さてさて、週末はAmazonプライムビデオpresents LIVE BOXING!!
日本でいち早く始まったアマプラ興行はもう7回目を迎えています。
ちなみにPBCがShowtimeから移行して組んだアメリカAmazon興行の放映は日本Amazonではなさそうで、アメリカAmazon興行の第一弾の日本での放映はWOWOWのようですね。
ボクシングファンならわかると思いますが、一般の人にはついてこれないでしょうね。
ともあれ、今回は日本Amazonの興行で、こちらは帝拳プロモーション。
アメリカAmazon興行は、TGBプロモーションが主。興行主が違うということですね。
そんなわけで今回のブログは、2/24(土)に迫った日本アマプラ興行第7弾、アレハンドロ・サンティアゴvs中谷潤人の戦いをプレビューです。
↓セミだと思っていた井上vsアンカハスがメイン。
2/24(土)両国国技館
WBC世界バンタム級タイトルマッチ
アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)28勝(14KO)3敗5分
vs
中谷潤人(M.T)26勝(19KO)無敗
『Peque』というニックネームを持つ、アレハンドロ・サンティアゴ。このPequeという単語は、チビという意味らしく、言い方は悪いがその名の通り、159cmとこの階級でかなり小柄な方です。
長身の中谷潤人との身長差は13cmにも及び、大きなサイズ差がある戦いとなっています。
ただ、BoxRec上ではこのサンティアゴのリーチは166cm、中谷は170cmとなっており、そこまで大きな差はありません。このことは、ちょっと距離感を見誤る可能性がある、というのはわかっておいた方良いことなのかもしれませんね。
さて、アレハンドロ・サンティアゴ、前戦でレジェンド、ノニト・ドネア(フィリピン)との王座決定戦を経て、王座を初戴冠したボクサーです。王座決定戦の相手も相手でしたが、初防衛戦の相手もかなり難しい相手を迎えており、王者となってもアンダードッグから抜け出せないという茨の道を進むボクサーでもあります。ただし、ここで勝てば一気にバンタム級のメジャーシーンに躍り出ることができる上、この戦いはおそらく過去最高のファイトマネーを得ているでしょうから、気合が入る戦いでもあるでしょう。
2012年にプロデビューしたサンティアゴは、3連勝ののち1度のドロー。このドローとなったボクサーと9戦目で戦い、初黒星を喫しています。ちなみにこのサンティアゴが1敗1分のボクサーはエクトル・フローレス(メキシコ)というボクサーで、のちにシベナチ・ノンシンガ(南アフリカ)とIBF世界ライトフライ級王座決定戦で戦い、僅差のスプリット判定を落としてしまうボクサーです。
さて、サンティアゴに話を戻すと、この初黒星の後無事に再起するも、再起2戦目で早々に2敗目。その後もいくつかのドローを挟みながらキャリアを築いていくわけですが、この時点でサンティアゴに注目しているファンはほぼいなかったでしょう。
彼にとって転機となったのは2018年のことで、当時のIBF世界スーパーフライ級王者、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)への挑戦。この試合の前、WBOの地域タイトルに挑戦したサンティアゴは、ホセ・マルティネス-メルカド(プエルトリコ)というボクサーとドローを演じており、アンカハスとしては比較的楽な対戦相手を選んだつもりだったのでしょう。
しかし蓋を開けてみれば、すでに5度の防衛をクリアしていた安定王者アンカハスに対し、サンティアゴは大奮闘。結果スプリットドローの判定でタイトル奪取を逃しますが、これは「アンカハスが悪かった」との意見も多く、アンカハス階級限界説が囁かれるきっかけとなった試合でもあったと思います。
ここは本来、サンティアゴの実力を認めるべきでしたね。
ここまでアメリカのリングに2度とも登場して、2度ともドローのサンティアゴはこの後メキシコでの下積みに戻り、8回戦、10回戦を戦っていきます。
2021年にアメリカ3度目のリングでようやく初勝利(2RKO勝利)をあげますが、次戦でゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)に僅差の判定負け。その後も腐らずに戦い続けたサンティアゴは、2023年7月、ドネアに勝利して世界初戴冠を果たしたのです。
アレハンドロ・サンティアゴ、回転力が非常にあり、小回りのきくスピードもあり、非常にアクションの多いエネルギッシュなボクサーです。ただただ闇雲に突っ込んでくるのではなく、そのブローはアングルがしっかりと考えられたものであり、どのアングルで打てば当たるのかをしっかり考えられているボクサーだと思います。
中谷としては、このサンティアゴの回転力を封じたいところですね。
