1月はボクシング興行が少ない、とはいうものの、年明け早々から熱戦が繰り広げられています。1月第二週に行われた二つのフェニックスバトル、特に女子のトリプル戦というのは非常に好興行だったようで、Xのタイムラインも賑わっていたように思います。
そんな中で、いよいよ開催まで10日を切るのが1月の国内最大興行、Amazon Prime ビデオ presents LIVE BOXING。
このLIVE BOXINGのマッチアップは、帝拳プロモーションが主体となって行っており、ダイナミックグローブとはまた違ったビッグマッチ、注目マッチ嗜好。本当に毎度のように興味深いマッチアップが続いています。
だからこそ、なのか、本当に神興行続き。
第一弾 ゲンナディ・ゴロフキンvs村田諒太
第二弾 井上尚弥vsノニト・ドネア2
第三弾 寺地拳四朗vs京口紘人
第四弾 寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガ
第五弾 寺地拳四朗vsヘッキー・ブドラー
これらのメインだけピックアップしたとしても、その素晴らしさがわかりますし、ここに表記していないアンダーカードでも素晴らしい戦いが繰り広げられています。
こう見てみると「寺地拳四朗」の存在感がすごい。
第四弾からは那須川天心も加わり、今度の第六弾でも那須川天心がプロ3戦目を戦う、ということで、現状はやはり「那須川天心を集客の中心として据え、寺地拳四朗というPFP入り直前のボクサーを見てもらう」というのが構図。だと勝手に解釈しています。
このLIVE BOXING興行の拳四朗のファイトは本当に素晴らしく、3連続KO勝利中。
そして今回ももちろん、KO勝利が期待されます。
ただし、世間的な評価が寺地拳四朗>カルロス・カニサレスであったとしても、いつの時代も「挑戦者の力は3割り増し」(by西岡利晃氏)なので、カニサレスほどの実力者であれば予断を許すはずもありません。
ということで今回のブログは、Amazon Prime ビデオ presents LIVE BOXING 第六弾 プレビュー第一弾(なんのこっちゃ)です。
1/23(火)LIVE BOXING 6
WBA・WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ
寺地拳四朗(BMB)22勝(14KO)1敗
vs
カルロス・カニサレス(ベネズエラ)26勝(19KO)1敗1分
カルロス・カニサレスの強さ、というのは我々日本人はよく知っています。それでも尚、寺地拳四朗が圧倒的優位と考えてしまうのは、それだけ現在の拳四朗の強さをよくわかっているから、なのでしょう。
ただ、このカニサレスも紛れもないWBAの指名挑戦者ですし、WBCでも2位に付けています。(1位は岩田翔吉)さらに元WBA世界ライトフライ級世界王者でもある、非常に強いボクサーです。
初めてカニサレスが来日したのは、2016年のこと。
大田区総合体育館で行われた大晦日興行、この日のことは本当によく覚えています。
この日は我らが内山高志がジェスレル・コラレスとの再戦に臨んだ日であり、そのセミファイナルで田口良一の防衛戦の対戦相手がこのカニサレスでしたね。
当時から危険な相手と言われていたカニサレス、当時の戦績は16戦全勝の13KOという素晴らしいもので、初来日の前のイメージは「ものすごいパンチャー」。しかし田口戦ではボクシングの巧みさを見せ、愚直な田口の攻撃を分断し続けた、という感じでした。
元々こういう戦い方だったのか、この試合に合わせてこういう戦い方にしたのか、はわかりませんが、とにかく攻撃時は気持ちよく振り抜くタイプのボクサー。おそらく疲れてくると強振→クリンチとなるのは今もそうでしょうし、しっかりとアウトボックスしようと思えばできる、みたいなイメージですね。よくベネズエラにはテクニシャンが多い、と言いますが、そのベネズエラのボクシングを吸収しつつ、フルスイングを見舞ってくるという非常に危険度の高いボクシングをします。
ちなみにこの田口戦はポイント的に非常に難しい試合であり、結果としてはスプリット・ドローでタイトル獲得はなりませんでした。
しかしそこから1年と4ヶ月たった2018年の3月。田口が統一王者となり、WBAスーパー王者となったためにレギュラー王座が空き、小西伶弥との王座決定戦。ここでは小西が大健闘、カニサレスはダウンを奪うも辛勝、という感じ。ただ、アウェーという環境も含めて見ればやはりカニサレスの方が1枚2枚は上手だったようにも思います。
翌2019年5月には、中国で元WBOフライ級王者、木村翔を迎えて防衛戦を行い、これはしっかりとアウトボックスして完勝というイメージでした。
木村翔、といえば地元熊谷にジムをオープン予定。クラファンやっているようなので、是非!
