座決定戦でありながらも間違いなくサバイバルマッチ。
勝てば世界が見える試合でもなく、負ければ世界は見えなくなるほど遠ざかります。
そんな厳しい舞台での再戦、こういう状況の再戦の場合、どちらかというとやりやすいのは前回負けた方、つまりは坂の方とも言えます。
日本タイトルを失い、背水の陣である坂は、普段の思い切りの良さに輪をかけて思い切りよく攻め込むことができそうです。ともすれば、進退をかけて木村に向かっていくことができると思います。
一度負けた相手であり、かつ、連敗がかかるという一戦、年齢を見ても31歳。一か八か、特攻を仕掛ける条件は揃っているとも言えます。
ただ、一つ気になることは、坂は被弾が非常に多く、ダウンも非常に多い、ということ。
特に前回木村と戦った時以来、毎試合ダウンを喫しているような気がしますので、これは心配なところです。
木村としても、一度勝利している相手とはいえ、ここで気が緩むことはないはず。力石政法(緑)に敗れて以来再起戦で勝利、それでもここでの敗北は大きく後退することを意味し、限界を感じてしまう可能性も孕んでいます。
上を目指すならば、最低限、必要なのは勝利。しかしこの試合に限って、判定決着はないでしょう。どちらかが傷つき倒れ、夢を絶たれてしまうかも知れない戦い。ボクシングの厳しさ、切なさが詰まったタイトルマッチとなりそうです。
配信情報
この興行は、ABEMAで無料生配信。
上記の4試合に加え、重里侃太朗(志成)がタイ人と戦う試合も放送されます。他にアンダーカードが2試合ありますが、こちらの放映はないようです。
ABEMAの配信は16:10開始となっており、興行の開始予定(第一試合の開始予定)はボクモバでは16:50となっているので、謎です。他の2試合も放映すれば良いのですが、よく分かりませんね。
ABEMAとしては第三試合から開始、とのことなのですが、どう考えても16:10に第三試合が開始されることはなさそうです。
一応、海外記事を見ると日本時間で12/31、20:30頃メインのリングウォーク(入場)とのことです。これも本当かどうかは分かりません。
ともかく配信は待ち時間が多かったりするので、オススメはABEMAプレミアムに加入して、追っかけ再生を駆使して視聴することです。
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