あまりにも手数を出してくる場合、カウンターを取ることは容易ではありません。なのでまずは近づかせないように遠くでボクシングを試みること、距離を置いてあるところから入ってくる場合、サンティアゴも大きく踏み込んでくることとなり、そこはカウンターチャンスです。
ドネアはこのサンティアゴからカウンターをとりましたが、サンティアゴの回復力も驚かされるものでした。これまでの敗戦は惜敗がほとんどであり、KO負けは一度もないタフなボクサー。
中谷がコンディションを整え、思い通りのボクシングができれば勝利は固い、と思いつつも、このボクサーは見た目以上にやりづらいボクサーのはず。
サンティアゴとしては自身より高身長なボクサーとの対戦には非常に慣れており、相手が小さいからといって油断できるようなボクサーではありません。
非常にやりづらく、スタミナもタフネスも持っているボクサーだからこそ、中谷には倒して勝利して欲しいものです。
WBO世界スーパーフライ級王座決定戦
田中恒成(畑中)19勝(11KO)1敗
vs
クリスチャン・バカセグア(メキシコ)22勝(9KO)4敗2分
さて、今回のLIVE BOXINGはトリプルタイトルマッチ。そのトリプルタイトルマッチの先陣を切るのは、田中恒成が4階級制覇を成し遂げるこの試合です。
今回、3つの世界戦の中で、最も日本人勝利の確率が高いのは、と聞かれればこの試合を挙げられるのではないか、と思うほど、実力差が明白にも思える試合でもあります。
ちなみに海外オッズの順番的には、最も固いのがサンティアゴvs中谷の中谷勝利、続いて田中vsバカセグアの田中勝利、そしてオッズがかなり競っているのが井上vsアンカハスの井上勝利です。
しかしこのバカセグア、映像を見てみると田中とは比べるまでもなくスローで、パワーがあるわけでもない、と感じるのが第一印象。
もちろんメキシカンであるから旺盛な手数は持っているし、ハイガードスタイルで崩しにくさもあるだろうし、フック、アッパーはフルスイングに近いのでパワーもあるのでしょう。しかし、このバカセグアは中間距離が良いとはいえず、特にジャブ、ストレートは体が流れている場面も多く、果たして世界タイトル戦を戦えるボクサーか、というとあまりそうは見えません。
バカセグアの怖いところは、やはり打撃戦となった時であり、力一杯振り回すパンチが相手の体に当たった場合の切り返しは非常に早く鋭く、力もこもっていそう。
ただ、その距離まで入られず、空転させることができれば、それこそ田中の勝利は固いのではないでしょうか。
バカセグアのキャリアを振り返ると、2015年にドローでデビュー、2戦目で初勝利を挙げて3戦目でドロー、5試合目で初黒星。
下積み時代は非常に長く、10回戦を始めてた戦ったのは2019年になってからで、スプリットの判定で黒星。ここのところは9連勝というところですが、ここまでは全てメキシコ国内での戦いであり、今回が初の海外戦となりますね。
世界的強豪との戦いはほとんどなく、田中恒成の強さを知っている我々日本のボクシングファンからすると、このバカセグア勝利を予想することはかなり難しいと思います。
なので、この試合は田中恒成が難なくここを勝ち、4階級制覇を成し遂げる、というのが既定路線なのだと思います。
この試合の注目は、やはり田中恒成のパフォーマンス。
4階級目は当然獲るとして、それは今後、井岡一翔との再戦や、たとえばエストラーダ、ローマン・ゴンサレスといったレジェンドとの激突、そしてともすればジェシー・ロドリゲスとの対戦を期待されるものなのか、それとも「もう少し先」と思わせるものなのか。
田中が標的にしていたフェルナンド・マルティネスも強いボクサーであるし、このスーパーフライ級にはまだまだ楽しみも多い。
これまで3階級を「勢い」だけで獲ってきたというまさに「天才」田中恒成が、いよいよそのボクシングの幅を広げ、組み立てを学んだことで覚醒する姿を心から見てみたい。
アンダーカードと配信情報
この3つの世界タイトルマッチの他、ジョナス・スルタンvs増田陸という注目ファイトも。増田は前戦で堤聖也のもつ日本タイトルに挑み惜敗、再起戦で強敵を迎えますね。
スルタンは「カシメロに勝ったこともある」とよく言われますが、それは2017年の話であり、翌年にはアンカハスに挑戦して負けています。
つまりは世界挑戦経験者、といった過去をもっており、このアンカハスへの挑戦と2022年に行われたWBO世界バンタム級暫定王座決定戦(ポール・バトラー戦)がスルタンの過去最大の一戦であり、このバトラー戦はカシメロのサウナ事件の際、リザーバーとして出場したものですね。
増田陸、復活なるか。もちろん、スルタンは危険なボクサーなので、これは非常に楽しみなハードマッチメイクですね。
この興行は、Amazon Prime ビデオで生配信。
2/24(土)18:00〜の放送開始だそうなので、お見逃しなく。
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