地元「熊谷」にフィットネスジムをオープンしたい - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
話が逸れましたが、田口良一、木村翔という日本の誇る元王者と戦い、負けなし。小西戦も含めて、全てカニサレスからするとアウェーの戦いです。
唯一の敗戦は、というと、木村戦から2年ものブランクを経て行われたエステバン・ベルムデス戦であり、これももちろん敵地。倒されてしまっているので何の言い訳もできないかもしれませんが、途中まではポイントをリードしていた中での逆転KO負け。メキシコという開催地でどのような出来事があったのか、ということも疑ってしまうほど、このカニサレスがベルムデスという当時無名のボクサーに負けることは考えられませんでした。
再起したカニサレスは復帰後4連勝中であり、前戦はダニエル・マテヨン(キューバ)とのWBA世界ライトフライ級挑戦者決定戦。日本で矢吹正道に勝利した、ということでも知られるマテヨンでしたが、試合はバッティングの嵐となった上で負傷判定で決着、カニサレスに凱歌が上がりました。ちなみにこの試合はアルゼンチン。
その前の3試合もメキシコで戦っているカニサレスは、リアルなロードウォリアー。
一発逆転を可能にするそのスタイルは、「今の」寺地拳四朗にとって怖いスタイルではなかろうか。
拳四朗の説明については今更必要のないことだと思いますが、矢吹戦での敗北をきっかけとして打ち合うスタイルにチェンジ。
とはいえゴリゴリのファイタースタイル、というわけではなく、序盤は中間距離のボクシングでスタートし、打ち込める時には躊躇なくいく、みたいなスタイルであり、倒し切りたいという欲望をストレートに表現するボクシングになっています。
チャンスに畳み掛ける、ということは素晴らしいのですが、もしそれが序盤、カニサレスがまだ余力を残している時に来たチャンスであれば、十二分に警戒しながらのチャージを心がけなければなりません。
ほとんど全てのボクサーにとって、チャンスはピンチとなり得るし、ピンチはチャンスとなり得ます。「ここでラッシュ!!」みたいなタイミングでラッシュをかけ、相手が反撃してきたらバックステップを踏んでまた攻める、みたいなチャージの方法ができるクレバーなボクサーはほとんどいません。頭ではわかっていても。
矢吹戦(これは1戦目も2戦目も)でもそうでしたし、京口戦やオラスクアガ戦は良い例。それはエキサイティングになることかもしれませんが、減量が厳しい今の状態で、さらにカニサレスほど振ってくるボクサーの一撃を喰らってしまったならば、拳四朗といえどもタダでは済まない可能性があります。
なので、拳四朗には多くのKOチャンスが訪れるかもしれませんが、そこはグッと堪えて冷静に、後半に倒すくらいの気持ちでいってもらいたい。
そしてカルロス・カニサレス、またもアウェイの地でベルト獲りにに挑む元王者には、最大の尊敬を持って迎え入れてあげましょう。
拳四朗のNEXT
そして本日(1/13)に記事が出ていましたが、拳四朗の「本当にやりたい相手」について。
拳四朗はこれまでライトフライ級での4団体統一を目指してきましたが、本当にやりたい相手はジェシー「バム」ロドリゲス、だそうです。
バムはバムでサニー・エドワーズとの統一戦を経て、より一段を評価を高めたという段階。このエドワーズ戦ではリングマガジンベルトこそかかりませんでしたが、もはや疑いの余地なくこの階級の王者。
PFPにもランクインしたこの若きアメリカ大陸出身の王者は、今後軽量級の中心となるボクサーです。
しかも帝拳プロモーション所属、ということもあり、同じく帝拳にプロモートしてもらいながらも所属の異なる拳四朗であれば、マッチメイクには困らないはずです。
バムはスーパーフライに舞い戻るという案も持っており、タイミング的にこのバムvs拳四朗が決まるか決まらないかは微妙なところ。もしこれを叶えるのであれば、拳四朗はこの試合の後、即刻ライトフライ級を卒業すべきかもしれません。
ところで、拳四朗を取り巻く環境というのは通常の日本人ボクサーと違い、サポートに溢れています。通常の日本人ボクサーといえばジム=プロモーターであり、トレーナーなわけですが、この拳四朗はプロモーターが真正プロモーション(真正プロモーションは帝拳と密接な関係性)、所属はBMB(父・寺地永の興したジム)、そして長期の出稽古先として三迫ジム。これはかなり特殊な関係性で、所属=マネジメント、と考えるとアメリカのボクサーたちと同様の関係性ですね。
まあ置いといて、4回戦からこういう状況だと試合も枯渇すると思いますが、日本王者以上とか、世界を目指すとかいうタイミングになれば、プロモーターとマネージャーを分ける、トレーニング場所を自由に変えられる、みたいな柔軟な対応があっても良いかもしれませんね。
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