サウジ興行が終わりましたね。
流石に前回(ジョシュアvsワリン、ワイルダーvsパーカーなど)と比べると反響は少ないように思いますが、とにかくアンソニー・ジョシュアの素晴らしいノックアウトは話題となっています。
結果的には華のあるボクサー、AJに、良いノックアウトを示せるようにあてがった興行のようになりましたが、フランシス・ガヌーという元UFC王者、それもタイソン・フューリーを大いに苦しめたポテンシャルのあるボクサーとの戦いは、開始前までは非常に緊張感がありましたね。
今回はその後の物語を綴るとともに、いくつかのニュースをピックアップ。
Knockout Chaosのその後
【アンソニー・ジョシュアについて】
AJが大復活、みたいな感じになっているのかもしれませんが、すでに前戦のオット・ワリン戦で大復活を遂げているアンソニー・ジョシュア。
このカリスマ性のあるボクサーが復活してくれることはボクシング界にとっては大きいことですね。ウシクvsフューリーの結果がどうあろうとも、いつかAJはフューリーと巡り合う運命にありそうです。
【ジョセフ・パーカーについて】
さて、セミファイナルで激突したチャン・ツィーレイvsジョセフ・パーカー。
大復活というのはこちらの方で、パーカーがツィーレイを降したことは大きな評価に直結することではないでしょうか。
チャン・ツィーレイは「ジャガーノート」ジョー・ジョイスを2度に渡り降し、評価を高めていたということもあり、ここで負けるとは思いませんでしたね。
ちなみにこの戦いには再戦条項があり、パーカーはチャンとの再戦も辞さず、とのことですが、この再戦はまた興味深い。
チャン・ツィーレイの大きな敗因はスタミナ難、というところなので、ある程度は克服できそうですし、とにかく当たれば倒れるパワーを持っているので、いかにして序盤に当てるか、を考えれば良さそう。
パーカーとしては再戦は今回以上に頭を使ってボクシングをしないといけないと思うので、初戦よりも厳しい戦いとなりそうですね。
【レイ・バルガスとニック・ボール】
これは「判定を盗まれた」と言えなくもない戦いで、ドロー、ボールの僅差判定勝利が妥当と言える戦いでした。まあ、「ドロー」が妥当であるが故に、結果的には何ら変わりはしないかもしれませんが、とにかくバルガス勝利というのは怪しいものです。
プロモーターのフランク・ウォーレンはWBCに再戦指令を要求した、とのことですが、果たしてメキシカン贔屓、というかレイ・バルガス贔屓のWBCがこの再戦指令を出すかどうか、というところは怪しいところですね。
個人的には、ボールが王者になることが望ましく、その方がフェザー級が活気付くと思うので、ここはWBCの公平性に期待したいところです。
【イズライル・マドリモフ】
ある記事には、「The New Golovkin」と書かれていたマドリモフ。これはエディ・ハーンが言った言葉のようです。
マドリモフはウズベキスタン出身ですが、まあ、隣国だから良しとしましょう。
かつてのゴロフキンのスタイルは「メキシカン・スタイル」と呼ばれ、17連続KO防衛を記録。このスタイルの礎となったのはメキシコ人トレーナー、アベル・サンチェスの教えであり、ふたりは蜜月の時を過ごしていました。
そしてこのマドリモフのトレーナーは、ジョエル・ディアス。ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)のトレーナーでもある名トレーナーは、やはりこの中央アジアの技術力の高いボクサーに、メキシカンスタイルを教え込んでいるのです。
このことは、センセーショナルなノックアウトを生み、当然エキサイティングなファイトを呼びます。
明らかにフィジカルが強く、パワーがあり、そして技術もあるマドリモフは、出身国こそ違えどもしかしたらGGGの正統な後継者となり得る存在かもしれませんね。
まあ、こんなこと言われて嬉しいか、というとそうではないでしょうが、スタイル的にはカザフスタンのジャニベク・アリムハヌリよりは近い気がします。
そんなわけで、マドリモフの今後には期待したいところですね。
寺地拳四朗の4団体統一に黄色信号
さて、全く別のニュースですが、寺地拳四朗のライトフライ級4団体統一は黄色信号です。
IBFは、ライトフライ級王者シベナチ・ノンシンガ(南アフリカ)に対して指名戦をオーダー。指名挑戦者は先日、アービン・マグラモ(フィリピン)を初回TKOで破ったクリスチャン・アラネタ(フィリピン)です。
