WBO世界バンタム級タイトルマッチ、ジェイソン・マロニーvsサウル・サンチェス。
この戦いが終わってホッと一息も、バンタム級は来月にもビッグファイトを控えています。
このマロニーvsサンチェスを経て、その勢力図が大きく動いたか、というとそうではありませんが、やはりまだ見ぬ強豪は多く、トップ戦線は大混雑しているのだと感じるような試合でもありました。
年末にニッポンのバンタムについての記事を書きましたが、今回は世界のバンタムについて言及していきたいと思います。
ということで今回のブログは、大戦国時代の世界のバンタム級戦線について。
↓日本のバンタムは黄金期!
WBO王者ジェイソン・マロニー
オーストラリア出身のジェイソン・マロニーは、オーストラリアでの戦いたい意向がありつつも、カナダのリングへ。
ヒスパニック系のアメリカ人であるサウル・サンチェスを迎え、この死闘をなんとかクリアしています。
やはり、このマロニーというボクサーは総合力が高く、さまざまな戦法をセレクトできるので、サンチェスのようにキャリアの浅い相手からすると非常に難しい相手ではありました。
ただ、戦前に「アップセットは起こり得る」と思っていた通り、サンチェスも素晴らしいボクサーであり、また世界タイトルに絡んでくることもあるでしょうから注目です。
さて、マロニーに話を戻すと、わずかに2敗はエマニュエル・ロドリゲスに惜敗したものと、PFPキング、井上尚弥にノックアウトされたもの。
井上戦はもう仕方のないものとして捉え、4団体統一を目指すというマロニー。
おそらく一番取り込みたいのはIBF王座であり、これにはロドリゲスへのリベンジも含まれるでしょうから、最もモチベーションも上がりそうです。
加えてマロニーというボクサーはインテリジェンスも高そうで、再戦にも強い気がしていますから、センスに勝るロドリゲス相手にもリベンジはあり得る話。
次戦はオーストラリアでの防衛戦を期待している、とのことですが、果たしてボクシング熱の低いオーストラリアで、マロニー単体での興行が可能かというとおそらくNoでしょう。ティム・チューのアンダーカードとか?もしくはロマチェンコvsカンボソスのアンダーカードとかなら可能性はありそうです。
IBF王者エマニュエル・ロドリゲス
さて、WBSS初戦でマロニー好勝負を演じたエマニュエル・ロドリゲスも、見事王座に返り咲いています。
メルビン・ロペスとの王座決定戦に完璧な勝利をしてIBF王座を奪還したロドリゲスは、さまざまな苦労を経てもマニーここにあり、を見せてくれました。
ロペス戦からもうすぐ半年が経過しようという中で、次戦の詳しい日程や会場はまだ出ていません。
ただ、指名戦に厳格なIBFにおいて、次戦はほぼ指名戦と決まっています。ロドリゲスは王座決定戦での戴冠であり、次に指名戦というのは妥当な話。
指名挑戦権を持つのは日本の西田凌佑であり、対戦合意が待たれるところですね。
そのロドリゲスは、年明け、その西田戦について言及しています。
↓西田戦に言及した記事
このBoxingSceneの記事では、25-30万ドルほど出せば日本に行ってやらんでもない、みたいなことを言っているので、ABEMAがその気になればロドリゲスを日本に呼ぶことは可能でしょう。
ただ、まだまだ知名度の低い西田に対して、その金額をABEMAが出すか、というと難しいかもしれません。ここは3150FIGHTの亀田プロモーターの腕の見せ所でもありますが、力石政法の挑戦者決定戦を日本に持って来れなかったことを考えると、ちょっと難しそうですね。
WBAとWBC
WBAとWBCのタイトルに関しては、1ヶ月後にそれぞれの王者が防衛戦を予定しています。
この同じ興行で同じ階級でタイトルマッチをやる、ということについては、その後の王座統一戦の布石ともなり得るマッチアップですが、この興行についてはその意味合いは薄いようにも感じます。
まず一つ、おそらくWBA王者の井上拓真というボクサーは、世界的に見るとまだ無名であり、さらにその評価もまだまだ高くはありません。
もう一つ、WBC王者に挑戦する中谷潤人というボクサーは、ここ1〜2年で大きく名を上げ、2023年にはリングマガジンのKOオブザイヤーにも選ばれました。
双方にあるポテンシャルを考えると、ここではまだ激突の機運ではない、と感じます。
王座決定戦で正規王座初戴冠を果たした拓真は、このジェルウィン・アンカハス戦こそが王者の証明の試合です。リボリオ・ソリス戦はお世辞にも良いパフォーマンスとは言えなかった中で、ここで強敵アンカハスを迎えることは評価を上げる大チャンスだとも言えます。
「どのような形であれ勝てば良い」というのは拓真の得意な形だとも思うので、気負わずにしっかりと勝ち切ってもらいたいところです。
対してWBC王者のアレハンドロ・サンティアゴに挑戦する中谷潤人。サンティアゴは小さく、厄介な相手ではありますが、順当に考えれば中谷潤人の勝利は固く、ここは王座交代劇が起こりそうな予感。
172cmのサウスポーである中谷、159cmのサンティアゴ、ということを考えると、そのファイトスタイルからしてもサンティアゴは近寄るほかなく、例え近寄ったとしても中谷というボクサーは強い。
スーパーフライ級では減量で思いっきりやつれていた中谷が、バンタム級初戦でどのようなパフォーマンスを見せるか、というのは非常に楽しみで、このボクサーはまだまだ階級の壁にぶつかりそうには見えません。
さらにサンティアゴにとって悪いことに、中谷の数ある得意パンチの中でも強力なのはアッパーカット。サンティアゴを舐めているわけでも何でもなく、サンティアゴが中谷に勝利する姿はなかなか想像できません。
リングマガジンのバンタム級リスト
現在王者は不在、1位にマロニー。2位にはロドリゲスで3位にサンティアゴ、となっています。
中谷潤人はまだバンタムで試合をしていないので入っていませんが、順当にいけばこのサンティアゴを倒し、その勝ち方次第で一気に1位にランクされそうな感じもしますね。
対してWBA王者の井上拓真は8位、非常に評価が低い状態。
なので井上拓真としてはしっかりと王者の証明を果たし、少なくとも4位以内には入りたいところです。
マロニーと王座決定戦を戦ったアストロラビオが4位、ノニト・ドネア、ポール・バトラーといったお馴染みのボクサーが続き、7位に西田。9位に比嘉大吾、10位にデビッド・クエラーとなっていますね。
このほかにも日本人ボクサーたちのランクインはあってもおかしくないものですが、国内だけで戦っているだけではなかなかこのリングマガジンの評価は得られません。
どこかで国外の強豪と拳を交えるタイミングもあっても良いかもしれませんね。
2024年、バンタムの展望
2022年末に統一された4つのベルトは、2023年に無事、それぞれに割り当てられました。
しかし2023年に起こったバンタム級タイトルをめぐる戦いは、その全てが王座決定戦のみであり、2024年はようやく各王者の防衛戦が始まったところです。
モンスター蹂躙後、最初に王座を獲得した井上拓真は、当初2023年11月に初防衛戦を予定していましたが怪我で流れ、2024年2月に延期。
代わってマロニーが1月に初防衛戦をこなしたのが王者の中では最速となる初防衛戦であり、他の3人はまだ初防衛戦もクリアしていません。
このタイミングでの王座統一戦というのは時期尚早であり、現在のところでもしトーナメントをやったとすると、一体誰が王座統一できるか、というと非常に難しいベットとなりそう。
ここで旋風を巻き起こすのは、おそらく中谷潤人のバンタム級参戦であり、その資金石となるのがアレハンドロ・サンティアゴ戦と言えそうです。
ここでもし、中谷がサンティアゴに凶悪な勝ち方をするようであれば、帝拳プロモーションは中谷に統一戦のレールを用意していくのではないでしょうか。
中谷は海外のプロモーターとの契約をしていないと思うので、日本で、比較的自由に王座統一戦を組めたりしないか。
この辺りの王座統一に向かう動向については、可能であれば2025年以降にお願いしたいところであり、2024年は各王者の初防衛戦を見て楽しみたいところですね。
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