このノンシンガvsアラネタがこの春から夏にかけて行われるため、おそらく拳四朗が次戦でこのノンシンガと戦える可能性はほぼない、と言って過言ではありません。
そうするとWBO王者のジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)に照準を絞らなければいけませんが、つい最近のインタビューで王座統一戦にはあまり興味がない、みたいな発言をしているところが気になります。いやいや、一回承諾してるのに。。。
さて、ノンシンガに話を戻すと、こちらは元IBF世界フライ級王者、サニー・エドワーズが食指を伸ばしているようです。
エドワーズはライトフライ級に下げての2階級制覇を狙っているようで、これにノンシンガも興味津々。ただ、ノンシンガ自体は寺地拳四朗戦にも乗り気であり、金額面でいうと日本に引っ張ってくることは可能かもしれませんね。
あとはプロモーターの問題、というところになってきますが、エドワーズもノンシンガも現在はマッチルーム所属、つまりはエディ・ハーン次第、というところですね。ハーンを口説き落とすことに成功すれば、今年の後半に日本に呼べるかもしれません。
そして夏くらいにはジョナサン・ゴンサレスを日本に呼ぶことができれば、拳四朗の4団体制覇は完了するのでしょうが、これ以外に道がない、というのが実現可能不可能を分けるところですね。
ジェイソン・マロニーがホームカミングしない理由
この見出しには食いついてしまいました。おそらく一つの大きな理由としては金銭面、というのがあるのでしょうが、どうやらそれだけではなさそうですね。(それだけだったらわざわざ記事にしないでしょうから)
↓BoxingSceneの記事
以前のニュースでもお伝えしたとおり、ジェイソン・マロニー自身はロマチェンコvsカンボソスのアンダーカードに出る気満々だったし、すでにこのことはBoxRecにも記載されていました。(相手はTBAでしたが)
そして、このオーストラリアの一大イベントに、マロニーが出ないなんてことはありえない、と思ってもいましたが、2月の後半の記事で「次戦は宙に浮いている」と発言。
オーストラリアの興行でなければ、と考えると、そのホームカミングを蹴ってまで出たい興行といえば間違いなく日本の興行。
となると必然的に噂のあったマロニーvs武居がピックアップされてくるわけで、ここは期待して待った甲斐があったというもの。
ちなみに上記のBoxingSceneの記事は、マロニーのマネージャーを務めるお馴染み(?)トニー・トルジが答えているものです。
この記事では、マロニーはカナダでの戦い(サウル・サンチェス戦)の後、オファーを受けたが一度は断った、とのこと。
このことは記事では明確に「(日本でのオファーよりも)少ないファイトマネーでオーストラリアで戦いますと言った」と語っています。
マロニーの野望として最も大きなものは、IBF王者エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)へのリベンジとのこと。
そして、オーストラリアでの防衛戦というのももちろんプランとしては非常に大きな要素を占めるものでしょうが、他にもでかい会場で試合をしたい、というものもあった、とのこと。
そして同じ興行に同じバンタム級の王者が出場する、ということは非常に多くのプラスポイントになった、ともトルジ氏は伝えています。
この辺りの理由が、マロニーが日本での東京ドーム興行を決めた理由だそうです。
そう考えると、おそらくこの受諾は2/24以降に起こったことであり、マロニーの武居対策というのはこれから、と考えるのが妥当です。
とはいえ、マロニーは武居が倒したブルーノ・タリモと親交があり、ある程度の情報は持っているはず。
いずれにしろ、ジェイソン・マロニーは王座統一を求めているボクサーです。最終的には、エマニュエル・ロドリゲスへのリベンジを求めています。
ゴールデンウィーク、日本には4つのベルトが集まります。(中谷潤人のWBCベルトがちゃんと来てれば)そしてその後、このベルトはほぼ間違いなく日本で、いくつかの統合を見るのでしょう。
それは来年の話なのか、それとも今年の後半の話なのか。
国内のバンタム級も強豪揃いですが、まずは直近、5月の王者たちのパフォーマンスに注目しましょう。
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